そんな世界にオーパーツと呼ばれるアイテムがある。
オーパーツとは、魔法宝記に記されている7つのアイテムのことで、一つ一つに恐ろしい魔力が込められているとされている。
しかし、そんなオーパーツの真の姿を見た者は多くない。
1人の男と女が出会うとき魔法世界のオーパーツを巡る戦いが始まる
運命の石ージン編ー
一面草原が広がる大地、検問をこえて街道を三時間も行けば小さな町に着くはずだ・・・。
そう、着くはずなのになぜか俺は、その草原で三日も迷っていた。
大体の間違いが、1人で行動してしまったことだ。極端な方向音痴だという自覚はあるなのに前の町でハンター支店でメンバーを募集しても1人も集まらなかった。仕方なく検問に向うも一日あれば着くはずなのに四日もかかってしまい、挙句の果てには食糧も尽きてしまった。
どうして自分のもとにハンターが集まらないかは容易に想像できた。みんな俺を気持ち悪いと思っているからだ。自分でもそう思う、太っていてそれに・・・、体が青いのだ。
小さいころからこのような体だった。ダイエットしても体重は変化しないし、青い体も病気の一種で治す手立てはいまだなく、この病気で死ぬわけではないのでこれといって気にはしていなかった。この病気のせいで結果今まで仲間ができたことがない。そして迷った。
そう言いながら俺の表情は暗くなっていった。
「腹減った…」
「トウモロコシを食べたい…」
暗い表情でぶつぶつとつぶやくこと5分。
その時、目の前に一匹の大きな草食動物である「アノプス」が通りかかった。これはチャンスだ。
(こいつを倒せば飯にありつける)
瞬時に腰に装着していた剣を抜き、恐ろしい速さで距離を縮める。アノプスも俺の存在に気づいたのか、一気に突進していきた。アノプスは鼻に大きな角があり、その角で襲ってくる対象を串刺しにするのが特徴だ。新人ハンターが最初に与えられる任務がアノプスの討伐だ。
アノプス一匹程度魔法を使わなくても勝てるのだが、隣から魔物種の「ギー」が三匹連れで襲ってきたことに気付いた。俺はすぐに方向転換し、ギーに対して魔法を唱えた。
「バーニング!」
唱えた魔法は、地面に着弾した途端爆発した。三匹中二匹を倒すことに成功したが、残りの一匹が高くジャンプして鋭い牙で襲ってくる。気づけばアノプスも近くまで来ていた、俺はアノプスを踏み台にすると同時にアノプスに剣を突き刺しすれ違いざまにギーに魔法を浴びせた。
「バーニング!」
魔法は当たると同時に爆発し、ギーを遠くに吹き飛ばした。
改めて俺はアノプスの元に行きアノプスの肉を剥ぎ取ると、魔法石の入った魔法ビンに火を点けて、剣に肉を刺しそのまま焼き始めた。十分に焼き上げるとそのまま食べてみた。
「肉サイコー!!!」
そのまま10分ほどで食べ終えると改め次の町を目指した。次の町は草原を超えた先にあるのだが、自分が今どこにいるかがわからないから困ったものだ。
「仕方ない、GPSマップを使うか。」
鞄から、ハンターズモバイルを取り出す。ハンターズモバイルは、ハンターの与えられる携帯だ。どこでも任務を受けることができるだけでなく、報酬金もこの携帯に振り込められる。この携帯に、旅に出ているハンターが道に迷った時のための緊急処置がある。それが、GPSマップなのだが、これには短所がある。
「なんで、なんで……使用料金が1000Gもかかるんじゃー!!!」
俺はその場で、暴れながら大きな声で叫んだ。
「1000Gっていえば小型の魔物討伐任務の約半分だぞ!」
しかし、このままでは本当に次の町に着くのにいったい何日かかるかわからない。仕方なく俺は、1000Gを支払い自分の位置と目的地の場所を確認した。
「えっと…こっちの方向か…」
そういいながら北の方角に向いて走り始めていた。もうすぐ夕方だ、夜になると魔物対策で門が閉まってしまう。俺は走りだした。
