「ふう……最上階か……」
遊世たちはかなり体力を使いながらも最上階に来た。
モブオンリーだったのだが、もう数が多いのなんのって。
で、しかも全員が会社員だったよ。うん。
ここは……ちょっと広めのホールか。
ちょっと待っていると、ガイゼと八雲が別の扉から来た。
「お、合流できたな」
「ああ。どっちはどうだった?」
「俺らの方はナルシストがいただけだ。問題ない」
「僕の方は二人相手に戦っていたよ」
「いいな……儚を倒したあと、本当に雑魚ばかり出てきて苦労した」
八雲ドンマイ。
『しかし、ビルを登ってきているにしてはザル軽微だったな』
(ドレイク。それ言っちゃだめだ)
話が進まないからな。
「で、ここからは全員で進め……ガイゼ、あとのメンバーは?」
「罠にかかっているところだ。彼らのことだからおそらく生きているだろう。生命力は高いからな」
いつの間にかG扱いである。
「まあ、進むか」
反対意見はなかったので、全員で進んだ。
そして、最上階に行く階段を上って、屋上についた。
そこには、男が一人いた。
「お前は……」
「ようやくたどり着いたな。デュエリストたちよ。私の名はゼハード。ダーク・サイド・オブ・ユニバース創始者、ラフェルの子孫だ」
本人かい。
「まず、聞こうか。なぜ今回のようなことをしたんだ?」
「無論。ラフェル爺様の復活のためだ。4519から聞いていると思うが、ダークマターについて、ある程度聞いているだろう」
「ああ、まず、持ったものを操ることができて、復活のためのパスになる。だったか」
「まあ、一般的な情報としては、それで正解だ」
実質は違うのか?
「ラフェル様の復活に、生贄など本来は必要ない。ただし、ダークマターを所持させることは必要だ。そして、我々が所持しているダークマターを用いてデュエルをすることで、そのデュエルエナジーがある一点に集まる。いや、集まろうとすると言った方が正しいか。それを集合させることで、ラフェル様を復活させることが出来るのだ」
「なら、一体なぜ復活をたくらんでいるんだ」
「それは……ラフェル様、そして私にも受け継がれている目的、それは『世界支配』だからだ」
どういうことだ?
「私の祖先。ラフェル様は、ある力を持っていた。その力の名は『ドミニオン』と呼ばれていた。君たちに分かりやすい意味で言えば……『支配』と言ったところか」
「支配……」
「ただし、力があるからと言って、自由にそれを行うことができるわけではない。決闘を行い、圧倒的な力で倒すことで、その力を示し、支配力を使うことが出来るのだ。ラフェル様の復活には、厳密に言えば、その決闘によって生じるエネルギーそのものが必要だった」
まてよ。
……ということは。
「じゃあ、『PO ダークマター』の『媒体』は……」
「ほう、宮襟遊世。なかなか勘がいいな。そう、『PO ダークマター』は、ラフェル様の力の『支配エネルギー供給経路』を現代で再現することに成功した、唯一の成功例なのだ。私たちがこの世界に最初に来たのは、もう30年も前か……」
30年前……恐ろしいほど長い時間をかけていることになる。
「30年前……それは……この世界で、『スペクトルモンスター』が出現し始めた時期だ」
八雲が驚愕している。
「ということは……」
「そう、私は30年前、当時完成させることが出来た『PO ダークマター』を、この世界に置いてきた」
な……。
「待て、確か……イデアでデュエルモンスターズが誕生したのは、25年前のはずだ」
ガイゼの言葉に、全員が驚愕した。
と言うことは……ゼハードは、当時存在しなかったカードゲームのカードを生み出したということになる。
「その通り、30年前、私は『PO ダークマター』を完成させることが出来た。私の家族のだれもが成し遂げられなかった快挙と言ってもいい。だが、カードとして再現することが出来たとしても、カードには、それを用いて行われるゲームには、正しいルールが存在する。私にわかるはずもなかった」
その通りだ。
遊世たちは、I2社に、カードを販売されると同時に、正式なルールを発表され、そのルールでデュエルをしている。
もしも、カードだけを渡されて、ルールを説明されずにゲームをやれと言われたら、まず混乱するだろうし、『本来のルール』でゲームをすることなど無謀だろう。
