とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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前回私は前後編構成を前中後編構成に変えましたね?あれは嘘です(ごめんなさい収まりきらなかったのでナンバリングに変更しましたごめんなさいもうちょっとだけ続くんじゃ


残り物なんて言わせない!地球まるごと超決戦! 3

 巨木の威容を際立たせる、雷鳴とどろく曇天の下。クラッシャー軍団頭目、ターレスは地球のエネルギーを吸い取り順調に成長していく神精樹を見上げ、口の端を吊り上げて満足げな笑みを浮かべた。

 

―――――― 長かった。

 

 本来ターレスはもっと早くこの地球に来る予定だった。同族であるカカロットが送られたという、この星に。

 

 ターレスはこれまでまさに戦闘民族サイヤ人にふさわしい、と言える人生を過ごしてきた。美味いものを食い、力という美酒に酔いしれ、気まぐれにいい女を抱く。暴力の限りをつくし、己の力を存分に振るい、欲しいものを手に入れた。

 フリーザという気に食わない上司こそいたものの、基本的に成果さえ上げれば勝手気ままそのものだ。ゆえにターレスは特に窮屈さを感じたことはない。それどころか上司である宇宙の帝王フリーザでさえ、そのうち始末して己の力を示そうという野心さえ抱く男。それがターレスというサイヤ人である。

 ……といっても、本人としては宇宙の頂点に立つなどという面倒なことよりも、己の快楽を満たすために宇宙という大海原を勝手気ままに泳ぐほうが気質に合ってはいるのだが。彼は生まれながらの冒険者だったのだ。

 ターレスは力ある者に寛容だった。最初は敵対していた相手でも、気に入れば仲間に誘う。好奇心も人一倍強かったからか、時に化石と化していた宇宙人を復活させて仲間に加えるなどという珍妙な経験もしてきた。

 そんなターレスの魅力に惹かれたクラッシャー軍団は、誰もかれもが一癖も二癖もあるつわものぞろい。さらには神精樹というより強くなるための手段まで手に入れ、かつてのクラッシャー軍団はまさに破竹の勢いで強化されていった。

 

 

 ……彼らに不幸が訪れたのは、今から十年以上も前の事だった。

 

 

 信じられない速度と、信じられない質量。彼らの目の前に現れたのは、高速移動する惑星というバカげた代物。後々解析で分かったことだが、どうやらあれは宇宙船だったらしい。現在その乗組員は、クラッシャー軍団にとってぶっ殺したい相手ナンバー2である。何故ならそんな馬鹿みたいな宇宙船に、ターレスたちの船は真正面から吹き飛ばされたからだ。

 まったく予想だにしなかった速度と不規則な軌道を描く惑星型宇宙船にコンピューターがエラーを起こしていたため、回避など間に合うはずもなく正真正銘正面衝突だった。乗組員がいくら強かろうが、どうにもならないこともある……宇宙での事故はそんな理不尽の一例だろう。

 ちなみに彼らは知らないが、その惑星型宇宙船はすでに同等の大きさを誇るビッグゲテスターという巨大マシン星と宇宙事故を起こし大破済みだ。乗組員であるスラッグ一派という悪のナメック星人率いる魔族たちもあの世送りとなっている。

 つまり彼らの復讐は残念ながら、今後完遂されることはない。

 

 そしてそんな理不尽極まりない事故に遭遇したターレスたちだったが、彼らはなんと衝撃の際に生じた異次元ホールに吸い込まれ、神々の間で"南の銀河"と呼ばれる宇宙区域までワープしてしまったのだ。しかも事故のせいで宇宙船が著しく破損してしまったため、不時着した惑星で脱出叶わぬまま数年間過ごすという不幸に見舞われた。しかもその惑星というのがひどいもので、蜘蛛のような姿の巨大な怪物とイタチのようなさらに巨大な怪物が互いを食らいあうという地獄のような共生関係にある以外、生物も植物も存在しない不毛の土地。食料が蜘蛛の卵や蜘蛛の体、イタチの血液しか確保できない上にその蜘蛛もイタチもすこぶる強いときている。最悪の環境だった。

