遊戯王 パラレルスペクトル   作:レルクス

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第十九話

 さて、ビルに乗りこんだわけだが……。

 

「で、ここからどうするんだ?」

「天辺に向かって進むに決まっているだろう」

 

 ガイが言った。

 まあ確かに、それに関して反論はない。

 だが、目標地点の話ではなく、過程の話をしているのだ。そこをわかってほしい。

 

「エレベーターは……使えなさそうだな」

 

 エレベーターをチラッと見ると、なんか機能していないっぽい感じだ。

 

「となると……地道に行くか」

 

 ということで、一階には誰もいなかったので(ザル警備だなぁ)、そのまま二階に。

 そこには、一人のフードの男が……。

 で、フロアの中央に、デュエルコートがある。

 

「あいつを倒さないと進めない感じだな」

「ああ。そうみたいだ」

 

 八雲と話していると、男がしゃべり始める。

 

「おお、きましたか。このフロアの通り方を知りたいのですね。教えましょう」

 

 ……。

 

「まず、私が指名したデュエリストは、コートに上がってもらいます。そして、そのデュエルコートの上で、私が出すデュエリストと戦ってもらうのです。あと、それ以外の皆さんは、あちらの三つの扉の内、端の二つを通ってもらって構いません」

 

 確かに、奥には三つの扉がある。

 

「通っていいと言うのはどういうことだ?」

「文字通りです」

 

 そう言うことか。

 戦力分断が目的だろうか……。

 

「そして、私が指名するのは……札場八雲。あなたです」

「……いいだろう」

 

 八雲はデュエルコートに立った。

 すると、急にコートの部分だけが上昇した。

 なるほど、そういうことか。

 

「ふふふ。どうします?他の皆さんは通ってもらっても構いませんよ」

 

 八雲抜きか……。

 

「遊世。あとで合流するぞ。時間が惜しいのは確実だからな」

「分かった。負けるなよ」

「ここで負ける僕ではない」

 

 確かに。

 遊世はポケットあらカードを一枚出して、それを八雲に投げ渡した。

 八雲はキャッチする。

 

「それじゃあ、ここは任せるぜ」

 

 遊世は扉に向かって走り始める。

 ボーダー側は右の扉に、リベレーター側が左の扉に入って行った。

 

----------------------------------

 八雲はデュエルディスクを構える。

 

「それで、僕は誰とデュエルするんだ?」

「ふふふ、こちらのデュエリストです」

 

 フードの少年が天井から降ってきて着地する。

 そして、フードをとった。

 

「は……儚」

 

 八雲の弟、札場儚だった。

 

「どうしてここに……」

「ふふ、いい感じに絶望していたのでね。洗脳するのも楽だったのですよ」

「絶望していた……だと?」

 

 一体何が……。

 

「あなたは覚えていますか?パレスでのデュエルを」

「ああ、見ていた」

 

 あのデュエルが原因か?

 

「ふふふ、あのデュエルの後、パレスは授業ができる雰囲気ではありませんでしたからね。それぞれ他の学校に行ったのです。そして、彼も別の高校でデュエルすることになった。ですが、彼は、そこで連敗をしていたのです。相手のライフを1たりとも削れないときも多かった」

 

 実力主義のパレスで、ランキング一位のチームのリーダーをしていた儚が弱いということはないはずである。

 精神的なショックがあったのだろうか……。

 

「力を求めたのでしょう。彼はすぐに喰いつきました。我々の力をね。そして、彼は……まさしく強者と言っていい境地に立つことが出来たのですよ」

「……何があったのかはわからん。だが、ここに立っている以上。することはデュエルだけだ」

 

 オートシャッフルを起動した後、八雲はカードを五枚ドローする。

 儚も五枚ドローした。

 その目に光はない。

 自我がないように感じる。

 

「「デュエル!」」

 

 八雲 LP4000

 儚  LP4000

 

「俺の先攻」

 

 儚からか。一体どんなモンスターを使うんだ?