走って30分もすればルーンに到着した。
このアルミア大陸の北の港町ルーンは、貿易を中心に発展してきた町だ。
「やっと着いた…」
着くと同時にハンター支店を俺は目指した。
「ハンター支店を目指す前に宿で部屋を予約するか」
俺は町の中心地に位置する宿屋「ハムハム」に一部屋予約することにした。ハムハムは世界中にある商業ギルドの一つであり、ベスト5に入る実力者だ。ハンター協会とも仲が良くハンターもよく泊まる宿だ。
「ハンターのジン・グランです。部屋を一つ予約したいのですが」
受付の人は、無表情で淡々とパソコンでハンター登録されている人物かどうかを確認していた。そして、俺のほうに向きこう言った。
「ハンターのジン・グラン様ですね。本人確認の為にハンターライセンスを提示してくださいますか?」
俺は鞄の中にある、財布に入れてあったハンターライセンスを取り出し相手に渡した。相手の女の人は、ライセンスを機械に通すとライセンスを俺に返してくれた。
「ジン・グラン様、308号室になります」
鍵を持って俺は、そのまま宿を出てハンター支店を目指した。
ハンター支店に着くころには夕方の6時半を回っていた。
ハンター支店の中では、多くのハンターがお酒を飲んだり、夕食を食べたり、暴れるものまでいた。
俺はそんな連中をうるさそうな顔をして通り去ると、同時に受付の者に到着を告げた。カウンターに着きハンバーグランチを注文したとたん、ハンター支店ルーン店のハンターマスターが話かけてきた。
「鉱石の町ランを出て1週間で到着か、相変わらず極端な方向音痴だなジン。少なくとも2日で着けるはずなんだがな」
俺はハンターマスターに向くと、170㎝あるおれの身長の半分にも満たない小さな老人がやれやれといった表情で話かけてきた。
「いやー検問に向かうのに3日、草原からこの町に向かうのに4日もかかりましたよ」
そう言いながら俺の表情は完全に笑っていた。
「相変わらずチーム志望者はいないか?」
「ええ、志望者はだれも出てきませんでした」
「今あるチームに入る気はないのか?」
俺は少し悩むときっぱり答えた。
「今あるチームに入ると、そのチームの輪を壊しそうで嫌なんですよ」
マスターは少し残念な顔をするとこう言った。
「そうか・・・。この町には何日いるつもりなんだ?」
「1週間はいようかと思います」
ハンターマスターは少し考えると真面目な顔でこう言った。
「なら頼みたい任務があるんだがいいか?」
「なんです」
マスターは少し間を置きこう答えた。
「運命の石を破壊指令なんだが」
俺は少し頭をひねりながら疑問顔で答えた。
「運命の石ってあの伝承にでてくる石の事ですか?」
運命の石とは、1000年前に作られた石で錬金術士たちが作ったとされる石だ。運命の石は、周りの人間の心・運命を乱すことができ、この石一つで戦争が起きたとされる石の事だ。
「そうだ、その石を巡ってこのアルミア大陸の2つの国が戦争をしようとしている」
俺は、驚いた表情で質問した。
「2つの国ってハンガー国とデレシー国ですか?」
「ああ間違いない、ハンガー国は機械兵軍をデレシー国は魔術師軍に戦争準備をさせているという情報がはいった」
「運命の石が発動したせいだと?」
「そらくな、一週間前にアルミア渓谷に恐ろしい魔力の波動を確認した。まあ、今すぐ行ってほしいわけじゃねぇ。戦争が起きるのも1か月はかかるらしい」
「運命の石はアルミア渓谷にあるんですか?」
「おそらくな、ただ詳しい情報はない。今まで運命の石を見た者はいないしな」
「運命の石って、魔法石の一種の魔防石なら防げますよね」
「たしかそのはずだ、魔防石はこちらで用意させる。ただし気を抜くなよ、運命の石は7つあるオーパーツの内の一つだ」
