「ち、あまりにも数が多い、倒しても倒しても、直ぐに乱入で参戦してきやがる」
『デッキ枚数回復カード、なぜ入れるのか疑問だったが、こう言うときのためか?』
(こういう状況、想定したいか?)
『いや、全く』
さっきから頭が痛くなるほどスタンディングデュエルをしている。
それにしても、どうにかならんのかこれは……。
その時、誰かが遊世の隣に立った。
身長は遊世よりも少し低い。
流れるような銀髪に、整った容姿で、ワンピースドレスタイプの制服を着ている。
全体的に色素が薄く、儚い雰囲気だが、その分人を惹き付ける。
まあ、胸部装甲は殺人級だが。
『え、誰?』
ドレイクが困惑している。
まあ、分からんだろうな。
「助太刀いたしますわ。お兄様」
完璧な礼の動作と共に、少女はそう言った。
『え……妹!?マジかよ。遊世と全然似てないじゃないか!確かに遊世も顔は悪くはないけど、この少女と比べたら霞んで見えるレベルだぞ!『破滅の女神ルイン』と『ゴキボール』くらい神々しさに差があるぜ。いったいどんなDNAをしたらこんな少女が生まれるんだ!しかも、『お兄様』って、遊世に対して崇拝レベルじゃないか。まるで意味がわからんぞ!』
ドレイク。居候の分際でゴチャゴチャ五月蝿い。
「助かる」
「はい、相手は五人、モンスターは全て『ダークマテリアル』が一体ずつ、伏せカードは無しですわね。それでは、私のターンです。ドロー」
『さて、この絶世の美少女の実力はどれ程なのかな』
(多分甘く見てると後悔するぞ)
『へ?』
早苗はカードを動かす。
「私は手札から、『
輪廻魔術師アルケ ATK1000 ☆4
「アルケの効果を発動、手札の『輪廻魔術師』と名のつくモンスターを一体、除外します。私は『輪廻魔術師ピアナ』を除外します。そしてこの時、ピアナの効果により、このモンスターが除外されたとき、自分のデッキから『輪廻魔術師』モンスターを一体、墓地に送ります。私は『輪廻魔術師ユクモ』を墓地に送ります。手札一枚をデッキの一番下に戻し、手札から『輪廻の通行』を発動します。墓地の『輪廻魔術師』を蘇生します。私はユクモを蘇生」
輪廻魔術師ユクモ ATK1500 ☆8
『……え、レベル8?』
ドレイクがビックリした。
「さらに、ユクモの効果を発動します。このモンスターが魔法カードの効果によって特殊召喚されたとき、自分フィールド上の他の『輪廻魔術師』一体のレベルを、除外されている輪廻魔術師一体のレベル分アップします。私はピアナのレベルである4を、アルケに追加します」
輪廻魔術師アルケ ☆4→8
「レベル8が二体か」
「私は手札から『PO サンサーリア』を発動。サンサーリアの効果により、一ターンに一度、デッキから『輪廻魔術師』を一体墓地に送ります。私は『輪廻魔術師イセナ』を墓地に、そして、サンサーリアと、レベル8の『輪廻魔術師』であるアルケとユクモを除外して、スリットチェンジ、輪廻をつかみとる心よ、今ここに降り立ち幻想となれ、スペクトル召喚、レベル8『輪廻魔術師ナモレイザ』」
輪廻魔術師ナモレイザ ATK2800 ☆8
「『輪廻魔術師ナモレイザ』の効果を発動。墓地の『輪廻魔術師』を一体、除外します。私はイセナを除外。そして、イセナの効果、スペクトルモンスターの効果によってこのモンスターが墓地から除外されたとき、そのスペクトルモンスターの攻撃力を、1500ポイントアップします。このターンのエンドフェイズ時、自分のフィールド上のカードは全て除外されますが……」
輪廻魔術師ナモレイザ ATK2800→4300
ナモレイザの攻撃力がダークマテリアルを越えた。
しかし、デュエリストたちはそれにたいして反応しない。
『いたって静かだが……』
(いや、それはない)
「呆気ないものですが……1000ポイントを払って『拡散する波動』を使用します。そして、ダークマテリアルに攻撃、その時『オネスト』を手札から捨て、効果を発動します。ダークマテリアルすべてに攻撃、デュエル終了です」
早苗 LP4000→3000
輪廻魔術師ナモレイザ ATK4300→7300
『え……』
グイルアスタレンド LP4000→0
