とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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 番外編になってからややこしい話の割に更新ペースが遅いので、ちょっとでもわかりやすくなればいいな~と人物紹介を含めたまとめ回+未来へ行くまでの間の小話。



★ドラゴンボール超6:インターバル

 

ざっくり人物紹介(超編の前回まで)

 

 

〇孫空梨(ハーベスト):本作の主人公。ベジータの実姉で悟空の義姉。こいつの日記というていのタイトルに反して本編では全体話数の半分以上を他キャラ視点に奪われる。本編ではだいたい足を引っ張ることが主な仕事。自己中で我儘だが、人の親になってから多少周りを思いやれるようになった。ラディッツと結婚し、現在2男2女の母親。超能力、占いに特化している。

 

〇ラディッツ:悟空(カカロット)の実の兄。犬、サンドバッグ、同居人を経て主人公と結婚。現在居酒屋の店長として働いている。スーパーサイヤ人3にまでなれるようになった。ベジータとよく修業をしている。

 

〇孫悟空:ドラゴンボール本来の主人公。本作の主人公と違ってちゃんとした主人公。畑仕事をしながら、子供たちに戦いごっこを教えたり姉と修業したりビルス様の所におしかけて修業したり充実した日々を送っている。スーパーサイヤ人ブルーになれる。

〇孫悟空(原作時空):平行世界(原作時空)から事故によって本作世界に来てしまった孫悟空。戦うのが大好きで非常にポジティブだが、身内に修業相手がたくさん居る別世界の自分がちょっと羨ましい。スーパーサイヤ人ブルーになれる。

 

〇ベジータ:キングベジータ。姉との仲は悪いが、色々あったからか歳のせいか昔ほどいがみ合ってはいない。普段はトレーニングしつつ、文句を言いながらも時々ブルマの仕事を手伝っている。スーパーサイヤ人ブルーになれる。

〇ベジータ(原作時空);平行世界(原作時空)から事故によって本作世界に来てしまったベジータ。王子。ツンツンとがっていた昔に比べて落ち着きを手に入れ、トランクスに対しても父親らしいことを言うようになった。スーパーサイヤ人ブルーになれる。

 

〇トランクス(現代):天真爛漫に育った現代のトランクス。しかしことごとく苦労している未来の自分と平行世界の未来の自分を見てちょっぴり将来に不安を感じている。

〇トランクス(原作時空、未来):平行世界(原作時空)から事故によって本作世界に来てしまった未来のトランクス。悟空ブラックに母ブルマを殺された。未来世界の最後の希望。苦労人。

 

〇孫悟飯:駆け出しの学者。ビーデルと結婚し、第一子パンを得たばかりの新米パパ。某セミが時々押しかけてくるので、忙しいのに日々の修業を怠れない。スーパーサイヤ人ブルーにはなれないが、アルティメット状態でブルーに勝てないまでもそこそこ戦えるくらい強くなった。潜在能力値はぴか一。

 

〇空龍:主人公とラディッツの長男。若干自由すぎる所はあるものの、悟飯を除いた子供たちの中で最年長なので下の面倒をよく見るしっかり者。戦いの才能はあるが、物作りの方が好き。よくカプセルコーポレーションに入り浸っている。

 

〇龍成:主人公とラディッツの次男。見た目は小さいラディッツ。双子の片割れで、控えめな性格だがしっかり者。

 

〇エシャロット:主人公とラディッツの長女。見た目は小さい主人公。双子の片割れで、非常に元気ながら我儘で甘えん坊。

 

〇叶恵:界王神界で生まれた主人公とラディッツの第4子。スーパーサイヤ人ゴッドになった後の主人公から生まれたためか、髪の毛が若干赤みがかっている。よく寝る。念話の才能にすぐれ、人外と対話することが出来る。その範囲は宇宙にまで届き、日々何かと交信している模様。一時的に預けられたことがあったためか、界王神とザマスがお気に入り。

 

〇ブルマ:40歳を過ぎても驚異の美貌を保つ美人科学者。昔ナメック星で最長老様に潜在能力を解放してもらったおかげか、だいたい何でも出来る感がある。困った時のブルえもん。

 

〇ピッコロ:スーパーナメック星人。ナメック星ではネイルではなく最長老と融合した。その後地球の神とも融合。最長老と融合したからか、潜在能力を解放したり相手の心を読んだりも出来る。突っ込みの希望の星。

 

〇クリリン:悟空の親友。18号と結婚しマーロンという娘を得た。現在は警察官として仕事をしている。多彩な技は今も健在。

 

