とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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ドラゴンボール超7:突然リストラされた件

 現在、戦闘員リストラなう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブルマがタイムマシンの改造を終わらせ、燃料の開発も完了した。その期間、約三日である。トランクスが信じられないというような目でブルマを見て、ブルマは胸を張って誇らしげだった。

 

 この3日間、方針として以下の事が決まった。

 

 まず未来に到着したらスーパードラゴンボール探索組とブラック・ザマス撃破組に分かれる。不死身のザマス対策はブウ子がザマスを吸収すること、念を入れてピッコロさんに魔封波を習った悟飯ちゃんが壺に封印するというふたつの策が用意された。しっかり者の悟飯ちゃんが壺の予備とお札を亀仙人様から複数もらってきたので万が一壺を壊されても問題は無い。怪我人対策の仙豆はブウとの戦いの後もカリン様のもとでラディッシュがコツコツと作っていたので余裕は十分。

 

 正直完璧である。楽観的だと思われようが、これで負ける方がおかしい。

 

 ちなみに組み分けの内訳は探索組に私、界王神様、ブルマ(どうしても行くときかなかった)で、撃破組に悟空二人、ベジータ二人、トランクス、悟飯ちゃん、ラディッツ、セル、ブウ子である。タイムマシンの定員が最大12人までだったので、このメンバーに決定した。

 

 悟飯ちゃんは現在仕事で大事な時期らしいが、トランクスのためならと予定を全てキャンセルした。ピッコロさんから場合によっては作戦の要となる技も教えてもらった事で(ピッコロさんは久しぶりに悟飯ちゃんに技を伝授できたからか嬉しそうだった)気合いも十分。甥っ子が凄く頼もしい。

 撃破組のメンバーは個人プレイに走りそうな面々ばかりなので、正直ストッパーとしてトランクスとラディッツだけでは不安だったから悟飯ちゃんにはかなり期待している。強さはもちろん責任感だって強いし真面目だし、今の彼なら過去の苦い経験を生かせるだろうから舐めプする可能性も低い。きっと撃破チームのブレーンとして活躍してくれるだろう。

 というか、メンバーが決まった時点ですでに自主的に睨みをきかせてくれてた。

 

「あの、無いとは思いますが一応言っておきます。間違っても「俺が戦う」とか順番争いしたりするのはやめてくださいね? パワーアップしそうな場合まかり間違っても待つのも無しです。卑怯だとか正々堂々だとかプライドだとかいう考えは全部切り捨ててください。悟空ブラックの正体という情報のアドバンテージがあるとはいえ、謎の多い相手側にどんな奥の手があるのかもわかりません。不測の事態を引き起こさないためにも、速やか、かつ確実に倒しましょう。いいですね?」

 

 口を挟ませずに一気に言い切った悟飯ちゃんは「いいですね?」の部分で悟空達とベジータ達を真っすぐに見ていた。そして彼らが頷くまでアルティメット特有の大きな黒目でずっと見ていた。悟空とベジータは心なしか冷や汗を流しながら頷いていた。…………甥っ子が強い。私がわざわざ舐めプすんなよと言うまでも無かった。

 多分別の世界の未来を背負うことに、真面目な彼が人一倍責任感を抱いたのだろう。「まかせておけ」と言っておきながら「失敗しました」ではすまされないからな。

 

 そういえば今回こうして組み分けすることになったけど、はじめは組み分けせずにブラックとザマスを倒してからゆっくりスーパードラゴンボールを集めた方がいいんじゃないかって提案したんだよね。でもその案は却下された。何故って、効率的じゃないからって答えが最も適切だろう。でも違う。

 

 

 

 

 

 

 

 平たく言って私がリストラされた。セルとブウ子に。

 

 

 

 

 

 

 