 宇宙船が直るまで星をどうこうできるはずもないため、なけなしの星のエネルギーを神精樹で吸い取ってパワーアップすることも不可能。……こうしてクラッシャー軍団は、数年間過酷な自然下での強制トレーニングを強いられる事と相成ったのだ。もちろん不本意である。

 

 星での生活は厳しくも、そこはつわもの揃いのクラッシャー軍団。割とたくましく生き抜いたのだが、カボーチャ星プキンパ王朝の元王子という肩書を持つダイーズなどには精神的に厳しいものがあったらしい。星を脱するころにはもともと引き締まったスリム体系だというのにストレスでさらに細く、ガリガリにやせ細ってしまっていた。ダイーズはこの時ほど無神経なアモンドやサイボーグの体を持つカカオを羨んだことはない。

 しかしそんな不幸の中でも、クラッシャー軍団にとって最高の幸運と希望は残されていた。レズンとラカセイのビーンズ星人の双子である。彼らこそターレスの宇宙船を作り上げた、化石からよみがえりし未知の力と頭脳を持つ天才! 資源などお世辞にもあるとは言えない中で、レズンとラカセイは数年を要したものの宇宙船を見事に修復してみせた。

 

 こうして強制的なトレーニングのもと更なる強さを手に入れたクラッシャー軍団は、再び宇宙の大海原に漕ぎ出したのだ!

 

 

 

 

 が、彼らの不幸はまだまだ続く。

 

 

 

 

「おやおや、これは愉快なお客様が来たものだ。さて、君たちは私を楽しませてくれるかな?」

 

 復活記念だ!! と、意気揚々と最初に襲ったコナッツ星という星で遭遇したのはその星の神を名乗るセルという昆虫じみた緑の怪物。そいつに過酷な環境で培ったクラッシャー軍団の強さ及び自信は、粉々に打ち砕かれた。

 スカウターが爆発するほどの戦闘力であったため正確な強さの数値は測れなかったが、ターレスが不毛の惑星にて習得した本来エリート達にのみ許される理性を保った上での大猿化……それをもってしても、届かない遥かなる高みの実力。完敗だった。

 だが「つまらん」と、クラッシャー軍団を完膚なきまでに叩きのめした神はせっかく植えた神精樹をたやすくひっこぬくと、ターレスたちをわざと見逃した。「次はもっと強くなって、是非とも私を楽しませてくれたまえ」などとのたまって。

 

 こんな屈辱はない。……この日から、ターレスたちの更なる研鑽は始まった。

 

 神精樹という規格外のパワーアップ手段を持ちながらも、不毛の惑星で体験した以上のトレーニングを自分たちに課したのだ。もちろん星を襲い、奪い、神精樹の実を食らうことも忘れてはいない。しかし心に深く刻まれた恥辱は、クラッシャー軍団に打倒セルの目標を掲げさせるには十分なものであり、特にリーダーであるターレスが率先してトレーニングをするので彼を慕う部下たちもそれに引っ張られる形で強くなっていった。

 そんな旅を続け……北の銀河に帰ってきた時。風のうわさでフリーザが倒されたと聞いた。しかしもはやフリーザなど超えたという確固たる自信を得ていた彼らにとって、そんな情報は気に掛けるものではない。優先すべきはさらなる力をつけて、南の銀河に舞い戻りセルを倒すこと。

 

 そのために最後に選んだ生贄が、宇宙事故前に目指していた"地球"。カカロットという下級戦士が送り込まれた北の銀河内でも辺境の星。……その星は神精樹を育てるにあたって、最高の環境を有していた。

 

「カカロットには感謝しなくてはな」

 

 送り込まれた下級戦士、カカロットは今は孫悟空という名前で地球を侵略することもなく地球人と仲良く暮らしているらしい。地球に行く途中で捕まえたサイヤ人の王子様に聞いたところ、フリーザを倒したのもこの男だという。