ダイアグロンアルセ LP4000→0
アレフザスケニアル LP4000→0
サンザルドラウルザ LP4000→0
レイモンドリアレア LP4000→0
名前パネェな。
さて、呆気なかったな。
「え、お、俺たち、負けたよな」
「は?、う、嘘だろ?」
デュエリストたちは狼狽えている。
『あれ?遊世。一体どうなったんだ?』
(ん?いや、誘発効果とか、魔法カードを使ってレベル8のモンスターを並べて、それらを素材にして出せるスペクトルモンスターを出して、あとは『拡散する波動』と『オネスト』で一網打尽。それだけだ)
『いや、まあ確かにそうなんだが、彼女のデュエルは……なにかが変だ。いや、変って言う言葉が正しいのかどうかもよくわからないが……』
異様に回りの反応が薄いのも理由のひとつだ。
(早苗はな。とても静かなんだ。そして、それが言葉通りなんだよ)
『どういうことだ?』
(卓上デュエルではあまりないことだが、デュエルディスクを用いたソリッドビジョンを用いたデュエルでは、その臨場感に影響されて、どうしても感情が出てくる。俺がさっき戦った未来も、ライトレイを出すときは感情が高ぶっている。早苗は誘発効果を発動していき、並べたモンスターを用いてのスペクトル召喚。これといって別に不思議なことはない)
『まさか……』
(早苗のターン中、全てのプレイは、全く同じ波長で進行する。『何が重要なのか』という情報や危機感を、相手は感じとることができない。『
余計なことはしない。シンプルなものだ。
本当の意味で、『みんながよくやっているデュエル』を、『みんなのいつも通りの雰囲気』で進行することで、重要な場面での重要さを消滅させる。
ただし、攻撃力の配分はしっかりやっている。
そして、自分が抱えるデメリットを全て口にする。
徹底された危機感の完全排除。
最後に、ここぞと言うときの、抜群の奇襲性のあるカードの使用。
『自分フィールド上のカードがエンドフェイズに全て除外される』という、ターン終了時に無防備(フィールドにおいては)になることを宣告し、全体攻撃を行っても、『まだ大丈夫』だと無意識に認識させる。
そして、光属性専用にして最高の奇襲カードである『オネスト』
今回のデュエルで行ったのはそれだ。
そしてそれが、早苗のデュエルだ。
『感情が全く動かないなんて……そんなデュエリストがいるなんてな。遊世は勝てるのか?』
(俺は一回も早苗には負けていないよ)
あ、そう。とドレイクは思った。
と言うより面白くなかった。
「お兄様。今のこの状況で何か知っていることは……」
「まあ、簡単に言えば、よからぬことを考えている異空間の人たちが来てるんだよ」
「ふむ……分かりました」
『え、分かったの!?』
理解したと言うより、遊世がいった通りに考えただけである。
「ちなみに負けるとろくなことにならんからな。あんな感じに」
遊世が指差すと、そこにはダークマテリアルで倒された男子生徒がいた。
DSOUメンバーのデュエルディスクからあふれでた黒い光が生徒を包み込んで、その白かったデュエルディスクに黒いラインを刻み込む。
男子生徒は起き上がったが、直ぐ様他の生徒たちにデュエルを強制し始めた。
「なるほど」
『分かりやすい例が近くにいたもんだな……』
「お兄様はこれからどうするのですか?」
「うーん」
何をすればいいんだ?ぶっちゃけ。
『あのばかでかい球体のコアを破壊すれば、緊急で帰還命令が出るはずだ。あの球体、バカみたいにでかいけど居住性は皆無だしな』
(ぶっちゃけた話、球体がなくても普通に暮らせるんじゃないか?)
『ダークマターそのものが特別なものだからな。ダークマテリアルもそれは変わらん。今現在はあの球体が正常に起動しているからダークマテリアルが使えるけど、この数のダークマテリアルは、恐らく各所に設置してあるはずの供給装置では補えない。必ず帰還する』
ドレイクとしては、確かに、プロリーグチーム『シルバリオラスター』の切り札的存在である光一郎がDSOUに味方しているようなものなので、生活面でも普通に問題はないと思うが。
(使えなくなるってどういうことだ?)
