とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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ブウを倒すのは誰だ!?やがて始まるそれぞれの戦い

「ピッコロさん、ドラゴンレーダー持ってきたよ!」

 

 無事にトランクスが西の都からドラゴンレーダーを持ち帰ったことに、とりあえずほっと一息ついた。西の都にしても各地に散らばるドラゴンボールにしても、周囲ごと魔人ブウに破壊されてはかなわんからな。早く集めねばなるまい。

 

 餃子が居れば早かったのだがあいつは今、カリン塔に住むラディッシュと避難させてきたパオズ山のサイバイマンたちの懇願によって、旅に出ているナッパとカエル共を探しに出ている。神殿までテレポーテーションでみんなを避難させたまではよかったが……タイミングが悪かったな。出来る事が多いと、それだけ周囲に頼られる。今回は先にサイバイマンたちの願いを聞いたがために、後で出てきたドラゴンレーダーを取りにいく問題に対処できなかった。

 各地に散らばったドラゴンボールは創造主であるデンデがある程度場所を把握できるのだが、あくまで「なんとなく」しかわからんのだ。やはり早急にドラゴンボールを集めるにはレーダーが居る。しかしブルマによればそこいらにある部品じゃ作れないもののようだしな……そういうわけで、実家の間取や物の場所を把握しているトランクスに取りに行ってもらうことになったのだ。

 

 それにしても、パラガスの奴め手柄だな。わずかな時間とはいえ魔人ブウを足止めするとは。おかげでトランクスの奴が安全にドラゴンレーダーを取ってこられたぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は少し遡る。

 

 あの後命を賭してベジータが自爆し、魔人ブウは完全に消滅したものと思われた。……だが、やつは生きていたのだ。

 

 魔人ブウは復活すると体力切れを起こしていた悟空と悟飯をすぐにひん死へと追い込んだ。

 俺はクリリンにチビ共をあずけてひそかに戻り様子を窺っていたのだが、魔人ブウ相手では悔しいが俺には何も出来ん……チッ、ピッコロ"大魔王"ともあろうものが"魔人"ごときに怯えるとはな。情けなくなったもんだ。しかし俺にも出来る事はある。バビディの奴を殺すことだ。

 ブウを封印する呪文はバビディしか知らないようだが、どうせ封印などする気は無いだろう。だったらやっかいな魔術を使う分、目障りなだけだぜ。

 強力なバリアを張れるようだが有利になった現状に奴は完全に油断していた。気配を消して背後を取るのは簡単だったさ。

 

 そして奴を真っ二つに引き裂くと、界王神様達を閉じ込めていた結界が解かれた。すると界王神様達は「ありがとう! ですが、悟空さんたちが危ない。彼らは私達が逃がしますので、あなたもこの場を早く離れてください!」と言うなり、ちょうど岩壁に叩き付けられた悟空たちのもとへテレポートしそのまま2人を連れてどこかへ消えてしまった。……言われた通りいったん引くのが上策だろうな。死にかけの2人が気がかりではあるが、相手は界王神様だ。悪いようにはすまい。

 

 だがせっかく倒したと思えば、この後バビディのテレパシーによって奴が生きていることを知る。クッ、厄介な奴を片付けたと思ったというのに、回復能力まで持っているのか魔人ブウは! もしくはバビディが自分で回復したかだが……どちらにせよ、無駄に芸のある奴らだぜ。

 

 

 

 

 

 

 そして神の神殿へと戻った俺だったが、残った戦力を改めて把握し頭を抱える羽目になった。

 

 現在の戦闘要員は俺、ネイル、クリリン、ヤムチャ、天津飯、餃子、18号、そしてベジータとの戦闘の後遺症で眠っている空梨だ。

 ガキどもを入れればもう少し多いが、空龍は弟妹達と再会することで多少覇気を取り戻したが未だに父親が目の前で死んだことにショックを受けているようであてには出来ない。未来空龍は逆境の中で育っただけあって泣き虫だが立ち直りとやけっぱちの空元気、無駄な行動力には侮れないものがあったが、こちらの空龍は幸せに育っている分こういう時に打たれ弱い。それが悪い事だとは言わんし仕方がないが、戦いの天才だけに現状であてに出来ないのは痛い。……ケッ、ガキをあてにしてる自分が一番情けないぜ。

