「今回は、【最後の学級裁判】という事で、《特別ルール》が適用されまーす!まずは、そのルールを明確にしておきましょうか。モブキャラを殺した犯人を指摘し、なおかつ、この学園の謎を解き明かした場合は……オマエラの勝ちー!だけど、それが出来なかった場合は…ボクの勝ちー!もちろん、敗者が受けるのはワックワックでドッキドッキの『おしおき』ですよー!」
「それはモノクマにも適用されるの?」
「うん。そうなるね」
「クマに二言は?」
「ありません!」
苗木とモノクマは何時ものように、空気を読まずに脳天気な会話する。と、その時〝葉隠〟が発言を始めた。基本何も考えない彼が発言するなど珍しい。
「そんな事より……俺から聞きたい事がある…」
「おや、珍しくシリアス調だね。お腹でも痛いの?」
「黒幕って……『1人』なんか?」
「…ん?」
葉隠の言葉に、数人の人間が肩を震わせる。
「俺には…もうわかってんだぞ……ここにいる全員が黒幕と繋がってんだろ!?皆して俺を騙してんだろ!?…えっ!?そうなんだろっ!?」
「失礼な!騙しているのはそっちでありましょう!責任転嫁とはなんと卑劣な!」
「それは俺の台詞だ。俺も、俺以外の全員が組んでいる証拠を持っているぞ」
「僕だって同じ答えです!」
葉隠、十神、山田の三人が周囲に敵意を向け、残りの数名がそれらの言葉に、戸惑いではなく納得したような表情をする。全員、彼等がなにを言っているか理解しているのだろう。
「な、なんだそりゃ?……なんで、証拠を持ってんのが……《3人》もいるんだ!?」
「それは違うよ!3人だけじゃない。少なくともボクと朝日奈さんも持ってる。そうだよね?」
「……え?……あ、『集合写真』!」
朝日奈はそう言って先程の写真を取り出す。苗木も同じように写真を見せると、他の全員も写真を見せた。
「……あれ?……これ、〝もらった本人〟が写ってないね?」
「え?……あ!」
「…ほ、本当だ!」
「そういうことか………」
十神達は漸く納得する。というか、写真一枚で信じるのはどうなのだろうか……。
「ちなみに、これって捏造?」
「……あ、あのね苗木君……これは……」
「いけ!魔法使いモノクマ!」
再び爆弾発言をしそうになった戦刃に、苗木がゴミ捨て場から持って帰ってた《モノクマスペア》を投げ付ける。鉄の塊がゴン!と音を立てて当たり、戦刃は倒れる。
「ふぅ、危うく誰かが殺されるところだった」
「むしろ苗木っちが戦刃っちを殺してるべ!」
「いやいや、軍人がこの程度で死ぬ訳ないじゃん」
「うむ。ヒットの瞬間、身体を後ろに反らしていたな……」
大神の言葉に、戦刃はムクリと立ちあがる。見たところ怪我はしていないようだ。
運動性能だけは残念ではないようだ。
「因みに〝捏造ではない〟んだよねー」
「はぁ!?オレらはんな写真取ったことねーぞ!」
「僕もそう思ってたんですよ!つまり捏造ということ……ぐぬぬ」
「……にしても、見事に春夏秋冬揃えたものだね……」
苗木はサラッと写真を集めながら呟く。海、山、雪景色、ひな祭り、ハロウィン、クリスマスetc.etc.……どれも幸せだった日常の風景。
「……ひょっとしてさ、忘れてるだけかも……」
「あ?」
「ボク達全員が記憶を失ってる……そんな、馬鹿げた理由があったら納得だよね」
「まさか、忘れろビームか!?」
「兄弟、それはねぇよ……」
「成る程!『全員揃って記憶喪失』か!だから写真に見覚えがなかったのか……それなら納得……する訳ねーだろ!そんな非現実的なオカルトじみた話でぇぇええ!」
「でも《このノート》によると、意外と簡単らしいんだよね………外部からの刺激を与えるのも一つの手だって……」
葉隠の突っ込みに、苗木は何処からかノートを取り出し読み始める。モノクマはそのノートを見て、動揺するように一瞬だけ操作をミスったのか訳の分からない動きをする。
「だがよ、んな事言われたってやっぱり信じられねーぞ」
「そうですぞ!それに、その写真が本物なら拙者達は最低でも一年過ごしている………夏コミを忘れるはずがなぁぁぁい!」
「じゃ、『このDVDの内容』を聞けば納得するかな?」
苗木はそう言うと、懐から《78期生緊急面談のDVD》を取り出す。
「それって……い、いやらしいヤツじゃ…!な、ないでしょうね!?」
「何!?1人だけずりーぞ!」
「桑田クン少し黙ろっか。ここに映ってるのは、『希望ヶ峰学園の学園長との面談』の様子だったんだ。ここにいるボク達皆とのね…」
「ぼ、ボク、学園長と面談なんてしたことないよぉ?」
「いいえ、嘘じゃないわ。私も確認済み…なんなら、見てみる?」
「……ホ、ホントなの?……冗談じゃなくて……?」
朝日奈は顔を青くしながら、苗木と霧切に尋ねてくる。
「うん。あのね、その映像は……」
「アルターボール!」
「あう!?」
苗木はモノクマ模様のボールを投げ付け、戦刃の言葉を遮る。この女、実はまだ黒幕と組んでいるのか?
「戦刃さん。ボクが良いって言うまで黙ってて」
「ご、ごめんなさい……でも、つい」
「ならコレを使いなさい……はい、プレゼント!」
戦刃が落ち込んでいると、モノクマは戦刃に………《ギャグボール》を渡した。
「………?」
形状から使い方を理解したのか、それでも戦刃は不思議そうにギャグボールを疑いもせず装着する。うん、組んではいない。苗木が黒幕だったら速攻切り捨てる。ああ、実際切り捨てられてたなぁと呆れながら、苗木はモノクマに視線を戻した。
「……し、しかしそんな………記憶喪失など、そう簡単に信じてよいものですか?」
「だが、反論材料がないなら、信じる他あるまい……」
「ところで苗木よ。それはどんな内容の面談だったのだ?」
「『この学園での一生を受けいれるか?』……学園長はそれを尋ねて、誰1人拒否しなかったよ……」
苗木の言葉に信じられないと言う顔をする一同。モノクマだけは楽しそうに笑っている。
「で?これは正解?それともハズレ?」
「『大・正・解』!!」
「はぁあああああああッ!?」
「バカバカしい結論だけど、それが真実なら認めるしかないわ」
「それ以外に、進む道はないという事か……」
「じゃ、じゃあ……本当に……?」
「そう!皆仲良く《記憶喪失》なの!!」
周囲がモノクマの発言に驚愕する中、苗木は冷静にモノクマに既に確信していることを尋ねる。
「ちなみにそれって、〝ここ〟に書かれている方法で記憶を奪ったの?」
「あっちゃー!バレちゃった!?」
「全員仲良く記憶喪失が、偶然のはずないじゃん」
「うぷぷ。じゃ、次の問題!ボクはどんな記憶を奪ったでしょうか!?………って、言いたいんだけど、まず『モブキャラ殺しの犯人』を突き止めてよね!」
「そうだね……じゃ、議論を続けよっか」
読者の考えてくれた超高校級達が魅力的すぎてヤバい