「うう……ん」
遊世は起きた。
『む、起きたか』
「ドレイクは精神体だからいいよなぁ」
遊世の体に居候しているドレイクにとって三大欲求は完全に無視できる項目である。
……なんか机の上にカードがあった。
イラストには、水色の髪のメイド服の少女が描かれていた。
『剣聖の巫女フィーア 光属性 レベル4
【天使族・スペクトル・チューナー・効果】
レベル3以下のモンスター二体
1・フィールド上のこのモンスターをシンクロ素材にするとき、レベルを1つ下げたレベルとして扱う。
2・『剣聖』スペクトルモンスターが攻撃対象に選択されたとき、このカードを墓地から除外することで、その攻撃を無効にする。
ATK400 DFE400』
巫女ってメイド服ではないと思う。
チューナーである以上、場にいるモンスターは多くの場合はシンクロモンスターになると思うが、それでもスペクトルモンスターに対応しているのがやや不明だ。
ただ、フィールド上での話のため、もしも手札やエクストラデッキ、墓地や除外されているこのカードが素材になった場合はレベル4として扱うと言うことだろう。少々ややこしい。
あと、2の予測されるエフェクトが想像したくなかった。
ステータスはかなり低いが、『フィーア』がドイツ語で『4』なので、まあそういう関係なのだろう。
ていうかスペクトルモンスターだ。しかもチューナーだ。
「これはいったい……まあいいか。今は学校にいこう」
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増えた。とドレイクは思った。
なにがって?住人である。
何処のって?遊世の精神世界だ。
「……なんでお前らいるの?」
そう、ゴディアスとフィーアが、遊世の精神世界にいたのだ。
「マスターが私を覚醒させたからだ」
「それに関連してついて来ちゃいました」
なるほど、全然わからないがわかったと言うことにしておこう。
「まあ、別に困らないけど……」
遊世の精神世界はかなり広い。
見渡す限りの大草原が広がっており、中央には、ちょっと意味不明なレベルの大樹がある。
目算だが、直径で800メートルくらいか?高さは予測できないが、多分2000メートルは越えている。
そして、その枝にはとても美味しそうな果実が何種類も実っていた。
精神世界は人により様々だが、ここまで広いのはそうそうないだろう。
思えば、リベラル戦のときのダークマターの侵食だが、あの侵食は、個人の精神世界をダークマターの闇で埋め尽くすことで効果を発揮する。
ここまで広いのなら、直ぐに染まらなかったのも頷ける。
「モンスターの精霊に会ったことは初めてだが、そういうものなのか?」
「私たちみたいなスペクトルモンスターはそう言うものですよ」
新事実。
「それってどれくらいの確率なんだ?」
「そうだな。デュエリストが認識できるのは全体の5%に満たないだろう。しかも、自分を表に出すものとなるとさらに数は少なくなる。さらに、精霊がすむことのできるタイプの『精神世界』を持つ人間がそもそも少ないこともあって、本来は宿っているのに、それを無くさざるを得ないものもいるのだ」
ほう……。
「なんかよくわからんが事情があるんだな」
「スペクトルモンスターが存在する意味、それを深く考えていない者には理解ができぬ。まあ、私から教えることはないが」
スペクトルモンスターが存在する意味……か。
「何故私たちを出すのに『PO』を必要とするのか。そして、それらをすべて除外するのか。スペクトルモンスターは強いモンスターのカテゴリーだと思われているが、私自身はそうは思わん。他の召喚方法と同じ、よい部分や悪い部分はある。『強さの判断基準』のために存在しているわけではない」
「まあ、今ここで言うのもなんですけど~、楽しい理由ではないですよ」
考えておくか。
「スペクトルモンスターが存在する意味か……」
イデアではスペクトル召喚しか存在しない。
しかし、存在理由までは考えていなかった。
「考えるだけでいいが、その考えることを確りとすることだ。そうでなければ、先には進めん」
「遊世には言わなくていいのか?」
むしろ、ゴディアスの場合はまず遊世にいいそうだが……。
「私はまだマスターと話すことは出来ないのだ。この事を伝えることはできん。ただ、そもそもの話だが、マスターはスペクトルモンスターの存在理由について、何となくではあるが気づき始めている」
