それにしても、儚の選ぶデュエリストは八雲なのだろうか。
来ている雰囲気はなかったが。
『雰囲気で分かるものなのか?』
(分かる)
行ってみれば分かると自己完結して、早苗について行く。
そして、デュエルコートに並んだ。
八雲と同じ色の髪を持つ少年がいた。
そしてもう一人、同じ色の髪だが、雰囲気の強い男性だった。
『八雲の父親でほぼ確定だな』
(ああ、そうだな)
『ただ、あの親子は似た雰囲気があるんだが……八雲とは少々異なっているように感じる』
(まあ、多分、使っているデッキの問題だろう)
『そうだと思うがな……ただ、一位のデッキは全てデッキビルダーが考えたものだから、あの父親のデッキをもとにしたと思うんだがな……』
遊世は頷いた。
そして、全員が並んだ。
【それではこれより、エキシビションマッチを始めます。まず、ユニバースライザーのチームマスター、札馬儚選手!なんと、中等部にしてチームマスターを勤めている逸材です!そしてその隣には、儚選手の父親である、『
実況が最後の言葉をいった瞬間に早苗がちょっとヤバイ雰囲気をだしたが、スルーすることにした。
あと、名も知らぬMC。最強コンビなのかはかなり微妙なラインだと思うぞ。
【そしてその相手となるのは、チーム無所属のなかでランキング1位、宮襟早苗選手!全く変わることのないペースでデュエルが進行させるそのテクニックから『
何言ってんだあの人……。
『ノリがいいのか……よくわからないな』
まあそれはそうだろうな。遊世はさっぱりわからない。
『あとさ、早苗がチームに入っていないってことは、代表戦には出場できないってことだよな』
(そうなるな)
『で、本人の実力の話で、エキシビションマッチには出ることになるんだよな』
(そうなるな)
『多分、エキシビションマッチで許される原因がこんなところにあったりするんだろうぜ……』
(そうだろうな……)
【そしてそのパートナー、一回戦、アクセルシンクロとダブルチューニングを披露した宮襟遊世選手!兄妹によるタッグチーム!これは面白い展開になりそうです!】
まあ、そんなもんで十分だろう。
『まあ……な』
ドレイクもかなり反応に困っている。
「……あまり強そうじゃないね」
儚が遊世を見ていった最初の言葉がそれであった。
「ほう、そうか」
「少なくとも俺より弱い。兄さんと同じような雰囲気がする」
なるほど、八雲のやつ、身内にも実力を隠しているのか。
「まあいい、それよりも、これもれっきとしたデュエルだよね」
儚は早苗に言う。
「もちろん。エキシビションマッチは本来そういったことはない状態でするものですが、デュエルであることに変わりはありません」
「それなら、このデュエルに勝ったら、俺のガールフレンドになると言うことも適用されるわけだ」
……。
『なんか……もうフラグがたった気がする』
(そういうな)
『まあ、俺は困らないけどよ』
(テレビの前だってことをわかってほしいんだよ。俺は)
『それもそうだな』
それにしても、父親はなにも言わないな。
『昭はそういうタイプのデュエリストだという感じだな』
(完璧な計画のためにってことか)
『そういうかんじじゃね?』
(でもプロ個人ランキング9位なんだよな)
『だな』
さて、話はもういいだろう。
【さて、すでにステージでは火花が散っていますが、これは白熱した戦いになりそうです。それでは、開始します!デュエルスタート!】
「「「「デュエル!」」」」
遊世&早苗 LP8000
儚 &昭 LP8000
「先行は俺だ」
儚からか。
デュエルディスクを見ると、『儚』→『早苗』→『昭』→『遊世』だった。
ちなみに早苗からバトルフェイズが可能である。
「宮襟遊世。君は『聖堂軍』というモンスターを使っているらしいな」
らしいなということは、遊世のデュエルは見ていないのか。
「そうだが……」
「シンクロなどという時代遅れの産物を使っている君には理解できない強さを教えてやる。俺は手札から、『
真っ白の鎧……いや、ちょっと法衣っぽい感じの服装の剣士が出現した。
天才騎士フェルコ ATK1800 ☆4
「フェルコの効果を発動。一ターンに一度、手札のレベル4以下の『天才騎士』を一体特殊召喚する。俺は『天才騎士ツバキ』を特殊召喚する」
天才騎士ツバキ ATK1700 ☆4
「そして、ツバキの効果、このモンスターが天才騎士の効果により特殊召喚に成功したとき、デッキから『PO』を一枚手札に加える。俺はデッキから『PO フルアーツ』を手札に加え、そのまま発動」
同カテゴリーが二体とPOか。
「俺は、フルアーツとフェルコとツバキを除外して、スリットチェンジ、すべてを越えた騎士の実力、今ここに示し、眼前のすべてを切り刻め、スペクトル召喚!レベル7。『天才騎士ゼハーダ』!」
天才騎士ゼハーダ ATK2700 ☆7
思うけどさ。皆のスペクトルモンスターって、レベルが7くらいなのに、俺の『剣聖ゴディアス』よりも攻撃力が高いモンスターが多いんだけど、どういうこと?
