IS〜憎しみを抱える少年〜   作:TENC

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奇跡は、信じる者にしか訪れない。
奇跡は、否定したら何もかもが、朽ち果ているも同然だ。
奇跡は、時に人を変え、人の道を示してくれる。



再会、誓い、覚醒

扉、そう扉だ。

例えるなら、古い城の入り口の様の扉くらいの大きさの扉。

俺は、今その扉の前に立っている。この光景は、実は何度か見た事がある。

だけど、その全てで見た扉は閉まっており、押してもビクともしなかった。

けど、今回は違った。扉が少し開いており、淡い光が扉の中から漏れている。

 

「死んだら、開かれるとかだったら嫌だが、折角開いているんだ。見るっきゃ無いよな」

 

俺は、覚悟を決めて扉を押すとゴゴゴッ!と大きな音を立てて、扉が開き中の光景が、俺の眼に入ってきた。

その光景に、俺は見覚えがあった。

 

「“御祓ヶ原(みそぎがはら)”文と一緒に来てから見てなかったけど、確かこんな感じだったな」

 

御祓ヶ原。文のばあちゃんの家の近くにあった。広大な草原の名前だ。

だけど、何が何だか分からなかった俺は草原をゆっくりと進んでいく。

そして、誰か居るのに気付いた。

 

俺は、その誰かに近づいて行くと涙が溢れてくるのが分かった。

だって其れは

 

「何で、お前が居んだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“文”!」

 

呼ばれて、顔を向けたのは忘れる筈が無い俺の最愛の幼馴染だった。

 

 

 

 

 

 

「久しぶり、夕紀」

 

「何で、何でお前こんな所に居るんだよ」

 

文は死んだ。其れは認めたくない真実だ。死んだ人物に会うなんて、そんなファンタジーな現象なんて知らないし聞いた事もない。

俺の頭は、一つの事に辿り着いた。

 

「もしかして、俺って死んだ?」

 

「うんん、夕紀は“まだ”死んで居ないよ」

 

文は、首を横に振り否定してきたがまだと言う言葉を俺は聞き逃さなかった。

 

「まだって事は、死ぬかもしれないって事か?」

 

「そんな感じでも、夕紀のISの安全装置見たいのと、所謂奇跡で、夕紀は今生と死のスキマに居るんだよ。凄いね奇跡って」

 

「………ククッ」

 

「夕紀?」

 

笑うしか無い。あるとは思ってたけど、まさか自分が体験するなんて思わない。

死者との、其れも最愛の幼馴染“文”との再会なんて、夢にも思わなかった。神様は本当に居るのかもな。

顔を手で抱え、笑いを抑える俺を文はどうしたのだろうかと近寄って来た。

まぁ、確かにいきなり笑いだしたら、誰でも心配するか。

 

「なぁ、文」

 

「ん?」

 

「無いと思うけど、俺の事天国(そら)から見てたり?」

 

草に腰を下ろし文を見上げ気になった事を言うと、文は軽く笑うと、俺の隣に腰を下ろした。

 

「見てたよ。でも全部じゃないけどね」

 

「はは、なさっけ無いな俺って。でもやれる事は沢山やって来た。でもさ文」

 

「ん?」

 

言葉を止めて、文の名前を呼ぶ。

文は、首を傾げながら俺のところを向いて来た。

 

「たった一つ、やり残した事があるんだよ」

 

「何かな其れは?」

 

文は、多分気付いているのだろが態と知らない様に答えて来た。

文と眼を合わせると、文の頭に手を回して自分の顔に近づかせて口付けをする。

 

「んぅ……」

 

無理矢理だったが、文は離れようとはしなかった。

口付けを止めた俺は、文の眼を見て一言だけ

 

「愛してる。死んで居ようが、お前だけを」

 

「強引だね。でも、嬉しい」

 

と、文はその言葉を聞い少し困った顔をしたが直ぐに微笑みを返してきた。

そして、俺は長年のしがらみから解放された感じがした。

 

「なぁ、お前は俺自身でもあるって、言ってたなよな“刀神”?」

 

文の頭から手を離した俺は、後ろを振り向いて言葉を放つ。

其処には、美しい黒い着物を着た。刀神のコア人格が笑ったまま、頷いていた。

 

「じゃあ、俺が何をしようとしてるのかも、知ってるよなる」

 

「うん」

 

たった一言だけだったが、今はそれだけで十分だった。立

ち上がった俺に、文は話しかけてきた。

 

「行くの?」

 

「ああ、また会いに来るなんて、言いたく無いけど90年後くらいにまた会おうな」

 

「ふふ、長いよ。でも私の分まで生きようなんて、考えなくて良いよ。唯長く生きてよ?」

 

「任せろ」

 

近くにいた刀神が差し出した手を取った俺は、文と別れ現実(リアル)に戻っていく。

 

 

 

 

「さぁ、やろうか!“夜刀神(ヤトノカミ)”!」

 

俺は、“完全移行(パーフェクトシフト)”をした俺の相棒と共に福音に、リベンジマッチに、再起動した。

 

 

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