思いつかなかったんです。
エイトからの報告書を貰った、次の日。
俺は、織斑先生に相談室に呼ばれ、入ると同時に、四肢を椅子に拘束された。
「何故、俺は拘束されているのでしょうか?」
「分からんか?お前のパソコンにあった、デュノアに関するありとあらゆる情報、此れだけで理解するには、十分だろ?」
「そうだった、俺の同室者は、生徒会長だった」
椅子に拘束され、何故そうなったのか、織斑先生から知らされた俺は、自分の最近の危機感の無さに、痛感した。
其れより、エイトの事は、言うのはダメだから知り合いとだけ、言っといた方が、良いだろうな。
「其れを何処から手に入れた?」
「知り合いの超凄腕の探偵に頼んだんですよ、昨日の朝に頼んだら、偶々イギリスに居たらしく、放課後には、ご覧の通りの情報を集めて来て、くれましたよ」
「お前の交流関係は、束の居場所以上に、不思議だな其れで、何故デュノアの事を調べた?」
まぁ、織斑先生は、理由の無い事で俺が、動く訳が無いと知っているから、何故調べたのか、聞いてきた。
「デュノアみたいな事は、想定していたので、こっちに何かやって来た時の抑止力やら、制裁材料の為ですけど、デュノアは、母親の方を制裁する予定ですよ、まぁ直ぐには、実行しませんけど」
「どのみち、するのなら変わりは無い、くれぐれも私達に厄介事を与えるなよ」
「そこらへんは、心配しないでください、デュノアとの関係性を公表させずに、やって貰うつもりなので」
そう返した俺は、縄抜けをし、学園の周りを散策しに、相談室から出て行った。
アリーナの辺りを通りかかった時、面白そうな予感が感じたので、入ってみると、織斑とデュノア、織斑に惚れてる連中の五人で、ISの練習をしていた。
「努力は、認めるが、ありゃダメだな」
デュノアは、あの三馬鹿に比べれば、教え方が良い方だが、肝心の織斑が、其れを理解していない。
まぁ、あの三馬鹿の説明が…………。
『こう、ずばーっとやってから、がきんっ! どがんっ! という感じだ』
『なんとなく分かるでしょ? 感覚よ感覚。……はあ? なんでわかんないのよバカ』
『防御のときは右半身を斜め上前方へ五度傾けて、回避のときは後方へ二十度反転ですわ』
だから、だいぶマシだろ。
其れでも、織斑達の特訓は、続いたが、乱入者が其処に現れた。
「ねえ、ちょっとアレ……」
「ウソっ、ドイツの第三世代型だ」
「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど……」
急にアリーナの女子たちがざわつき始めた、俺はその注目の的に視線を移す。
其処には、デュノアと同じ時期に転校して来た、ボーデヴィッヒの姿があった。
その身には、専用機と思われる黒い装甲が纏われていた。特に目を引くのは、右肩部の巨大な砲身、精度、威力ともに高そうな印象を受けた。
其れより、機体カラーが、黒だったら俺と被ってるだろが!
「おい」
ISの
「……なんだよ」
織斑はしぶしぶ答えた。
「貴様も専用機持ちのようだな、なら話は早い。私と戦え」
「イヤだ、理由がねえよ」
「貴様には無くても私にはある、――貴様がいなければ教官が大会二連覇の偉業をなしえただろうことは容易に想像できる、だから、私は貴様を――貴様の存在を認めない」
確か織斑先生は、第二回大会を辞退したんだったな、天災さんにこの事を聞いたら、何と織斑がその時誘拐されていて、織斑先生は助ける為に、決勝を辞退したとの事。
あの人、何だかんだ言って、織斑はたった一人の家族だからな、まぁ“人造生物”に家族愛なんて知る筈も無いか。
「また今度な」
「ふん、そうか、――戦わざるを得ないようにしてやる!」
ボーデヴィッヒはその漆黒の機体を戦闘状態へシフトさせ、肩に装備された大型の実体砲が織斑に照準を合わせた。
俺の中では、結論を既に決めていた。
槍を呼び出し、ボーデヴィッヒの眼の前に投げ付ける。
「なんだ!」
「織斑を助ける気は、無かったが、気が変わった、取り敢えず死んでみるか?人造生物?」
「貴様!」
「遅い、果てしなく遅い」
「がっ!?」
突如、現れた俺に、標準を変えて牽制のつもりだったのだろうが、人造生物と言う言葉に、狂い出し、引き金を引こうとしたが、既に背後に移動していた俺の蹴りで、ISごと壁に吹き飛ばされた。
『そこの生徒! 何をやっている! 学年とクラス、出席番号を言え!』
アリーナのスピーカーから教師の声が聞こえた、大方騒ぎを聞きつけたんだろう。
「……くっ、今日は、引いてやる」
「“引かせて下さい”の間違いだろ?」
アリーナを出て行くボーデヴィッヒから、向き直り槍を引き抜く。
「ドイツの無能兎隊長か?憧れの人を理解しないで、バカな奴だな、織斑、ボーデヴィッヒの奴が気になるなら、明日の朝、此処に来い、色々と教えてやるよ」
「あ、ああ」
織斑に言うだけ言って俺は、その場を後にした。