救えなかった苗木の逆行物語   作:超高校級の切望

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オール・オール・アポロジーズ(非)日常編⑥

「ま、マジなんかッ!?─オーガが黒幕の手先だったんかッ!?」

「すまない……」

「……テメェ……」

「い、今までずっと……騙してたの…ッ!?」

 

 モノクマの告発により、大神に敵意などが含んだ視線が向けられる。一人、朝日奈だけが庇うように大神の傍に立つ。

 

「ち、違うんだよ…きっと…さくらちゃんは操られてただけで…何か、理由があって……それで、仕方なく黒幕の良いなりに──」

「人質がどうこう言ってたしね……それに、この前モノクマと戦ってたし……」

「見て……いたのか……」

「ぶっちゃけ量産機のモノクマを壊したって、黒幕からしたら端末が一つ減る程度の痛手だから、何の意味もないけどね」

 

 ていうかモノクマは壊されても、その辺の床をツルハシで叩けば何故か部品が出てくるので、すぐ量産できるだろうし。

 

「本当に黒幕を裏切ったというなら、答えてみろ。黒幕とは何者なんだ?」

「それは……すまんが我も知らんのだ」

「知らないだと?怪しいな」

「ホントなんだって…信じてあげてよ!」

 

 十神の疑念に朝日奈が突っかかるが、まあ聞く耳を持つはずもない。

 

「まあ相手は黒幕だからね。モノクマを通して会話していてもおかしくないよ」

「甘いな苗木。それだけじゃ、こいつが黒幕を裏切った根拠としては弱い」

 

 まあそれはそうだ。

 

「あ、『トガミ』が死んだ!」

「おい待て。何故ゲームをしながら俺の名が出てくる?」

「モンスター15匹操れるから、ちょうど良いかと思って」

 

 苗木はゲームをしながら、はたして真面目に話を聞いているのか不安になる態度を取り続けていた。そしてやはり苗木にも、十神や腐川、葉隠と朝日奈、山田と言った殺人を妨害している光景を見たことのない者や、一定の友情を築けていない者達から疑いの視線を向けられている。

 

「なあ苗木っち………苗木っちは、モノクマと繋がってんのか?」

「ボクがモノクマと組んだら、真っ先に黒幕を〝殺す〟けどね」

 

 葉隠の問いに、苗木は昼間と同じように殺すと言う。しかし今度は嘘だよとは言わない。

 葉隠達は気づかなかったが、霧切や大神、十神は憎悪や憤怒、殺意に満ちた顔で殺すと宣言するより、明確な殺意を感じさせながらも、日常のように紡がれる殺意の表明の方が遥かに恐ろしいのだと理解した。

 

「ほ、ほんとに繋がってねえんだな?」

「なんなら占ってみれば?」

「よ、よし……むむむ!見えた!苗木っちの教え子はニートになるべ!」

「な、何関係ないこと占ってんのよ!?」

「おっかしいな……もういっちょ!………苗木っちにはブラコンの妹が居るべ!」

「……ところで大神さん、これからどうするの?」

 

 答えは知っているけど、と苗木が大神を見ると、やはりというか案の定というか、大神は苗木の予想通りの返答を口にした。

 

「黒幕を倒す」

「…………」

「黒幕に戦いを挑み、刺し違えてでも倒してみせる。それが……我の責任の取り方だ……」

「ちょ、ちょっと待ってよ!刺し違えても……って!」

「わー、かっくいいー」

 

 大神の宣言に朝日奈は慌てるが、苗木は棒読みで拍手を送る。当然といえば当然だが、朝日奈に睨まれた。

 

「なーんかカッコイイこと言ってるけどさ。そもそも、せめて大親友(笑)の朝日奈さんにだけでも話して置けば、あるいはこうはならなかっんじゃないの?」

「………怖かったのだ。我もせめて、朝日奈にだけは話そうと思った……だが、出来なかった。軽蔑されるのではないか、嫌われるのではないかと思うと…それでこの結果だ。だからせめて、この命と引き替えにしてでも……!」

 

 大神の言葉に、朝日奈は心配そうに大神を見て、大和田や石丸、不二咲や霧切も大神の覚悟を感じたのか、無言で大神を見つめる。だが……苗木は笑う。

 

「お前、それで死んだらどうするんだ?」

 

 ピタリと時が止まったかのような静寂の中、苗木のゲーム機がボスを倒した際のBGMを白々しく流す。

 

「『お前が』じゃないよ。内通者なんて死のうが生きようがどうでもいい奴じゃなくて、〝朝日奈さん〟が死んだらどうすんの?朝日奈さんと大神さんが仲いいのなんて周知の事実。結局黒幕の下にたどり着く前に、報復として殺されたらどうするんだ?墓の前に立って誇らしげに、『我はやったぞ』なんて言うのかよ?」

「……違う、我はそのようなつもりでは……ただ、皆を救うために……!」

「わかってないな大神さん。肉体なんて救われる必要ない。少なくとも、キミが死ぬことで救われない存在がそこにいる」

 

 と、苗木は〝朝日奈〟を指差す。

 

「結局キミは、単純な力を強さと履き違えているだけなんだ。戦ってこの世が平和になるなら世界中戦争だらけ。キミはボク達に対する贖罪という逃げ道に逃げてるだけ。死んだら誰にも何も言われないし、あるいは疑ってすまなかったと謝ってくれるかもしれない。いやいや良いんだよ。別に責めてない……ただ、そういう考えは嫌いだなって話───」

 

 パン!と乾いた音が体育館に響き渡り、苗木の頬に紅葉が刻まれる。

 

「な、苗木君!?」

「……この、ビチクソがぁぁ!」

「──っ!」

 

 すぐさま舞園、セレス、江ノ島が反応して包丁やナイフなどを取り出すが

 

「うっさい」

「「「くぅん………」」」

 

 苗木が不機嫌そうに三人を睨むと、捨てられた子犬のような顔をしておとなしくなった。

 

「……さいてー……行こ、さくらちゃん!」

「……む」

 

 朝日奈は体育館から出て行き、大神は去り際に苗木の方を振り返る。

 

「……すまない、汚れ役を押し付けて」

「朝日奈さんの怒りが、他の人に向くよりはましだよ……」




 苗木がプレイしていたゲーム
『戦え!モンスターズ!』

 モンスターが蔓延る世界に移住することを決めた人間達の一人になりモンスターを洗脳して同族達と戦わせるゲーム。
 モンスターのレベルが主人公の1,5以上になると洗脳が解け主人公に襲いかかってくる。なのでレベルが上がってきたら殺そう。ちなみにその分の経験値もはいるのでギリギリまでレベルはあげておくと良い。
 とあるゲーマーが言うには進めていくのは楽しいけど基本的モンスターの方がレベルが早くあがるのでカンストするまで何度も殺さなくちゃいけない胸糞悪いゲーム。さすがにあれは二度もプレイしたくないとのこと。
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