 

「まず、エクストラデッキから『イデアの工作員』の効果を使う」

「……力……か」

 

 儚は工作員と手札一枚を墓地に送り、『PO ダークマター』と『ダークオーブイデア』を手札に加えた。

 

「そして、『ダークオーブイデア』を発動する」

 

 あたりが重苦しくなる。

 

「手札から魔法カード『激震共鳴』を発動。手札の『PO ダークマター』とエクストラデッキの『ダークマテリアル』を除外することで、それらを素材としたモンスター一体をスペクトル召喚する。深淵の闇を司る有罪の竜。今ここに具現し、理不尽の怨念を叩きつけろ。スペクトル召喚!レベル10。『ダークオリジン』!」

 

 ダークオリジン ATK3500 ☆10

 

 アンノウンが使っていたカードか……。

 手札は三枚。アナライザーアクセスドラゴンの召喚に対して効果を発動するはずなので、一枚は残すはずだが……。

 

「カードを二枚伏せて、さらに手札から魔法カード『天秤契約』を発動。自分フィールド上にレベル10以上の闇属性スペクトルモンスターがいることで発動できる。自分の手札の枚数を、相手の手札の枚数と同じにする」

「何!?」

 

 五枚に戻った。しかも、使っていないカードも二枚伏せられている。

 

「ただし、この効果を使用した時、相手はデッキから、カードを一枚選択して、手札に加えることはできる」

「好きなカードでいいのか?」

「そうだ」

 

 八雲は一枚手札に加える。

 

「さらに、手札二枚をコストにして、伏せていた魔法カード『アーククライシス』を発動。自分のエクストラデッキから『アークマテリアル』を効果を無効にして特殊召喚する、が、『PO』カードを含む二枚のカードを捨てて発動した時、効果を発動することができるようになる。『アークマテリアル』を特殊召喚」

 

 アークマテリアル ATK0 ☆10

 

 スペクトルモンスターか……。レベル10の闇属性……まさか。

 

「アークマテリアルの効果を発動。除外されているPOを手札に加えることが出来る。手札に加えるのは『PO ダークマター』だ。そして発動する」

 

 ダークオリジンがアークマテリアルを吸収して、スリットになる。

 

「ダークマター、ダークオリジン、アークマテリアルをゲームから除外して、スリットチェンジ!深淵から天蓋までの起源を司る竜よ。その目を開き、拒絶者の手にわたりて世界の変えろ。スペクトル召喚!来い、レベル12『ダークオリジン・エクスデス』!」

 

 ダークオリジン・エクスデス ATK4000 ☆12

 

 アンノウンのダークオリジンが進化するとこうなるのか。

 

「まだ終わりではない。伏せていた魔法カード『エクスデスエリア』を発動。自分フィールド上に、レベル12のエクスデスと名の付くモンスターが存在するときに発動可能。『ダークオーブイデア』を除外し、エクストラデッキから、レベル10のモンスター一体を墓地に送る。この時墓地に送ったモンスターを、このターン。特殊召喚することはできない。俺は『ダークコーラス』を墓地に送る」

「何だと!?」

 

 それは……リベラルの……。

 ダークオーブイデアが除外されたことで、重苦しい雰囲気はなくなったが……。

 

「手札から魔法カード『バックモニュメント』を発動。ダークオーブイデアが除外されたターン。自分の除外されているモンスター一体を墓地に戻す。アークマテリアルを墓地に送る」

 

 これは……。

 

「手札から永続魔法『PO ダークマター・アーク』を発動!ダークオーブイデアが除外されているとき、墓地のモンスターを素材にできる。ダークマター・アーク、ダークコーラス、アークマテリアルを除外して、スリットチェンジ!神秘を崩す合掌よ。才能を潰せ、魔法を砕け、歌え、唄え、その歌、破滅の星の竜とならん。スペクトル召喚!来い、レベル12『ダークコーラス・エクスデス』!」

 

 ダークコーラス・エクスデス ATK4000 ☆12

 

 これは予想外だ。ここまで攻めてくるとは……。

 残りの手札は……一枚か。

 

「ダークコーラス・エクスデスの効果発動。一ターンに一度、除外されている魔法カードを二枚まで手札に加えることが出来る。『ダークオーブイデア』『PO ダークマター』を手札に加える。そして、俺は手札から『死の越えし者の宝札』を発動。自分フィールド上の、『エクスデス』モンスター一体につき、カードを二枚ドローする」

 

 儚はまだ止まらない。手札は六枚に回復する。

 