〇ギニュー:もともとフリーザの部下であったがナメック星でジースと共にカエルになり、色々あって今ではジースとサイバイマン達(ナッパ、ナッピ、ナップ、ナッペ、ナッポ、ラディッシュ)を束ね新生ギニュー特戦隊を結成し、地獄に居るもと特戦隊メンバーの減刑のため正義の味方として活動している。

 

〇セル:究極神セルを名乗るコナッツ星の神。色々あって未来から来たセルと未来のセルっぽく育ち、宇宙での武者修業、ナメック星でのタピオンとの共闘を経て成長した現代セルが融合した姿。精神生命体。背中の昆虫の羽の上に更に天使のような羽が生えている。最終的に劇場版ボスキラーみたいになった。

 

〇ブウ子:悪ブウが主人公を取り込んだことによって女性体に変異したブウの女性版。死にかけた時本体(悪ブウ)に力を残して脱出したため、現在戦闘力は激減している。人気ブロガー兼法外な値段を請求するどんな病気も怪我も直せる医者として活動中。金持ち。今では主人公とブルマのお茶友達。

ちなみに太っちょブウ、悪ブウの生まれ変わりであるウーブ(現在子供)は別個に存在している。

 

〇界王神(シン):第七宇宙の界王神。未熟を自覚しながらも老界王神のもとで立派な界王神になるために日々頑張っている。ポタラで合体したキビトとはナメック星のドラゴンボールで分裂した。ザマスの親友。

 

〇ザマス:第10宇宙のもと界王で現界王神見習い。自分の志す正義を掲げた危険な思想を抱いていたが、界王神と熱く論議を交わすことで色々と新しい視点が開けた。平行世界での自分の行いにショックを受け、界王神見習いを辞退すると言って第10宇宙へと帰っていった。

 

 

 

〇孫空龍(未来):未来世界でのラディッツと主人公の子供。両親はともに他界している。本作の未来から現代に来ようと思ったら事故で原作世界へ行ってしまった。生まれ持った伝説のスーパーサイヤ人としての力に翻弄されてきたが、現在は制御可能に。同じ伝説のスーパーサイヤ人であるブロリーを更生させようと日々奮闘している。

 

〇ブロリー:空龍によって未来に連れて行かれ、問題を起こしながらも何だかんだで未来で生活している伝説のスーパーサイヤ人。問題児。もうすでにいい歳であるが超問題児。しかし日々空龍との戦いで破壊衝動が発散されたのか、しつこい空龍に疲れたのか、昔に比べて大分理性的になった。態度は悪い。不本意ながら現在一子の父親。過去世界に行くときは息子をパラガスに押し付けられないか常に狙っている。

 

〇トランクス(本作世界未来):本作の未来から現代に来ようと思ったら事故で原作世界へ行ってしまった。伝説のスーパーサイヤ人同士の戦いに胃を痛め、やむを得ずストッパーをしているうちにかなり強くなった。でも胃薬が手放せない。近々結婚する予定。

 

 

 

 

 

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■月▽日

 

 今日は久しぶりに色々ありすぎてお腹一杯。とりあえず面倒くさいから箇条書きでまとめとくか。

 

 

 

 

・平行世界の悟空、ベジータ、未来トランクスが大怪我しながらタイムマシンでやって来た。ちなみにこの平行世界、推測だが私の知る原作時空だと思われ。この3人は未来で悟空ブラックおよびザマスと戦い、負けて過去に一回帰る所だったようだ。

・どうやらこっちの世界の未来からトランクス、空龍、ブロリーが来るタイミングがかぶったせいで、時空移動の空間で事故が起きた模様。こっちの世界の未来組と平行世界の3人が入れ替わってしまったらしい。ついでに世界まで捻じれて入れ替わり、今この現在から未来へ行こうとすると原作(日記では仮にこう呼ぶとしよう)時空の未来へ行ってしまうんだとか。

・それが原因で世界破滅のピンチ。ついに地球先輩だけでなく破滅の危機が宇宙にまで広がったとか、この世界に安息の地は無いのか。ガッデム。

・早期解決が求められるため、現在使用不可能な現代のスーパードラゴンボールに代わって未来のスーパードラゴンボールを使おうという事になった。

・でも第6、第7宇宙をまたいで散らばるスーパードラゴンボールを集めるには界王神様クラスの協力が不可欠。とか思ってたら、まさかのザマス&界王神様コンビ来訪。私の超能力関係の才能をがっつり受け継いでいたらしい叶恵が、私たちが困っているのを見て相談しようと思ったのか彼らにこちらでの会話を全部念話で送っていたらしい。叶恵の能力については今日初めて知ったのだが、人間以外の存在に呼びかけられる念話が使える上にその規模が宇宙にまで届くというから凄まじいものである。才能の方向的に考えて今度界王様に叶恵の修業つけてもらえないかな……。私もテレパシーは使えるけど宇宙規模となると制御の方法とか教えてあげられる気がしない。うん、悟空に頼んで界王様んとこ叶恵連れてってもらおう。それまでに珠玉の親父ギャグ集を作っておかねば。

