明日から、本格的に学園祭の準備が始まるが、今の俺には関係無い。
そんな事を考えながら、夕方で、誰もいないアリーナの真ん中で、唯何をする訳でも無く、空を見上げながら立っていた。
「何かご用ですか?楯無先輩?」
俺の後ろに立っていた、楯無先輩に問いかけながら、振り向く。
「別に?唯、貴方と戦ってみたかっただけよ、織斑先生を倒す程の力を持った貴方と」
挑戦しに来た先輩の言葉、もちろん俺が返す言葉は、決まっている。
「遠慮します」
「あら、何故かしら?」
先輩も、もちろん聞き返す。
「織斑先生は、俺や俺の親友達と同じ人間、でも貴女は、こっち側じゃないんです」
「こっち側って?」
「貴女は、まだ人の域を超えていない、普通の人より上なだけで、貴女自身は俺の域に達していないんですよ」
「減らず口ね」
「よく言われます」
主に姉さんから。
織斑先生は、今までで一度も本気を出していないから、底が知れないが、底が知れないのは日高もだけど、あの二人には、本当に全力でやらねば、負ける。
まぁでも、俺も今までで一度も本気を出してい無いがな。
「なっ!?」
「不意打ち上等、取り敢えず奇襲は、俺には通じませんよ、たとえ織斑先生や俺の親友であっても」
「くっ」
俺が、また上を見上げた瞬間、楯無先輩が動いたのが見えた。
そう感じた後、俺に攻撃をしてきた楯無先輩の手を掴みとる。
まだまだ、ですね楯無先輩。
「此れで分かったでしょう?貴女じゃ、俺には相手になら無いんですよ」
「……それは分かったわ、其れじゃあ、今度の学園祭よろしくね♪」
先ほどのテンションとは、違って悪い笑顔で、踵を返した楯無先輩に、面食らった俺は、暫く呆然とアリーナに立っていたが、軽く息を吐いて、寮へと戻って行った。
確か、俺の担当って、料理準備だったけ?面倒くさいな、全く。
学園祭の準備が、本格的に始まり、教室の中は慌ただしくと言う訳では、無かったが、割と忙しくなっていた。
「メニュー……ねぇ……」
俺は、調理の指導になっている、其れは何故か?答えは簡単だ。
指導出来る奴を決めると言って、始まったクラス全員での試食会で、一番票を集めたのが、俺だった訳だ。
織斑は、何故か落ち込んでいたが、自信でもあったのだろう。
「天凪君、此れらを作ろうと思うんだけど、如何かな?」
「此れと此れは、準備に時間がかかるが、前の日に準備しておけば、ある程度は大丈夫、んじゃ、教えるからキッチン借りるぞ〜」
「分かった、お願いね」
クラスメイトに、作成するメニューを見せてもらった後、調理班のメンバーで、キッチンに言って、簡単に出来る方法を教えながら、作っていると、教室が騒がしくなった。
其処に居たのは………
「……姉さん」
我が姉、天凪心優だった。
姉さんは、俺を見つけると、ニコニコ笑いながら、近付いて来た。
何を言うつもりだ。
「ねぇ夕紀?」
「何だよ姉さん」
いきなりの名前呼び、姉呼びに周りは、又もや騒がしくなる。
ああ、そう言う事か、だいたいわかったぞ。
「はぁ、ちゃんと準備しとくよ」
「やった、じゃあよろしくね♪」
姉さんは、こっちに来た時よりも、足取りを軽くして、俺の所を離れて、織斑の所に向かった。
「あ、天凪君って、心優さんと姉弟だったんだね」
「まぁな、まぁでも、家に殆ど居ないし、いたとしても、疲れるだけ、其れより早くしないと焦げるよ」
「あ!やばっ!」
近くで、教えていた奴と話し終えた頃には、姉さんは教室に居なかった。
面倒ごとを残して帰りやがった。