とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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番外編:ブロリー、そして伝説へ……《前編》(劇場版DB 燃え尽きろ!!熱戦.烈戦.超激戦)

 先日あまりにも疲れて書ききれなかった分の日記を書いておこうと思う。やはり情報の整理は大事だ。

 

 

 

 

д月Ё日

 

 

 みんなでお花見するよ~と誘われたので行ってみたら(ちなみに未来からトランクスと空龍が来ている時だった)、パラガスが来た。とりあえず「よっすパラガス」と声をかけたらビクッとされた。何だよ、私お前に何もしてないだろ。むしろブロッコリー生まれた時に「凄い戦闘力だね」って言いながら祝福してあげただろうが。

 

(関係ない事メモ:クリリンくんの歌、私は結構好きである。今度改めてみんなとカラオケに行きたい)

 

 ヤベー劇場版あんまり覚えてねー。かーッ、ツライわー。覚えてなくてツレーわー! でもゴッド化済みでスーパーサイヤ人2になれる悟飯ちゃんとあの世で修業済みの悟空が帰ってきてるから大丈夫だよねーと考えていたこの時の私、爆ぜろ。その楽観視で何度痛い目をみたのかと……いい加減学習するべきであった。

 

(関係ない事メモ:この時、悟空はお花見未参加。チチさんと悟飯ちゃんの塾関係の面談に行っていた。生徒だけでなくその両親にまで面談があるとか、よくわからない世界である。有名塾ってそんな感じなのか)

 

 パラガスがベジータを新惑星ベジータの王に迎え入れたい、新惑星を脅かす伝説のスーパーサイヤ人をベジータ王(笑)に倒してもらいたいという旨をベジータに伝えると、はじめ乗り気でなかったくせにベジータの奴途中で「案内しろ」とか言い始めた。なんというか、なんだかんだと言いつつお花見にも参加しているあたり、最近こいつ実は案外付き合い良くて寂しがりやなんじゃないかと思えてきた。まさかこの年になって弟の新たな一面を知ることになるとは……いや分かんないけど。

 とりあえず、案外単純な奴ではある。何だ、王とか言われて本当は嬉しかったのか。だけど「ベジータ王とは親父と同じで気に入らんな、フンっ、どうしても俺を王と仰ぎたいというのならキングベジータと呼べ」とか言い出した時は、ちょっと可愛いとこもあるなという気持ちは霧散し羞恥心だけが残った。オイヤメロ、身内の私が恥ずかしいだろ!!

 

 とりあえず私に向かって「では、ハーベスト王女はクイーンハーベストとお呼びするべきですかな?」とパラガスが冗談っぽく言った時は「殺すぞ」と言って腹パンしといた。片腕に空龍を抱えていたため、威力がいまいちだったのが悔やまれる。そして後ろで「俺を王と言いながらそのクソ女まで王扱いとは何事だパラガス! キングは一人、この俺だ!」とか言っていたベジータは煩い。そこまでキングにこだわるならデュエルくらい覚えてきてもらおうか。あとバイクでの転倒の仕方もな!

 

 で、結局その新惑星ベジータとやらに行くことになったようだ。よっぱらった亀仙人様が宇宙船に乗ってしまい、それを抑えようとした悟飯ちゃん、クリリンくん、ウーロン、そしてベジータを連れ戻そうとトランクス(甥っ子が本当に苦労性で涙出てくる)が宇宙船に乗った。あと、「伝説のスーパーサイヤ人か……ちょっと興味あるな」と言って未来空龍まで搭乗。

 そして何故かラディッツまで誘われたのに、私はパラガスに「お子様もいらっしゃるようですし、ハーベスト様は地球にて伝説のスーパーサイヤ人が倒されるまでお待ちください。その暁には是非、新惑星ベジータにハーベスト様にもお越しいただきたく……」とやんわり止められたので、進んで劇場版に関わることもあるまいとそれに甘えようと思った。まあ私が行ったところで何が出来るでもないし、ブロッコリー回避できるならありがたい。

 

 が、ここで誤算である。

 

 幼空龍がラディッツを追いかけて宇宙船にINしてしまったのだ! 本当にあの子はちょっと目を離したらこれだよ!

 そして直前に気づいたため、私もギリギリで宇宙船にIN。帰る機会を逸する。ま、まあ大丈夫だよ……いざとなったらゴッドがあるよ、と言い聞かせていたこの時の私よ。それはフラグである。

 

 

 

 そして到着した新惑星ベジータにて早速大人になったブロリーに会う事になったが、制御装置のおかげか普通に会話出来た。といっても、「ええ」「はい」「いいえ」といった短い受け応えがほとんどだったが。とりあえずパラガスに「なんなりとお使いください」と言われたからって早速パシろうとすんなベジータ。今は大人しいとはいえ見てるこっちが怖いわ!