・こちらの世界のザマス的には原作未来ザマスの所業にショックを受けたらしく、世界のねじれを直すためスーパードラゴンボールを集める事、原作未来ザマスを倒す手伝いをしたいと申しでてきた。信用できないので断ると、ならばせめて参考にしてくれと、彼は自分がするであろう行動を推測して悟空ブラックの正体について言及してくれた。結論。悟空ブラック=ザマスでほぼ確定。

・自分がいつ平行世界の自分と同じ行動に出るか分からないと言ったザマスは、自分はやはり界王神にはふさわしくない、界王神見習いを辞退すると言葉を残して第10宇宙へ帰っていった。その哀愁溢れる背中を見て、ちょっと悪いことしたなと思った。少なくともこの世界のザマスは界王神様という友達が出来たことによっていい方向へ変わっていたように感じていたから、もしかしたら私たちは第10宇宙から素晴らしい界王神となる神を奪ってしまったのかもしれない。あとで界王神様がもう一度説得に行くと言っていたから、ここは親友である彼に任せようと思う。

 

 

 だいたい大きな出来事をまとめるとこんな感じか。

 とりあえず総括して感想を述べるとめんどくせぇな! の一言である。いや、マジで何だこの状況。今までこの世界内だけでも面倒くさかったのに、ここに来てもうほぼ関係ないだろって思ってた原作世界が関わってくるとか想像できねーよ。

 

 ともあれ、方針は「未来へ行って邪魔してくるであろうザマスブラックコンビをつぶしてスーパードラゴンボールで世界のねじれを戻してハッピーエンド」作戦として固まった。

 そして世界のねじれも問題だが、原作トランクスがあまりにも悲惨すぎるのでこっちの全戦力投入してでも完膚なきまでにザマスとブラックを叩き潰そうと思う。袋叩き、オーバーキル上等である。この期に及んで俺が先に戦うだなんだと順番争い始める野郎どもがいたら、そいつら囮にして私その他で後ろからグサーよ。数の暴力を思い知るがいいボッチども。

 

 いや、本当にな。何故未来トランクスばかりこんな不幸な目にあわないといけないんだ……もう十分すぎるほど苦しんだろうに。

 こっちの未来トランクスには何だかんだで空龍たちがいるし、今回の件で悟空ブラックとザマスが現れる可能性はほぼ消えた。だからこそ比較することで平行世界の彼の悲惨さをより際立って感じてしまうのだ。

 

 本当に彼は……平行世界の未来トランクスはたった一人の戦士として頑張ってきたのだろう。

 

 そろそろ幸せになっていいころじゃないか? 可能ならスーパードラゴンボールと一緒に向こうのナメック星まで行ってブラックたちのせいで死んでしまった未来世界の人たちも生き返らせたい。ポンポン使っているためありがたみが薄れてしまっているというか、ビンゴ大会の賞品にしちゃうくらいあるのが当たり前みたいになってしまっているけど……希望の宝玉ドラゴンボールは、本来彼らのように真に困難な状況に陥った者たちに必要だろう。うん、持っていく宇宙船にナメック星までの航路図をインプットしておくようにブルマに頼んでおこう。

 

 

 

 

 

 で、方針は決まったもののブルマがタイムマシンを改造し、燃料を作るまでは私達に出来る事はない。なので各自自由時間となった。

 

 平行世界から来た3人は落ち着かないだろうが、せめて少しでも体と精神を休めてほしい。特にトランクス、お前少し休め。

 

 

 

 

 

 

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《どんまいその1》

 

 

 

 喜々として自分同士で修業を始めた悟空たちは、とりあえず満足したのか夕飯前には帰って来た。肩を組んで非常に仲がよさそうである。

 

 ちなみに悟空たちが帰って来た場所はタイムマシンがあるカプセルコーポレーションではなく普通にパオズ山の自宅。平行世界の悟空はタイムマシンがあるカプセルコーポレーションに他2人と一緒に泊まるのかと思ってたけど普通に帰って来た。適応力が高いというかなんというか……。とりあえず悟空が2人になって帰ってきたことに驚いたチチさんと悟天ちゃんに説明するのが大変だった。平行世界だの時間移動だの自分で理解するのもやっとなのに人に説明するのしんどい。