「手札から魔法カード『エクスデスバースト』を発動。『エクスデス』モンスターがいる時、自分の除外されているカード全てをデッキに戻す。そして、デッキからカードを一枚ドローする」

 

 一体何を……。

 

「そして、エクストラデッキから『イデアの工作隊長』を墓地に送り、効果を発動。自分のカードが除外されていないとき、墓地の『イデアの工作員』と、デッキの『PO ダークマター』を除外することで、エクストラデッキから『アークマテリアル』を特殊召喚する」

 

 アークマテリアル ATK0 ☆10

 

「そして、アークマテリアルの効果。除外されているPOを手札に加えることが出来る。『PO ダークマター』だ」

 

 まさか……。

 

「『ダークオーブイデア』を再度発動。手札から魔法カード『激震共鳴』を発動。手札の『PO ダークマター』と、エクストラデッキの『ダークマテリアル』を除外して、モンスターをスペクトル召喚する。暗く冷たき地の底に這いつくばり続ける竜よ。失意の果てに生まれたその力、虚無となして全てを見下せ。スペクトル召喚!来い、レベル10『ダークニヒリティ』!」

 

 重苦しい雰囲気がよみがえったと思ったら、サミュエルの持つモンスターが姿を現した。

 

 ダークニヒリティ ATK3500 ☆10

 

「ダークマターを発動。ダークマター、ダークニヒリティ、アークマテリアルを除外して、スリットチェンジ!虚無にいきる竜よ。世界の失意の方舟となり、薄れゆく我らの大いなる絶望を導け!スペクトル召喚!来い、レベル12『ダークニヒリティ・エクスデス』!」

 

 ダークニヒリティ・エクスデス ATK4000 ☆12

 

「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 残した手札は二枚か。

 

「ふふふ、素晴らしい。素晴らしいですぞ」

 

 攻撃力4000にして、強力な効果を持つエクスデスモンスターを三体。さらに、伏せカードは一枚。手札は二枚ある。

 確かに、ここまで出来るデュエリストはそういない。

 

「そのカードの、本来の持ち主は……今はどうなっているんだ?」

「ふふふ、今は別のことをしていますよ。なにせ、人材不足ですからね」

 

 ……。

 まあ、DSOUの組織の事情はこの際どうでもいい。

 だが、この状況を生み出せる儚が、一体どうして……。

 エクスデスモンスターを扱うデッキだというのは分かるが、かなりのタクティクスを使うコンボデッキだ。

 しかも、これらのカードは、八雲ですら知らなかった。

 儚は、これかのカードを手に入れて、すぐにコンボを発見し、それを実行しなければこのようにならないのだ。

 相当の運が必要になるだろう。

 優れたデュエリストは、運をも味方にするといわれている。

 だが、これはもう、そんな領域ではない。

 そして……。

 

(分かるか?アナライザーアクセスドラゴン)

 

 八雲が呼びかけると、エクストラデッキから、唸り声がする。

 そう、八雲のエースモンスターもわかっている。

 あの三体の竜は、儚がただ扱うだけの存在ではない。

 認めている。

 あれほど強力なモンスターが、一人のデュエリストを認めている。

 それが一体どういうことなのか、形容できないが、平凡なものではたどり着けないものだ。

 三人が、それぞれのモンスターを操っているときのデュエルを見ているが、彼らが進化させたはずのモンスターなのに、彼らには特に執着を感じられなかった。

 おそらく、進化させたというより、もともと彼らは別のどこかにいて、条件に沿った者の場所に行くだけなのだろう。

 だが、今は違う。

 プレッシャーが、あまりにも大きいのだ。

 

「儚。お前の絶望は僕にもわからない。だが、負けるわけにもいかない。僕のターンだ。ドロー!」

 

 『天秤契約』の効果であらかじめカードを手札に加えていたので、現在の手札は七枚。

 さて、仕掛けるか。

 

「手札から罠カード『ACポータル』を発動。フィールド上にACモンスターが存在しない時、手札から発動できる。デッキからカードを一枚ドロー。そのカードが罠カードだった場合。手札の『AC』罠モンスター二枚を発動する。ドローしたのは罠カード『マックスコルタン』だ。発動可能になる。来い!『ACレイク』!」

 