 悟天とトランクスはデンデに回復してもらって体こそ治ったが、こいつらも心に受けた傷は深いだろう。だがベジータとラディッツの死や悟空、悟飯の生死不明など現状を知ってしばらく泣いたあと、先ほどから2人して互いに相談を繰り返し真剣な表情で何やら考え込んでいる。……精神的にはこの2人のが強いようだな。

 

 

 

 

 まあ、こうして見てみると数だけは多いわけだ。数だけは、な。……悔しいが、俺を含めて魔人ブウと正面から戦える者は居ないだろう。

 

 かつてセルとの戦いで悟飯がスーパーサイヤ人ゴッドというものになった。

 可能性を考えるならば勝つにはこれしかないだろうな。あれは気の大きさこそ感じ取れなかったが、その実力は凄まじいものだった。正しい心を持ったサイヤ人が6人いなければならないが、空梨、空龍、龍成、エシャロット、パラガスの純サイヤ人に加えてハーフの悟天とトランクスも居る。数だけで考えれば、なんとかなるだろう。

 

 問題は誰をゴッドにするかだ。

 

 ドラゴンボールを集めて戦闘に長けた者が生き返ればそいつをゴッドにすればいいが、現状で生き残っているサイヤ人はチビどもと空梨、パラガスだ。パラガスは論外だろう。良い働きをしたが、もとの戦闘力はエシャロット、龍成を除いたチビどもにすら劣る。チビどもは精神的に心配だし、戦闘スタイルが守りに特化しているものの現状での最良は空梨をゴッドにすることだが……奴は未だに目を覚まさない。

 

 しかし今は焦っても仕方がないな。急いては事を仕損じる。

 地上の奴らには悪いが、それもドラゴンボールが集まるまでの辛抱だ。とにかくドラゴンボールで願いを叶えてから策を広げなければ。

 

 

 

 

 

 ………………そう、思っていたんだがな。

 

 

 

 

 

 

「すまん。俺たちが願いを叶えたばっかりに、ドラゴンボールが使えなくなってしまった……」

 

 そう言ってうなだれたのは餃子が連れ帰ったギニューの野郎だった。ちなみに見慣れたカエルの姿ではなく、角の生えた大柄な宇宙人の姿に戻っている。

 ジース、ナッパと共に「元の姿に戻ったら地球でやりたい100のこと」を実行していたらしく、今まで南国でバカンスをしていたらしい。元の姿のインパクトが強いうえに原色のアロハシャツが目に痛いな……。

 

「ですが隊長、我々が願いを叶えたのはちょうど1年ほど前。きっと、もうすぐ使えるようになるはずです!」

「しかしジース殿……現状ではその数日が長いのです。申し訳ありません。私が残った願いで「人の言葉を話せるようになりたい」などと欲張りさえしなければ、ドラゴンボールはもっと早くに復活していたでしょうに……」

「ナッパ、気にするなよ。お前が悪いんじゃない! 俺はお前と話せるようになって嬉しいんだぜ」

「オラも嬉しいだ! おめぇさんと喋れるようになるなんて夢みてぇだなぁ。悟空さと悟飯ちゃんが知ったら驚くだぞ! ……だからあまり気に病まないでほしいだよ。こういうことだって世の中ある。ちょっとばかり運が悪かっただけだ」

「そうだぞ。誰もこんなことになるなんて考えてなかったんだ……お前たちのせいなんかじゃないさ」

「ヤムチャ殿、チチ殿、クリリン殿……かたじけない」

 

 ……サイバイマンのナッパが話せるようになっていたことには正直驚いた。まあ、それはいい。

 