 

 そして何やらシンパシーでも感じたのか、妙にブロリーが気になるらしい空龍が人見知りのくせに初対面のブロリーに一生懸命話しかけていた。それに対して鬱陶しそうな表情のブロリーであったが、空龍は一度食いつくとしつこい上に妙に空気読めないところもあるので気にしていないようだった。

 たしかに生まれながらに戦闘力1万超え、スーパーサイヤ人化で理性が飛びそうになる、スーパーサイヤ人化した時の気の色が緑っぽいと共通点が多く「あれ、この子ブロリーと同じ伝説のなんちゃらじゃない?」と思ったことは何度もあるけど……まさか並んだ姿を目にする日が来ようとは。

 

 

 そしてベジータが持ち上げられている中、パラガスを怪しんだ優秀な甥っ子組とクリリンくん、あとラディッツが星の様子を見てくると言ってひっそりと出かけていった。

 ベジータは別の星に伝説のスーパーサイヤ人が現れたとパラガスにパチ情報つかまされてブロリー、あとそれにまとわりつく空龍を引き連れて近くの別の星へ。まさか個別撃破が目的か!? と思ったら普通にその後帰ってきた。止める間もなく行っちゃったからヒヤッとしたわ。

 真面目に劇場版の流れ覚えてないので、この時はパラガスのやり方がいまいちわからなかった。後になって新惑星ベジータに衝突する彗星で地球に居る邪魔な連中を一掃! 美しい地球を手に入れて、そこを拠点に自分とブロリーの宇宙帝国を築いちゃうぜ! 計画だったと知るが、宮殿建てたりと手間な上にけっこうボッコボコに穴だらけの計画である。そもそもベジータが乗せられやすい性格じゃなかったらこの星来てねーぞ。

 私がパラガスの嘘を指摘して止めてもよかったけど、そうなると地球でブロリー戦になって犠牲出そうだしなと今回は黙認。のちにブウ戦も控えているのだ、たまには地球さんを休ませて差し上げろ。

 

 私は妙にもてなされたので幼空龍とのんびりお茶しながら宮殿でダラダラしていたのだが、頂いたお茶がはじめ妙な味がしたので取り替えてもらう事数回。パラガスは「新興惑星ですので、ハーベスト様がお気に召すような食材が不足しておりまして……誠に申し訳ありません」と言って冷や汗をかいていたが、おおかた睡眠薬か何かでも入れてたんだろう。地球に私を置いていこうともしてたし……あれか。唯一の生き残りの女サイヤ人だから、一応生かしとくか的なあれか。何だ、気が利くな。だったらもっと丁重にもてなせ。甘味が足りんよ君ぃ。

 

 悟飯ちゃん達が帰ってくると、なんと悟空も一緒だった。そのうち来るような気はしていたけど、主人公の登場にほっと一安心である。

 この星に何か問題が無いか占ったところ、遥か遠方より彗星がこの星に迫っていることに気が付いた。多分映画的には彗星が衝突する瞬間こそクライマックスなんだろうけど、わざわざそんな危険を冒す必要は無い。これでベジータが帰ってきたらさっさとパラガスの事をばらして最終決戦かな、だったら仕掛ける前に亀仙人様達連れて先に逃げなきゃなとか考えていた。

 

 が、ここで昔の私ならまずスルーした問題にちょっと悩む。

 

 

 最終的に息子の力を使って利用しようとするけど、殺されそうになった息子をかばったパラガスと赤子の状態で殺されかけたブロリー。腕の中の小さな体温を見下ろすと、どうしてもモヤモヤするものがあった。

 ので、無駄だし結局は自己満足だろうと思ったけど、私はパラガスとブロリーにお父様の事で謝罪をしたのだ。

 

 

 

 

(日記は続いている)

 

 

 

 

 

 

 

 

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「父がすまなかったね、パラガス」

 

 突然父と俺を訪ねてきたハーベストという女は、父に出された酒の入ったグラスを手で遊ばせながらそう言った。

 

 

 

 俺は今でこそ父の制御装置で自身の欲望を解放できず従順な態度をとっているが、腹の中には溶岩のように熱い破壊衝動が常に渦巻いている。制御装置を使われると頭に霞がかかったようになって自分ではない自分に動かされる……そんな不愉快な状態を強いられるのだ。

 だが、今は比較的もとの俺の感情が戻っている。おそらく、先ほどある男に会ったことで精神が高ぶっているのだ。

 たしかベジータに「カカロット」と呼ばれていたな。遥か以前……物心もつく前に、出会ったような気がする。俺の中で「殺されかけたこと」と並ぶ原初の記憶だ。

 そして目の前の女はその「殺されかけたこと」について謝っているらしい。たしかベジータ王の娘だったなぁ……今さら親の贖罪とは、けな気なことだ。まあ、なんとも思わんがな。せいぜい言ったコイツの罪悪感が薄れるだけだろう。たいした偽善だ。ククク……その偽善者がなぶられ、絶望に染まった顔をしたらどんなに愉快だろうな。父はおそらく生き残りの中で唯一の女サイヤ人……つまりサイヤ人の子供を産めるこの女を生かしておきたいようだが、俺には関係ない。いずれ制御装置から解き放たれたら、せいぜい可愛がってから殺してやる。

 

 ……フフフ、分かるのだ。いずれ、近いうちに俺はこの忌まわしい呪縛から解き放たれる。その時を想像すると、今から楽しみで仕方がない。また、あの暴虐の日々へ戻れるのだ。邪魔するもの、弱いものを蹴散らして力に酔いしれる、あの甘美な日々に!!

