ガイゼが、イデアにある反政府組織……名前は『リベレーター』というらしいが、その本部に連絡したところ、実力者数名とデッキビルダーが来ることになった。で、来た。
デッキビルダーか……遊世はあまり頼るタイプではない。
ヒントは聞くことがあっても、ピンポイントで聞くことはない。と言えばわかるか?
カードに思い入れがあったり、まああとは単純に財力の問題だったりといろいろだが、まあとにかくそう言うものだ。
多くのものはそう思うものなのである。
現在。一応。デッキを見てもらってはいる。
「ふーむ……少々バランスが悪いように感じますねぇ……」
ガイゼ。なんでこんなストレスがたまるやつを……。
ちらっとガイゼを見たが、得に何も言わない。
どうやら、実力はあっても発言権はないらしい。
うーん……武官は政治に口を挟まないのと同じか?よくわからんが。
「ともかく、聖堂軍に直接関係しないカードは除けるべきなのでは?ほかにもたくさん良いカードはありますよ」
もしかしてこいつ。【シャドール】に『魔導雑貨商人』いれてたら除けるんじゃないか?
すごく不安である。
「いや、基本的にはこの構築でいく」
「あのですねぇ。君たちは遊びに行くわけではないのです。そこの部分をわかっているのですか?相手の幹部連中は、『ダークオーブイデア』と呼ばれる強力なカードを使うのです。このデッキでは対抗できませんよ」
何回か戦って全勝しているけどな。
「だが……」
「いいですか?デッキと言うのはですね。一枚たりとも無駄にはできないのです。常に、最も完成された形と言うものがあるのです。このデッキでは、その条件は満たせないのですよ」
まあ、この男はあとでデュエルして黙らせるとしよう。
デッキビルダーとしてこの男は間違っていないのかもしれないが、デュエリストというものを甘く見ているように感じるからな。
簡単に言えば……もう愛想は尽きた。
その時、遠くの方で鉄也が叫んだ。
「おい!それはどういうことだ!」
「ですから、私は事実を言ったまで、君の『殲滅戦車』ですが、このデッキでは負ける確率が高いのですよ」
……確かに負けてばかりなのは否定できないだろうが、相手が悪いとおもわなくもない。
「……しかし、まあ、論より証拠と言う言葉もありますし、一度デュエルする方がいいでしょう」
「上等だ!」
……なんかデュエルする話に進んで行ってる。
「ふむ、愚かですねぇ。長年研究し続けて来た私たちの方が、完璧なデッキ構築の経験はあるというのに」
「……一つ。聞いていいか?」
「何かな?」
「あんたって。デュエルするのか?」
「いいえ、デュエルの記録はみますが、デュエルすることはほとんどないですね」
「その記録映像って言うのは……」
「ここに来たときに一度見てもらった映像ですよ」
確かに一度見たな。
審判がいるような位置にカメラを置いて撮影していたものだった。
「なるほど。ま、知りたいことは分かった」
遊世は立ち上がった。
「何処に行くのですか?」
「空気を読め。みんなも、鉄也のデュエルを見に行く雰囲気になっているぞ」
返事を聞かずに歩きだした。
そして、デュエルフィールドに来た。
鉄也とデュエリストが向かい合うように立っている。
……一応。記録するそうだ。別に構わないが。
「さて、俺達リベレーターのデッキビルダーが作ったデッキがどれほど素晴らしいかを教えよう」
「知るか!行くぞ!」
「「デュエル!」」
鉄也 LP4000
ガイ LP4000
どうでもいい話だが、ガイは、リベレーターでは序列三位とのこと。
序列一位はガイゼだ。公式には違うようだが。
観客席で遊世はガイゼに話しかけていた。
「デュエリストは発言権が薄いのか?」
「僕は徴兵組だからな。あと、イデアには階級制度があるんだが、僕はギリギリ奴隷ではないって言う感じの場所にいたからな。発言権が特別に低いんだ」
「DSOUを倒したら、こいつらもどうにかしないとな……」
「あまり大きくは言えないが、同意しよう」
デュエルの方は……ガイが先攻か。
「さて、私のターンからだ。私は手札から永続魔法『PO カルカドラ』『PO バッカスキル』を発動する」
「いきなり『PO』が二枚か」
「そして私は、『ブラッディモノリス・アンチコード』を召喚」
ブラッディモノリス・アンチコード ATK1400 ☆4
真っ赤な板が出現する。
「ブラッディモノリス……リベレーターが大量に所持しているカテゴリーか」
「そうとも、今回派遣された『チーム・モノリス』に所属するものが使うことができるカード。さあ、見せてやろう。私はアンチコードの効果を発動。このモンスターが召喚に成功した時、デッキからカードを一枚ドローする。そして、カルカドラの効果を発動。自分が『ブラッディモノリス』モンスターの召喚に成功した時、デッキからモンスターを墓地に送り、カードを一枚ドロー出来る。私は『ブラッディモノリス・リフレクメモリー』を墓地に送る。そして、バッカスキルの効果を発動。自分の場に『PO』が二枚以上ある時、一ターンに一度、墓地からレベル4以下の『ブラッディモノリス』モンスターを特殊召喚することが出来る。甦れ、『ブラッディモノリス・リフレクメモリー』!」
ブラッディモノリス・リフレクメモリー ATK1200 ☆3
手札も四枚まで回復したか。
「リフレクメモリーの効果を発動。このモンスターが『PO』の効果で特殊召喚された時、デッキから、『PO』を一枚、効果を無効にして発動することが出来る。私は『PO カルカドラ』を発動する」
「POのサーチか」
さて、どうくる?