「やっぱりワケわからんな」
スペクトルモンスターの存在理由なんて、DSOUの連中でも考えていないだろう。
「高みに行けるかどうかは遊世次第か……」
「そういうことだ。それと、何故デュエリストがそこまで万能と言うわけでもないスペクトルモンスターに惚れ込んでしまっているのか、それも考えておくといいぞ」
「自分でいっていて悲しくないか?」
「そんなことはない」
「お兄ちゃんはウソつきなのですよ~」
兄の威厳をぶち壊す妹である。
「ちなみにひとつだけ聞いていいか?」
「なんだ?」
「二人って何歳差なんだ?」
「人間基準で考えれば……25歳ほどだ」
親子じゃん。
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登校中。
『それにしても、サミュエルが光一郎から離れるとはな』
(なんとなく予測はしていたがな)
一階に降りてみると、光一郎がもとに戻っていたので少々ビックリした。
『サミュエルは引き際を考えるのが平均よりもちょっと早い性格だからな。俺が遊世のなかにいることも含めて、いまが引き際だと思ったんだろうな』
(慎重とも言えるが……まあそこは今はいいか)
『それにしても、光一郎って娘ラブだったんだな……』
光一郎の部屋にあるパソコンのメモリファイルには、幼い頃からの早苗の写真が累計で少なくとも八千万枚保存されており、しかもそれを光一郎はすべて覚えている変態っぷりである。
しかもそれでいて、早苗の許容範囲を完全に理解しているのだからタチが悪い。
『いや、疑問ではあったんだよ。兄崇拝の早苗がなぜ全寮制の学校に通っているのかなって。理由は父親がうざいからなんだな……』
(視界にだいたいいるような人だったらしいからな)
しかも、様々なことに関する予測能力も凄まじく、それを応用したデュエルを行うので結構強い。
『しかし、自分でからだを動かせるようになってまずしたことが『シルバリオラスターを脱退すること』だからな。もう訳がわからん』
(しかも、すでに自分に対する変な噂を流しておくことで、脱退を楽に行うという徹底ぶりだ。まあ、早苗も困ったときには頼りになる存在だから、いまは強くは言わないらしいけどな。でも、パレスに入学するのことは譲らなかったらしい)
『まあ、凄まじいのは分かった』
さて、学校についた。
教室のドアを開けた。
空気が止まった気がした。
『そりゃパレスで散々やったからな……』
黙っていろ。
しかし、空気が重いな。
こんな雰囲気でねぇ。
……まあいいか。
『いいのかよ……』
うん。
「さてさて、今日は皆に転校生を紹介するよ~」
ん。転校生?
「む、転校生という言い方は間違いかな。その子達の本来の学校がちょっと営業が困難だから、少しの期間だけこの学校に通うことになったよ。みんな仲良くしてね。それじゃあ、入ってきて」
ドアを開けて入ってきたのは、どちらも銀髪だった。
しかし、片方は完全に無表情でチュッパチャプスをくわえており、もう片方は完璧な作法で歩いている絶世の美少女だった。
「それじゃあ、自己紹介宜しく!」
「はい、デュエルアカデミア・パレスから来ました。宮襟早苗です。おそらく二週間ほどになると思いますが、宜しくお願いします」
「同じくパレスから来た。名前は本城未来という。宜しく」
早苗と未来だった。
『(………………)』
遊世とドレイクは唖然としていた。
早苗と未来が来たという事実にではない。
すぐさまそんな他の学校に行かせる手配ができるパレスの地味な運営能力にである。
「それじゃあ二人が座る席だけど、早苗さんは八雲君の隣、未来さんは遊世君の隣に座ってね」
「はい、分かりました」
「む……」
二人とも頷いて歩き出す。
未来が遊世のとなりに来て座った。
「宜しく」
「ああ、宜しく」
「貴方の持っているデュエルの技術を根こそぎ知るためにこの学校とクラスを選んだ。覚悟してほしい」
無表情の筈なのに瞳には貪欲なまでの知的好奇心があった。
しかし、選んだって……。
『こ、怖い……』
(精神体の君がそんな贅沢な悩みをするな)
早苗の方も早苗の方でなんかすごく無難に進んでいる。
か、カオスだな……。