『遊世が持っているスペクトルモンスターみたいな感じになるってことだ』
すごくよくわかった。
「あの球体の中に入ってコアを壊す。解決策はそれだけみたいだ」
「分かりました。お供します」
「助かる」
その後もデュエルで大人数を潰しながら強引に進んでいく。
『なかなかすさまじいな』
(まあ、早苗はいつもこんな感じだ)
『二人が進むペースが同じだが、まあそこは遊世の方が倒している人数が多いからだしなぁ』
(どうでもいいけどさ。此方がシンクロを使わないとマトモに動けないって言うのに、ダークマテリアルが何体も出てくるのかなりうざい)
『エクシーズ召喚して出てきている『聖堂軍イツツバ』が過労死するんじゃないかと思うと心配だな……』
過労死する筆頭は『聖堂軍ワイズ』や『聖堂軍ダルクオーム』かもしれないが、言う必要もないだろう。
「ああもう、てめえら邪魔だああああああ!」
装備魔法を10枚捨てた状態かつ、攻撃力が7000の『聖堂軍セルハザード』が、次々とDSOUメンバーを切り刻んでいく。
『やべえな。殺戮の道だ』
(五月蝿いな)
『しかし、一回バセルークを出してすさまじい数ドローしたと思ったらこれだからな……』
ドレイクがゲンナリしているが、遊世の目には入っていなかった。
そして、やっとのことで球体内部に入った。
前を見る。
そこにはもう球体を全て使っているのではないかと思うほどの広い部屋だった。
ドーム状になっている空間で、中央にデカデカと、カードに載っているイラスト通りのダークマターが存在を主張している。
(いや、手抜きだろこれ!)
『まあ、DSOUは最近財政難だからな……おまけに職人志望の人材も減ってきているのが傾向だし』
(日本各地の伝統産業みたいな状態だな……しかし、これは確かに居住性皆無だ)
『まあ、向こうにも向こうの苦労があるのさ』
(すごく悲しいぞ。俺は)
しかし、中にいたデュエリストの数は多くはなかった。
というか、一人だけ。
黒いドレスの女性だった。
髪も黒いが、肌は恐ろしいほど白く、そして、目は赤かった。
『げ……『リベラル』かよ……』
(どういう階級だ?)
『ダークオーブイデアを持つ五人のうち一人だ』
(なるほど)
『ちなみに、空手七段、柔道五段、合気道六段だ』
(勝てる)
『え、勝てるのか?』
(うん)
次の瞬間、球体の入り口からすごい数のDSOUメンバーが入ってくる。
「お兄様。あのものたちは私が、お兄様はあの女性をお願いします」
「ま、妥当だな」
遊世はデュエルディスクを構えた。
リベラルは玉座から立ち上がりデュエルディスクを出現させた。
「ふふふ、それでは私たちも始めましょう」
「さて、これはお前を倒せばことがおさまる感じか?」
「どうでしょうね」
『いや、事実だな。リベラルのデュエルディスクと、ダークマターがリンクしている』
(説明どうも)
まあ細かいことはいいとしよう。
「まあ、始めて……!」
突如、ダークマターから黒いオーラが遊世を包み込んだ。
ただしこれは、デュエルを強制する光ではない。
明らかに、遊世のからだに浸食してきている。
「ぐうう、こ、これはいったい……」
「ふふふ、ダークマターが気に入ったようですね」
次々と脳内に、力を求める言葉が響いてくる。
しかも、遊世の過去を掘り起こしながらだ。
これはなかなかキツイ。
「だが、デュエルが出来ない訳じゃない!」
「その心意気は誉めて差し上げますわ。ですが、それは無謀でしてよ」
『遊世。アイツの言う通り、今はまじでヤバイぞ』
(知らん。とにかくやることはやってやる)
遊世はデュエルディスクを構え直す。
「「デュエル!」」
遊世 LP4000
リベラル LP4000
先行はリベラルだ。
「私のターン。フィールド魔法『ダークオーブイデア』を発動しますわ」
状況が一変した。
そして、侵食してくる言葉も容赦がなくなってくる。
「効果はご存じのはず、私は『PO ダークマター』をコストに、『ダークマテリアル』をスペクトル召喚しますわ」
ダークマテリアル ATK3000 ☆8
「あなたが戦ったアンノウンはここで終わったでしょう。ですが、私は違います。私は手札から、魔法カード『再臨の合唱』を発動しますわ。このカードの効果により、自分フィールド上のレベル8以上のスペクトルモンスターを墓地に送り、墓地からPOを回収します」