 ACレイク ATK500 ☆1

 ACレイク ATK500 ☆1

 

 さて、エクスデス化したダークオリジンの力を確認するとしよう。

 

※注意。本来、フィールドの表側表示のカードは確認可能なのですが、それだと都合が悪い部分が多いので、この小説では公開情報ではないので確認できません。アニメって大体そんな感じだと思うので、勝手ですが、そのルールを採用しています。墓地、除外は確認可能です。

 

「そして、レベル1のACレイクで、オーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!ランク1『ACルイク』!」

 

 ACルイク ATK500 ★1

 

「ダークオリジン・エクスデスの効果を発動」

 

 さあ、どう来る。

 

「手札一枚を墓地に送り、エクストラデッキからのモンスターの召喚を無効にし、破壊する」

 

 召喚に成功させることすらできなくなったか。

 

「手札の速攻魔法『ソニックパスワード』を除外して効果発動。モンスターを破壊する効果を発動した時、その効果の発動を無効にする」

 

 儚の頬がピクリと動いた。

 というか、八雲の頬もちょっと動いていた。

 ダークコーラス・エクスデスによって、魔法の発動が無効にされると思っていたからだ。

 

「……オールトラップじゃないのか……」

 

 お、話したか。

 

「別にそうだと言った覚えはないぞ」

「……」

 

 また黙ったか。

 それなら、続けよう。

 

「僕は、ACルイクの効果を発動。オーバーレイユニットを一つ使い、デッキから『AC』モンスター一枚を発動し、さらに、デッキから『PO』を発動する。三枚目の『ACレイク』を発動し、『PO ゲートエリア』を発動する」

 

 ACレイク ATK500 ☆1

 

「ゲートエリアの効果により、墓地のAC罠モンスターを発動することが出来る。レイクを再び発動」

 

 ACレイク ATK500 ☆1

 

「そして、ゲートエリア、レイク二体、ルイクを除外して、スリットチェンジ!生まれ続ける情報の渦に飛び込み、世界が抱く疑問を解決せよ!スペクトル召喚!レベル8『アナライザーアクセスドラゴン』!」

 

 アナライザーアクセスドラゴン ATK3000 ☆8

 

「ダークオリジン・エクスデスの効果を発動。手札を一枚捨て、エクストラデッキからの特殊召喚を無効にし、破壊する」

「『ソニックパスワード』の効果。このカードが除外されている時、墓地に送ることで、スペクトルモンスターを対象とする効果を無効にする」

「……」

 

 さて、あとは……あの伏せカードだな。

 

「アナライザーアクセスドラゴンの効果。一ターンに一度、二つあるうちの効果の中から一つを選択して発動できる。僕は、相手のセットカードを確認する効果を使う」

 

 その時、ブザーが鳴った。

 デュエルディスクには、『Error』と表示されている。

 

「これは……」

「ダークコーラス・エクスデスの効果。相手は、自分の墓地に魔法カードがある時、フィールドのモンスターの効果を使うことはできず、この効果は無効にできない」

「条件付きのモンスター効果封殺か……」

 

 魔法においては、除外からの回収に徹することで、モンスターの効果を無効にすることを選んだのか……。

 ソニックパスワードを最初に除外した時は問題はなかったが、その後に墓地に送ったので、効果が発動出来ないということか。

 だが、それはオールトラップデッキの方では意味が無い。

 何かまだあるな。

 さて、手札は四枚ある。まだ攻めれる。

 

「僕は、手札から魔法カード『アナライズモーター』を発動。アナライザーアクセスドラゴンが場にいる時、手札から罠を一枚発動できる。儚のライフを2000回復することで、手札から『アナライズバーナー』を発動。アナライザーアクセスドラゴンの攻撃力を1000ポイントアップし、そして、このターン。戦闘では破壊されない」

 

 儚 LP4000→6000

 アナライザーアクセスドラゴン ATK3000→4000

 

「そして、除外されている『ACルイク』の効果。このモンスターを素材にしてスペクトル召喚されたモンスターは、一ターンに二回攻撃できる」

 