 さらには地球にはターブル王子の兄、ベジータ王子や姉のハーベスト王女、カカロットの兄ラディッツ、さらにはその家族であるサイヤ人と地球人の混血などが暮らしており……滅びたと思っていたサイヤ人が密かに根付いているとか。これは神精樹で更なるパワーを身に付けた後、彼らを屈服させ率いるのも悪くないとターレスは考える。ターレスはサイヤ人としての誇りを有しているため、力ある者や同族には寛容なのだ。

 生き残った純血のサイヤ人で唯一の女である王女も有用だ。年齢を考えると少々年増だが、サイヤ人のためおそらく見た目はまだ若いだろう。孕ませて己の遺伝子を純血のサイヤ人として残させるのも、まあ悪くない考えだ。その時は最高に可愛い、サイヤ人らしいサイヤ人として育ててやろうではないか。

 

 ターブル王子はどうやら相当に兄や姉を信頼しているらしく、自分が手も足も出ないままにやられたというのにベジータとハーベストがターレスに負けるはずないと、思っているようだ。それはそれで、這いつくばらせたときの表情がどう歪むか楽しみである。それまで生きていれば、の話だが。

 しかし神精樹を植えて地球を天変地異が襲い始めても、一向に彼らは現れない。どうやら一矢報いようと立ち上がったターブルと、どこぞから現れた羽虫二匹が部下たちと戯れているようだが……これではターレスがつまらない。

 

「俺も王子様と遊んでくるか……? いや、しかし部下の遊びを奪うのも悪いな」

 

 くつくつと笑うターレスだったが、ふいに眉が顰められた。

 

「それにしても神精樹がこれだけ根を張っているというのに、エネルギーの集まりが極端に悪いな。これだけ豊かな星だ。もう神精樹の実が熟れてもおかしくないはずだが。……」

 

 天を衝く巨木に成長した神精樹は地球中にその太い根を這わせ星の生命を吸い取っている。が、実はまだひとつも熟していない。そのことに訝しみつつも、ターレスはどっかりと腰掛け悠然と構えた。

 

「まあ、良いか。いずれにせよ時間の問題だ。……それよりも早く来い、地球のサイヤ人たちよ。新たなサイヤ人王、ターレス様がお待ちだぞ?」

 

 笑みを深めたターレスの顔を、天の稲光が怪しく照らしだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

++++++++++++

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのころ、地球上の各地域で奮闘する者たちが居た。

 

「これ以上、村、壊させない!」

 

 雪深き地域に存在する、かつてはレッドリボン軍の拠点の一つマッスルタワーが存在していたジングル村。今では平和そのもので、極寒の厳しさこそあるものの穏やかに時間が流れる場所である。しかし現在、その静寂は大地を割り現れた謎の巨木の根によって阻害されていた。根は大地を荒らし、家屋を壊し、木々を無残に薙ぎ払う。……平和な村は、一瞬で地獄絵図へと塗り替えられた。

 が、それを良しとしない者がいた。

 

「ハッチャン!」

 

 体一つで生き物のようにうねる巨木の根に立ち向かったのは、顔に傷がある大男。彼の正体は、かつてレッドリボン軍……ドクターゲロの研究によって生み出された人造人間八号。現在は孫悟空に呼んでもらった「ハッチャン」という名を気に入り、ジングル村で少女スノらとともに時間を過ごしてきた。しかし村の危機に彼は立ち上がり、争いを好まないがゆえに封じてきた人造人間としての力を発揮し根に立ち向かっていたのだ。

 が、そのナンバリングは八と若く、ゆえに後に生み出された十七号、十八号等などに比べて強くはない。一般人にとってみれば彼の力も十分に驚異的なのだが、しかし今回は立ち向かう相手が悪かった。……必死に暴れる根を抑え、時にへし折ろうとするがもう幾度となくその抵抗むなしく吹き飛ばされている。

 その姿に、村人を避難誘導していた彼の友達であるスノが悲鳴を上げる。彼女は少女のころから大人になるまで、ずっとハッチャンと共に過ごしてきた。だから彼がどんなに優しいか知っている。……だからわかるのだ。このままだと、彼は壊れるまで抵抗をやめない、ということが。その身を犠牲にしてでも、絶対に守ってくれようと無茶をする。そんなのは嫌だった。

