とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

119 / 135
※感想欄でご指摘いただいたので、こちらで補足させていただきます。
ドラゴンボール超の漫画版ではどうやら界王神様はバビディ、ダーブラ戦で亡くなったようなのですが、本作では基本的にアニメで既出の情報をもとに執筆しております。アニメでは不透明だったところを分かりやすく納得いく形で補足してくれる漫画版も凄く好きなので時々設定が混ざるかもしれませんが、漫画版のあとがきを読む限り未来トランクス編はアニメとは別の演出、アプローチで進むとありました。なので基本的にアニメ版と漫画版を分けて考え、本作はアニメ版の方の二次創作として執筆するつもりです。
ややこしいとは思いますが、ご理解いただけましたら幸いです;


ドラゴンボール超8:曇り時々ザマス

 スーパードラゴンボールの前にナメック星にてドラゴンボールを確保しようと、私たちは急きょ計画を変更した。

 

 ちなみにナメック星へは時間短縮のため、界王神様の瞬間移動に似た方法で向かう事となった。本来はキビトさんの方が得意とする技らしいのだが、一回ポタラで合体したことでコツをつかみ、今ではかなりの精度で使うことが出来るんだとか。

 しかも聞けばブウ戦の後彼は界王神として老界王神様の指導の下で研鑽に励み、今では新しい技まで習得しているというから驚きだ。「ザマス殿に負けてはいられませんからね」と言った界王神様は、ちょっと照れていたけど何処か誇らしげだった。そういえば界王神見習いを辞退すると言っていた私たちの世界のザマスだけど、界王神様の言葉を聞いた感じ、もしかしたら説得に成功したんだろうか。……帰ったらそこのところ詳しく聞いてみよう。

 

 そしてナメック星へ向かった私たちだったのだけど…………一発目、不発。いや、なんつーか星そのものが存在してなかった……。

 ブルマと何度も宇宙船にインプットしていた座標とついた場所を確認して、場所的には間違いないと分かると手を取り合って青ざめた。もしかして隕石か何かでこっちのナメック星吹っ飛んでる!? と。

 いやいやまさかと、急いで界王神様の力を借りての宇宙占いでナメック星を探した。するとその結果、まったく別の星の映像が映し出されたのだ。「もしかしてこっちではフリーザがナメック星を壊しちゃった後、ナメック星そのものを復活させないで似た環境の惑星に移住したのかもしれないわね」とは安堵にため息をついたブルマの発言である。な、なるほど……。まったく覚えてないけど、原作ではそうだったのかもしれない。暇があったら、後で原作世界の悟空たちに聞いてみようか。

 いやー、何はともあれよかったよかった! とか言いながら私たちは再度移動した。

 

 そして……二発目、不発。

 いや、ある意味大爆発。何がって? なんかこう、希望とか期待とかそういったもろもろがだよ!!

 

 

 

「その者は我々の恩人であるはずの悟空さんにそっくりでした……。奴はこう言ったのです。「もととなる星の願い玉すら消え去った今……その子供ともいえるこの星の願い玉もまた、消えるのが必然。そも、人の身に余る奇跡など存在そのものが神への冒涜。呪うなら、願い玉を手中におさめようなどと思いあがった祖先を恨むがいい」と。そして言葉の通り願い玉を破壊した奴は、我々の仲間をも殺しつくしたのです。……悪夢でした。フリーザの時のように星ごと破壊されなかったのだけが救いでしょうか。おかげで、私を含めた数名がなんとか生き延びました」

 

 

 

 以上、ひっそり生き延びたナメック星人の証言である。

 ちなみに生き残った者の中にはデンデや長老達のようにドラゴンボールを再び作り出す能力がある者は居ないらしい。何度も試してみたが上手くいかなかったのだという。更に言うとタマゴを生める才能を持った者もいないらしく、「このまま我々はひっそりと滅びてゆくのでしょう……」と諦観で染まったナメック星人さんの言葉がズシンと私たちの心に重くのしかかった。

 

 

 おい…………おい……。

 

 

 

 

「ナメックボールもスーパードラゴンボールも破壊されてんのかよぉぉぉぉぉ!!!!」

「ふざっけんじゃないわよザマスの馬鹿野郎ーーーーー!!」

 

