煌めく海原に、我思う、何故泳がねばならない。
「と言う訳で、臨海学校に行かなくていいですか?」
「どう言う訳かは、知らんが却下だ」
俺の想い悲しく、俺は臨海学校に行く事になってしまった。
「はぁ」
バスに乗って、何度目かのため息を漏らす、別に泳げない訳では無い、唯ちょっとした、嫌な思い出があるから、余り海には、行きたく無いのだ。
「如何したんだよ、さっきからため息ばっかりして」
「気にすんな、前に嫌な事があったんだよ」
あれは、二度と忘れないだろう、姉さんが無理矢理にも、口付けしようとして、海底に引きずり込まれた時は、本当に死を覚悟した。
最初は、笑ってた彼奴らも、途中からかなり慌てだしたのは、今でも笑える。
ヤンデレもびっくりの、姉さんのあの病んだ顔は、死ぬまで俺らは、一生忘れないだろう。
「はぁ、だっるいわー」
「はぁ、きついな何か」
織斑、お前は気付いていないだろう、お前の事が好きな奴が、お前の隣に座っている俺の事を睨んでいる事を。
睨まれているこっちとしては、たまったもんだじゃ無いが、その睨まれる原因の本人が、アホらしい顔をしているから、余計こっちが疲れてしまう。
「着いたぞ、全員降りる様に」
海が見えて、少ししたら宿に到着した様で、織斑先生から降車する様に言われ、生徒達は手荷物などを持って、バスから降りだした。
「ここが、今日から三日間お世話になる花月荘だ」
『よろしくお願いしまーす』
出迎えた女将さんに全員で挨拶する。
「はい、こちらこそ」
この旅館は毎年お世話になっているらしく、女将さんも慣れた様子だった。
「こちらが噂の?」
女将さんが俺と織斑を見て言った。俺たちは軽く会釈した。
流石の俺も、初対面の人に対しての所作は持っているつもりである。
「ええ、まあ。今年は男子が二人いるせいで浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」
「いえいえ、そんな。それにいい男の子たちじゃありませんか。しっかりしてそうな感じですし」
「感じがするだけです。無礼者共です」
無礼者とは酷い言われようである。
其れに、俺はちゃんと節度を持っているつもりである。
「それじゃあみなさん、お部屋の方へどうぞ、海に行かれる方は別館の方で着替えられるようになっていますから、そちらをご利用なさってくださいな、場所が分からなければいつでも従業員に訊いてくださいまし」
はーい、と返事をする女子たち女将さんは生徒たちにそう言うと、旅館の中へと戻っていった。
「其れより、俺と織斑の部屋は何処ですか?」
後ろを歩いていた女子達が、俺の言葉に動きを止めた。
其れは、俺と織斑の部屋が、部屋割り表に書かれていなかったからだ。
多分、何人かは、乗り込もうとでも考えているのだろう、篠ノ之辺りが特に。
「お前達は、私達教師の部屋だ」
「まぁ、妥当な事ですね」
その言葉に、何人もの女子達が、落ち込んだのが見えた俺は、心の中で笑っていた。
人生そう甘く無いのだ、突然、最愛の人と死別する事だって、あり得るのだから。