デュエルの後、全員が協力することは決定した。
しかし、喫茶店の方で働いていた従業員、全員が部下ってどういう神経をしているのだろうか。
まあよくわからないが、そういったことを運営する技術も八雲は持っているということなのだろう。
それはよくわかったし、悪くはないと思った。
ていうか、別の部屋に入ったらアホみたいにカードがあった。
八雲に聞いたが『自由に使っていい』とのこと。
レアカードもかなり揃えてって訳分からないかった。
そして、従業員が住み込みで働くためなのか、住居的な設備も万全だった。
まあ、そんな拠点のことはいまはいいとして、
「ちょっとこれは予想外だったな」
『ああ、確かに』
パレスの生徒、しかも、学校内で唯一プリズムシンクロを使える未来。チームに所属していない生徒の中で最強であり、さらに恐ろしいほど整った容姿をしている早苗がいるという現状。
霊山学院は言っては何だが、セキュリティ技術はそう高いとは言えなかった。
結果的に何が起こっているのか。
答えは簡単。
学校の校門の前で、スカウトマンが未来と早苗が出てくるのを待っているのだ。
「どうする?」
遊世は八雲に言った。
八雲はスマホを取り出した。
「黒川。状況は理解しているな」
『もちろんです。八雲様』
「なんとかしろ」
『畏まりました』
え、何その会話。
外を見ると、スカウトマンが遠くの方に、何かを追いかけるように走っていくのが見えた。
「ソリッドビジョンでもみせているのか?」
「その通りだ。今の内に移動するぞ」
「用意がいいな。あ、あんなところにバスが……」
と言うわけなので、メンバー全員がバスに乗り込んだ。
運転手は黒川だった。予想通り。
「助かった」
「これくらいは当然です」
なんか変な関係だな。
さて、出発する。
が、なんか追いかけてきている。
「なあ、なんかDホイールが来てるんだけど」
「あれはさばくのは苦労しますね……」
「ちっ、仕方がない」
遊世は窓を開けると、そのままバスの上に飛び移った。
「えっ!」
氷菓が驚いているが、そんなことは知らん。
『遊世。バスの天辺のくぼみにメンバーカードを差し込め、簡易てきな足場が出現する』
「サンキュー八雲」
差し込んでなんとか立てるようになった。
「さあ、受けてたつぜ!」
『な、この状況でデュエルをするつもりか』
「ごたくはいらないぜ」
デュエルディスクを構える。
『あ、遊世。もし負けたらバス停まるからそのつもりで』
あ、やっぱり。
「それでは始めようか」
「「デュエル!」」
遊世 LP4000
太郎 LP4000
「俺の先攻だ」
ち、敵の先攻か。
『思えば、遊世ってあんまり先攻とってないよな』
(確かに)
なんか理不尽だ。
「俺は手札から『
隕石獣エルオゼブラ ATK1600 ☆4
「隕石獣か」
「その通り。俺は場に同名モンスターがいることで、さらに、エルオゼブラを特殊召喚する」
隕石獣エルオゼブラ ATK1600 ☆4
「さらに、手札から永続魔法『PO メテオリア』を発動。このカードの効果により、自分フィールド上に同名モンスターがいるとき、そのモンスターは攻撃力が800ポイントアップする。カードを一枚伏せてターンエンドだ」
隕石獣エルオゼブラ ATK1600→2400
隕石獣エルオゼブラ ATK1600→2400
「スペクトル召喚をしないことに疑問を持っているようだな」
「いや全然。ぶっちゃけそのまま残しておいた方が強そうだし」
「なに?」
「俺のターン。ドロー!さあ、やるか。ああでも、アクセルシンクロは無理だな。他でいくか」
さすがにバスの上では無理である。
『遊世、躊躇うことはない』
いや、なにいってんの?未来。
『遊世。このバスはモーメントエンジンだ。問題ない』
いや、八雲、それはワケわからん。
ていうか、バスに乗ったままクリアマインドかよ。
難易度高すぎるわ!