 

 

 

 私とブルマの声が新・ナメック星の空にこだました。

 

 

 

 

 

 

 

+++++++++++++++

 

 

 

 

 

 

 

 ブラックは困惑していた。

 

 

 自分とザマスの力の前に敗北し、無様にも過去へ逃げ帰ったサイヤ人たちはいずれ戻ってくるだろうと確信していた。そして予想通り奴らは帰って来た。

 

 驚くべきことに”3人”はブラックと呼ばれる自分の正体に気づいていた。だから褒美に教えてやったのだ。自分たちが今までしてきたことを、断罪すべき罪人たちへ死出の旅路のはなむけとして。

 この自分、スーパードラゴンボールを使い孫悟空の体を奪った過去のザマスと……時の指輪の力で訪れた先の未来のザマス。愚かな人間がいない、美しく清浄な正義の世界を作るため……人間0計画を志してここまでやってきた。

 その仕上げとしてこの星……時を超えるという神々の禁忌をも犯す大罪人を生み出す、地球人を亡ぼして計画は完遂される。

 

 もうすぐ己の理想が体現されるとあって、ブラックとザマスは上機嫌だった。

 

 この世界の神々が死に絶え、そしてスーパードラゴンボールを破壊したと言った時のサイヤ人どもの顔といったら愉快なものだったとブラックは愉悦に顔を歪めた。

 

 しかし、その時だった。

 

「なんだと? スーパードラゴンボールを破壊した!?」

「おいおい、そしたら世界のねじれっちゅーやつはどうにもならなくなっちまうぞ」

「浅慮でしたね……。その可能性は考えるべきでした」

「まったくだ。かつてピッコロ大魔王も、己の願いを叶えた後神龍を破壊しているからな……。前例を知りながらそんな可能性にも気づかないとは、究極神セルともあろう者が情けない」

「では宇宙へ行った空梨達がスーパードラゴンボールを見つけることは不可能という事か……。チィッ! 根本的な目的が振出しに戻ってしまったか。小賢しい真似を!」

 

「えっ」

 

 孫悟空の体に引きずられたのか、らしくない声が出た。

 

「な!?」

 

 隣の自分も困惑している。

 

 それもそうだろう。3人だと思っていた相手が、見覚えのない輩を含めて8人に増えたのだ。そして見覚えのある方ときたら、先にその場にいた2人……悟空とベジータにそっくりな姿をしている。というか、そのものだ。驚くなという方が無理だろう。

 更に何処からともなくゾロゾロと出てきた5人は、一目見ただけでもわかる猛者だった。孫悟空の体で様々な体験を吸収したことで飛躍的に成長し、相手の気をより深く読み取れるようになったブラックには分かる。……少なくとも、新たな悟空とベジータは元からいた二人に匹敵する力を持ち、孫悟空に似ているがどこか雰囲気の異なる青年はスーパーサイヤ人になってもいないのに強力な力をその身に秘めていることが理解できた。その隣に居る地球人とは様子の異なる昆虫のような生命体に至っては強い上に精神生命体である。唯一己より確実に劣ると断言できるのはトランクスと同程度かそれより少し強い程度だと思われる長髪のサイヤ人だが、それだけでは安心できないほどの戦力差が眼前に並べられたのだ。

 

 知らず、ブラックの頬を一粒の汗が流れる。

 

 

 

 そして追い打ちをかけるように、背後から甘ったるい声が首筋を撫でた。

 

 

 

「初めまして、ザマスちゃん。そしてサ・ヨ・ウ・ナ・ラ! いっただきま~す」

「!?」

 

 咄嗟に孫悟空の体による凄まじい瞬発力をもって離脱したブラックであるが……隣に居たザマスはそうはいかなかった。視界の中で桃色の光がはじけ、いかにも邪悪そうなピンク色の体をした見たこともない種族の……おそらく体つきを見る分には女が、満足そうに巨大なクッキーを頬張っていた。そしてブラックはそのクッキーの正体をすぐさま理解した。同時に激しい怒りで体中が満たされる。

 

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 私の同志に何をした!!」

 