 聞いての通り、ギニューとジース、ナッパというセル戦後にドラゴンボールを探して旅立ったこいつらは、1年ほど前にやっとドラゴンボールを集め終わって願いを叶えたらしい。叶えた願いはギニューとジースを元の姿に戻すこと、ナッパがしゃべれるようになること、そして残った願いはともに切磋琢磨し競い合ったライバルに譲ったそうだ。

 

 つまり、ドラゴンボールはすぐに使えない。チッ、どうりでレーダーに反応がないわけだ。誰が悪いわけでもないが……ことごとくタイミングが悪いぜ。

 

 そういえばギニューたちが神龍を呼び出したのに気づかなかったが、聞けば願いを叶えたのは「周囲の人間を驚かせてはいけないから」と気を使ってわざわざ夜の時間帯を選んでの事だったらしい。妙なところで気を使う奴らだと思ったが、発案がナッパであると聞いて妙に納得してしまった。昔からこいつは気遣い屋だったからな。

 

 

 とりあえず、そうなると現段階で最良の策と言えば何か。簡単だ。

 

 

「よし、空梨を叩き起こせ。奴をゴッドにするぞ」

「や、やけになるなよピッコロ。気持ちはわかるけどさ……空梨さん、一応病人だぜ?」

 

 クリリンに止められるが、どうせしぶとい奴のことだ。目を覚ませばケロリとしているだろう。

 実際先ほど様子を見に行ったが、数時間前まで乱れていた気は正常に戻っていたしな……よだれたらして呑気な顔で眠ってやがったぜ。起こしても構わんだろう。

 

 そう思っていた矢先だった。

 

 

『お~い、お前たち、聞こえるか~』

「え!? き、急に頭の中に声が……!」

「! 界王か!」

『バッカも~ん! 界王様と呼ばんか、界王様と。おぬし、わしでさえ会ったことが無い界王神様に会って調子に乗ってるんじゃないか? わしだって偉いんだぞ~!』

『おい、少しいいか、話させてくれ』

「!? お、おい! この声って……」

「お父さんだ!」

「「おとうさん!?」」

 

 界王の言葉を遮って次に聞こえてきたのは死んだラディッツの声だった。すぐに空龍と双子が反応しキョロキョロと周囲を見回すが、神殿の広場にその姿は見つけられない。まあ当然だ。界王……様と一緒に声が聞こえてきたということは、あの世にある界王星に居るということだからな。

 

『ベジータとセルも居るぞ』

『……フンッ』

『やあ、諸君。ところで死んだと思っていたが、タピオンは無事だったようだな』

 

 続いて聞こえてきた声に、それぞれの家族と友人が反応する。

 

「ベジータ、ベジータなの!? あ、あんた……なんで勝手に死んじゃうのよ! こんな可愛い妻と子供を残してさっ! ぐすっ」

「ぱ、パパなんだね!? え、どういうこと? 今どこにいるの!?」

「セル……! セルなのか!? すまない。みすみす君を死なせてしまったというのに、俺は生き延びてしまった……いや、でもこの声は何処から? 神託の類か……!?」

「兄さんは無事だよ! 危なかったけど、神様が治してくれだんだ!」

 

『こら、お前たち一気に話すな! ……え~、こほん。どうしてこいつらがわしと一緒にいるかじゃがな、どうせすぐに生き返らせると思って閻魔に無理を言ってわしが引き取ったんじゃよ。……ま、まあヘビーな蛇の道をあっという間に踏破してきたのには驚いたが。ぷぷっ、おっと、思わず漏れ出た高度なギャグに笑ってしまったわい。ごほんっ、それでだな、死んでる間の出来事を把握しておいた方が何かと便利じゃろ? 閻魔は渋い顔をしとったが、どうせドラゴンボールで生き返るだろうと言ったらため息交じりで許可してくれおったわい。いやぁ、死人が生き返ったりなんだとあの世の管理人も忙しいのぉ。それにしてもわしったらナイス! まあ、界王神様が直々に出向いて働いておられるのにわしが何もせぬわけにいかんしな。ちょっとでも役に立てないかと考えたんじゃよ』