「君の特異点としての仕事っぷりは見事だ。ああ、実に見事だとも! クククッ、私などは結果論だが君のお陰で今ここに居ると言っても過言ではない。しかし残念ながら、味方視点でとらえると君の存在は邪魔でしかないのだよ。思い出してみたまえ! 私が言うのも何だが君の存在が無ければ今までの戦いの難易度がどれほど下がったと思う? 今回は下手をすれば世界ごと消えてしまうのだろう。私は君たちの味方になったつもりは無いが、流石にそれは困るのでね。だから特異点の君には地球から離れていてもらいたいのだよ」

「そういうことよん。だってほら、セルちゃんがあなたが居なければ空龍ちゃんとかのイレギュラーが居ても、ある程度原作通りに世界は進むんだってことセルゲームの時証明したじゃない? 今回は流石にパワーバランス的に原作通りってことは無いだろうけど、っていうかこの辺の原作とか知らないけど、少なくとも空梨ちゃんが居ると悪い方向にズレる可能性が大きいのよ~。だから空梨ちゃんは未来に到着次第、即宇宙へ飛び立ってちょうだい。ちゃちゃっとスーパードラゴンボールを集めて来てね☆ 期待してるわ!」

 

 要約すると「オメーが居ると難易度上がる可能性高ェからさっさとドラゴンボール探しに行けよな」である。

 

 

 …………………………。

 私は今まで痛い思いも苦しい思いもしたくなくて、戦いを避けようとしてきた。そして結局いつも避けられなくて痛い目をみてきた。それから比べれば今回は安全圏での比較的容易な仕事を任されたはず……。なのに何故だ。釈然としない。

 

 

 

 

 

 

 そしてモヤモヤした思いを抱えながら、私たちは未来へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、未来へ着いた途端、間を挟むことなくブルマと界王神様と一緒に宇宙船へ詰め込まれて宇宙へ出荷されたのである。解せぬ。いや理由は分かってるけど気分的に非常に解せぬ。

 物凄くモヤモヤするものの、まあ冷静に考えればセルとブウ子の理屈はもっともだ。…………いいんだ。私は私で美味しいところをもっていくから。スーパードラゴンボールと一緒にナメック星のドラゴンボールを確保して未来トランクスに後で感謝されるからいいんだ。待ってろよ未来ブルマ。もうすぐ生き返らせてやっからな。

 

「おかしいわねぇ……。前回の経験を生かしてスーパードラゴンボールレーダーの改造もしたから、どんなに離れた場所にあっても探せるはずなのに」

 

 しかし私の想像とは裏腹にスーパードラゴンボール探しは難航していた。おかしなことに、私の占いにもブルマのレーダーにも欠片もその存在が引っかからないのである。私の占いの方は宇宙規模という事で初めからあてにしていない部分があったが、界王神様が力を貸してくれたことで広範囲をカバーすることが出来たのでこれもおかしい。あれ、やべぇな……。もしかしてザマスってこっちの世界のスーパードラゴンボール使ってる? でもってもしかすると使ってから1年経ってない? だとしたら反応が無いのも頷ける。

 

 嫌な予感を覚えながらもスーパードラゴンボールをあてにしていただけに見つからないと色々詰むので、探索を進めるべく私たちは宇宙航行を続けた。

 そんな中……進むにつれて、何故か界王神様がどんどん顔色を悪くしていった。神様なのに船酔いでもしたのかと問いかければ、彼は静かに首をふって震える唇を開いた。

 

「おかしい……。宇宙に神々の気配を感じません」

「神様の気配?」

「ええ。星々の神、界王のような銀河の神、そして……この私、界王神の気配や対となる破壊神ビルス様の気配が宇宙のどこからも感じることが出来ない。おかしいとは思っていたのです。別宇宙の神たるザマス殿……いえ、ザマスがこの宇宙で好き勝手するなど許されるはずが無い。必ずこの宇宙の神の介入があるはずです。そして、もしビルス様が出てきたならばいくら不死身なれど”破壊”は免れない……」

「ちょ、ちょっと待ってよ。今聞いた感じだと、まるでこの世界に神様が居ないみたいじゃない。あれじゃない? ビルス様って凄くお昼寝好きなんでしょ? きっと今も寝てるんだわ。あと界王神様の方はきっとザマスとブラックに気づいていないんじゃないかしら」

