織斑達の試合が始まり、一対一の戦いが、二つ同時に行われていた。
ボーデヴィッヒは、織斑が、篠ノ之をデュノアが相手をすると言う、戦いと言うより、公式戦の様な雰囲気だった。
試合を見ていた姉さんが、俺に問いかけてきた。
「其れで、織斑君達の動きは、闘いのスペシャリストの夕紀から、見ると如何なのかな?」
「スペシャリストは、やめてくれ、そうだな、一見織斑の動きは、良い様に見えるが、あれはデュノアが、しっかりと篠ノ之の相手をしながら、織斑の事をサポートしているから、そう見えているだけ、この試合で評価出来るのは、デュノアが一番かな、ボーデヴィッヒは論外として篠ノ之は、経験が一番少ないから除外、織斑は、まぁさっき言った通りだな」
「ふぅん、夕紀はあのボーデヴィッヒって、娘が嫌いなんだね」
俺の説明の後、姉さんはアリーナに顔を向けると、俺がボーデヴィッヒの事を嫌っている事を言ってきた。
姉さんが、俺の気持ちを読み取るのは、今に始まった事では無いから、驚かなかったが、その後に姉さんが、俺に何かを言うのを、感じた俺は、何を言って来るのか、構えていると、姉さんが口を開いた。
「夕紀が、だいたいの人を悪平等で、見ているのは知ってるけど、あのボーデヴィッヒって娘には、人に対する様な事を思って無いね、まぁ深くは聞かないよ、聞いたところで、私には関係無いことだしね、あ、篠ノ之さん倒されちゃったね〜」
姉さんが、話している時に、篠ノ之が丁度デュノアに落とされた。
七、八分耐えたのは、初心者にしては、良い方だと思いつつ、デュノアが、織斑のサポートを積極的に始めて、ボーデヴィッヒの戦況が、一気に不利になった。
「此れは、決まったな、ボーデヴィッヒは自分の弱点を認めていないから、二対一では、勝てるはずも無いな」
「そうだね、あの娘が勝つには、自分の力とか絶対的な力だと、思っているのかもね」
「ふんっ、絶対的な力があったところで、大切な人を守れなきゃ、無駄でしか無いね」
「こらっ、自傷するのは良いけど、引きずり過ぎだよ、文ちゃんの事は、忘れろとは言わないけど、前に進まなきゃ、文ちゃんに見せる顔が無いよ、分かってる?」
「分かってるさ、分かってるつもりさ」
「もう、そう言う事にしといてあげる」
姉さんは、自傷気味に笑う俺を小突いて、前に進む様に軽く叱るが、俺はまだ文の事を引きずってしまう。
あの日、俺の眼の前で、銃弾に撃たれた文の姿は、俺の頭に強く焼きついているのだから。
そして、デュノアによって、ボーデヴィッヒが追い詰められた時、異変は起こった。
「あ"あ"ああああああ!!!」
突如ボーデヴィッヒが、悲鳴を上げたのだ。
その後、ボーデヴィッヒのISが、機械とは思えない物体に変わり、ボーデヴィッヒを飲み込んでしまった。
「姉さん」
「良いよ、でも絶対に無茶はしない事、無茶したら姉さん泣いちゃうよ?」
「ははは、じゃあ10回ぐらい殴って、ダメだったら、諦めるよ、じゃあね姉さん」
突然の事に、騒がしいアリーナの中で、俺は姉さんと居た場所から離れ、アリーナのシールドの所まで、飛び降りる。
「ふっ飛べや!」
俺が、いきなり現れた事に驚いていた生徒達は、俺がシールドを殴り壊した事に、又もや驚いた。
「まず、一発!」
フィールドに降りた俺は、その瞬間に、異形のISを殴りつけ端まで、吹っ飛ばす。
「ゆ、夕紀?!」
「おい、織斑何にキレてるか知らんが、俺が後9回殴るまで、手出しするなよ」
「………手を出したら?」
「お前諸共、彼奴をぶっ飛ばす」
突然の出来事に、デュノアは驚きの声をあげ、何故か怒り心頭の織斑に、手を出すなと忠告しておく。
デュノアは、大丈夫だろうが、織斑は何をするか分からないので、織斑の問いには、冗談抜きで、即答する。
「取り敢えず、
“Valkyrie Trace System 通称VTシステム”
小声で、刀神に問いかけると、刀神から答えが返って来た。
簡単に言うと、織斑先生の
織斑が、キレてる理由が分かったな、後は適当にぶん殴って、織斑に譲るだけだな。
「先ず、1回そして、二回!」
俺を斬ろうとした、劣化織斑先生の攻撃を避けて、拳を上に振り抜く。
出来損ないは、回転しながら、宙に上がった。
「さーんっ!」
同じ高さまで上がった俺は、三発目を当て、足場を作って、4、5と続けて二回瞬時に殴った。
流石は、専用機で5回殴った所では、ヒビすら入らなかった。
「さっさと終わらす、6!7!8!9!」
空中を高速で動く俺の攻撃を、出来損ないは避ける事は出来ず、サンドバッグ状態になった。
そして、出来損ないより高く飛んだ俺は、落下速度を加えた拳撃で、出来損ないを地面に叩き落とす。
だが、出来損ないはボロボロな状態だったが、グラグラと立ち上がった。
「おい、織斑!やるなら今やれ!」
「ああ!うおおおぉぉぉ!!」」
俺の激昂に、織斑はブレードを構えて、出来損ないを斬り抜いた。
その後には、ボーデヴィッヒをお姫様抱っこした織斑が、満足した顔で立っていた。
柄にもなく、叫んじまったな、姉さんに絶対からかわれるだろうな。