「………………………………」

 

 意気揚々と話す界王だったが、俺たちの間で気まずい沈黙が横たわる。

 その中で意を決して口を開いたのはデンデだ。流石地球の神。立派になったな、デンデ。

 

「あ、あの、界王様」

『うん? 何だ~地球の神よ』

「大変申し上げにくいのですが……ドラゴンボールは使用されて現在石になっている状態なのです。もう少しでもとに戻るらしいのですが……」

『何ぃ~!? あ、いてっ』

 

 界王様がのけ反って驚いてる様が目に浮かぶようだぜ……そして勢い余って転んだな。

 しかしドラゴンボールが使えないことを嘆く前に、ベジータの野郎が提案してきた。

 

『ならナメック星のドラゴンボールはどうだ』

「! そうか」

 

 俺としたことが冷静を装いながらも相当混乱していたらしいな……こんなことにも気づかないとは。

 

「だがナメック星まで最短で6日はかかるんだったな……それからドラゴンボールを集めるとなると、もう少しかかる。その間にブウのやつが勢い余って地球ごと破壊しなければいいが……」

「待って、大丈夫よ! ナメック星までなら最短で1日、最長で3日で到着できるわ!」

「なんだと?」

 

 興奮したように挙手して発言したのはブルマだ。以前ネイルが使った宇宙船はカプセルコーポレーション製……ならば、その話の信憑性は高い。

 

「ふふふっ、デンデって神様と言ってもまだ子供じゃない? たまには里帰りしたいと思って、宇宙船の改良を進めてたのよ。あたしだって最長老様に潜在能力を開放してもらったんだから、これくらい楽勝よ!」

「え、でもそのわりにママ、最近宇宙船放置してたよね?」

「う、煩いわね。忘れてたのよ……他の研究もあったし。でも大丈夫よ、動くわ! そうと決まれば善は急げね。ねえ餃子、カプセルコーポレーションまで言って宇宙船のカプセルをとってきてくれない? パパに聞けばわかるから!」

「……オレ、ドラゴンレーダー取りに行った意味あったのかな。色んな意味で」

「ま、まあそう言うなよトランクス。そういうこともあるさ」

 

 …………とりあえず、方針は決まったな。ナメック星のドラゴンボールで死んだサイヤ人を生き返らせてゴッドにして、ブウに勝つ。実に簡単だ。簡単なだけにうまくいけばいいが、という言葉が続くが。

 

 だが、ここでさらに別の意見が出る。

 

 

「のう、ドラゴンボールもそうなんじゃが……ここはちと、姉ちゃんに頼んでみるのはどうじゃ?」

「武天老師……姉ちゃんって……ああっ! う、占いババ様!」

「! そ、そうか。占いババなら死人を一日だけこの世に戻せるんだったな」

 

 ! そ、そうか。セルの時、悟空が使ったあれか。いかん、忘れるところだった。人数が多い分、こういう情報の取りこぼしが少なくなるのは助かるな……。

 

「よ、よ~し! これで何とかなるんじゃないか? ナメック星にもいかなくて済みそうだ」

「しかしクリリン、ナメック星のドラゴンボールは一応確保しておいたほうがよくはないか。ナメック星には頼ってばかりで申し訳ないが……今回の事を思い出せ。いつ不測の事態が起こるか分からん。保険はあった方がよいだろう」

「ああ、天津飯に同意見だ。それに、私たちがここに居ても出来る事はないだろうからな。せめて何かさせてほしい……ナメック星は私の故郷だ。私が出向こう」

「なら俺も行くよ」

「俺もだ」

「なら、俺も連れて行ってくれないか。セルもそうだが、地球の方々にも大きな恩が出来た。戦闘では役に立てそうにないが……せめて何か出来る事で恩返しさせてほしい」

「じゃあ、俺も行こうかな。ネイルさんの言う通り、魔人ブウ相手じゃ役に立てそうにないや」

 