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胃薬がほしかった。
六時間目のデュエルが一番ストレスがすごかった。
しかも、休み時間の度に、未来から質問攻めにされるわ、トイレといって逃げたら、早苗や未来のファンのやつらに紹介してくれと言われ……いや、脅されて返り討ちにするのに手間取ったりだとか、とにかくいろいろあった。
『はぁ……大変だな』
(はい。物凄く)
『言えるだけ余裕はあるな』
認めよう。
さて、どうするかな。
「ん。メールか」
デュエルディスクにメールが来た。
八雲からだった。
【時間が空いていると思うから、拠点に来てほしい。渡したカードをデュエルディスクに入力すれば、道案内がされるはずだ。重要なメンバーが揃う予定だからなるべく出席するように】
強引マイウェイとは八雲のことだ。うん。
『ただ、彼が所有している技術は高いな。しかも、こういった状況の際の拠点も確保できるその経済力。はっきりいって凄いな……』
まあたしかにそれはそうである。
行くとするか。
で、行ってみました。
……早苗を連れて。
「早苗も呼ばれていたとはな……」
「ふふ、そうですね。お兄様」
「強く掴まっていることはやめさせようとは思わないけどさ、ちょっと加減してくんない?Fが背中に当たってちょっと心臓がヤバイんだけど」
ドレイクはこの時『子供だなぁ』と思っていた。
ドレイクも精神年齢的には子供であるが。
まあ、目的地には到着したので、Dホイールを降りた。
「……喫茶店?」
「の、ようですね」
看板には『クローバー』と書かれている。
物凄くありふれた雰囲気だ。
Dホイールの専用スペースがあったので、そこに停めておく。
なかにはいると、なかなか綺麗な内装だった。
物凄く普通だ。
従業員の顔面偏差値が高水準なのだが……。
コンセプト的にはノーマルなのだが、雰囲気というか、そういった部分は強いので普通ではなくなっている。
そんな感じだった。
従業員がこちらに来て接客してくれた。
ただ、気づいてはいたが、出入り口のセンサーで、すでにメンバーカード(仮名)を持っていることを知られていたようで、案内された。
『しかし、ここの従業員。武術の水準も高すぎるだろ。働いてる最年少は14歳くらいの女の子だったかな。彼女で空手三段のレベルだ』
(俺はお前のDNAが気になるよ)
なんかデジャヴ。
地下に降りていって、ひとつの部屋の前で止まって鍵を開けた。
部屋は会議室のような場所だった。
巨大なディスプレイがある。
机が円卓だった。
ドアが多い。この会議室から様々な施設にいくのだろうか。
いるのは八雲一人だった。
普段から落ち着いた雰囲気なので、ラスボス感が凄まじい。
「来たか」
「ああ、呼び出しだけで用件はなにも書かれていなかったがな」
「大体予測はしているだろう」
「まあそれもそうだが……」
強引マイウェイとは八雲のことなんだな。
要するにそういうことなのだ。
そしてドアが開いて、未来が入ってきた。
「予想はしていたが未来もか」
「む……」
未来はうなずいた。
「ここだよね……あ、遊世君」
氷菓が入ってきた。
「氷菓もだったんだな」
「うん。そうだよ。あ、早苗ちゃん久しぶり」
「お久しぶりです。氷菓さん」
「昔から思ってたけど綺麗だよねぇ。しかも……」
氷菓は早苗の胸を見る。そして次に自分の胸を見る。
……明らかな差がそこにはあった。
「理不尽だよぉ……」
「ふふ♪」
まあ、こうなることは何となくわかっていたがな。
「この部屋だな。お、遊世じゃねえか」
「鉄也もだったのか……」
「意外か?」
「うん」
「ちょっと待て!なんかディスられてる感じがするぞ!」
「いや、だってなぁ……まあいいけど」
グダグダいってると次の人が来た。
初対面だった。
背は遊世たちより少し高いくらいか。微妙の暑いこの時期にスーツを着こなして、銀縁の眼鏡をかけている。
知的な印象が強く、威圧感はない。
しかし、見た瞬間に、遊世は悪寒を感じた。
「八雲……」
「彼は
良介は礼をした。
『この男。なんか色々ヤバイな』
(ああ、見た瞬間に悪寒がするなんて初めてだ)
『全く動きに無駄がない。しかも、デッキのオーラも、八雲には及ばないが凄いな』
前々から疑問に思っていたが……。
(ドレイクって、デッキの強さとか、デュエルを見なくても分かるのは何でだ?)