 紫のオーラが体を包み込み、髪は薄い桃色に変色し逆立つ。…………スーパーサイヤ人ロゼ。現在ブラックが最も力を発揮できる姿だ。

 しかしブラックが放った中心に黒い核を持つエネルギー弾に対して、ピンク色の女は自分の手前に六角形の黒い板を出現させた。その数約20。

 

「何!?」

 

 その板に阻まれ、15ほど板を破壊してからエネルギー弾は霧散した。

 

「あらヤダこわい! でもわたしの柔肌を焦がすにはちょ~っと足りないかしら? わたしあなたより弱いけど、自衛手段はバッチリなのよね」

 

 憎たらいニヤニヤ笑いで「チチチッ」と言いながら人差し指を左右にふった女は、ブラックが次のアクションを起こす前に「じゃ、後はよろしく! わたしはザマスちゃんフォームを形成するのにちょこっと時間がかかりそうだから、どこかで休んでくるわ。ばいちゃ!」と仲間らしき者たちに言い残し清々しいほどの逃げっぷりで去っていった。

 最高の同志を訳も分からぬままに奪われたブラックとしてはたまったものでは無い。

 

「クッ、何がどうなって……!」

「フンッ、さっきまでの余裕の表情が崩れているぞ。自分が後手に回る気分はどうだ?」

「! ベジータか……。……………………貴様は先に居た方だよな?」

「…………そうだ」

「「………………………」」

 

 いつの間にか近くに来ていたベジータに、思わず確認してしまった。それに対して聞かれたベジータが数秒の沈黙の後に頷き、一瞬妙な空白が生まれる。

 しかしこのままでは不利になるのは自分だと、ブラックは瞬時に判断するとベジータに向けてエネルギー弾を放った。

 

「効かん!!」

 

 ベジータがそれを弾くが、もとより時間稼ぎのために放ったものだ。ブラックにとってなんら不都合はない。

 ブラックは屈辱に顔を歪めながらも、状況のリカバリーを図るためこの場からの逃亡を選択した。不死身の同志を失った今、この面々と同時に戦うことは不利であると判断したのだ。

 

 

 _____まず、あの女を見つけなければ。我が同志ザマスは不死身。あんな化け物に屈するほど弱くはあるまい

 

 

 ブラックはそう結論付けると、瞬間移動でその場から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

++++++++++++++

 

 

 

 

 

 

 

 

「! しまった! あいつ、瞬間移動まで使えたのか……!」

「え、嘘だろ!? せっかくこれから戦おうってのに逃げたんか!?」

 

 ブラックの行動を目の当たりにして、ベジータに次いでブラックに攻撃しようと下でかめはめ波の構えをとっていた悟飯と悟空が狼狽える。

 

「そういえば、前戦った時にあいつ使ってたなぁ……」

「呑気に言ってる場合かカカロット! チィッ、瞬間移動か……改めて見ると嫌な技だぜ。鬱陶しい」

「う、鬱陶しいはねぇだろ!?」

「鬱陶しいわクソッタレ! あれが無ければ逃げられることもなかったんだぞ!?」

「同感だ。まったく忌々しいぜ……! 思えばセルの時だって瞬間移動が使えたばかりに奴は戻って来やがったんだ。ハーベストのエナジーリダクションといい、どいつもこいつも敵方に渡ると面倒くさい技ばかりもちやがって!」

 

 頬をかきながら「まいったなぁ」とばかりに呟けば、何故か二人のベジータ両方から罵声を浴びせられて平行世界の悟空は珍しく少し落ち込んだ。ベジータ達の言い分も最もだが、ここで悟空にあたるのはあまりにも理不尽である。

 少々不憫に思ったラディッツが「いや、だが便利だと思うぞ瞬間移動。その、今までも何回も役にたってきたし、俺たちの世界では旅行代がタダになると妻達が合同で家族旅行する時、喜んでいてだな……まあ元気を出せ」と励ましたが、その内容の半分は「旅行のアッシーとして便利」という内容のため慰めになっているかは微妙である。

 