ダークマテリアルが消滅していき、リベラルのデュエルディスクから、『PO ダークマター』が墓地ゾーンから出てくる。
「さらに私は、手札を全て伏せ、『理不尽の合唱』を発動しますわ。ダークオーブイデアが存在するとき、自分のデッキから手札が三枚になるようドローし、全てがモンスターカードではない場合、デメリットは全て無しです。引いたカードにモンスターカードはありません」
リベラルはカードを二枚伏せて、手札を三枚補充した。
「そして、『崩壊の合唱』を発動しますわ。ダークオーブイデアが存在し、自分の墓地に蘇生条件を満たしたダークマテリアルが存在するとき、ダークマテリアルを蘇生します。そして、伏せた『PO ダークマター』を発動。そして、ダークマターとダークマテリアルを除外して、スリットチェンジ。地獄の底より響き渡る悪魔の合唱、現世にて不協和音となりて、全ての神秘を崩壊させよ。スペクトル召喚!レベル10。『ダークコーラス』!」
ダークマテリアルに禍々しいデザインの音符が多数ついたドラゴンが出現する。
ダークコーラス ATK3500 ☆10
「これが私の実力ですわ。私はさらに手札を全て伏せます。ターン終了。『崩壊の合唱』は、発動ターンのエンドフェイズ時、自分の手札を全て除外しますが、これでデメリットはありません」
攻撃力3500のモンスターに、伏せカードが三枚か。
手札は0だが。
「俺のターン。ドロー!」
「ダークコーラスが存在する場合、相手は手札から魔法カードを発動することは出来ませんよ」
面倒だが、今の手札では関係ない。
「手札の『聖堂軍ルナーザ』の効果、相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、手札の『聖堂剣』をコストにして特殊召喚できる。俺は『聖堂剣ルミナリー』をコストにして特殊召喚!」
聖堂軍ルナーザ ATK500 ☆1(チューナー)
「そして、ルミナリーの効果。コストとして墓地に送られたこのカードは、まず手札の聖堂軍モンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。俺は『聖堂軍ワイズ』を特殊召喚。レベルは1下がり、攻撃不可、戦闘では破壊されない」
聖堂軍ワイズ ATK2400 ☆7→6
「『聖堂軍フルモ』を召喚する」
聖堂軍フルモ ATK800 ☆2(チューナー)
「レベル6の『聖堂軍ワイズ』に、レベル1の『聖堂軍ルナーザ」をチューニング、シンクロ召喚!レベル7『聖堂軍ゼセル』!」
聖堂軍ゼセル ATK2300 ☆7
「ゼセルとフルモの効果、ゼセルが特殊召喚されたモンスターだけでシンクロ召喚に成功した時、聖堂剣をサーチ、俺は『聖堂剣サフィクル』をサーチ、そして、フルモの効果で『カセドラルゴ』を特殊召喚。カセドラルゴの効果、聖堂軍モンスターの効果によって特殊召喚されたことで一枚ドロー!」
カセドラルゴ ATK500 ☆1
なお、チビドラゴンは六種類存在し、遊世は四種類を出しているが、
『カセドラルゴ』 光
『カセドラーム』(チューナー) 炎
『カセドラリア』(チューナー) 風
『カセドラング』(チューナー) 地
である。カセドラルゴはチューナーではない。
「レベル1の『カセドラルゴ』に、レベル2の『聖堂軍フルモ』をチューニング、シンクロ召喚!レベル3、シンクロチューナー『聖堂軍アベル』!」
聖堂軍アベル ATK800 ☆3(チューナー)
「アベルの効果、手札の聖堂剣を二枚開示し、デッキからレベル1のドラゴン族モンスターを手札に加える。俺は『サフィクル』と『ツナミ』を開示し、『カセドラーム』をサーチ。墓地のルミナリーを除外して、カセドラームを特殊召喚!」
カセドラーム ATK500 ☆1(チューナー)
かなり強引だが……いくか。
「墓地に聖堂剣が無い状態でフルモを素材としたシンクロモンスターがシンクロ召喚の素材となるとき、レベルを1上げることができる。行くぞ!俺はレベル7の『聖堂軍ゼセル』に、レベル4の『聖堂軍アベル』とレベル1の『カセドラーム』をダブルチューニング!聖堂の剣を握る聖騎士の使命、今ここに具現し、その力で魂をたぎらせろ。シンクロ召喚!レベル12、『聖堂軍ガゼルアブソーバ』!」