「私は、効果を無効にしたカルカドラと、アンチコード、リフレクメモリーを除外して、スリットチェンジ!孤高なる石板よ。今、騎士の栄光を描き、迫りくるもの達を切り刻め、スペクトル召喚!現れろ。レベル7『ブラッディモノリス・アンチバスター』!」
ブラッディモノリス・アンチバスター ATK2700 ☆7
真っ赤な板だが、騎士が描かれている。
「……こ、このモンスターは……」
「ふふふ、『ブラッディモノリス』のスペクトルモンスターは、自分フィールド上の、『PO』の数により、効果が決定する。まあ、1枚から3枚までしか参照しないがな。二枚の場合の効果発動。一ターンに一度、相手に800ポイントのダメージを与える」
「つっ……」
鉄也 LP4000→3200
「更に私はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
手札は3枚。かなり残っている方だろう。
「俺のターン。ドロー!」
鉄也はガイが伏せたカードを見る。
ブラッディモノリスのスペクトルモンスターは、POの数で効果が決まる。
そして、二枚の場合に、と先ほど言っていた。二枚以上と言う表現ではないので、効果がいきなり変動すると言う意味にもなる。
となると……永続罠の『PO』の可能性も高い。
「俺は手札から、『PO チャリオス』と『PO テザーナ』を発動。チャリオスの効果により、俺はデッキから『ブラスタービット』を一枚墓地に送る。そして、テザーナの効果により、他のPOを墓地に送ることで、デッキからレベル4以下の『殲滅戦車』モンスター一体を特殊召喚することが出来る。俺は『チャリオス』を墓地に送り、デッキから『殲滅戦車ガルザー』を特殊召喚!」
殲滅戦車ガルザー ATK2400 ☆4
やっぱりレベル4にしてはおかしい攻撃力である。
「さらに、手札からモンスター効果だ。自分のフィールド上に『殲滅戦車』モンスターが存在するとき、手札一枚をコストにして、特殊召喚する。来い!『殲滅外装オブジェクト』!」
殲滅外装オブジェクト ATK0 ☆1
「さらに、コストで墓地に送った『
この条件は……、
「全てを貫く巨砲を掲げ、眼前のすべてを殲滅せよ。スペクトル召喚!現れろ。レベル8『殲滅戦車トライアル』!」
殲滅戦車トライアル ATK3600 ☆8
やっぱり攻撃力がおかしいと思うんだよな。
「ほう、エースモンスターか」
「そうだ」
「殲滅戦車は攻撃するとき、ブラスタービットを二体リリースする必要がある。すでに墓地にはそろっていたな。その残った手札二枚で呼び出すのか?」
「手札消費は一枚で十分だ!魔法カード『再構築現場』を発動。墓地から『ブラスタービット』を二体。特殊召喚する!」
ブラスタービット ATK0 ☆1
ブラスタービット ATK0 ☆1
「ほう……」
鉄也は余裕が崩れたい様子のガイを見て疑問に思った。
思えば、POの数によって効果が決定するのは、少し調べれば分かるだろう。
二枚の時に、800ポイントのダメージを与えることは分かった。
確かに、それを放っておくこともできない。5回受けたら、ライフが0になるからだ。
何か大きな理由があるのか……一応。保険をかけておくか。
「俺は手札から魔法カード『屈折契約』を発動。自分フィールド上に、スペクトルモンスターがいる時、デッキからカードを二枚ドローする。そして、その中から一枚を選んで、墓地に送る。ドロー。よし、俺は『動力技術者マーモン』を墓地に送る。そして、マーモンの効果を発動。このモンスターが、戦闘以外で墓地に送られた時、デッキから、『殲滅外装』を一枚、手札に加えることが出来る。俺は『殲滅外装バリスタ』を手札に加え、召喚し、トライアルに装備する」
「一体どんな効果を……」
「バトルだ!ブラスタービットを二体リリースすることで、トライアルでアンチバスターを攻撃!」
「リバースカードオープン。永続罠『PO エルシオン』を発動。自分フィールド上の『ブラッディモノリス』スペクトルモンスターは、相手に攻撃されるとき、手札二枚をコストにすることで、攻撃力を1000アップする」
ブラッディモノリス・アンチバスター ATK2700→3700
「バリスタを装備したモンスターと戦闘を行う相手モンスターの攻撃力が、攻撃宣言時よりも後に攻撃力が上がった時、その効果を無効にして、上昇する数値分、トライアルの攻撃力をアップする」
「何!?」
ブラッディモノリス・アンチバスター ATK3700→2700
殲滅戦車トライアル ATK3600→4600
「まだだ!アンチバスターの効果。POが三枚ある時、一ターンに一度、相手ターンであっても、アンチバスターの表示形式を変更することが出来る。守備表示に変更」
ブラッディモノリス・アンチバスター DFE600
「ふふふ……」
「な、何がおかしい」
「いや、保険をかける程度でやったのに、ここまでうまくいくとは思っていなかったのさ。手札から速攻魔法、『帰還外装』を発動。自分フィールド上のスペクトルモンスターの素材として除外した『殲滅外装』を、装備させることが出来る。俺は『殲滅外装オブジェクト』を装備させる」
「一体……なにを……」
「攻撃は続行だ。オブジェクトを装備したモンスターが攻撃するとき、攻撃力が守備力を上回っていれば、その差の分だけ、ダメージを与える!」
「何!?」
「行け!トライアル!『ピアースブーストデリートカノン』!」
ガイ LP4000→0
鉄也が勝利した。
そして、遊世と八雲が感じたこと。
『鉄也がワンターン、しかも、ワンショットキルか。これは無理だわ』
であった。
ガイゼが特別強いのかもしれない。うん。