「ふむ……ブウ子の奇襲を優先させ過ぎたな。おそらく我々の戦力を感じ取って再起を図るために逃亡したのだろう。なるほど、馬鹿ではないようだ」

「クソッ、すぐ探さないと……!」

「だが気配を消してしまったようだぞ? どうやって探す」

「しらみつぶしに探してでも見つけ出す! このまま奴を野放しには出来ない!」

「愚直だな。しかしそれしか方法は無いか……。まあ、相手は1人だ。奴がどれほど急激に成長しようとも、二人一組で探せば出会ってすぐに負けることもあるまい。どれ、トランクス。君はどうにも危なっかしい上にこの中では弱い方だからな。この私がついていってやろう」

「あ、ああ……そうか。あ、ありがとう」

 

 冷静にブラックの行動を分析し、トランクスの主張に具体案でもって返答を返すセル。それに対してトランクスは素直に感謝してよいのか分からなかったが、もともと律儀な性格のため一応礼は口にした。だが以前は敵対していた相手とあって、セルの変わりようを含めて内心は非常に複雑である。

 

 

 

 

 

 とりあえず、さあこれから戦うぞという場面で敵が逃げ出したことに8人は肩透かしを食らっていた。

 

 

 

 

 

 作戦としては平行世界の3人に視線を引き付けておき、ブウ子同様ザマスだけではなくブラックにも奇襲をかけて一瞬で終わらせる方が望ましかった。しかし人数差にまかせて下手に混戦状態を作り、隙を作り不死身のザマスに逃げられてしまえば厄介である。そのためザマスを封殺した後、増えた敵対戦力と同志を失ったことで混乱したブラックを叩くことにしたのだ。

 が、逆にそれが裏目に出た。

 ブラックはどうやら怒りに任せて行動したり混乱を長引かせるタイプではなかったらしく、こちらが思っているよりもずっと早く己の置かれた状況を理解したようだ。この場で無暗に戦いを挑むことを良しとせず、一度退却して見せた判断は至極冷静だと言えよう。

 

 そしてブラックに逃げられた上、先ほどまで少しでも情報を得ようとブラックとザマスの話を聞いていれば…………あてにしていたこの世界のスーパードラゴンボールはすでに無いというではないか。これでは世界の捻じれという問題が解決しない。過去のスーパードラゴンボールが復活するまで世界が何事もなく保てばよいのだが……楽観視するにはあまりにも不安が大きすぎる。

 

 ともかく、まずブラックを倒してからだ。

 

 スーパードラゴンボールの件はすぐにどうにかなる問題ではないので、とにかくこの未来での不安の種であるブラックを倒すことを優先させようという運びになった。

 

 

 

 

 そんな時だ。

 

 

 

 

「うっぷ。ちょ、も、無理……」

 

 不穏な言葉と共に、どこかへ飛び去っていたブウ子がよろよろとした動きで帰って来た。これに対して一同は言いようのない不安に襲われる。

 

「ぶ、ブウ子さん。どうしたんですか?」

 

 恐る恐る問いかけた悟飯に対して、ブウ子は答えず「うっ」とえずいたと思うと片手で口を押えた。そしてもう片方の手で必死に悟飯を指さす。正確には悟飯が持つ封印のための壺とお札が入ったホイポイカプセルの収納されているケースだ。

 

「! 分かりました! 用意するのでもうしばらくこらえてください!」

「ごめ、無理」

 

 その意図を理解しすぐに魔封波の用意をしようとした悟飯だったが、その数秒も堪えられなかったらしいブウ子は大衆の面前で体をクの字に曲げて盛大に嘔吐した。さらにその吐瀉物がうようよと動いて人の形に戻り始めるのだから、どんな歴戦の猛者であったとしても一瞬引くのは当然である。気分は完全に「えんがちょ」であった。

 

 

 

 しかしその一瞬こそが命取りとなった。

 

 

 

「我が同志よ! 今ここで、私と一つになれ!!」

「な! ブラック!!」

 

 

 

 ブウ子の吐瀉物がザマスとしての形を取り戻した瞬間、どこかへと消えていたブラックが姿を現した。そして両腕を大きく左右に広げるブラックの”右耳”には、緑に輝くポタラが装着されている。それを確認したセルがすぐさま復活したザマスの”左耳”にあるポタラを狙って指先からビームを放ったが、その判断は一瞬遅かった。ビームは地面を穿ち、ブラックに引き寄せられるように宙へ舞い上がったザマスを貫くことは無かったのだ。