 各自が意見を出し合い、こうしてナメック星へはネイルと天津飯、ヤムチャ、クリリン、タピオンが行くことになった。他の面々もついていこうと申し出る者が居たが、宇宙船の大きさ的にあまり大人数では無理がある事、いざという時に地球でなにかしらの対処ができる人数を多くしておいた方が良いということでこの5人に決定した。

 そもそも行く必要があるのか(界王のテレパシーがあるためだ。ナメック星人は自分たちを救った地球人に恩を感じているので事情を伝えれば協力してくれるだろう)、行く人数はもっと少なくとも済むのではないかという疑問も出たが、結局ナメック星でドラゴンボールを集める必要が出てきたため収集要員が必要になったのだ。それは途中で界王が『だったらわしがナメック星人にドラゴンボールの件頼んでおこうか?』を気を利かせたのだが、その結果ドラゴンボールが再使用可能になったのがつい最近らしく、再び手元に置くために長老たちが現在探している途中だったことが判明したためだ。ナメック星人にまかせるよりも、レーダーを持つこちらが出向いて集めた方がはるかに速いだろう。

 

 そういえばタピオンの封印が解かれたのとミノシアが生き返ったのはナメック星のドラゴンボールのおかげだと言っていたな……思ったより最近の話だったようだが、4か月経っていたのは幸いだ。でなければ地球同様使う事すらできなかった。ドラゴンボールはレーダーが無ければ探すことが困難なため、知らず自分たちしか使えないと思い込んでいた弊害だな。

 

 奇跡が常にそばにあるのも考え物だ。油断を招く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで界王様、何でセルまでそこにいるんだ? 一応タピオン達に話は聞いたけどさ……あなた、一回セルの自爆で死んでるじゃないか。よく招き入れましたね」

 

 クリリンの質問に、俺を含めて気になっていた面々が顔をあげる。そして今まであまりしゃべらなかったタピオンとミノシアが口を開いた。

 

「あ、あの! 地球で何があったのか、セルと皆さんの間で何があったのか俺たちは知りません。ですが、俺たち兄弟は間違いなく彼に助けられました! どうか、セルも生き返らせてはもらえませんか。代わりに俺の命をささげても構いません!」

「ぼ、僕からもお願い! 今じゃなくてもいいんだ。ナメック星でも地球のドラゴンボールでもいいから、どうか……!」

『おいおい、落ち着かないか2人とも。それにタピオン、君はそう簡単に命を投げようとするな。自爆までした私が馬鹿みたいだろう?』

「セル……」

『ま、まあわしも迷ったんじゃが……心の邪気がだいぶ消えておったんでな。きっとタピオン達のおかげじゃろうて。ならばと、少しでも戦力になる人数は多い方がよかろうと一緒にひきとったんじゃよ』

 

 界王の言葉に少しざわつくが、何故か俺を見た後に「こういうこともあるか、今まで無かった例じゃないし」とそれぞれ勝手に納得したようだ。待て、それはどういう意味だ。

 

 とりあえず、話はそこで終わりかと思われた。だがそれに待ったをかけたのはトランクスと悟天だった。

 

 

「ねえ! でも、パパたちが帰ってくるまでに魔人ブウが何かしないって保証はないでしょ? あいつ、一瞬で街をぶっこわせちゃうんだぜ? ちょっと放っておくだけでも人がいっぱい死ぬかもしれない! だからさ、俺たちにもう一回戦わせてよ!」

「うん! 今度は絶対に倒して見せるから! お願い!」

「おいおい、2人とも何言ってるんだよ。あの悟空たちでさえかなわなかったんだぜ?」

「でも俺たちにはフュージョンがある!」

「フュージョン?」

 

 トランクスが言った言葉に反応したのはギニューだった。

 