『そういうものだ』
(いざというとき困りそうだな……)
「ゼハーダの効果を発動。カードを一枚ドローする。そして、カードを全て伏せてターンエンドだ」
伏せカード四枚か。
「次は私のターンです。ドロー」
さて、早苗はどう動くのだろうか。
「私は『輪廻魔術師アルケ』を召喚します」
輪廻魔術師アルケ ATK1000 ☆4
「アルケの効果により手札の『輪廻魔術師ピアナ』を除外し、ピアナの効果で『輪廻魔術師ユクモ』をデッキから墓地に、そして、『輪廻基盤』を発動。デッキからレベル4以下の『輪廻魔術師』を、エンドフェイズ時に破壊されますが一体特殊召喚します。私は『輪廻魔術師ハルセ』を特殊召喚」
輪廻魔術師ハルセ ATK1000 ☆4
「ハルセの効果により、デッキから『輪廻魔術師』一体を手札に、『輪廻魔術師ツユナ』を手札に加えます」
まだこれといったものはないな。
「『タンホイザーゲート』『PO サンサーリア』を使用します。サンサーリアの効果でイセナを墓地に、そして、サンサーリア、アルケ、ハルセを除外して、スリットチェンジ。輪廻をつかみとる心よ、今ここに降り立ち幻想となれ、スペクトル召喚。レベル8。『輪廻魔術師ナモレイザ』。そして、モンスター効果によってイセナを墓地から除外し、イセナの効果でナモレイザの攻撃力を1500ポイントアップします」
輪廻魔術師ナモレイザ ATK2800→4300 ☆8
「手札のツユナの効果により、自分がエクストラデッキからのモンスターの特殊召喚を成功させたとき、手札のこのモンスターを除外し、カードを二枚ドロー。さらに、ハルセの効果、スペクトル召喚の素材として除外されている場合で、他の輪廻魔術師モンスターが除外された場合、一ターンに一度、そのモンスターとハルセを特殊召喚することが出来ます。私はツユナとハルセをフィールドに特殊召喚します」
輪廻魔術師ハルセ ATK1000 ☆4
輪廻魔術師ツユナ ATK1500 ☆8
「そして、手札から『PO サンサリオン』を発動し、サンサリオン、ハルセ、ツユナを除外して、スリットチェンジ、スペクトル召喚。レベル6。輪廻魔術師レノン」
輪廻魔術師レノン DFE2000 ☆6
「レノンの効果により、このターンのエンドフェイズ時、私のカードは全て墓地にいかず、除外されなくなります。バトル、ナモレイザで『天才騎士ゼハーダ』を攻撃」
「……む、リバースカードオープン、速攻魔法『
儚は手を止めない。
「さらに、リバースカードオープン、速攻魔法『完成剣技オカナミ』を発動、このターン、相手の戦闘ダメージを全て倍にする。さらにリバースカードオープン、速攻魔法『完成剣技ヤカナミ』を発動。このターン中、自分の『天才騎士』が相手に戦闘ダメージを与えたとき、自分の手札が0枚の時、このターン発動した完成剣技の数、ドローできる」
なんか色々やっているな。
『
(まあ、まだまだだけど)
「手札から『聖堂軍モノマ』の効果を発動。チェーン3以降に発動できるカードで、このカードと手札の『聖堂剣』を二枚コストにして、このカードが発動した時点で発動されていたカードの効果を全て無効にして、その数一枚につき、カードを一枚ドローする。俺は『聖堂剣サフィクル』と『聖堂剣バリアオーブ』をコストにして、三枚を無効にして三枚ドローする。」
「何!?」
完成剣技の効果は全て無効化され、攻撃続行。
だが、ゼハーダは破壊されなかった。
戦闘破壊耐性持ちだな。
「ゼハーダは戦闘による破壊を一ターンに一度だけ無効にする」
「それでも、戦闘ダメージは発生します」
儚 &昭 LP8000→6600
「私はカードを一枚伏せて、ターンエンドです」
残り手札は二枚か……。
「私のターンだ。ドローする」