 ダークニヒリティ・エクスデスは戦闘では破壊されない。ここは……。

 いや、あの伏せカード。攻撃対象を変更するカードの可能性もある。

 一度変更されたとしても、他にモンスターに攻撃することは可能になると思うし、ダークニヒリティ・エクスデスの攻撃力上昇効果が発動するのは、相手にダメージを与えた時だ。攻撃力が同じなら、一応上昇はない。

 それなら……踏み込んでみる価値はあるか。

 

「アナライザーアクセスドラゴンで、ダークオリジン・エクスデスを攻撃。『ストリームコード』!」

 

 アナライザーアクセスドラゴンがブレスを放出する。

 

「リバースカードオープン。『パワーシフト』を発動。自分フィールド上のモンスターの攻撃力を0にして、その攻撃力分、他のモンスターの攻撃力をアップする」

 

 やはり……。

 

「俺はダークコーラス・エクスデスの攻撃力を0にして……アナライザーアクセスドラゴンの攻撃力を4000ポイントアップする」

「何!?」

 

 ダークコーラス・エクスデス  ATK4000→0

 アナライザーアクセスドラゴン ATK4000→8000

 

 一体何を……。

 

「そして、ダークオリジン・エクスデスの永続効果。このモンスターが相手モンスターとバトルする場合、その相手モンスターは、俺のフィールドの一番攻撃力が低いモンスターの攻撃力と同じになる。ただし、この効果は、自分フィールド上に、元々の攻撃力よりも高い数値を持つモンスターがいる時には発動出来ない」

 

 そう言うことか……。

 

 アナライザーアクセスドラゴン ATK8000→0

 

「僕は手札から、速攻魔法『屈折の勅命』を発動。相手フィールド上のスペクトルモンスターを一体選択する。バトルフェイズ終了時まで、フィールド上のスペクトルモンスターの攻撃力は、選択したモンスターの攻撃力と同じになる。ダークオリジン・エクスデスを選択する」

 

 ダークコーラス・エクスデス  ATK0→4000

 アナライザーアクセスドラゴン ATK0→4000

 

「ダークオリジン・エクスデスの効果は永続だが、全てのモンスターの攻撃力が同じなら、何も影響はない。行け、アナライザーアクセスドラゴン!」

 

 今度こそ、ブレスがダークオリジン・エクスデスを破壊する。

 だが、アナライズバーナーの、このターンは戦闘では破壊されない効果はまだ適用されているので、アナライザーアクセスドラゴンが破壊されることはなかった。

 しかし……ダークオリジン・エクスデスの効果も厄介だったが、ダークコーラス・エクスデスも、戦闘に関する効果を持っている可能性はある。

 が、踏み込まなければわからないのも事実だ。

 

「続けて、アナライザーアクセスドラゴンで、ダークコーラス・エクスデスを攻撃『ストリームコード』!」

「ダークコーラス・エクスデスの永続効果で、このモンスターと戦闘を行う相手モンスターは全て、元々の攻撃力に戻る」

「くっ……」

 

 アナライザーアクセスドラゴン ATK4000→3000

 八雲 LP4000→3000

 

 破壊はされなかったが、ダメージはあったか……。

 

「メインフェイズ2。手札から罠カード『マックスコルタン』を発動。自分ターン中のメインフェイズ中のみ、手札にこのカードしか存在せず、自分フィールド上にスペクトルモンスター一体しか存在しない時、手札から発動できる。お互いの除外されているスペクトルモンスター一体につき、カードを一枚ドロー出来る。除外されているのは、儚の『イデアの工作員』『ダークマテリアル』『ダークニヒリティ』『アークマテリアル』の四枚だ。よって、カードを四枚ドローする」

 

 むうう……特に何もできないな。

 

「手札のカードを全て伏せて、ターンエンドだ」

「ターン終了時、墓地の『ダークマターサーヴァント』の効果を発動。このカードを除外して、このターン中に戦闘によって破壊されたエクスデスモンスター一体を、効果を無効にして特殊召喚できる。『ダークオリジン・エクスデス』を蘇生する」

 

 ダークオリジン・エクスデス ATK4000 ☆12

 

 効果は無効にされているとは言っても、よくここまで攻撃力4000のモンスターをポンポン出せるよなぁ。

 遊世も八雲も人のことを言えないかもしれないが、数体が並ぶことはないぞ。

 ……連続攻撃は普通にするけど。

 

