とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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5ページ目 第23回天下一武道会~弟に気づいてもらえなかった件

▽月〇日

 

 餅は餅屋にってことで、数日前に餃子師範に弟子入りした私である。居場所がわかる超能力者が彼しかいなかったんや……。

 

 占いで餃子師範を見つけ出し、天津飯と修業する彼に教えを乞うのには苦労した。主に天さんのガードが鉄壁で苦労した。

 餃子師範本人は「超能力の実力を見込んで是非弟子入りしたい!」と頼み込んだところ「天さん、ボクにも弟子ができた!」と喜んでくれたのだけど、天津飯は常識人らしく「いきなり現れた怪しい人間をそう簡単に信用するな」ともっともなことをおっしゃいまして。ええ。それに自分たちは天下一武道会に備えて修業しているのだからそんな暇はないとも。

 

 しかし舐めてもらっては困る。私の…………………しつこさをな!!

 

 どんなに迷惑がられても自分の利益こそ最優先とするクズが他人に配慮すると思うなよ! いいって言われるまで食い下がってやるからな!

 我ながら最低である。

 

 

 まあ、そんな根性でぶつかっても認めてもらえるわけがないから色々取り繕うわけだが。

 まず弟子として、2人が修業できる環境づくりを手伝わせてもらうことを申し出た。これはせいぜい食事の用意と洗濯くらいだから、家事スキルが大幅パワーアップした私にとって何の負担にもならない。

 そして弟子をとることは、餃子本人の超能力の修業にもなるとも熱烈に弟子入りのメリットを大幅に装飾過多で語った。語り倒した。口も挟ませず語った。相手が疲れてきて「もういいや」って気分になるまでほとんど息継ぎをしないで語った。詐欺や催眠誘導と言われても何も言い返せないが結果オーライ。こうして私は餃子師範の弟子という立場を勝ち取ったのだ……! この世界で2人目の師匠を得た瞬間である。

 

 

 

 

〇月Б日

 

 畑、占いババ様の所で雑用と修業、畑、天津飯と餃子師匠の所で雑用と修業、畑、アルバイト、畑、勉強、畑。

 こんな日々を送っていたら、2年があっという間に過ぎてしまった。

 

 ババ様は占いの師匠として以上に気が合うから談笑しつつ一緒にご飯食べたりお茶するのが楽しいし、宮殿の先輩方も色んな人があの世からやってくるから面白い。

 餃子師範は一生懸命超能力について教えてくれてとってもいい子。超能力の修業も苦にならずむしろ楽しかったなぁ。師範に弟子入りして本当に正解である。

 天津飯は妙に私に小言を言うことが多くておかんのようだったけど(一度間違えてお母さんと呼んでしまった)真面目だし、武道に対して真剣に向き合う姿勢は尊敬出来て素直に応援したい人だった。

 うん、アルバイト先に友達も増えたしなかなか人運に恵まれているじゃないか。未来は明るい。

 

戦闘の修業? さあ、知らない子ですね。

いいんだ。日常生活に組み込んでるから。いいんだ。大丈夫。大丈夫だからまだ。まだ大丈夫。きっと大丈夫。戦闘の修業はあくまで保険だから。

 

 

 

 

 天下一武道会が始まる少し前に、さすがに修業の最終仕上げの邪魔をしてはいけないかと餃子師範たちには別れを告げた。最近では自宅の整理を行っている。悟空がもうすぐ結婚するだろうから、引っ越しの準備しないとね。

 それにしても新生活はどこの町がいいかなー? 西の都もいいけど都会すぎるし、もっと長閑なところがいい。ババ様の近所? でも畑は定期的に見に行きたいし、パオズ山への交通の便を考えると……。

 あ、思い出した。そういえば車と飛行機の免許も取りたいんだった。引っ越しを機に教習所通うか。そうなると教習所がある所がいいな。

 新生活か~。最近はババ様の許可も出て、占いのお仕事(ババ様と顧客が被らないように失せ物探し以外で)も始めたし、まだアルバイトも続けてるから懐は潤っている。家具とか色々買っちゃおうかな~。調理器具も思い切っていいやつ買っちゃお! 食材用の業務用冷蔵庫と冷凍庫は中古でいいのがあるといいなー。あ、それを置くならキッチンは広くないと駄目かな? いっそ一軒家を借りるとかいいかもしれない。

 ふっふっふ、夢が膨らむ。バイト先の友達を招待してお泊り会や女子会もやるのだ。今までパオズ山は山奥すぎて招待できなかったから楽しみ!