聖堂軍ガゼルアブソーバ ATK3800 ☆12
「ガゼルアブソーバの、墓地と除外されている聖堂剣を一枚ずつ装備する効果にチェーンして、手札の『聖堂軍ガザグ』の効果を発動する。自分フィールド上のレベル10以上のモンスターが効果を発動したとき、ライフを500払い、このカードを墓地に送ることで、自分の手札の聖堂剣とは別の聖堂剣をデッキから二枚選択し、一枚を除外し、一枚を墓地に送る」
遊世 LP4000→3500
「俺は『ホライゾン』と『レルーム』を選択し、ホライゾンを墓地に、レルームを除外して、そのままガゼルアブソーバに装備、ガゼルアブソーバの守備力分である2000ポイント上昇、そして、スペクトルモンスターにのみ、二回攻撃できる。さらに、ガゼルアブソーバの効果でさらに攻撃力が500ポイントアップする」
聖堂軍ガゼルアブソーバ ATK3800→5800→6300
ガザグは今日パックで当てたカードだが、まさか早々役に立ってくれるとは。
ちなみに、スターゲイザーもそうだが、効果発動時に聖堂剣が揃っていなくても、不発になるだけで効果は発動する。
ライフを500払っただけで補充できるガザグは優秀とも言える。
デュエル中に一度で、しかも、発動ターンのバトルフェイズ中に自分はカードの効果を発動できなくなるが。
「へぇ、戦闘破壊耐性を付与することを警戒したのかしら?」
「ああ、それを防ぐためにやっただけだ。このガゼルアブソーバの攻撃を二回受ければ、ダークコーラスがいてもあんたのLPは0になるからな」
「確かにそうね」
「バトルだ!ガゼルアブソーバでダークコーラスに攻撃!エンドアステリスク!」
ガゼルアブソーバがダークコーラスに突撃する。
「リバースカードオープン。罠カード『傀儡の合唱』を発動。ダークコーラスが場にいるとき、自分フィールド上のモンスター一体の表示形式を変更し、相手の魔法、罠を一枚破壊する。ダークコーラスを守備表示に変更し、『聖堂剣ホライゾン』を破壊する」
ダークコーラス DFE2500
「ガゼルアブソーバの永続効果で、このモンスターが装備している聖堂剣は破壊されない!」
合唱が響き、ダークコーラスの表示形式を変更させる。
こちらのフィールドには影響はなかったが、合唱の影響で語りかけてくる声の質が上がる。
ガゼルアブソーバはダークコーラスを一刀両断にした。
「ぐ、うううう……」
「ふふふ、苦しそうね。ターンエンドかしら?」
「はぁ、はぁ、ああ、そうだ」
呼吸がまともにできない。
遊世は確かに力はほしいが、ダークマターのような力が欲しいわけではない。
だが、ダークマターは語りかけてくる。
しかも、遊世の声をつかって。
「ふふ、ミスね、手札の聖堂剣、二枚とも発動できたのに、特にサフィクルは発動しておくべきだったわ」
『サフィクルを発動するべきだった……しまった!』
「お兄様!」
遊世には考えることができなかったが、ドレイクと、DSOUメンバーを全て倒した早苗はその意図を悟った。
「私のターン。ドロー。リバースカードオープン、魔法カード『嘆きの合唱』を発動。自分の墓地から、スペクトルモンスター一体を、効果を無効にして特殊召喚する。私は勿論、『ダークコーラス』を復活させる。でもね、この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、500ポイントアップするのよ」
ダークコーラス ATK3500→4000 ☆10
「安心してちょうだい、『嘆きの合唱』を発動したターン。私は他にモンスターを召喚、特殊召喚は出来ないから。さらに私はリバースカードオープン、魔法カード『惨劇の合唱』を発動するわ」
ダークコーラスの攻撃力では、ガゼルアブソーバは破壊できない。
しかし、サフィクルを発動するべきと言う意味。
サフィクルの効果、『効果破壊耐性』
それをしていない。
「『惨劇の合唱』は、相手は一枚、カードをドローして、相手モンスターを一体破壊する。そして、破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分の数値分、自分フィールド上のスペクトルモンスター一体に加えることができる」
遊世は虚ろな目でカードをドローする。
そして、おぞましい合唱が響いた。