『ん?ああ、俺のこの体は擬人体で、本来は『PO ダークマター』というカードだからな。意思をもつカードとしては、いいデッキに入りたいものだ。俺の場合はその感覚が敏感だから、デッキの強さがオーラで分かるんだよ。デュエリスト本人の実力は俺も知らん』
変な電波だ。
「さて、集まったな」
八雲はそういうが、普段見るようなメンバーが何となく集まった雰囲気なので微妙である。
「今回みんなに集まってもらったのは、まあ皆知っているとは思うが、ダークマターによる被害についてだ。面倒な説明を飛ばして結果を言うなら、ここにいるメンバーで、僕たち独自の対策部隊を結成するということだ」
「具体的な対策ってできるのか?」
遊世は真っ先にそういった。
今まで被害は多かったが、それらは全て、隠れて行われた副産物が表に出てきただけとも言えるし、パレスでの被害も、あのような形では先手は打てない気がする。
モグラ叩きなんぞやっていたら絶対に間に合わない。
「そもそも、DSOU……、ああ、ダークマターを送りつけてくる集団の略称だが、彼らは僕たちのいる空間に来るためには、特殊な結界が必要になる。その結界を産み出す装置が各所に設置されている必要がある。DSOUの工作員がそれらの装置を設置したことで、大量のDSOUメンバーが動いて、今のところ蟻みたいにダークマター所持者が増えているんだ」
へぇ……。
『俺も知らなかった』
(マジでっ!)
八雲。こいついったい何者なんだ?
「先日、パレスでDSOUの大規模な侵攻があったが、あの乗り物を使うために大量の装置が設置されていた。おそらく、DSOUが攻めてくる以前に、すでに何人かダークマター所持者がいたはずだ。そもそも、敵の乗り物が昨日停止寸前の時点で、あまりにもダークマター所持者が多すぎていたからな」
いったいどこまで知っているんだか。
「まあ色々と疑問はあると思うが、DSOUの工作員が様々な準備を進めていること。その痕跡はすでに数年前という時間からあった。この頃から独自に調べていただけの話だ」
うん、まあ、一番モヤモヤしていた部分は吹っ飛んだ気がする。
どうしてそこまで答えを発見することができたのかはちょっとよくわからないが。
「で、俺たちの目的は何なんだ?」
鉄也が処理が追い付いていない表情で八雲に聞く。
「簡単な話、この結界出現装置……呼び方は何でもいいが、これが機能しなくなれば、少なくとも侵攻を押さえることはできる」
「破壊するってことか?」
「破壊ではダメだ」
八雲は即答する。
「ああ、なるほど、破壊すればそのデータがDSOUの支部(?)に送られて、その対策が今度はあるからか」
「そうだ」
「じゃあ具体的には何をするんだ?」
「装置がいくつかあって一つの結界を産み出す。要所要所を狙えばいい」
「それでは気づくはずでは……なるほど、機能してはいないけれども、機能していると誤認させるさせるのですね」
早苗、賢いな。
「そう言うことだ」
「だが、根本的な解決にはならないだろう」
「それもそうだ。僕はまだダークマターと言うものを理解しているわけではないから、動力の供給状況は確定できないが、管理していて、しかも、DSOUの本部と予測される場所から無制限に供給ができないというのであれば、各支部が存在しているはずだ」
「その支部を壊滅させるのが最終的な目的ってことか」
「そうなる。が、向こうの結界を産み出す装置そのものの作成データを根こそぎ入手できれば、少なくともこれからの対策にはなる」
なんとなくプランはわかった。
「支部があるだけじゃ管理しきれないと思う。仮設の本部はあると思うけど、その場合はどうするの?」
未来が聞いた。
「仮設本部か。発見できれば、戦力的に可能であれば突撃する。不可能でも完全包囲だな。具体的にはセキュリティ任せだが」
……八雲らしいな。
「ていうか、その結界出現装置、ひとつでいいから持ってきておけば良かったんじゃないか?それに、支部を発見すればいいだけなんだから、装置を無機能にする必要はないと思うが……」
