救えなかった苗木の逆行物語   作:超高校級の切望

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オール・オール・アポロジーズ(非)日常編⑤

「おっはよー舞園ちゃん。あれ?なんかツヤツヤしてるね?」

「ふふ。そうですか?」

「逆に苗木くんはげっそりしているな。何かあったのか?」

「朝会った時からこうなんだよね……舞園、あんた何したの?」

「………ナニを……」

「は?」

 

 いいえ何でも?と返し、舞園は笑みを浮かべる。ふと、苗木は霧切を見つけた。前回では大神の秘密を黙っていると怒って、苗木が帰るまで食堂には来なかったのだが……。

 

「ねぇ苗木君。ほんと、すごくやつれてるけど何があったの?」

「キミが想像している通り、かな……」

「……そ、そう。その……ごめんなさい」

 

 霧切は昨夜のことを思い出し、あの後どうなったのか想像したのか、赤くなり俯きながら謝罪した。

 

「いやまあ、霧切さんのせいじゃないよ………原因はボクにあるわけだし」

「でも、私があの時舞園さんに怯えず止められていたら……」

「…できるの?怯えないこと」

「…………無理ね」

 

 霧切は昨夜の鬼(舞園)の殺気を思い出し首を振る。

 あれは怖い。どれぐらい怖いかというと、大神経由で出会ったとある格闘家も逃げ出すんじゃないかと思えるぐらい怖い。

 

「昨夜はお楽しみでしたな、ダンナ」

「誰がダンナだエログマめ」

「「「!?」」」

 

 突然のモノクマの登場と、それに驚かない唯一の生徒苗木。もはや当たり前になっているのか、モノクマも別に突っかからない。

 

「苗木クン、ちょっとお話ししようぜ」

「スリーサイズ以外の話ならしてあげても良いよ」

「まあ大したことではないんだけどさ。全員を信用している苗木クンは、《裏切り者》がいたらどうすんの?」

「そりゃ殺すよ」

「おお!」

「嘘だけどね」

「………テメェ、屋上に来い。久々にキレちまったぜ。前歯へし折ってやる」

 

 モノクマはその場でシュッシュッ!とシャドーボクシングを始める。苗木がモノクマの前に〝スイカ〟を置くと、スイカが見事に叩き割られた。

 

「はい、皆……」

 

 苗木は一番大きなかけらを取り、セレス以外の全員に配る。

 

「……あの、わたくしには?」

「あとで皮でも食べてれば?」

「はふぅ!」

 

 苗木の毒舌に、セレスはビクビクと震える。

 

「冗談だよ、ほら……」

 

 苗木は一番小さなかけらをセレスに渡………さず、皿に乗せて床に置く。

 首を傾げる一同と困惑するセレス。モノクマだけはシャドーボクシングを止めワクワクしている。

 

「床に伏して食べなよ。あ、手は使わずに」

「……は、はい……」

 

 苗木の命令に、セレスは恍惚とした表情でスイカを食べる。苗木は勉強になったとセレスを観察していた。

 

「むふふ。苗木クンたら『人の喜ばせ方』を知ってるねぇ……」

「む?喜んでいるのか?──ならば良し!」

「良いんだ!?」

 

 石丸の意外と言えば意外な発言に、朝日奈は思わず叫んだ。

 

「キミは実にバカだなぁ」

「真面目バカって言うんだよね、ああいうの……」

「アホか彼は……」

 

 苗木とモノクマは、石丸の悪口をこそこそ言い合ってる。

 仲が悪いんだか良いんだか………。

 

「………あ、そうそう。今夜は夜時間前に体育館に集まってね。一応放送はするから忘れてたは通じないよ」

 

 

 

 

 

「右、と見せかけて……そのまま右だ」

「ふむふむこっちだね……」

「もう少し左……あ、そこじゃない!」

「………何を、してるのかしら?」

 

 体育館に来た霧切達が見たのは、棒を持ち目隠しをしてフラフラ歩くモノクマと、モノモノマシーンの景品のゲームをやりながらモノクマに指示を飛ばす苗木が居た。

 

「「〝スイカ割り〟も知らないの?霧切さんたら遅れてるぅ」」

「ハモらせないで腹立たしい」

 

 霧切がモノクマと苗木を睨みつけながら言うと、二人はゲームとスイカ割りを再開した。

 

「……もうちょい右、右だよー!そのまま前!」

「おい、右にずれすぎだぞモノクマ!」

「良いぞ、そのまま進みたまえ!」

「い、いきすぎよ……!」

「愚か者め、周りに惑わされすぎだ」

「………私がおかしいのかしら」

 

 意外と乗り気な皆を眺めながら、霧切は一人なんとなく疎外感を感じる。

 

「とりゃあ!」

「ああ、おしい!」

 

 モノクマは勢い良く棒を振り下ろすが床を叩き、その衝撃でクルクル回りながら苗木に向かって飛んでいく。

 

「危ないなぁ」

 

 苗木がゲーム機で棒をはたくと、ゲーム機は砕け棒は逆回転し……スイカに当たって、スイカが割れた。

 

「…………これが、『幸運』の力か!」

「あ、ボス戦中だったのに……」

 

 モノクマが心底驚いたような動作をした。周りも似たような反応だ。

 

「で、お前はわざわざスイカ割りの為に、俺たちを呼び付けたのか?」

「え?そうだけど?」

「………俺は帰らせてもらうぞ」

「あらあら聞きましたナエ様。最近の若い子は冗談を直ぐに本気にしますわ」

「や~~ね~~……」

 

 モノクマと苗木のやり取りに、十神の額に青筋が浮かぶ。

 

「オマエラを呼んだのはね~~…………あれ?何だっけ?」

 

 モノクマは首をコテリと傾げ、ステージに腰掛けていた苗木がずっこけ落ちる。苗木は直ぐに体勢を直し着地すると、呆れたように溜息を吐く。

 

「苗木ク〜ン、知らない?」

「さっきボクに覚えておいてとか言ってたね………勘弁してよ。ボクの黒幕説が広まっちゃうじゃないか……《内通者》について話すんでしょ?」

「ああ!そうだったそうだった!あのね……内通者の正体は、『大神さくら』さんです!」

「え?今なんつった?」

「内通者は大神さくら……そう言ったんだ」

「ど、どうせモノクマの嘘に決まってんだろ!」

「そうだよ!そんなことある訳ないじゃん!」

 

 モノクマの暴露に数秒の静寂の後、疑いの視線が大神に集まる。苗木は新しいゲームのプレイを始めながら各々の反応を確かめるが、疑っている割合の方が多い。

 石丸も距離を取ってるし、大和田も無意識にか不二咲と大神の間に立っていた。

 

「違うよ!絶対違うよ!さくらちゃんより苗木の方が百倍怪しいよ!」

「…………自覚してるけど、こうも直球に言われると傷つくな」

「良いのだ、朝日奈よ……」

「さくらちゃん?」

「人質になった仲間達を見捨てて、少ししか仲良くしてない浅い友情を取った大神さん。ねえねえ、今どんな気持ち?」

「………………」

「………つまらねーの。じゃあ後は煮るなり焼くなり、殺すなり殺されるなり、好きにすれば?」

「お休みモノクマ」

「お休み~苗木ク~ン」

 

 苗木は片手でゲームしながらもう片手を振り、モノクマを見送った。

 

「そういうことしてるから怪しまれるのよ」

「いや…苗木は関係ない。我だ。我が……《内通者》だ……」

「……あ、死んだ……ステータスの振り分け間違えた。……まいっか、使えないなら消せば」

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