 

「ハッチャン、逃げよう! このままじゃ死んじゃうよ!」

「ダメだ! この根、スノたちの、オレの大事なモノ壊した。ほっといたら、今度はスノたちが危ない! オレは大丈夫だから、スノ、はやくニゲテ!」

「嫌だよ! ハッチャンが一緒じゃないと嫌!」

「ダメ! スノは、子供たちのそばにいてあげなきゃ!」

「ッ!」

 

 スノは己の無力さに歯噛みする。可愛い自分の子供たちは先に避難する村人に託したが……本音を言えば、すぐにでもそばに行って不安で泣いてるだろう子供たちに寄り添いたい。抱きしめたい。

 だけど大事な友人を、一人残していきたくもないのだ。

 

「わ、私だって……!」

 

 震える手と笑う膝に鞭打って、スノはライフルを構える。それが何の意味を成すのか分からず、おそらく無駄だろうとも思ったが……やはり逃げたくはなかった。かつてレッドリボン軍の脅威からこの村を救ってくれた少年は、小さな体一つで無理を、無茶を打ち砕いてくれた。その姿は今でも鮮烈に心に焼き付いている。だけど少年は、今ここにいない。だから今度は自分が、彼の友人でもあるハッチャンを助けるのだ。

 

 が、そんなスノの決意をあざ笑うように新たに地面を割って現れた根が彼女ごと地表を薙ぎ払おうとする。

 

「スノーーーー!!!!」

 

 ハッチャンの悲痛な声が雪降りしきる灰色の空に響く。

 

「!!」

 

 スノはぎゅっと目をつむった。

 

「大丈夫だ」

 

 ふいに、平坦ながら優しさがにじむ声が聞こえた。それとほぼ同時に、突如として灰色の空が閃光によって明るく照らし出される。

 

 

 

「ヘルズフラーッシュ!!!!」

 

 

 

 一瞬だった。呆然とするスノを何者かが抱きかかえ退避したかと思うと、次の瞬間には大地が盛り上がり極大の光と共に根が消し炭へと変えられたのだ。その余波はすさまじく、なんとか踏ん張っていたハッチャンもまた吹き飛ばされるが……その体は逞しい腕と胸板に抱き留められる。

 

「大丈夫、か?」

「あ、アナタは旅人サン……?」

 

 ハッチャンを抱き留め、脇に目を白黒させているスノを抱えていたのはハッチャンにも負けない巨躯の男性。数日前から村に滞在していた、オレンジ色のモヒカンが特徴の旅人だった。

 彼は無口であったが、毎日山に出て自然の風景やそこで営みを続ける動物たちの姿を愛しそうに写真に収める姿には村の誰もが好感を抱き、彼を受け入れた。警戒心が強いはずの動物たちも気づけば彼の周りに集まっており、その姿にスノやその子供たちは「あの人、ちょっとハッチャンに似てるね」などと評したものだ。

 

 その彼が、スノとハッチャンを気遣いながらも怒りの視線でもって残りの根を睨みつけている。

 

「後はオレに任せろ」

「え!? で、でも!」

「大丈夫だ。……安心してくれ。この美しい場所を、これ以上壊させたりしない」

 

 言うなり彼は空に飛びあがり、あっという間にハッチャンとスノを小高い丘に避難させる。

 

「そ、空を飛んだぁぁ!?」

「旅人さん、アナタはいったい……」

 

 戸惑う二人の前で、旅人は腕を組むようなポーズをみせる。そして脇に腕を挟んだかと思うと、なんとひじから先を切り離して見せた。だがそこには肉も骨もなく、あるのは武骨な機械の断面。それを見てハッチャンは目を見開く。

 

「あいつらと違って俺と同じ完全に機械のあなたは、兄さんと呼んでもいいものかな? ……この村に来たのは偶然だったが、あなたみたいな人造人間に出会えてよかったと……そう思う」