「俺のターン。ドロー。ダークマターサーヴァントのデメリット効果で、次のターンにドローしたカードは除外され、そのカードの除外された時の効果も発動出来ない」

 

 そんなデメリットが……。

 

「墓地の『リグレットモニター』の効果を発動。自分の手札がない時、このモンスターを攻撃表示で特殊召喚できる」

 

 リグレットモニター ATK500 ☆1

 

「まさか……いや、ダークオリジン・エクスデスの効果は無効にされているはず……」

「リグレットモニターにはもうひとつ効果がある。このモンスターがフィールド上に存在する場合、エクスデスモンスターの効果無効状態を消滅させる」

 

 面倒な効果を……。

 

「ただし、リグレットモニターが場に存在するとき、コントローラーが攻撃宣言をするたびに、相手はカードを一枚ドロー出来る」

 

 いいのやら悪いのやら。

 

「ダークオリジン・エクスデスで、アナライザーアクセスドラゴンを攻撃する」

「カードを一枚ドローさせてもらう」

「ダークオリジン・エクスデスの永続効果により、一番攻撃力が低い『リグレットモニター』と同じ500になる」

「リバースカードオープン『屈折障壁』を発動。スペクトルモンスター同士がバトルする時、そのバトルを無効にして、バトルフェイズを終了させる」

「……ターンエンドだ」

 

 ふう、シンプルで強力なカードは防御に適しているな。まあ当然か。

 

「僕のターンだ。ドロー」

 

 このカードは……。

 

「あの男が渡したカードでも引いたのか?」

 

 儚が聞いて来る。

 

「まあ、そうだな」

「何を引いたのかは知らないが、俺は負けない」

 

 ……。

 

「儚。一体何があったんだ?」

「……強くなりたかっただけだ」

「そんなことだけか?」

「そんなこと……そんなことだって?」

 

 ?

 

「俺は、兄さんを超えたかった!いつも、どんな時も、兄さんは俺の前に立ってた。悔しかったんだよ。デュエルだって、俺は一度も勝てなかった!勝ちたかったんだよ。俺は!」

「……」

「必死になって考えてデッキを作った。それでも勝てなくて、父さんの『天才騎士(ジーニアスナイト)』を使っても、俺は、あの学校で一番にはなれなかった。チームで見れば俺は強い。でも、そんな力がほしかったんじゃない!兄さんに勝てる力がほしかった」

「……」

「あのデュエルの後、俺は一度、家に帰った。その時、爺様に何を言われたか知らないだろう。俺は、できそこないだって、不用品だって言われたんだ。相棒まで捨ててここまで来たのに、たった一回、あのデュエルで負けただけで、俺はいないも同然なんだよ!いやだった。しばらくパレスには行けなくなって、他に学校に一時的に行くことになったけど、俺はその時も勝てなかった。俺の何が悪いっていうんだよ!必死になって続けてきただけじゃないか!」

「……」

 

 札場家は、父さんはそこまで厳しいとは言えないが、お爺さんはそう言ったエリート思考というのだろうか。そう言った考え方が強い人だった。

 八雲も小さいころ、さんざん言われた。負けは許さないと。

 霊山学院に通うと言った時、そんな実績もないところに行くのは許さないとか言われたな。

 だが、八雲は押し切った。

 いや、押し切れる強さがあるという自信があったからだろう。

 アナライザーアクセスドラゴンが、そばにいてくれると信じていたから。

 

「気持ちが分からないわけではない。だが、その力は、強くなれたとしても、本当に認められる物なのか?」

「俺はもう過程なんて気にしない。していたら、強さなんて手に入らない。勝ちたいのなら、勝てる力を使えばいい。それだけのことだ」

「……ならなぜ、相棒を捨てた?」

「……」

 

 まあ、聞くまでもない。

 相棒のせいにしたくないから。それだけだ。

 だから、大切に保管されていた。

 

「捨てるべきものではなかったと、僕は思うがな」

「どういうことだ?」

「教えるだけだ。手札から永続魔法『PO リリースゲート』を発動。このカードを使ってスペクトル召喚する場合、本来の素材でスペクトル召喚することはできず、このカードに沿ったスペクトル召喚を行う」

