とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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ドラゴンボール超16:さらばトランクス!未来へつなぐ新たな希望

〇月●日

 

 

 今日やっと未来トランクス編(こじれにこじれた平行世界ver)が終了した。未だに頭がこんがらがっているので、整理がてら日記でまとめようと思う。

 でも書き始めたらきりがないし、とりあえず平行世界の面々との別れの場面に焦点を絞って書くこととしよう。

 

 

 スーパー神龍が全王様の手前頑張ったのか、私たちにもわかる言語でタイムリミットを告げて来たもんだから一時みんな大慌てだった。でも全王様が「え、もう?」と首をかしげて言ったら『もう少し頑張らせていただきます! ぎ、ギリギリ15分くらいなら……!』と、スーパー神龍が頑張って時間を延ばしてくれた。体がめっちゃプルプルしてたけど、神龍って出現してるだけで結構ツライものなんだろうか。…………今度からもっと願いを叶えてもらったら感謝の念を込めて拝んでおこう。いつもありがとうドラゴンボール。

 

 で、わずかに出来た猶予に私たちは平行世界のみんなとお別れをしたのだ。

 以下がその時の記録である。

 

 

 

 

 

【 全王様、ビルス様 】

 

 

「あのね、なんだかとっても面白かったね~。ねえねえ、悟空はもう帰っちゃうの? それだとつまんないなぁ」

 

 そう言って平行世界、過去へと帰る悟空に対して別れを惜しんだ全王様。しかし悟空(平行世界の方)といえば気楽なもので「そんじゃ、タイムマシン使う事全ちゃんが許してくれたらまた遊びにこれっぞ」などと、ちゃっかりこれからもタイムマシンを使えるように全王様に約束を取り付けようとしていた。それに対して全王様は「う~ん、それはちょっと駄目なのね。こっちの世界に君がもういないのが残念だね。あ、そうだ! ねえ悟空、こっちに残る気は無い?」と提案。けど悟空は「でもオラの世界の全ちゃんとも友達だかんな~。すまねぇ、こっちに残ることはできねぇや」と断った。

 もしこれで全王様が機嫌を損ねたら宇宙は終わりである。そういった意味で全王様とのやりとりをハラハラ見守っていたのだけど、意外にも全王様は「そっか、別の僕からお友達をとっちゃうわけにはいかないね~」とすんなり納得してくれた。

 その見た目や言動から子供っぽい性質の持ち主かと思いきや、それもどうやら違うようだ。その考えを読むことはかなり困難で非常につかみどころのないお方だと感じたが、今回はすんなり引いてくれて助かった……いやホントに。

 

 ちなみにもしもの場合は悟空をひっつかまえて全王様に差し出そうと身構えていたビルス様は、特大の安堵のため息をついておられた。……まあ、悟空が残ったら残ったで、ビルス様は常日頃からいつ悟空が全王様を怒らせるかと心配しながら過ごさないといけないからな。そりゃ安心もするか。

 

 

 その後、付き人が迎えに来て全王様はあっさりお帰りになった。世界の捻じれが解消されるのを見届けなくていいのかな~って気もしたけど、悟空と出会ったことで大分満足気な全王様を引き留めて機嫌を損ねても藪蛇だしな。神様だし、きっと離れていても見届ける術なんていくらでもあるだろう。

 …………帰り際に「宇宙同士の対抗戦、面白そうだよね~」と呟いていた気がするのはきっと空耳だよね。…………空耳だよな?

 そして全王様に続きビルス様も「また何か面倒事をおこしたら、今度こそこの星を破壊するからね」と言い残してウイス様と帰っていった。台詞とは裏腹にその声に覇気が無かったことから、多分今回の疲れを癒すために当分お昼寝するだろうな。その間に今回の事を忘れてくれる事を祈りたい。

 

 

 

 

 

【 悟空とベジータ 】

 

 

 平行世界の悟空同士は終始仲が良かったため、別れを非常に残念がっていた。よっぽど自分同士の修業が楽しかったらしい。特に平行世界の悟空は残念そうだったな。なんでもビルス様の所で修行する時以外は普段修業に付き合ってくれる相手が身近に居ないらしく、文句を言うどころか自分と同じように楽しんで思いっきり戦ってくれる自分自身という修行相手はかなり貴重な存在だったみたいだ。