昭がカードを引いた。
「ふむ、宮襟遊世君だったな。すまないが、君の出番はないようだ」
「このターンで決めるってことか?」
「そう言うことだ」
【おおっと!ここでファイナルターン宣言だああああ!】
はぁ、面倒だな。
「なら、俺も予測をしようか。次の早苗のターン。それが俺の予測するファイナルターンだ」
【遊世選手も予測ファイナルターン宣言です。さあ、いったいどうなるのか!】
昭は頬を動かしただけだった。
「私は手札から、『天才騎士フェルコ』を召喚し、効果により『天才騎士ガダバ』を特殊召喚する」
天才騎士フェルコ ATK1800 ☆4
天才騎士ガダバ ATK1900 ☆3
「ガダバの効果を発動。このモンスターの特殊召喚に成功したとき、自分フィールド上のペンデュラムモンスター二体を選択し、ペンデュラムゾーンにおいたあと、カードを一枚ドローする。私はスケール1の『天才騎士フェルコ』とスケール8の『天才騎士ガダバ』でペンデュラムスケールをセッティングする」
ペンデュラムか。
「レベル2から7のモンスターを同時に召喚可能。ペンデュラム召喚!『天才騎士メイル』『天才騎士ガウド』『天才騎士エルム』!」
天才騎士メイル ATK1800 ☆4
天才騎士ガウド ATK1400 ☆3
天才騎士エルム ATK1700 ☆4
「メイルの効果を発動。一ターンに一度、手札一枚をコストにしてデッキから『PO』を手札に加える。私は『PO フルアーツ』を手札に、そして、ガウドとエルムの効果により、デッキから『完成剣技』をサーチできる。私は『完成剣技オカナミ』『完成剣技グセナミ』をサーチする。さらに、『PO フルアーツ』を発動」
来るか。
「私はフルアーツと、メイル、ガウド、エルムを除外して、スリットチェンジ。大いなる栄光の騎士よ、今ここにその姿を表し、勝利の演舞を舞え!スペクトル召喚!レベル8。『天才騎士ナーベル』!」
天才騎士ナーベル ATK2900 ☆8
「ナーベルの永続効果により、完成剣技を発動する際のコストは不要になる。さらに、完成剣技を一枚、墓地から手札に加える。私は『完成剣技サカナミ』をサルベージ。バトルだ。『天才騎士ナーベル』で『輪廻魔術師ナモレイザ』を攻撃、そしてその時、『完成剣技サカナミ』『完成剣技オカナミ』『完成剣技クセナミ』の順で発動する」
思いっきり使うよね。何だかんだいって。
「ナーベルの攻撃力、相手に発生する戦闘ダメージはこのターンの間、倍になり、さらに、クセナミの効果で、バトルする相手モンスターの攻撃力を、元々の攻撃力の半分にする」
「な……リバースカードオープン、罠カード『輪廻の横行』を発動します。相手モンスターの攻撃を無効にします」
「ナーベルが完成剣技の効果対象になっているとき、相手の罠の効果を受けん」
天才騎士ナーベル ATK2900→5800
輪廻魔術師ナモレイザ ATK4300→1400
【この攻撃が成功すれば、デュエルは決着だー!】
ダメージは8800になるからな。
「墓地から装備魔法、『聖堂剣バリアオーブ』の効果を発動する」
「な……墓地から、しかも、スペルスピード1のカードを相手ターンのバトルフェイズに……」
儚がかなり動揺しているが、スルーさせてもらうか。
「このカードが墓地にある状態で、相手から戦闘ダメージを受けるとき、自分フィールド上のエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターを一体リリースし、このカードを除外することで、デュエル中に一度、そのダメージを0にする。俺は『輪廻魔術師レノン』をリリースして、効果を発動させる」
墓地からバリアオーブが出てきて、障壁を発生させた。