「な……」

「スペクトルモンスターは、素材指定がある。カテゴリを要求したり、属性、種族を要求する場合もあるが、こういったカードを使えば、そう言った部分は突破できる。このカードを使う場合、自分フィールド上のスペクトルモンスターを素材にして、そのモンスターと同レベル、違う属性のモンスターをスペクトル召喚扱いで特殊召喚される。この効果は、永続効果ではなく、効果外テキストだ」

 

 無効になることはないのである。

 ちなみに、こういったカードではスペクトル召喚できないモンスターもいる。

 実は『聖災の剣聖ディザスターゴディアス』がそうなのだが、『このカードを正規の方法でしかスペクトル召喚できない』と書かれているのだ。

 

「そして、リバースカードオープン。『レベルAC』を発動。除外されているAC罠モンスターカード一枚を発動し、そして、そのモンスターのレベルは、自分フィールド上のスペクトルモンスター一体と同じになる。『ACレイク』を発動」

 

 ACレイク ATK500 ☆1→8

 

「さらにリバースカードオープン。罠カード『スペクトルフレームコード』を発動。自分フィールド上のACモンスター一体を、スペクトルモンスターとして扱うことが出来る」

「バカな……」

「リリースゲートとレイクを除外して、スリットチェンジ。レベル8で、光属性以外のモンスターをスペクトル召喚する。絶望を刻む大いなる瞳よ。今方舟となり、新たなる未来の闇を砕け!スペクトル召喚!」

 

 黒いドラゴンが出現する。

 

「現れろ。レベル8『絶望眼の光船竜(ディザスターアイズ・アークレイドラゴン)』!」

 

 虚ろな瞳が開かれる。

 

 『絶望眼の光船竜(ディザスターアイズ・アークレイドラゴン)』 ATK3000 ☆8

 

「……アークレイドラゴン……」

「大切に保管されていた。力を貸してもらおうと持ってきたが、こんな形で使うことになるとは思っていなかったがな」

「く……」

「そうだ、知っているはずだ。このモンスターの効果はな。だが、今のままだと発動はできない。最後のリバースカードオープン。罠カード『マジカルアビス』を発動。墓地の魔法カードを全て除外する。そして、デッキトップを一枚。墓地に送る。魔法カードではないぞ」

「伏せカードはなくなったが……」

「アナライザーアクセスドラゴンの効果もある。デッキトップから五枚を確認し、そのうち一枚を手札に、それ以外はデッキの下に置く」

 

 さあ、もういいだろう。

 

「そして、本命だ。絶望眼の光船竜(ディザスターアイズ・アークレイドラゴン)の効果を発動。一ターンに一度、このカード以外の特殊召喚されたすべてのモンスターを破壊する。『ディザスターエレメント』!」

 

 アナライザーアクセスドラゴンも破壊されたが、儚の場のカードもなくなった。

 

「さて、もう、6000のライフを削るだけだ。『死者蘇生』を発動。墓地から『アナライザーアクセスドラゴン』を蘇生する」

 

 アナライザーアクセスドラゴン ATK3000 ☆8

 

「終わらせよう。二体のドラゴンで直接攻撃。『ストリームコード』『殲滅のディザスターストリーム』!」

 

 儚 LP6000→3000→0

 

「……兄さん」

「何だ?」

「俺、どうすればよかったんだ?」

「今すぐに答えを出せるほど、僕も生きている訳じゃない。ただ……今度一緒に、デッキを作ろう」

「……ああ」

 

 八雲はこの部屋に最初からいた男を見た。

 

「お見事。あなたも進むことができますよ」

 

 次の瞬間。上昇していたデュエルスペースが降りた。

 

「ふふふ、それではまた」

 

 男は消えていった。

 八雲はそれを見た後、ポケットからデッキを取り出した。

 そして、自分のデッキのエクストラデッキにあるカードを一枚取り出して、そのデッキにいれる。

 

「儚。渡しておくぞ。僕なりに改造しておいた」

「……ああ、強いデッキだ。やっぱり、俺のことは分かってるんだな」

「まあな」

 

 八雲はそう言うと、歩き始める。

 

「それと……三体のエクスデスモンスターだが、儚を認めていた。もっと自信を持った方がいいぞ」

 

 そういうと、八雲は中央の扉を開いて、中に入って行った。

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