 

 

 

 大人しいふりをして無言のままに立つ俺の前で、会話は続く。

 ……うん? 部屋の外に誰かいるな。気配からして昼間の鬱陶しいガキか。性懲りもなく、また俺にまとわりつきに来たらしい。今は息をひそめて会話に聞き入っているようだ。2人は気づいていない。

 

 

「ハーベスト様、すまなかったとは……?」

「とぼけなくてもいい。父がお前の息子の潜在能力を恐れて親子ともども殺害しようとしたことは知っているよ」

「な、何を言って……!」

「見ていたからね。お前たち2人、ゴミのように捨てられるところを。私は私でフリーザ様から身を守るために動いていたから、本当に見ているだけだったけど。戦闘力がいくら高いからって、赤子に刃を突き刺すなんて光景にぞっとしたよ」

「! な、ならば……ならば何故ここに来た! そこまで知っているなら、俺たちが貴様らによい感情を持っていないことに気づいただろう!!」

 

 激高した父に対して、女は冷静だ。酒で喉を潤すと、言葉を続ける。

 

「ま、まあ来ちゃったのは不可抗力というか不慮の事故というか……まあそれはいいじゃない。ゴホンっ、えー、とにかく。ベジータはそのこと自体知らないから、私が死んだ父に代わって謝罪するよ。申し訳なかった」

 

 そう言って女は深く頭を下げた。俺は何とも思わんが、親父はわずかに動揺しているようだ。

 

「ふ、フン。今さら遅い。貴様らは、もうすぐこの星に衝突する彗星によって死ぬのだ! 知られたからには、手段は選ばん。貴様には大人しくしていてもらうぞハーベストよ!」

 

 そう言って父が女に襲いかかったが、無駄だろうな。親父にはわからんだろうが、力を抑えているだけでこの女の力は父より遥かに強い。俺にはわかるぞぅ……? ククク、流石サイヤ人の王族と言ったところか。まあ、本気の俺には及ぶまい。

 案の定、父は平手で返り討ちにあっていた。ほう、なかなかいい動きじゃないか。

 

 

「大人しく謝罪するのはここまでだパラガス。さて、ここからは力で語らおうか。サイヤ人らしくな」

 

 そう言って、女はテーブルを蹴り倒すと偉そうに足を組んだ。

 

「賢しいお前に対して、これは贖罪を含めた最大限の譲歩だよ。明らかに怪しいお前の話を全員が全員鵜呑みにしているとでも? すでにこの星の都市がただの廃墟であることも、南の銀河を荒らした伝説のスーパーサイヤ人がお前の息子のブロリーであることも割れている。彗星なんてチンケな小細工もな。よって、お前たちを無視してさっさと帰ってもいいし不意を突いて殺してもよかったのだが…………あえてこちらは正々堂々とお前たちに戦いを申し込もう。奇襲も策もない、正面からの純粋な力と力の戦いだ。その結果がどうあれお互いに受け入れる……単純で分かりやすいだろう? 実に公平じゃないか」

「何を勝手な……!」

「人数的にはそちらが圧倒的に不利だが、まさか伝説のスーパーサイヤ人がその程度でひるむまい?」

「もちろんだ」

「な、ブロリー!?」

 

 黙っていようかとも思ったが、実に愉快な提案に思わず言葉が口をついて出ていた。

 なんだ、ただの哀れな女かと思えばなかなかいい性格をしているじゃないか。偉そうだが、それを当然というようにふるまう様はなかなか見ていて気持ち良いぞ。

 

「親父、俺が本気を出せばわけはない。戦わせろ。まあ、許可を取る必要も無いが……ふっふっふ、もう気づいているだろう? 俺に着けた妙な機械が効力を失ってきていることに」

「そ、それは……!」

「俺は好きにやらせてもらう。ベジータはどうでもいいが、あのカカロットという奴……見ているだけで気に食わん。最大限、最大級の苦痛を与えたうえで殺してやりたい。向こうから戦いの場を用意するというのなら、俺にとっては願ったりだ。彗星などとつまらんものにくれてやるには惜しい。結果的に奴らを始末出来るんだ。親父にとっても悪い話じゃないだろう?」

「では、決まりだ。時刻は明朝。彗星の到着などもちろん待たないし、この星に在中する他の住人は戦いの前に直ちに他の星へ追い出せ。チョロチョロされては邪魔だからな。それと私とパラガスは立会人として戦いを見守る立場とするので、戦闘への参加は無しだ。異論があるなら朝までに言いに来い。以上だ」

 

 そう言うと、女は用は済んだと言わんばかりに部屋を出ていった。

 親父はそれを見送ると、がくっと地面に膝をついてうなだれた。

 

 

 ククク。朝が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




劇場版は本編執筆中は書かないぞうっと思っていたら、うっかりDVD借りて見てしまったが最後。気づいたら書いてた。

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