「さすがに戦闘破壊までは防げないが、ダメージを0にすることはできるだろう」
「そうだな……私はターンエンドだ。そして、ナーベルの効果、エンドフェイズ時に、『
【おおっと!昭選手のファイナルターン宣言が覆されてしまったああああ!】
天才騎士ナーベル ATK5800→2900
ふう。
『ん?なんで昭は儚のゼハーダで攻撃しなかったんだ?』
(完成剣技は、使用したターンは一体しか攻撃できないんだよ)
『モンスター一体を強化して暴れる感じか。それを聞くと遊世の『聖堂軍』も似ている気がする』
(あながち間違ってはいないな)
『で、あんな宣言をして大丈夫だったのか?』
(問題はない……が……)
『なんだ?』
(さっきから俺のエクストラデッキで、俺の相棒と黒いフレームのカードのドラゴンが出番争いをしている)
『どうするんだ?』
(どっちも出す。まずは相棒からだがな)
さて、今度は俺だな。
フィールドにはモンスターも魔法、罠も全てないが、まあ、手札は十分だ。問題ない。
だが、昭が先に動いた。
「さて、それでは私はリバースカードオープン、速攻魔法『完成剣技ダシナミ』を発動する。このターン、相手がシンクロ召喚を行うたびに、このターンの終了時まで、『天才騎士』モンスター一体は、そのシンクロモンスターの元々の攻撃力の半分を加えていく、対象にするのは私のナーベルだ」
「シンクロ対策ですか……」
「そうとも、ファイナルターン宣言を覆されたのは痛手だったが、それでも、シンクロ対策は万全にさせてもらった。このカードを発動するとき、自分フィールド上のスペクトルモンスター一体の表示形式を変更する。ゼハーダの表示形式を変更しよう」
天才騎士ゼハーダ DFE1900
「ひとつ、勘違いをしているようだが、俺はこのターン。シンクロ召喚は行わないぞ」
「何?」
「さて、俺は手札から、『聖堂軍ピリオネ』を召喚し、さらに、『聖堂剣ホライゾン』を装備する。ピリオネの元々の守備力は300ポイントだから、300ポイント攻撃力がアップする」
聖堂軍ピリオネ ATK1600→1900 ☆4
「一体なんの意味が……」
「さらに俺は、手札から『PO カセドラルノア』を発動する」
「何?」
さすがの情報力。俺が所持していなかったということを知っていたようだ。
しかし、早苗は言わない筈だがな……多分父さんにとりついているやつか……それとも別の誰かか……まあ今はいいとするか。
「俺はカセドラルノアとピリオネとホライゾンを除外して、スリットチェンジ!我が心を満たす採光よ、剣を取りて新たなる開闢をこの世に示せ!スペクトル召喚!レベル7。『剣聖ゴディアス』!」
剣聖ゴディアス ATK2500 ☆7
「な……こんなモンスターの情報はなかったぞ……」
「だろうな。さて、続けるぞ。俺はライフを1000ポイント払い、手札から魔法カード『カセドラルガーデン』を発動。自分のデッキから、レベル1の『カセドラ』と名のつくドラゴン族モンスターを二体特殊召喚する。俺は『カセドラルゴ』を二体特殊召喚する。この効果を使うとき、俺はこのターン。シンクロ召喚できない」
遊世&早苗 LP8000→7000
カセドラルゴ ATK500 ☆1
カセドラルゴ ATK500 ☆1
チビドラゴンが二体出現する。
『遊世のデッキの中身を完全に把握している訳じゃないが、よく事故らないよな……』
(デュエルは楽しむものだとわかったときから事故率が減りました)
さて、続けるか。
「手札から『剣聖の天秤』を発動。剣聖と名のつくモンスターが自分フィールド上に存在するとき、自分フィールド上のモンスターを二体まで選択し、剣聖モンスターのレベルを加える。二体のカセドラルゴのレベルを、剣聖ゴディアスのレベル分アップする」
カセドラルゴ ☆1→8