 

 そういえば彼女たちは彼氏という空想上の生物の話をよくする。

 

 

 ………………………………………………………………………………………………………………。

 おい、この記録媒体毎回思うけどなんで沈黙まで文字化するんだよ。

 

 

 

 さ、さーて。私も負けてられないぞ☆早く捕獲しないとね☆☆☆

 

 

 

 現在私26歳。アラサー突入である。

 

 

 

 

 

 

 

▼月Д日

 

 

 第23回天下一武道会にやってきた!

 早めに来たけど未来の天下一武道会のようなお祭り騒ぎではないようで、席の確保にはそれほど困らなくて良さそうだ。近くの郵便局で天下一武道会記念切手だけ買っておいた。後でバイト先で自慢しよう。

 

 目立つ一団だったので、悟空たちはすぐに発見することが出来た。おお、でかくなったな悟空……バーダックさんによく似ているけど、彼に比べて柔和で好青年な雰囲気だ。

 声をかけてから、まず悟空がお世話になった武天老師様に挨拶をした。彼は姉である占いババ様から時々話を聞いていたのか「修業に励んでいるようじゃの。姉ちゃんが弟子をとるなんて初めてのことじゃから、頑張るんじゃぞ」と声をかけてくれて嬉しかった。続いて私が武天老師様……日記に書くときは亀仙人様にしよう。こっちの方が好きなんだ。亀仙人様の知り合いだと知って驚いていた餃子師範と天津飯に挨拶して「師範! 試合頑張ってくださいね!」と応援した。天津飯が「そうか、超能力について武天老師様が餃子のことを教えたのか。なら武天老師様の知り合いだと初めから言えばいいものを……」と、何やら勝手に納得していたが面倒くさいので勝手に納得しておいてもらおう。あ、亀仙人様。餃子師範は私の超能力の師匠です。ええ、ええ。占いの修業してたらある日突然超能力に目覚めまして。そんな会話もした。別に嘘はついてない。占いの修業がきっかけでとは言ってない。

 

 ところでここまで悟空の奴がきょとんとした顔をしていた。確実にこいつ数年会っていなかったとはいえ私が誰だか分からないでいやがる。おい、3年前に会っただろ。チチさんほど会ってなかったわけじゃないだろ。ちょっと髪型変えて(髪質のせいで美容師を困らせた)服もオシャレ着で化粧してきたらこれだよ。そりゃあお前、ほぼ農作業とかしてる私しか見てないだろうけど。お前ほど変わってねーよ。

 しばらくして、クリリンに肘で小突かれながら「お前の姉ちゃんじゃないのか?」と言われてようやく気付いたようだ。「いい! ねーちゃんか!?」じゃないよ。言われる前に気づけよ泣くぞ。しかも変な格好してるから分からなかったとか、ここ数年の私の努力を全否定することを言うなよ。泣くぞ、泣くからな。それ以上言ったら本当に泣くからな。雑誌とか見て流行のファッションやメイク取り入れちゃってるんだからね。変とか言うなよォォォォォ!!

 

 

 とりあえず再会はこんな感じだった。初対面の人や知らなかった人にはやはり悟空に姉がいたということで多少驚かれたけど(天津飯は「悟空の姉ならそれも言えばあれほどオレも疑いは……」などと、しつこい弟子入り志願をした私にお小言を言ってきた)まあ、おおむね普通に挨拶できた。これもアルバイトやババ様の所で培った接客力のたまものよ。数年前のコミュ障な私には完全にグッバイである。

 せっかくなので試合の観戦は亀仙人様たちとすることにした。ランチさんが居るから一番いい席で見れるからな! せっかくの機会なので色々話もしてみたい。

 

 

 

 

 長くなるので、一回ここで日記を区切ろう。今日は一日の最後にまとめるんじゃなくて、臨場感を残すためにわざわざその場で日記を書いているのだ。(音声記録からタイピングに切り替えた。私の指がうなるぜ)

 

 次は待ってました本選開始!

 

 

 


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