まあ、なんだかんだいってスターゲイザーを出せばいいだけのことか。
いや、今日は別のことをしよう。
よし、頑張ろう。
「俺は手札から『聖堂剣ホライゾン』をコストにして『カセドラルコール』を発動。デッキから聖堂軍通常モンスターを一体、特殊召喚する。『聖堂軍ワイズ』をデッキから特殊召喚!」
『またコールワイズか』
黙っていろ。
聖堂軍ワイズ ATK2400 ☆7
「さらに、墓地のホライゾンを除外して、手札から『カセドラリア』を特殊召喚!」
カセドラリア ATK500 ☆1(チューナー)
「レベル7の『聖堂軍ワイズ』に、レベル1の『カセドラリア』をチューニング、集いし願いが、新たに導く風となる。光指す道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ。レベル8、『スターダスト・ドラゴン・アナザーエイジ』!」
スターダスト・ドラゴン・アナザーエイジ ATK2500 ☆8
「な、なんだこのモンスターは」
「さらに手札から『聖堂軍ミヤビ』を召喚。召喚に成功したとき、一ターンに一度、聖堂剣をコストにして自分の墓地からレベル1のドラゴン族モンスター一体を特殊召喚する。俺は『聖堂剣レルーム』をコストにして、『カセドラリア』を特殊召喚する」
聖堂軍ミヤビ ATK200 ☆1
カセドラリア ATK500 ☆1(チューナー)
「俺はレベル1の『聖堂軍ミヤビ』に、レベル1の『カセドラリア』をチューニング、集いし願いが、新たな次元の鍵となる。光指す道となれ!シンクロ召喚!レベル2、シンクロチューナー『カーボナード・シンクロン』!シンクロ召喚に成功したとき、二枚ドローして一枚捨てる」
カーボナード・シンクロン ATK200 ☆2(チューナー)
「ばかな。これは……」
さて、どうするか。
『遊世!、インターチェンジだ。飛べ!』
後ろを見ると、明らかに高さ制限になっている部分が遊世の体であった。
「ち、おりゃっ!」
全力ジャンプして、インターチェンジのゲートを飛び越えて、再びバスの天井に着地する。
ふう、危なかった。
※よいこの皆さんはぜっっっっったいに真似しないでください。
「ふう、黒川さん。もっとスピード上げて!」
『はいっ!』
ふう、風を感じるようになってきた。
「クリアマインド!レベル8、シンクロモンスター『スターダスト・ドラゴン・アナザーエイジ』に、レベル2、シンクロチューナー『カーボナード・シンクロン』をチューニング!」
身体中が風になっていく。
そしてそれは、バスのなかにいる全員も同じだった。
「こ、これがあれってことか」
鉄也は呆然としている。
「とてもきれい」
氷菓はみとれている。
「お兄様」
早苗は特別な感情のようだ。
「これが、遊世が感じている世界」
八雲は思考している。
「これが、クリアマインド」
未来は、自分のなかに、なにか確信したものがあった。
黒川はなにも言わなかったが、他の人と同じようななにかを感じていた。
「集いし願いを束ねた軌跡が、新たな絆の道を築く、光指す道となれ!」
全てが、風に……。
「アクセルシンクロオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
スターダスト・ドラゴン・アナザーエイジが前に飛び、バスごと全てが加速する。
「な、き、消えて……」
次の瞬間。新たな竜と共に再誕する。
「光来せよ。アクセルシンクロモンスター。レベル10。『ミーティアフォースドラゴン』!」
ミーティアフォースドラゴン ATK3300 ☆10
「な……このドラゴンは……」
「ふう、バスの上で成功するとは思わなかったが、案外やってみるもんだな」
『俺はごめんだ』
(俺だって内心そうだよ)
さて、行くか。
「ミーティアフォースドラゴンの効果を発動。手札すべてをコストにして、その時捨てたカードの中から一枚を選択し、そのカードの起動効果、永続効果を使うことが出来る。俺は、装備魔法である『聖堂宝剣ガゼルアブソーバ』を選択して、効果発動。墓地の『聖堂剣』一枚をデッキに戻し、その効果を得る。俺は墓地の『聖堂剣ホライゾン』をデッキに戻す。元々の守備力分、2500ポイント、攻撃力がアップする」
ミーティアフォースドラゴン ATK3300→5800
「なんだと!リバースカードオープン、罠カード『メテオリグル』を発動、自分フィールド上に同名モンスターがいるとき、デッキトップを捲り、罠カードであればそれをセットし、さらに、使用権限を得る。よし、『援護射撃』だ」
ほう。だが関係ないな。
「ミーティアフォースドラゴンで、エルオゼブラを攻撃、『ミーティアストライク』!」
「バカめ、リバースカードオープン『援護射撃』。もう一体のエルオゼブラの攻撃力分、アップさせる。これで俺のライフを削りきることは出来ねえ!」
エルオゼブラ ATK2400→4800
太郎 LP4000→3000
「すまないな。聖堂宝剣ガゼルアブソーバの本来の効果。破壊した相手モンスターの攻撃力分、ダメージを受けてもらう」
「なんだとおおおおおおおお!」
太郎 LP3000→0
「俺の勝ちだ」
太郎のDホイールが減速していく。
まあ、怪我だけはしないように気を付けてください。
さて、車内に戻った。
「あ~~怖かった」
全員が思った。
そりゃそうだと。
「で、クリアマインドを感じた感想は?」
「凄かった」
未来が壁ドンならぬ座席ドンをしてきた。
「え……」
「やはり遊世は盗みがいがある。覚悟する」
未来はそこからはなにも言わずに遊世のとなりに座った。
空気重かった。