カセドラルゴ ☆1→8
「な、レベル8のモンスターが二体だと……」
「行くぞ!俺はレベル8のカセドラルゴ二体でオーバーレイ!」
カセドラルゴが光となって上昇する。
「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、闇に輝く銀河よ、大いなる空を駆け抜け、光の使者となりて降臨せよ!」
銀河を写す眼が開かれる。
「エクシーズ召喚!現れろ、ランク8。『
銀河眼の光滋竜 ATK3000 ★8
荒々しくも美しい竜が出現する。
「な、なんだこのモンスターは……」
「疑問を持っている時間はないぜ。俺はギャラクシーアイズの効果を発動。一ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使い、お互いの墓地の中からモンスター一体を除外し、そのモンスターの攻撃力の半分を、ギャラクシーアイズに加える。俺は早苗の墓地の『輪廻魔術師ナモレイザ』を墓地から除外し、その攻撃力の半分である1400ポイントをギャラクシーアイズに加える。『プラズマスパーク』!」
銀河眼の光滋竜 ATK3000→4400
「なに……」
「バトルだ!俺は『銀河眼の光滋竜』で、『天才騎士ナーベル』を攻撃!『破滅のプラズマ・ストリーム』!」
銀河眼の光滋竜が天才騎士ナーベルを貫く。
儚 &昭 LP6600→5100
「さらに、剣聖ゴディアスで、天才騎士ゼハーダを攻撃。『ソード・オブ・ホーリー』!」
剣聖ゴディアスがゼハーダを一刀両断する。
【な、なんと!儚選手と昭選手のフィールドからモンスターがいなくなったああああ!】
「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
銀河眼の光滋竜 ATK4400→3000
「く、俺のターンだ」
「予測しよう。君はこのターン。なにもできない」
「な……バカにするな。ドロー!……そんなばかな……」
儚が引いたカードは、『剣技の偵察者』というモンスターカード。
自分フィールド上に天才騎士スペクトルモンスターがいるとき、手札から墓地に送ることでデッキから『完成剣技』をサーチするカード。
さらに、そのカードのコストは不要になるというおまけ付きだった。
しかし、場になにもいないのであれば、それは不可能だった。
そして、このモンスターは、召喚もセットもできない。
さらに、手札はこのカード一枚だけ。
墓地から発動できるカードも存在しない。
なにも……できない。
「ターン……エンドだ」
「私のターンです。ドロー。バトル。『銀河眼の光滋竜』『剣聖ゴディアス』の順でダイレクトアタック。『破滅のプラズマ・ストリーム』『ソード・オブ・ホーリー』」
「私は墓地の『天才騎士ナーベル』の効果を発動。相手ターンのバトルフェイズに、このカード以外の天才騎士スペクトルモンスターが墓地に存在するとき、そのモンスターを除外して、ナーベルを攻撃表示で特殊召喚する。ゼハーダを除外し、ナーベルを特殊召喚する!」
天才騎士ナーベル ATK2900 ☆8
【昭選手。ここでモンスターを特殊召喚したあああああ!】
早苗が遊世を見ている。
「早苗のターンで終了だっていったろ。ていうか、ゼハーダも面倒な効果を持っているだろうし、銀河眼の光滋竜の効果を使おうと使わなかろうと関係ないさ。俺はリバースカードオープン『カセドラルアース』を発動。自分の墓地と除外されている『聖堂剣』をすべてデッキに戻すことで、相手モンスターの特殊召喚を無効にする」
ナーベルはその姿を消滅させていった。
銀河眼の光滋竜のブレスと、剣聖ゴディアスの剣が儚に直撃した。
儚 &昭 LP5100→2100→0
