遊戯王 パラレルスペクトル   作:レルクス

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第二十二話

「ふう……最上階か……」

 

 遊世たちはかなり体力を使いながらも最上階に来た。

 モブオンリーだったのだが、もう数が多いのなんのって。

 で、しかも全員が会社員だったよ。うん。

 ここは……ちょっと広めのホールか。

 ちょっと待っていると、ガイゼと八雲が別の扉から来た。

 

「お、合流できたな」

「ああ。どっちはどうだった?」

「俺らの方はナルシストがいただけだ。問題ない」

「僕の方は二人相手に戦っていたよ」

「いいな……儚を倒したあと、本当に雑魚ばかり出てきて苦労した」

 

 八雲ドンマイ。

 

『しかし、ビルを登ってきているにしてはザル軽微だったな』

(ドレイク。それ言っちゃだめだ)

 

 話が進まないからな。

 

「で、ここからは全員で進め……ガイゼ、あとのメンバーは?」

「罠にかかっているところだ。彼らのことだからおそらく生きているだろう。生命力は高いからな」

 

 いつの間にかG扱いである。

 

「まあ、進むか」

 

 反対意見はなかったので、全員で進んだ。

 そして、最上階に行く階段を上って、屋上についた。

 そこには、男が一人いた。

 

「お前は……」

「ようやくたどり着いたな。デュエリストたちよ。私の名はゼハード。ダーク・サイド・オブ・ユニバース創始者、ラフェルの子孫だ」

 

 本人かい。

 

「まず、聞こうか。なぜ今回のようなことをしたんだ?」

「無論。ラフェル爺様の復活のためだ。4519から聞いていると思うが、ダークマターについて、ある程度聞いているだろう」

「ああ、まず、持ったものを操ることができて、復活のためのパスになる。だったか」

「まあ、一般的な情報としては、それで正解だ」

 

 実質は違うのか?

 

「ラフェル様の復活に、生贄など本来は必要ない。ただし、ダークマターを所持させることは必要だ。そして、我々が所持しているダークマターを用いてデュエルをすることで、そのデュエルエナジーがある一点に集まる。いや、集まろうとすると言った方が正しいか。それを集合させることで、ラフェル様を復活させることが出来るのだ」

「なら、一体なぜ復活をたくらんでいるんだ」

「それは……ラフェル様、そして私にも受け継がれている目的、それは『世界支配』だからだ」

 

 どういうことだ?

 

「私の祖先。ラフェル様は、ある力を持っていた。その力の名は『ドミニオン』と呼ばれていた。君たちに分かりやすい意味で言えば……『支配』と言ったところか」

「支配……」

「ただし、力があるからと言って、自由にそれを行うことができるわけではない。決闘を行い、圧倒的な力で倒すことで、その力を示し、支配力を使うことが出来るのだ。ラフェル様の復活には、厳密に言えば、その決闘によって生じるエネルギーそのものが必要だった」

 

 まてよ。

 ……ということは。

 

「じゃあ、『PO ダークマター』の『媒体』は……」

「ほう、宮襟遊世。なかなか勘がいいな。そう、『PO ダークマター』は、ラフェル様の力の『支配エネルギー供給経路』を現代で再現することに成功した、唯一の成功例なのだ。私たちがこの世界に最初に来たのは、もう30年も前か……」

 

 30年前……恐ろしいほど長い時間をかけていることになる。

 

「30年前……それは……この世界で、『スペクトルモンスター』が出現し始めた時期だ」

 

 八雲が驚愕している。

 

「ということは……」

「そう、私は30年前、当時完成させることが出来た『PO ダークマター』を、この世界に置いてきた」

 

 な……。

 

「待て、確か……イデアでデュエルモンスターズが誕生したのは、25年前のはずだ」

 

 ガイゼの言葉に、全員が驚愕した。

 と言うことは……ゼハードは、当時存在しなかったカードゲームのカードを生み出したということになる。

 

「その通り、30年前、私は『PO ダークマター』を完成させることが出来た。私の家族のだれもが成し遂げられなかった快挙と言ってもいい。だが、カードとして再現することが出来たとしても、カードには、それを用いて行われるゲームには、正しいルールが存在する。私にわかるはずもなかった」

 

 その通りだ。

 遊世たちは、I2社に、カードを販売されると同時に、正式なルールを発表され、そのルールでデュエルをしている。

 もしも、カードだけを渡されて、ルールを説明されずにゲームをやれと言われたら、まず混乱するだろうし、『本来のルール』でゲームをすることなど無謀だろう。

 まして、たった一枚の『永続魔法』から、デュエルモンスターズのルール全貌を解明することなど不可能と言っていい。

 遊世は最初、ルールブックは渡されたが、結局はデュエルしていくうちにルールを覚えた。

 そういうものだろう。

 