「聞いたことがあるぞ。メタモル星人の秘儀だな? たしか、2人の戦士が融合することでより強力な戦士へ変身する技だ」

「なんですって!? な、何故それをあの2人が知っているのですか」

「知らん。本人たちに聞け」

「うんとね、僕達前にお父さんから「面白い技があるぞ」って教えてもらってたんだ!」

「ポーズがちょっとださいから今までやらなかったんだけど……でも、やり方は覚えてるよ! きっと少し練習すればすぐに出来るようになるさ!」

 

 しかし張り切る子供たちに待ったをかけたのはベジータだった。

 

『待て。お前たち、ヒルデガーンに手も足も出んかっただろう。正直パワーだけならブウよりヒルデガーンが上回るが、それを抜きにしてもブウは強い。……お前たちでは死ぬだけだ。やめておけ』

 

 だが、チビ2人も黙って引き下がりはしない。

 

「でもパパ、俺悔しいんだ! パパが死んでまで俺たちを助けようとしてくれたのに、お、俺……何も出来なくて……! もっと頑張らせてよ! パパは王様なんでしょう? だったら俺、王子じゃん! 王子がこのまま黙って待ってるなんてかっこ悪いだろ!?」

『トランクス……』

「おじさん、僕は王子様じゃないけど……僕だって、お父さんやお兄ちゃん、おじさんの代わりにブウをやっつけてやりたい!」

「ご、悟天……。でも、危ないよ、もしかしたら、今度は2人が死んじゃうかもしれないんだよ?」

「心配しないで。絶対大丈夫だからさ! 空龍、いっつも助けてもらってるけど今回は僕達が助ける番だよ! 絶対おじさんの仇をとってやるんだ!」

 

 ……どうやら、2人の熱意は止めて止まるようなものではないらしいな。

 実際この2人の戦闘能力は凄まじいものがある。それが融合し、一人の戦士になるのだ……強くないわけがない。それがブウに通用するかはわからんが、出来る対策はしておいた方が良いだろう。

 

「ベジータ、お前の息子を信じてみてはどうだ」

『ピッコロか……しかし』

「気持ちは分かるが、まずはやらせるだけやらせてみないか。融合した結果、勝ち目がなさそうなら俺が責任をもって止めよう。どうだ?」

『……………。フンッ、勝手にしろ』

「ありがとうパパ!」

「ありがとうおじさん! 僕たち頑張るよ!」

 

 

 今度こそ方針がまとまった。

 

 本命はスーパーサイヤ人ゴッド。副案でチビどものフュージョンだ。

 

 

 

 そしてチビどもだが、デンデとミスターポポの勧めで”精神と時の部屋”を使いフュージョンの練習をすることになった。あの部屋ならば時間を気にしなくていいからな。まあ、2人が練習している間にゴッドで片が付くのが一番良いのだが。

 

 ちなみに部屋に入る前に傍からポージングや気の大きさなどを見て指摘する指導役は俺と空梨が担った。どうやらチビ共によれば自分たち以外にフュージョンをよく知ってるのは空梨だけのようだしな。叩き起こして寝ぼける空梨を加えて指導したが、2人がもとからある程度フュージョンの形を理解していただけに形が出来上がるのは早かった。

 あとは2人が精神と時の部屋でフュージョンを完成させるだけだ。

 

 

 

 さて、忙しくなるな。ここからが正念場だ。

 サイヤ人たちに頼る形であるのが情けないところではあるが……しかし、これ以上地球をめちゃくちゃにされてたまるか!

 

 魔人ブウ、魔導士バビディ。貴様らの良いようにはさせんぞ! 首を洗って待っていろ!

 

 

 

 

 




登場人物が集まって来て数が多くて会話にひーこら。む、難しい……!



追記

※原作と本作とピッコロさんの一人称が混ざって、あれ、バビディ死んでるんじゃ?というふうに読めてしまったようなので修正しました。今回ごちゃごちゃしていて描写不足など色々と分かり辛くて申し訳ありません;

更に追記

今回色々設定を忘れていて穴ぼこだらけでお恥ずかしい……!感想欄でご指摘いただきありがとうございます。色々と修正しました。

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