 

「く! かめはめ波ぁぁぁぁ!!」

「オラもだ! かめはめ波ーーー!!」

「ならば私も乗ろうか。かめはめ…………波!!」

「チィッ! ファイナルフラぁッシュ!!!!」

「クソッタレぇぇぇ! ギャリック砲!!」

「「魔閃光!!」」

「ウィークエンドぉぉ!!」

 

 悟空がかめはめ波を放ったのを皮切りに、それぞれの必殺技が空中にてポタラを使い合体したと思われるザマスとブラックに襲い掛かる。

 それぞれ先陣を切った悟空に半ば反射的に引きずられる形であったが、スーパーサイヤ人ブルー×4、アルティメット(内一人は自称)×2、スーパーサイヤ人3、スーパーサイヤ人3に匹敵するほどのスーパーサイヤ人2から放たれた必殺技の総攻撃は、先ほどのうっかりを帳消しにするほどのオーバーキルであった。しかも合体直後とあって、せっかく強力な体を手に入れた合体ザマスも一瞬無防備な状態だ。そこをつかれたとあれば、たまったものでは無いだろう。

 思わずそれを見ていたブウ子が「えげつなっ」とつぶやくほどである。

 

 ちなみにブウ子であるが、先ほどザマスを吸収したところまではよかったのだ。しかし、悪ブウから無理やり分離したことによってブウ子の本来の戦闘力は激減していた。そも、かつて純粋ブウともいうべきプロトタイプのブウが界王神を吸収できたのはブウの能力が界王神を超えていたからである。弱体化したブウ子が界王神であるザマスを身の内に取り込むには、能力に差がありすぎたのだ。結果、吸収するどころかその力に耐えられず、体内で再生しようとするザマスに耐えかねて吐き出した。……それが事の真相である。

 しかし結果的にポタラによる合体が総攻撃のトリガーになったのであれば、自分が戦犯になることもあるまい。いやーよかったよかったと、ブウ子は呑気に「きたねぇ花火だわんっ」と上機嫌で空で弾ける光を見た。

 これほどの攻撃だ。たとえザマスの不死性があったとしても、無事ではすむまい。弱って落ちてきたところを悟飯の持っている壺に封印すればミッション完了だろう。

 

 

 

 

 

 しかし、それは新たなる悪夢の序章でしかなかったのだ。

 

 

 

 

 

『馬鹿な……! 神が、神が人間に敗れるなどと……! あってはならない……! はは、あははははははははははははははは! あっては、ならないのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

 

 ブラックとザマスが合体した存在を、仮にザマスブラックと呼ぶとしよう。ザマスブラックは、ポタラによる合体で凄まじい力を手に入れたものの不死身のザマスと不死性を持たないブラックが合わさったことで、半分不死身、半分不死身ではない体になってしまった。そのため、合体することでザマスは不死身を自ら手放したのだ。

 だからこそ、不死でなくなった体に強力な攻撃を受けてザマスは死ぬはずだった。だが、不死属性の残った半身が瞬時の消滅を免れることで、残った意識が最悪の選択をした。

 

 光が弾け、一瞬世界を照らした。だが次の瞬間、内から弾けた赤黒い光がそれを塗りつぶし……世界を覆う。

 

 

「な、なんだこりゃ!?」

「空に、ザマスの顔が……!」

 

 

 深く、暗く、淀んだ緑色の気が地球の空を塗りつぶしてゆく。そしてその中には狂ったように嗤うザマスの無数の顔が浮かんでいたのだ。

 

 誰もが状況を理解できない中、ブウ子はとりあえず腰を捻り片手を腰にあて、頭をこつんと自分の拳で殴り、ウインクをしてぺろっと舌を出した。いわゆる「テヘペロ」である。

 

 

「あちゃー」

 

 

 何か知らないけどやっちゃった☆

 

 

 

 

 

 

 

 地球、現在の空模様___________曇り時々ザマス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公「今回の戦犯は私では無い」(ドヤァ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。