「当時の私は混乱した。一体、このカードから何を想定すればいいのかと。そしてそんな時このカードは、私たち、イデアから、この世界、ボーダーへの道を記したのだ」

 

 ……。

 

「私は次元移動装置を生み出し、ダークマターが導くままにこの世界に来た。そして、私はみた。この世界で、このカードを用いた、カードゲームを行っていることを」

 

 30年前……デュエルモンスターズはかなり進歩していたと思うが、それでも、今に比べてカードの枚数は少ないはずだ。

 

「私は、『PO ダークマター』を『永続魔法』と言うものに属することを知ったのも、この時だった。私は感動した。しかも。デュエルモンスターズは、ボーダーにおける3000年前、古代エジプトで行われていた決闘をもとに考え出されたゲームだというではないか。これだと私は確信した。そして、私はこの世界に『PO ダークマター』を残し、イデアに戻った後、デュエルモンスターズのカードを大量に生み出し、デュエルモンスターズを生み出した」

 

 イデアでのデュエルモンスターズを生み出したのは、ゼハードだったということか。

 

「そして、イデアでもデュエルは各地で行われることとなった。だが、私が手に入れた技術では、アドバンス召喚までが限界。融合も、儀式も、シンクロの、エクシーズも、ペンデュラムも全て不可能だった。だが、そんな時、デュエルディスクから、ある召喚反応が発生したのだ」

「それが……『スペクトル召喚』」

「そう。私は、『PO ダークマター』が属している『PO(プリズムオブジェクト)』のカードを研究し、これに関連したカードを生み出し、デュエルを行わせていた。それが功をなしたのだろう」

 

 そうして、たどり着いたのだ。

 

「エクストラデッキに『スペクトルモンスター』が出現した時、私は、なんとしてでもこのカードを召喚させたかった。そして、私は『素材』という観点に目を向けた」

 

 シンクロ、融合、儀式なら、素材は墓地に送られる。

 エクシーズなら、墓地には行かず、オーバーレイユニットになる。

 ペンデュラム召喚は、エクストラデッキからの召喚も可能ではあるが、根本的に言えばそう言うものではないだろう。なぜなら、ペンデュラムのみ、一ターンに一度しかできないものだから。

 

「まず、私がこのすべての可能性に気が付いた原点、つまりデュエルモンスターズは、どこにあったのかと言うこと。それはボーダー……つまり『異世界』だ。素材である以上、フィールドに残り続けるなどもってのほか、そして、手札と言うのは可能性を、デッキはドローと言う運命を、墓地は死したものが眠る墓場となる。それらに送ったところで、異世界など表すことはできない」

 

 だから……『除外』

 

「そう、私は、『除外』を選んだのだ。だが、その後『PO』をどうするのかと言うことになる。魔法カードを用いる融合、儀式は、使った後墓地に送られる。墓場ではなく、使用済みの捨て札と言う意味でもあるからだ。私は分からなかった。だが、モンスターを素材として『除外』を選んだことで、反応が大きくなったことも事実。そして、私は発見したのだ。ボーダーから送られてくるエネルギーに、呼応するPOのエネルギーを」

 

 もとより、『PO』の存在理由はスペクトル召喚だろう。

 だが『PO ダークマター』として見るなら、それは、異世界をもつなげ、エネルギーを送りこもうとする『異世界への進出』だ。

 

「そして、ある一つの違いを考えた。なぜ、『PO』は『永続魔法』なのかと。なぜ『通常魔法』でも『フィールド魔法』でも『速攻魔法』でもなく、『永続魔法』なのか。私は考えた末に結論を出した。この『PO』は、使い捨てになることを望んでなどいない。だが、とどまり続けることを許されてもいない。だからこそ、エネルギーを与えようとする『使命』を最後まで果たそうとする、『異世界への進出欲』なのだと」

 

 だからか。

 

『じゃあ、俺に意思がある本当(・・)の理由は……』

(ああ、エネルギーを異世界へと送ろうとする『感情』が、元々存在していた(・・・・・・・・)からだ)

 

 そして……。

 

「そして私は、素材のモンスターを墓地に送るとともに、POも除外した。そして、成功した。それが、スペクトル召喚の完成だった。そして、私はそれを公表した。初めてのエクストラデッキからの召喚に、皆は感激したのだろう。競うようにスペクトル召喚を行っていった」

 