まして、たった一枚の『永続魔法』から、デュエルモンスターズのルール全貌を解明することなど不可能と言っていい。
遊世は最初、ルールブックは渡されたが、結局はデュエルしていくうちにルールを覚えた。
そういうものだろう。
「当時の私は混乱した。一体、このカードから何を想定すればいいのかと。そしてそんな時このカードは、私たち、イデアから、この世界、ボーダーへの道を記したのだ」
……。
「私は次元移動装置を生み出し、ダークマターが導くままにこの世界に来た。そして、私はみた。この世界で、このカードを用いた、カードゲームを行っていることを」
30年前……デュエルモンスターズはかなり進歩していたと思うが、それでも、今に比べてカードの枚数は少ないはずだ。
「私は、『PO ダークマター』を『永続魔法』と言うものに属することを知ったのも、この時だった。私は感動した。しかも。デュエルモンスターズは、ボーダーにおける3000年前、古代エジプトで行われていた決闘をもとに考え出されたゲームだというではないか。これだと私は確信した。そして、私はこの世界に『PO ダークマター』を残し、イデアに戻った後、デュエルモンスターズのカードを大量に生み出し、デュエルモンスターズを生み出した」
イデアでのデュエルモンスターズを生み出したのは、ゼハードだったということか。
「そして、イデアでもデュエルは各地で行われることとなった。だが、私が手に入れた技術では、アドバンス召喚までが限界。融合も、儀式も、シンクロの、エクシーズも、ペンデュラムも全て不可能だった。だが、そんな時、デュエルディスクから、ある召喚反応が発生したのだ」
「それが……『スペクトル召喚』」
「そう。私は、『PO ダークマター』が属している『
そうして、たどり着いたのだ。
「エクストラデッキに『スペクトルモンスター』が出現した時、私は、なんとしてでもこのカードを召喚させたかった。そして、私は『素材』という観点に目を向けた」
シンクロ、融合、儀式なら、素材は墓地に送られる。
エクシーズなら、墓地には行かず、オーバーレイユニットになる。
ペンデュラム召喚は、エクストラデッキからの召喚も可能ではあるが、根本的に言えばそう言うものではないだろう。なぜなら、ペンデュラムのみ、一ターンに一度しかできないものだから。
「まず、私がこのすべての可能性に気が付いた原点、つまりデュエルモンスターズは、どこにあったのかと言うこと。それはボーダー……つまり『異世界』だ。素材である以上、フィールドに残り続けるなどもってのほか、そして、手札と言うのは可能性を、デッキはドローと言う運命を、墓地は死したものが眠る墓場となる。それらに送ったところで、異世界など表すことはできない」
だから……『除外』
「そう、私は、『除外』を選んだのだ。だが、その後『PO』をどうするのかと言うことになる。魔法カードを用いる融合、儀式は、使った後墓地に送られる。墓場ではなく、使用済みの捨て札と言う意味でもあるからだ。私は分からなかった。だが、モンスターを素材として『除外』を選んだことで、反応が大きくなったことも事実。そして、私は発見したのだ。ボーダーから送られてくるエネルギーに、呼応するPOのエネルギーを」
もとより、『PO』の存在理由はスペクトル召喚だろう。
だが『PO ダークマター』として見るなら、それは、異世界をもつなげ、エネルギーを送りこもうとする『異世界への進出』だ。
「そして、ある一つの違いを考えた。なぜ、『PO』は『永続魔法』なのかと。なぜ『通常魔法』でも『フィールド魔法』でも『速攻魔法』でもなく、『永続魔法』なのか。私は考えた末に結論を出した。この『PO』は、使い捨てになることを望んでなどいない。だが、とどまり続けることを許されてもいない。だからこそ、エネルギーを与えようとする『使命』を最後まで果たそうとする、『異世界への進出欲』なのだと」
だからか。
『じゃあ、俺に意思がある
(ああ、エネルギーを異世界へと送ろうとする『感情』が、
そして……。
「そして私は、素材のモンスターを墓地に送るとともに、POも除外した。そして、成功した。それが、スペクトル召喚の完成だった。そして、私はそれを公表した。初めてのエクストラデッキからの召喚に、皆は感激したのだろう。競うようにスペクトル召喚を行っていった」