【決まったああああああああ!勝負は早苗選手と遊世選手のタッグの勝利です!遊世選手の予測通り、早苗選手のターンにより決着がつきましたああああ!】
「勝ったな」
「はい、お兄様」
ドレイクは微妙な表情だった。
『確かに勝ちと言えば勝ちだが、内容を見てみれば、遊世が最初から最後まで振り回していたな……』
遊世は返答しなかった。
肯定なのか否定なのか、一目瞭然で前者だった。
「な、何故俺が……」
儚はまだ受け入れられていないようである。
「ま、いろいろ原因はあると思うけど、一つだけ言わせてもらうなら。君には俺の妹はやれんな。って言うだけの話だ」
釣り合わなさ過ぎて無理な領域であった。
昭はすでに戻っているようで、もうここにはいなかった。
何はともあれ、エキシビションマッチは終了である。
なんだかんだ言って、カメラが来るのは面倒なので、遊世はさっさと出ることにした。
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「ようやく手にいれたか」
パレスのエキシビションマッチは全国放送。全国のテレビで、このデュエルを見ることはできていた。
DSOUの進行後のエキシビションマッチなので、当然のことながら、光一郎も確認していた。
「リベラルの報告から察するに、おそらく手にいれたのはその時のデュエルか」
光一郎はソファーから立ち上がると、光一郎個人のチームホームルームの壁の棚の方に歩いていった。
そして、一つのデッキを取り出す。
「この体も、もうそろそろ限界が近づいてきている。替えの器が欲しいものだが、まあそれは今はいいとしよう」
すでに遊世がいなくなった中継画面を見る。
「まあ、アンノウンは純粋な仕事人で、リベラルは高飛車な上司だったからな……。今回の件で降格されるだろう。良いところまでいけば『強制拷問特訓』行きになると思うが、まあ、確率は高いな」
感謝と言うわけではないが、まあ、
「しかし、4519が遊世のなかにいたとはな。姿を消してどこにいったのかと思っていたが……」
そうなれば、光一郎に『自分』が乗り移っていることもすでに知れているだろう。
「仕方がない。しかし、この男も随分と厄介なものだ」
『自分』の任務は、早苗にダークマターのパスを作ることだ。
しかし、それは簡単だったはずなのだ。
早苗はもともと、ルックスもスタイルもいいが、デュエルはそこまで強くはなかった。
『輪廻魔術師ナモレイザ』『輪廻魔術師レノン』の二枚のスペクトルモンスターを所持しているが、それは、遊世が養子になってからのことである。
光一郎は『自分』に侵食されることを、可能性として考えていたのだ。
そんななか、遊世と出会う。
光一郎は遊世とデュエルをするが、当時スペクトルモンスターすら持っていない(スペクトルモンスターが万能ではないことは知っているが)遊世に完敗し、光一郎本人が侵食された場合の、早苗を守るための存在として、遊世を養子にしたのだ。
無論、遊世も早苗もそんなことは知らない。
「遊世からデュエルを学んだことで早苗は強くなり、結果的に私も手におえなくなったからな」
ダークマターを経由するモンスターで挑んで倒さなければ意味はない。
しかし、それもそれで困難であった。
「仕方がない。この体は諦めるか」
光一郎のからだから黒い光があふれでて、それが一つの人の形を作った。
光一郎は糸が切れた人形のように倒れた。
「この男は私の影響が強く残っている。改めてダークマターを侵食させても効率が悪いか。まあいい。私もすることは多い。まずはデッキの改造だな」
『自分』はサミュエルとなり、そして、スッと消えていった。
サミュエルは、この時光一郎の体を保管しておかなかったことを、後で後悔することになる。