 そして意外な事にベジータ同士も別れを惜しんでたっぽい。「貴様とは、もう少し話しておけばよかったな。……キングベジータ、覚えておこう」「フンッ、どういう風の吹き回しだ? ……俺同士なんだ。わざわざ言葉にせずともいいだろう、エンペラーベジータ」と言って、お互い最後に全力で拳をぶつけ合ってからニヤリと笑っていた。それを見ていた私、ラディッツ、悟飯ちゃんは「あのベジータに友達が……」「いや、相手もベジータだろう」「でも今の友情っぽかったですよね」とこそこそと話していた。うん、この微妙な心境を共有できる相手が居るのは助かるな。というか、こいつらにとってキングベジータとエンペラーベジータは讃えあうための褒め言葉なのか? なんか平行世界のベジータに余計な黒歴史を増やしてしまったようで申し訳ないんだが。

 

 そういえば何がどうしてそういう話になったのか知らないけど、二人の悟空の間で以下のような会話が交わされていた。

 

「え、おめぇキスしたことねえんか? うっそだー」

「オラはしたことあるんか?」

「そりゃおめぇ……」

「あ、なんだよその勝ち誇ったような顔ー」

「ま、オラも帰ったらチチにしてみろよ。普段おっかねぇけど、キスすると真っ赤になって可愛いんだぞ」

「あのチチがか? そっかぁ……チチがなぁ……。おし! 帰ったらためしにやってみっぞ!」

「おう! あ、それと人前だと逆に怒られっから気を付けろよ」

「……なんか、めんどくせぇんだな」

「そう言うなって」

 

 まさかの悟空同士の恋バナ? にビビったわ。っていうか、え? 平行世界の方の悟空、お前原作の悟空だろ? 最早おぼろげな原作知識だけどアニメでチチさんとキスしてたような……やめよう。所詮様々な可能性を秘めた平行世界だ。考え出したらきりがないし、キスを知らない悟空が居る世界があったっておかしくないだろう。それで納得しよう。

 でも悟空とチチさんのなれそめを知らない悟飯ちゃんが「よくお母さんと結婚できたな……」と呟いたことに関してはどっちの悟空に対してもフォローできんわ。あのね、悟飯ちゃん……。悟空の奴、結婚の意味をほぼ理解しないまま結婚したんや……子作りの方法も途中まで知らんかったんや……。

 

 こう考えると、ドラゴンボールで一番の奇跡は悟空とチチさんが出会った事なんじゃないかなって思った私である。

 

 

 

 

 

【 トランクス、ブルマ、マイ 】

 

 

「皆さんのおかげで世界を救うことが出来ました。本当に、なんとお礼を言っていいか……! ザマスさん、あなたにも感謝してもしきれません。母さんを、マイを、みんなを……生き返らせてくれて、俺と一緒に戦ってくれて、本当にありがとう」

「いや、もとはといえば別世界とはいえ私が原因なのだ。そう感謝されると困ってしまう。それに未来を救ったのは君だトランクス。君が行動したからこそ世界は変わったのだろう。……これからまだまだ過激な人生が待ち受けているかもしれないが、君は世界の希望だ。きっと乗り越えていけるだろう。二度と会えないだろうが、私はいつでも君を応援している」

「なんだか変な気分ねぇ……。わたしを殺した奴と同じような存在がわたしたちを助けてくれて、こうして目の前でトランクスと握手してるなんて」

「ふふっ、そうですね。でも本当に良かった……! こうしてブルマさんとまた笑いあうことが出来るなんて、夢みたい」

「あははっ、ホントよねー。神様だとか孫くんとベジータが二人とか、色々ビックリな光景に言いたいことはあるけど……とびっきりのハッピーエンドになったってことでいいんでしょ? なら、わたしもみんなにありがとうって言うだけだわ。もちろん、あなたにもね! ありがとう、ザマスさん」

「そうですね、じゃあ私からも。ありがとう。あんたは命の恩人だよ、ザマスさん」

「いや、だから私はお礼を言われるような立場では……」

 

 以上、トランクス、ザマスさん、ブルマ、マイの会話である。

 ザマスさんは自分がお礼を言われる資格なんか無いって遠慮してたけど、実際にこの世界を救った半分以上の功績は彼にある。ザマスさんが来なかったら死んだ人も神も世界も、なにもかもが蘇ることはなかったのだから。

 だからビルス様も帰る前に一言ザマスさんにお礼でも言ってけばよかったのに……いやこれは贅沢ってもんか。もとはといえば別世界のザマスに殺されたようなもんだもんなビルス様。

 

 ちなみにこの日記はセルから貸してもらった動画(あの野郎結局一部始終ずっと撮ってやがった)を見ながら書いてるから、会話は結構そのまま記録できている。でもせっかく映像記録があるんだし、あとでコピーして日記に添付しておこう。

 

 

 

 