 それが、イデアでのスペクトル召喚の始まり。

 ボーダーでいつ出来たのかは、自由にわたることは当時できなかっただろうから、確認されていないだろうが。

 

「そして、私は『PO ダークマター』を用いたスペクトル召喚について研究した。最初は生み出すことはできなかった。だが、成功したのだよ。ある実験によって」

 

 まさか……。

 

「スペクトルモンスターを、素材にすることか」

「そう、スペクトルモンスターを素材にすることで、ダークマターの力を手にしたモンスターを出現させることに成功した。そして、そのスペクトル召喚を行った場合、エネルギーの発生量が多いことが判明した。私は、ダークマターを用いたモンスターとスペクトル召喚を研究し、『ダークマテリアル』を完成させることが出来たのだ」

 

 ダークマテリアル。『素材』『材料』などの意味がある。

 そう言うことか。

 

「そして、ダークマターの力を効率よく扱うための環境として『ダークオーブイデア』を完成させ、そこから様々なサポートカードを生み出していった。そして、それを、当時、デュエルにおける法整備の役割を担っていた私は、政府の防衛として『ダークマターシリーズ』を与え、ラフェル様復活のエネルギーを効率よく発生させることに成功した。わざわざ圧政をしくことで、デュエルの回数を極端に増やさせ、結果的にエネルギーは膨大なものとなった。ボーダーにも進出し、デュエルを続けていった。そして、今に至る」

 

 壮絶だった。

 代々継承されてきた目的でたった一枚のカードを生み出した男の、壮絶さがあった。

 

「そして、もう少しで、ラフェル様復活のエネルギーがたまる。ラフェル様の才能とカリスマがあれば、支配など、もはや目前。この世界も、イデアも、全て我々のものとなる!」

 

 あともう少しで完了だと!?

 

「させるか!絶対に、俺達が止めてみせる!」

「ほう、では、どうする?」

「デュエルだ!」

「ふふ、確かに、私は全DSOUメンバーの中で最強、さらに、ラフェル様復活のための『コア』と私はリンクしている。なるほど。私に勝つことで、止めるということか」

「そうだ」

 

 ゼハードは笑った。

 

「フハハハハハ!いいだろう。受けて立ってやろうではないか。若きデュエリストたちよ。私は寛大だ。一人で相手をしろなどと無謀なことは言わん。三人まとめて相手することを許そうではないか」

 

 誰がいく……。

 全員の視線は、遊世、八雲、そしてガイゼに向けられていた。

 遊世は八雲とガイゼを見る。

 二人とも頷いた。

 

「俺達三人が相手だ!」

「ほう、いいだろう。ルールは1対3。フィールド、ライフはお前たちは共有するがいい、ただし、私は三人分のライフ。12000をもらおう。これでどうだ?」

 

 本当の意味で、俺達三人を相手にするつもりか。

 

「それで構わない」

「フフフ……そう言えば忘れていたな」

 

 ゼハードが指をならした。

 すると、その手に、五枚のダークマテリアル進化カードが収まっていた。

 ゼハードはそれをエクストラデッキにいれた。

 

「さあ、始めようぞ」

 

 ゼハードはデュエルディスクを構える。

 

「遊世!」

「お兄様!」

 

 未来と早苗が叫んだので見ると、カードを投げ渡してきた。

 見ると『神速竜ライトレイ』『神速竜キリカゼ』『神速竜ライトレイΩ』『輪廻魔術師ナモレイザ』だった。

 

「私のカードを使って」

「お願いします。お兄様」

「ああ!」

 

 必要素材を見たが、ライトレイ。素材指定なかったんだな。初めて知った。

 キリカゼも、レベル1が二体でいいらしい。

 ナモレイザはそうではないが、スペクトルモンスターなのだ。他にも手はある。

 

「八雲!」 

 

 鉄也がカードを八雲に投げた。

 

「『殲滅戦車トライアル』と『ブラスタービット』三枚か」

「使ってくれ!八雲なら出せるだろ」

「任された」

 

 八雲はトライアルをエクストラデッキに、ブラスタービット三枚をメインデッキにいれた。

 

「ガイゼ君!」

 

 氷菓が叫んだので見ると、『隕石獣ウルガーナ』を投げ渡していた。

 

「私のカードを使って。そのカードには、先があるから!」

「助かる」

 

 ガイゼは『隕石獣ウルガーナ』をエクストラデッキにいれた。

 遊世、八雲、ガイゼもデュエルディスクを構える。

 

「さあ、始めようか」

「「「「デュエル!」」」」

 

 遊世 & 八雲 & ガイゼ LP4000

 ゼハード          LP12000

 

 こうして、始まった。

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