 

 そう言ってニヒルに笑うと、旅人は再び空に舞い上がる。そして腕を根に向け狙いを定め、再び苛烈な光の洪水を腕の先から放つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって、南方にて。

 

 ここは南海の孤島、希少生物たちが住まう動物保護区である。巨大な島はたった一人の保護官によって守られていたが、現在その彼が相手取っているのは密猟者などよりよほどやっかいな相手だった。

 

「チィッ! 数が多いな。……こういう時、動物の避難誘導に回せる人材は必要か」

 

 地面を割り、さらにはどれほど深くに根を張っているのか深海からも現れた謎の巨大な根。根そのものがまず脅威なうえに、根が引き起こした津波、地盤沈下、休止していた火山の噴火など……とても一人では対処しきれない案件に、保護官として働く人造人間十七号は忌々しそうに舌打ちをした。出来る限り対処し動物を島でも安全な場所へと誘導しているが、それも半分以上間に合っていない。元凶である目障りな根はもう半数ほど消し炭にしてやったが、鬱陶しいことに倒せば倒しただけ追加がまた生えてくる。本体を叩きたいところだが、島を守ることに追われてそれも叶わない。

 

「守るものがあるってのは、なかなかに大変だな」

 

 好き勝手やっていた若い頃が懐かしいと、らしくもないことを考える。

 近くの島に住む家族は避難させたが、この根の脅威がどこまで広がっているかわからないため知らず焦燥と苛立ちが募っていく。

 一瞬双子の姉である十八号に連絡して協力を頼もうかと思ったが、そういえば今日この時間はちょうど仲良しグループで別宇宙に旅行か何かではなかったかと思い出す。大会とかなんとか言っていたが。

 十七号も誘われたが、仕事があると断ったのは記憶に新しい。

 

 そのため現在、この地球上ですぐに頼れる相手がいない。なんともタイミングが悪いと、十七号は眉間にしわを寄せた。

 

(しかたがない。あいつらを使うか)

 

 十七号は嘆息すると、一人で全てをこなそうとする事を諦めた。しかしそれは情けないことではない。

 簡単に頭に血が上りセルに吸収されたころの彼は、もういないのだ。今は臨機応変、柔軟な思考が出来るようになった大人の男である。

 

「おい、お前ら!」

 

 腹の底から島全体に響き渡るような声を発し、十七号は島に潜む”彼ら”に呼びかける。

 

「住まわせてやってる家賃代わりだ。こういう時くらい働け!!」

「ウキキー!?」

 

 十七号の声に尻でも叩かれたように飛び出てきたのは、かつてセルが己の分身として生み出したセルジュニアそっくりの生物だった。十七号は仮に彼らを「偽セルジュニア」と呼んでいる。何故か島に住み着いていた偽セルジュニアたちは最初十七号に反抗したが、今ではすっかり手懐けられて大人しく島で生活をしていた。

 

 十七号は多分こいつらは本物のセルジュニアだろうと推測している。確信がないため"偽"と呼んでいるが。

 核があれば何度でも復活していた親であるセルのように、セルジュニアたちにも同じ機能が備わっていたと考えられる。孫悟飯に倒された後、密かに復活し生き延びていたのだろう。

 十七号が管理するこのモンスター島に住処を定めていたのは、大半は彼に敵わないであろう一般人にとって幸いだった。普通なら一匹だけでも災害だ。

 

 手懐けてからは襲ってくることもなく、七匹もいるため退屈しないのか自分たちだけで遊んでいるが……その実力は折り紙付き。こんな時くらい手伝わせても、ばちは当たるまい。

 十七号に指示を受けて島中に飛び散った偽セルジュニアたちを見て、十七号はふむと顎に手を添える。

 

「あいつら、正式に雇うか……?」

 

 

 この件ののちに、鬼上司にこき使われることになることを偽セルジュニアたちはまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 




セルジュニアに関しては漫画版ドラゴンボール超8巻の巻末を読みましょう!(ダイマ

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