「俺には空兄さんがいたけど、こっちの俺は一人で頑張ってきたんだよな……。自分に言うのも変だけど、凄い事だと思う。俺は心から君を尊敬するよ。もうお別れだけど、応援してるからな! 世界が離れても、ずっと!」

「もう一人の俺……。ありがとう。俺も君の事を応援してるよ! こっちとは別の苦労が多いみたいだけど、体に気をつけろよ」

「ああ! ありがとう。はははっ、自分に心配されるなんて変な気分だ」

「ははっ、それもそうだな! ……じゃあ、元気で」

「君も」

 

 そう言って固く握手を交わしたトランクス二人。時間があったらもっと話したいことは多かっただろうけど、彼らはこの短い会話で分かり合ったようだ。

 そういえばこっちのトランクスがマイを見て「こっちにもマイはいるんだな。……幸せにしろよ!」と、平行世界トランクスの背中を思いっきり叩いていた。その左手の薬指に銀色の光が控えめに輝いていたのを見て、私とブルマは「ねえ、もしかして今回こっちのトランクス達が過去に来ようとしてたのって……」「もしかするとっていうか、あれを見るに確定でしょ!」とひっそり盛り上がっていた。時間が無かったから詳しく聞けなかったのが残念である。

 

 

 

 

 あとトランクスといえば、悟飯ちゃんと別れる時はこっちの世界の悟飯ちゃんを思い出したのかこらえきれずに泣いてたっけ。でもひとしきり泣いた後のトランクスの表情は明るかった。

 

 

 

「悟飯さん、俺……頑張ります。もっともっと強くなって、何があっても今度こそ俺がこの世界を守れるように。この世界の悟飯さんが俺に繋げてくれた希望を、今度は俺が未来に繋げられるように」

 

 

 

 そんなトランクスを見て、キングとエンペラーのベジータが遠くから腕を組み同じ表情で笑っていた。あと言われた悟飯ちゃんはといえば、トランクスに釣られて涙ぐみながらも万感の思いを込めて「トランクスさん、お元気で」と返していた。

 ………………一瞬、目の端に3人目のベジータと山吹色の胴着姿の悟飯ちゃんが笑っていたように見えたのは気のせいだろうか。それは目の錯覚だったかもしれないけど、でもちょっとだけ閻魔様が気を利かせてくれたのかなーという気がしないでもない。おう、こっちのベジータに孫悟飯。トランクスは立派に育ったぞ。地獄からでも天国からでもいいから、ちゃんと見守ってトランクスが寿命を全うしてそっちに行ったらちゃんと褒めてくれよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうそう、トランクスはベジータ達にも深く頭を下げてお礼を言ってたけど、それに対してはちょっと叱られてたな。「お前はこの世界で唯一のサイヤ人の血を引く生き残り。そして俺の息子。つまり、この世界のサイヤ人のキングはトランクス、お前だ!」「そういうことだ。頭など下げんでいい。もっと胸を張れ!」とかなんとか。おい、もうちょっと素直に受け取りやすい叱咤激励だの褒め言葉だのなかったのか。キングトランクスの名前を押し付けられそうなトランクスが若干困惑してただろ。

 

 

 

 まあ、こんな感じで短い時間にバタバタと別れの挨拶をしたわけだ。未来トランクス達は何回も何回もお礼を言ってくれて、私たちとしてもはるばる平行世界の未来までやってきた甲斐があったというものだ。まあ一番頑張ったのはトランクスなんだけどね。

 

 そしていざ捻じれはどうやって戻すのが一番いいんだろう? という話になった。ギリギリになってこの話題になったのでまた大慌てした私たち、馬鹿である。

 

 結局それぞれの未来から過去へ戻ればいいんじゃない? という結論をブルマがたたき出し、平行世界の悟空、ベジータはこのままタイムマシンで過去へ帰還。私たちはスーパー神龍が繋げてくれている空間を通って私たち側の未来世界へ行ってから過去へ戻るということになった。未来トランクス、空龍、ブロリーはそのまま自分たちの未来世界に留まれば、一応全てが時空が絡まる前の状態に戻ったことになる。

 …………こうして書いていても本当にややこしい事件だった。

 

 

 

 

 

 で、こうして日記を書いているのは無事に戻った自分たちの世界の過去、私たちにとっての現在なわけだ。

 

 けど日記を書いている私を呼ぶ成人男性の「おかあさ~ん!」という声が聞こえる。

 

 

 

 ………………実はこっちの世界の未来組、未来に残らないでまた過去来ちゃったんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

(日記は続いている)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回で多分エピローグです。

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