鉄也。そう考えても仕方がないんだが、今回はそうでもない。
「これが、今僕たちがいる地球だけの話ならそれでもいいが、DSOUの本拠地のことは意味不明なものだ。妨害できない工夫をされていた場合。こちらの技術しか所持していない僕たちでは対応ができない。しかも、仮に無機能にして持ち帰って、その持ち帰った装置を探知され、もしも発見されたら、この場所に直行ルートができる可能性があった。理由としてはそんなところだ」
心臓に悪い。
「なるほど」
「やがて不審に思うだろう。実質機能はしていないからな。しかし、一人を移動させてくるだけでも膨大なエネルギーが必要。現地で確認した装置の材質や必要な技術は地球には存在しないものだったから、大量の物資の運搬による結界の使用も含まれる。簡単に言うなら、今現在、こちらにいるDSOUのメンバーは多くはない。そして、不審が高まり、こちらが誤認信号を切り、無機能状態が報告された場合、彼らは出来る限りの最大人数で対処に向かうだろう。支部の数は分からないし、本城が言うように仮設本部の存在も可能性としては存在するが、すくなくとも、支部や仮設本部の護りは薄くなる」
「その隙にってことか」
「支部となる施設が多すぎる場合、場所的に見て優先順序を決めて殲滅する。今のところはこんなプランだな」
まあ、その前に一つだけ、聞いておくことがあるか。
「八雲、一番重要な質問だと俺が思っていることがある。聞いていいか?」
「いいぞ」
「八雲は、今、自分の計画における、万が一の失敗から産まれる最悪の状況を想定していて、そしてそれを確信できるのか、そしてそれに対して対策はあるのか。という言うことだ」
スケールの問題で失敗を想定することは計画的には不必要だが、精神的には必要である。……逆かもしれないが。
「想定はしているし、対策ももちろん考えている。ただ、ここでは言えないな」
「まあ、それならいい」
ここまで調べているのだ。まあ、なんとかなるだろう。
「で、支部の場所は把握しているのか?」
「予想では5箇所。現在発見できているのは3箇所。といったところか」
「ふむ」
ここで、なんとなく未来がソワソワしているのを感じた。
「未来。どうかしたのか?」
「む、八雲、あなたの実力を疑っている訳じゃない。でも、私たち全員の上司になりえるかと言われると、私はまだ納得していない」
「理由は聞くまでもないな。儚がなにかいっていたか?」
「評価があまりにも低すぎる。強いのはこうして見れば分かるけど」
「なるほど、それもそうだな。デュエルで決めるか?」
「それが一番分かりやすい。でも、人数的なハンデで戦ってもらう」
「人数的……バトルロワイヤル形式で攻めてくることが多いことを考えているからか。良いだろう。君がメンバーを好きに選ぶといい」
とはいっているが……。
「八雲、お前、俺とガチでやって勝てるか?」
遊世は八雲に聞いた。
「拮抗しているだろう。いや、現時点では君の方が上だな。指揮能力は僕の方が上だろうが……」
「まあ、そうだな。指揮能力が八雲の方が高い以上、方針や計画の決定においては八雲に任せるべきか」
未来は少々考えたようで、いい始める。
「ふむ、それなら、私と氷菓と鉄也の三人と同時にデュエルをしてもらう」
「え、私?」
「俺も?」
確かに遊世にもよくわからなかった。
「理由はひとつ、私が今言った三人が全員。こういったスケールが大きい話においての、あなたの実力に不安や疑問を持っているから」
「……ふむ、まあそれでいいだろう。デュエルスペースにいくとしよう」
八雲は立ち上がった。
「全力で行く気はないが、本気でいかせてもらう」
気持ち的には全開だが、カードの選び方においては全開ではないということか。
「望むところ」
未来も真剣な顔つきになる。
こうして、デュエルが決定した。
【八雲 VS 未来 VS 氷菓 VS 鉄也】
実質は八雲VS三人である。