 そして人が必死で説明して疲れ果てているというのに、奴らはよほど自分同士の修業が充実していたのか大分腹を空かせていたようだ。いつも以上に凄まじい勢いで食事を胃袋にかき込んでいきやがる……。いつもは私とチチさんで作るんだけど、流石に間に合わなかったのでラディッツが手伝ってくれた。今日が居酒屋の定休日で本当によかった……。じゃないとラディッツはこの時間仕事なんだよね。

 ラディッツは店長になってからますます料理の腕に磨きがかかったし普段から季節ごとの新メニュー開発もしているので、彼が料理する時は何を作るのか私もチチさんも楽しみだったりする。いや本当、いい旦那もったわ……。

 

 で、見事その料理に餌付けされたのかもしくは自分の世界では敵だった実の兄に興味があるのか、平行世界の悟空は実に純粋な目で「こっちのオラの兄ちゃんはいいやつなんだな!」と言ってきた。ラディッツは物凄く複雑そうな顔をしており、気になったのか平行世界での自分はどんな奴なのか聞いていた。するとものの見事に自分が今までしてきた所業と途中までまったく同じで、物凄く気まずそうに視線をそらしていた。ああ、うん……。今にしてみれば完全に黒歴史だもんな。悟空の純粋な視線って後ろ暗い所があるとキツイよな。どんまい。

 子供たちは昔のラディッツを知らないから「別の世界のお父さんってヤな奴だったんだね!」「こっちのおじさんは厳しいけど優しいよね! 僕おじさん大好きだよ!」みたいな会話をしていて、それを聞いたラディッツは頭を抱えて小さくなっていた。うん、どんまい。

 ちなみに現在別に暮らしている悟飯ちゃんだが、悟空が2人居る状況が気になったのか今日はビーデルさん、パンちゃんを連れて実家帰りし一緒に夕食を食べていた。(ビーデルさんも夕食づくりの手伝いを申し出てくれたけど、今日はお客様なので座っていてもらった。小さいパンちゃんも居るし)そしてその悟飯ちゃんは「そういえばそんなこともあったなぁ……。僕はまだ小さかったけど、あの時のラディッツおじさんは凄く怖かったからよく覚えてますよ。といっても、今では考えられないから話を聞くまですっかり忘れてたんですけどね! はははっ」と朗らかに笑いつつラディッツに追い打ちをかけていた。うん、どんまい。

 

 今思えばラディッツの件で初めて原作に直接的に関わって色々変わっていったんだよなぁ……。ナメック星に行ったのも色々勘違いしていたとはいえラディッツを生き返らせるためだったし。

 ちらっと見れば空龍に「ねえねえ、凄く怖かったお父さんってどんな感じだったの?」と聞かれ、龍成に「お父さんの昔のお話聞きたいな」と控えめに言われ、エシャロットに「エシャも聞きたい! ねえ話して話して!」とねだられ、膝によじ登って完全に聞く体勢に入っている叶恵にひっつかれているラディッツの姿。悪いな~と思いつつも、その困り果てた姿にふきだした私は悪くないと思う。こっちの悟空とチチさんも笑ってたし。

 

 

 まあ、昔はどうあれ今幸せならいいんじゃないだろうか。本人的には死後地獄に行く覚悟はしているらしいけど、だったらせめて死ぬまでの間は文句なしに幸せだったって言える人生を送ればいい。今では立派な父親やってるんだし、それに関しては胸を張っていいと思う。

 

 

 

 だから励ましの意味を込めて改めて言おう。

 

 

「どんまい」

 

 

 

 

 

 

 

《どんまいその2》

 

 

 

 ベジータ二人は表面上はいがみ合いつつも、自分自身とのトレーニング自体には非常に満足感を感じていた。

 メリットは同じ実力の相手と戦えるというだけではない。そういった相手を出し抜くには相手の弱点を知る必要がある……そのため普段より意識が研ぎ澄まされ、ウィスから指摘されていた自分の弱点を客観的に観察し気づくことが出来たのだ。

 そしてお互いにそれを繰り返すため、動きは洗練され最適化されていく。実に充実した時間といえよう。

 

 しかしあまりに長い時間戦っていたためか、気づけばあたりは暗くなっていた。そしてどちらともなく、息切れを整えると近くの岩場に腰かける。無言で似た動作で汗をぬぐい、それに気づいた双方は非常に不愉快な様子で顔をそむけた。

 

 

 そしてそっぽを向いたまま、最初に口を開いたのは平行世界のベジータである。

 

 

「…………貴様の姉、空梨とか呼ばれていたな。カカロットと同じでそれは地球での名だろう。サイヤ人としての名は何だ?」

 