「ま、まさか! そこまで鈍くありませんよ! この未来世界に来たとき、姿は見ずともブラックとザマスの気はたしかに感じ取れました。あれほどの力なら、たとえ界王神界に居たって気づきます!」

「本当に~?」

「本当です! この世界のトランクスさんが言っていたでしょう。彼はこの世界の私の指示でバビディとダーブラを倒してブウの復活を防いだのです。私にとってブウは凄まじい脅威として心に刻まれている……。復活せずとも、未だその身を封印した玉がある地球は他の星より数倍気にかけているはずです。そんな地球にあのような脅威が現れたのなら気づかぬはずがない!」

 

 疑いの目で見てくるブルマに界王神様が熱弁をふるうが、私は界王神様の言から推測される事態に冷や汗をかいた。

 

「ねえ待って。それが本当なら、もしかしてさ……。ザマスがこの世界に介入してきた時点でこの世界の界王様は奴に接触したんじゃない? そしてザマスに邪魔者として殺された」

「な! い、いやしかし……それならビルス様が居ない理由も証明されてしまう……」

「ど、どういうこと?」

「破壊神と創造神は対となる神。そのため一方が死ねばもう一方も死んでしまうのです」

「な、なるほど……。前のピッコロと神様の関係みたいな感じなんだ……」

 

 ちょ、聞かれたからってぽろっとそんな重要な情報もらしていいのか。界王神様、相当狼狽えてるな……。まあ別世界とはいえ、自分が親友のザマスに殺されたかもしれない可能性に行き当たったらショックだろうけど。

 どうやらザマスとブラックは想像していた以上にとんでもない事を仕出かしているようだ。あいつら下手したら人間殺しどころか神殺しまでしてるぞ。

 

 思いがけない可能性に気づいてしまった私たちはしばし無言になった。けどこうしていても何も始まらないし、スーパードラゴンボール探しだって進まない。だからまず出来る事……第二目的としていた方を優先することにした。

 

「ねえ、スーパードラゴンボールはさっぱり見つからないし、先にナメック星へ行ってみない?」

「ナメック星へ? ああ、地球のみんなを生き返らせるのね! ……あ、でもこっちのナメック星のドラゴンボールってパワーアップしてるのかしら。前のままだったら一人ずつしか生き返らせることは出来ないわよ」

「それならそれで、こっちのピッコロさんを生き返らせて地球のドラゴンボールを蘇らせればいい。たしかナメック星のドラゴンボールに生き返らせるための期間って無かったよね」

「そっか、なるほどね」

 

 相変わらずドラゴンボールに頼りっきりだが、使えるものがあるなら使って何が悪い。それに地球の人たちを生き返らせるのもそうだけど、あわよくばスーパードラゴンボールの在処だって聞けるかもしれない。上位互換の存在についてポルンガが答えられるか微妙なところだけど、もし聞くことが出来たらラッキーである。

 

「あと、もし本当に亡くなってたらこっちの界王神様を生き返らせよう」

「わ、私を?」

「ああ、生きてるのに生き返らせるって言われるのも変なものですよね……。いや、せっかくブラックとか倒しても神様のいない世界なんてあんまりだと思って」

 

 創造神、という存在が居なくなることが宇宙にどれほどの影響を与えるか分からないし、もしかしたら放っておいても次の界王神が現れるかもしれない。でもあまりにも奪われ過ぎたこの世界である。復興するにしてもこれから大変な苦労を伴うだろうトランクスたちを見守ってくれる神様が居たっていいじゃないか。

 

 

 

 

 

 そんなわけで私たちはナメック星に向かうことにした。

 

 リストラされたらリストラされたで出来る事はたくさんあるのだ。

 だから地球の方は頼んだぞ、撃破組。

 

 

 

 

 

 

+++++++++++++

 

 

 

 

 

 

 一方、地球では。

 

 

「あちゃー」

 

 

 ブウ子が目の前の惨状にそうつぶやいていた。

 

 

 

 

 


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