救えなかった苗木の逆行物語   作:超高校級の切望

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超高校級の不運が超高校級の殺人と超高校級の処刑と超高校級の絶望を引き寄せた理由⑤

 武道場に来た苗木と十神。ガムテープが残っているのを確認すると、十神はそれを苗木に突き出してくる。

 

「十神クン、そのガムテープから指紋取ってくれる?容疑者のボクが触るわけにもいかないし」

「ふん。それぐらいなら良いだろう……」

 

 苗木からアルミニウム粉末を受け取ると、十神はガムテープから指紋を取る。ガムテープから出た指紋は十神のともう一つ、『誰の指紋とも一致しないもの』だ。

 

 《謎の指紋》を手帳に記入しました。言弾メニューで確認できます。

 

「……ふうん……『一卵生』じゃなくて助かった」

「……何?」

「こっちの話~……」

 

 苗木はそう言うと部屋から出て行った。とはいえ、生徒以外の指紋を持つ者が三人いる。今どこにあるか知らないが、早いとこ見つけて指紋を取らなくては。

 

「あ、そうだ十神クン」

「まだ何か?」

「この前の推理だけど、衝動殺人ならそんな『用意周到な武器』使わないよ」

 

 〝矢とガムテープ〟を指さして言うと、苗木はその場から立ち去った。

 苗木の捜し物があるとしたら、まだ苗木の行ったことがない生物室が一番可能性が高い。まあ苗木達の記憶を消した設備もどこかにあるだろうから、隠し部屋的な所にある可能性も捨てきれないが………。

 

「ま、記憶を消された場所は覚えてないけど……」

 

 全てが終わったら戦刃に聞こう。苗木も使用するつもりだし……。

 

「お、どんぴしゃ………」

 

 生物室の内部はまるで『死体安置所』のようになっていた。かなり寒い……。

 

「って、あれ……ジェノサイダー?」

「おおん?あらまーくんこんにちはー!どーしたの?ここには死体しかないけど加わりに来た?」

「死体から〝指紋〟を取りに来たんだよ」

「成る程成る程……って、死体に平気で触れるって本当に死体好きだなまーくん!ゲラゲラゲラ!」

「そんなつもりは無いんだけどな………ジェノサイダーはどうしてここに?」

「知るかよ。アタシと根暗は〝記憶の共有はしてねーんだ〟」

 

 《ジェノサイダーの秘密》を手帳に記入しました。言弾メニューで確認できます。

 

 笑いながら去っていくジェノサイダーを見送ってから、苗木は死体から〝指紋〟を取る。やはり『さっきの指紋とは一致しない』……。

 

 《両親の指紋》を手帳に記入しました。言弾メニューで確認できます。

 

「さてと、次々……次はどこに行こっかな?」

 

 苗木は希望ヶ峰学園の見取り図を取り出すと床に敷き、モノクマメダルを指ではじく。

 チャリーンと音を立てモノクマメダルが落ちたのは、《情報処理室》。

 

「行ってみるか………」

 

 苗木はモノクマメダルと見取り図を拾い、情報処理室に向かった。

 

 

 

「あ、苗木!苗木もここ調べに来たの?」

「朝日奈さんも?まあ、あのドア気になるしね」

 

 苗木はそう言って『モノクママークの扉』を指差す。

 

「そうだよね!やっぱ、そうだよね!今ならあそこに入れるかな?」

「じゃ、そこはボクの運を信じてみよう……」

 

 苗木はそう言ってモノクマの扉を開ける。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!?爆発したら危ないじゃ───あれ?平気だ……」

 

 朝日奈がドアの向こうを恐る恐る除くと、そこにはSFのような光景が広がっていた。まるでロボットアニメのコックピットのようだ。苗木が情報処理室のボタンを押すと、情報処理室で妙な音が聞こえる。

 

「ん?何今の音……」

 

 朝日奈は開けっ放しのドアから後ろを振り向くと、『モノクマ』がジッと立ってた。全く動かない……。

 

「うわあ!びっくりした!って、動かない………壊れてるの?」

「『こらー!ボクをロボット扱いなんて、夢のないことしないでよ。全くもう……』」

 

 朝日奈の言葉に苗木が〝マイク〟に向かってしゃべると、モノクマも全く同じ言葉を言う。戸惑う朝日奈が交互にモノクマと苗木を見ていると、モノクマは机に体をぶつけながらも朝日奈達に向かって歩いてくる。

 

「『うぷぷ。まだ気づかないの?まったく、脳にいく栄養が胸にいっちゃった人はほんとバカだねー』」

「も、もしかしてここって………モノクマの『操作室』?」

「だろうね……」

「じゃあ、黒幕は〝学園内で〟モノクマを操ってたって事?」

「…………そうなるね」

 

 《モノクマ操作室》を手帳に記入しました。言弾メニューで確認できます。

 

 朝日奈が黒幕のいた部屋だから罠があるかもしれないと言いだし、苗木達は情報処理室から出ることした。ちょうどそのタイミングでガチャリと音が聞こえた。

 

「あ!鍵が閉まって……」

「へえ、てことは《黒幕》はあの部屋の何処かに隠れてたんだ。まあ、モノクマが居なかったら話も進められないけど」

「え、じゃあ私が出ようなんて言ったから……!?」

「ぶひゃひゃひゃ!オマエのせいだー!」

 

 朝日奈が自分を責めた瞬間、モノクマが爆笑しながら現れた。

 そんなモノクマの頭を手で押さえ、苗木はちょうど床に開いた穴に押し込む。

 

「さて、次行こっか!」

「何すんのさー!次やったら学園長の危害って事にしてやるぞー!」

「………っチ」

 

 しかし再び出てきたモノクマに、苗木は舌打ちを一つ。

 

「ま、ようするに朝日奈さんのせいだから、責任もってみんなに教えてくるんだね。黒幕を捕らえる最後のチャンスを無駄にしたってさ。アハハハ!」

「あ、あのさ………」

「気にしなくて良いよ。それより、次の場所に向かおう?」

「う、うん!じゃあ私、今度はあっちを調べてくる!」

 

 苗木は朝日奈と分かれると、今度は寄宿舎の二階に向かった。学園長の部屋をもう一度調べようと思ったのだ。

 

(そういえばあそこって、ボクたちの〝本来の持ち物〟を入れてるロッカーがあったはず………)

 

 学園長……と言うか教師なら、緊急用の電子生徒手帳を持っているはず。

 苗木はさっそく寄宿舎に向かうと、霧切に出くわした。

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