 その意外な質問に面食らったベジータであったが、そういえばこいつの世界にはあの女が居ないんだったなと思い出す。自分以外の生き残った王族と聞けば気になるのも当然といえるだろう。

 

「……ハーベストだ。フンッ、なんだ、気になるのか? だが姉といってもろくなもんじゃない。俺が昔からあの女にどれほど屈辱を味わわされてきたか……。あいつが居ない世界のお前が羨ましいぜ」

「ほう、それは気になるな。どんな屈辱だ?」

「………………言わん」

 

 眉間によった皺がより深く渓谷を作るのを見て、平行世界のベジータはやっと自分と相手の異なる部分を見つけたことに内心わずかに安堵した。

 やはり何処までも自分に似た相手というのは気味が悪い。どうやらこの世界のベジータにとって、姉という人間はカカロットと同じくらいに気分をざわつかせる存在らしい。先ほどまで乱れていなかった気がほんのわずかに揺らいでいる。それを知ったことで、ようやく自分と相手は同じ存在であるが別の人間だという事を実感できた。

 

 しかしなんとなく話題に出したが、平行世界のベジータにとって姉という存在はさほど興味を引くものではない。弟は居るものの、疎遠な上に自分より年上の兄弟など居ないため”姉”というものが想像できないのだ。

 そのため特に続ける言葉も無かったが、ふと彼女を見た時抱いた印象を口にした。

 

「…………母上に似ていたな」

「…………まあな」

 

 それについては否定せず、ベジータも同意した。すると、そこで終わったはずの会話に新たな声が飛び込んできた。

 

「へー! おばさんっておばあちゃん似なんだ!」

「「トランクス!?」」

「その、夕食だから父さんたちを呼んでこいと言われて……話の邪魔でしたか?」

「いや、そんなことはないが……」

 

 本人同士だというのに会話の少ない気まずい空間に入って来たのは、現代のトランクスと未来のトランクスだった。そして現代のトランクスはといえば、どこか遠慮がちな未来のトランクスと違い自分の好奇心の赴くままに質問をする。

 

「ねえねえ、おばあちゃんってどんな人だったの? おばさんみたいな性格だった? あと、そういえばパパの前の王様だったおじいちゃんのことも俺聞いたことないや。昔は治める星があったんでしょ? どんな王様だったの?」

 

 普段話題に上ることもない父方の祖父母の存在に興味をひかれたのか、トランクスが矢継ぎ早に質問する。未来トランクスも興味があるのか、控えめながら「俺もちょっと興味あるな」とつぶやいていた。

 

 これに困ったのはダブルベジータである。

 トランクスにはサイヤ人の過去を詳しくは話していない……もちろんどんな仕事をしていたのかも。今まで散々サイヤ人の誇りだ何だと言ってきたが、トランクスたちにとってサイヤ人の所業とは紛れもなく悪である。それこそ仕事とはいえ未来で悟空ブラックやザマスがやっているような事を他の星に対して平然と行ってきたのだ。祖父母……特に父であるベジータ王の事を突き詰めて聞かれた場合、そのことについても話してしまうかもしれない。認めたくないが、地球で過ごすうちに大きく変わったベジータにとってその過去を知られることには抵抗があった。「この俺ともあろう者がなんてザマだ」と内心苦笑いするも、その心に余裕は非常に少ない。

 ちょうど同じころラディッツが過去の黒歴史を掘り起こされて困り果てていたが、彼は今ここに居ない上にベジータがそれを知るすべは無い。よって、この心境を分かちあう相手は”自分”だけである。

 

 思わず顔を見合わせた。そして一瞬目を瞑り、開いてから一言。

 

 

「「帰るぞ」」

「ええ!? おばあちゃんとおじいちゃんの話は!?」

 

 トランクスが話をねだるが、ベジータは聞く耳もたずカプセルコーポレーションへ帰るために飛び去った。

 

 自分だからこそ理解したのだ。「こいつは役に立たない」と。

 ならば何も話さない方がましである。

 

 

 

 

 ふと、どこからか「どんまい」と聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





これはもしや一足早いお年玉……!?
Himekaさんからオサレな装いのラディッツと主人公のイラストを頂きました!

【挿絵表示】

洋服の色合いとデザインにセンスを感じる……!しかも主人公が羽織っている上着はラディッツのものらしく、裏設定までおいしいとか素敵。そしてせっかくおしゃれしてるのに表情がそれぞれいつも通りっぽいところとか好きです。主人公が完全に甘味に目がくらんでいる……。

この度は素敵なイラストを頂きありがとうございました!
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