それが、イデアでのスペクトル召喚の始まり。
ボーダーでいつ出来たのかは、自由にわたることは当時できなかっただろうから、確認されていないだろうが。
「そして、私は『PO ダークマター』を用いたスペクトル召喚について研究した。最初は生み出すことはできなかった。だが、成功したのだよ。ある実験によって」
まさか……。
「スペクトルモンスターを、素材にすることか」
「そう、スペクトルモンスターを素材にすることで、ダークマターの力を手にしたモンスターを出現させることに成功した。そして、そのスペクトル召喚を行った場合、エネルギーの発生量が多いことが判明した。私は、ダークマターを用いたモンスターとスペクトル召喚を研究し、『ダークマテリアル』を完成させることが出来たのだ」
ダークマテリアル。『素材』『材料』などの意味がある。
そう言うことか。
「そして、ダークマターの力を効率よく扱うための環境として『ダークオーブイデア』を完成させ、そこから様々なサポートカードを生み出していった。そして、それを、当時、デュエルにおける法整備の役割を担っていた私は、政府の防衛として『ダークマターシリーズ』を与え、ラフェル様復活のエネルギーを効率よく発生させることに成功した。わざわざ圧政をしくことで、デュエルの回数を極端に増やさせ、結果的にエネルギーは膨大なものとなった。ボーダーにも進出し、デュエルを続けていった。そして、今に至る」
壮絶だった。
代々継承されてきた目的でたった一枚のカードを生み出した男の、壮絶さがあった。
「そして、もう少しで、ラフェル様復活のエネルギーがたまる。ラフェル様の才能とカリスマがあれば、支配など、もはや目前。この世界も、イデアも、全て我々のものとなる!」
あともう少しで完了だと!?
「させるか!絶対に、俺達が止めてみせる!」
「ほう、では、どうする?」
「デュエルだ!」
「ふふ、確かに、私は全DSOUメンバーの中で最強、さらに、ラフェル様復活のための『コア』と私はリンクしている。なるほど。私に勝つことで、止めるということか」
「そうだ」
ゼハードは笑った。
「フハハハハハ!いいだろう。受けて立ってやろうではないか。若きデュエリストたちよ。私は寛大だ。一人で相手をしろなどと無謀なことは言わん。三人まとめて相手することを許そうではないか」
誰がいく……。
全員の視線は、遊世、八雲、そしてガイゼに向けられていた。
遊世は八雲とガイゼを見る。
二人とも頷いた。
「俺達三人が相手だ!」
「ほう、いいだろう。ルールは1対3。フィールド、ライフはお前たちは共有するがいい、ただし、私は三人分のライフ。12000をもらおう。これでどうだ?」
本当の意味で、俺達三人を相手にするつもりか。
「それで構わない」
「フフフ……そう言えば忘れていたな」
ゼハードが指をならした。
すると、その手に、五枚のダークマテリアル進化カードが収まっていた。
ゼハードはそれをエクストラデッキにいれた。
「さあ、始めようぞ」
ゼハードはデュエルディスクを構える。
「遊世!」
「お兄様!」
未来と早苗が叫んだので見ると、カードを投げ渡してきた。
見ると『神速竜ライトレイ』『神速竜キリカゼ』『神速竜ライトレイΩ』『輪廻魔術師ナモレイザ』だった。
「私のカードを使って」
「お願いします。お兄様」
「ああ!」
必要素材を見たが、ライトレイ。素材指定なかったんだな。初めて知った。
キリカゼも、レベル1が二体でいいらしい。
ナモレイザはそうではないが、スペクトルモンスターなのだ。他にも手はある。
「八雲!」
鉄也がカードを八雲に投げた。
「『殲滅戦車トライアル』と『ブラスタービット』三枚か」
「使ってくれ!八雲なら出せるだろ」
「任された」
八雲はトライアルをエクストラデッキに、ブラスタービット三枚をメインデッキにいれた。
「ガイゼ君!」
氷菓が叫んだので見ると、『隕石獣ウルガーナ』を投げ渡していた。
「私のカードを使って。そのカードには、先があるから!」
「助かる」
ガイゼは『隕石獣ウルガーナ』をエクストラデッキにいれた。
遊世、八雲、ガイゼもデュエルディスクを構える。
「さあ、始めようか」
「「「「デュエル!」」」」
遊世 & 八雲 & ガイゼ LP4000
ゼハード LP12000
こうして、始まった。