(オーパーツってたしか、魔法宝記に出てくる7つのアイテムのことか。たしかにあの魔法宝記には運命の石も描かれていたはず。たしかにその時代に作られた魔法石にしては時代にそぐわないけど)
「たしかにオーパーツの一つに数えられますね」
すると俺は不機嫌な顔で昔の事を思い出していた。
(小さい頃に一度だけ魔法宝記を親父に黙ってみたことがある。そのまま3時間ほどで見終わったが振り返ると親父がいた。逃げようとしたが失敗してしまい、そのまま怒られて3時間正座させられた。いつの時代の叱り方だよって気になる)
「どうした?」
俺は、真面目に話を聞く事にした。
「いいえ何でもないです。昔の事を思い出していただけです」
マスターはなにかが思いついたように言った。
「ジンは確か王家出身だったな。たしか、グラン国出身の」
「はい、次男です」
そう言うと話がずれたことに気づいたのか、一つコホンと咳払いして話を続けた。
「話を戻すぞ」
「はい」
「任務内容は運命の石を確実に破壊することだ、できれば戦争が起きる前がいいが戦争が始まっても運命の石さえ破壊すれば戦争が収まる可能性がある」
「だから最低でも運命の石を破壊することですね」
マスターは黙ってコクリと頷いた。
「頼むぞ。これはハンター協会からの正式な依頼だと思え」
「わかりました」
話が終わるとマスターは「ではな」と言い、人ごみの中に消えた。カウンターに向くとちょうど出来たのか、ハンバーグランチがちょうど置かれるところだった。
「いただきます」
俺は箸で、ハンバーグランチをもくもくと食した。食べ終わると、席を立ちカウンターにハンバーグランチ代を置いて支店を出た。
外は暗くもう7時を回っていた、まっすぐ宿に帰るはずだったが中央公園を通っていると遠くから悲鳴が聞こえてきた。走って悲鳴の聞こえた方に行くと1人の金髪でツインテールの少女が不審者らしき男に襲われていた。
「おい何してんだ!」
そう叫ぶと男は俺に気づいたのか走って逃げた。
「だいじょうか?」
女の子に声をかけた。おそらく10歳ぐらいだろうか。おびえていた女の子がこちらを向くとびっくりしたように、叫んだ。
「化物がいます!!」
「うっ!」
俺は胸をつかみそこにそこに跪いた。予想内とはいえやはり傷つく、すごくまじめそうな顔で言われたことが一番傷ついた。すると女の子は不審者がいないことに気付いた。
(助けてくれたのかな?何か化物みたいな姿だけど…)
すると俺に話しかけてくれた。
「助けてくれたんですか?」
「……うん」
俺はそれどころではなかった、確かに自分が化物の容姿をしている自覚はあったが、こんなにもきっぱり言われるとショックだ。しかし、女の子はそうとは知らず俺に話しかけてきた。
「ありがとうございます。私エミリーと言います」
「俺はジンだよろしく。エミリーちゃんはどうしてここにいるの?小学生がこんな時間にうろついてちゃダメじゃないか」
(???)
そういうとエミリーちゃんは不思議そうな顔で回りを見渡してこう言った。
「?小学生ってどこにいるんですか?」
「えっ」
まさかこの子。いやいやまさかな。……恐る恐る聞いてみた。
「エミリーちゃんは今何歳?」
「私は今年で18です!」
マジで、てっきり10歳かそこらの歳だとばかり。
「じゃあエミリーはどうしてここにいたの?」
さらっと呼び方を変えてみる。
「なんで呼び方を変えたんですか?」
ドッキン!心拍数が上がっていくのが自分でもわかる。顔も冷や汗を流しながら、何とか平静を保ちつつ答えた。
「えっ!変わった?そんなことないよ、そそそれはそれとしてどうしてここに」
「えーと、ハンター支店に行こうとしていて、したらさっきの男の人に襲われてしまって」
「ハンター支店に用事?」
「はい」
もう遅いしハンター支店はまだ空いてるけどこのまま連れて行くと帰るのが10時過ぎちゃいそうだし。
「今日はもう遅いし明日にしない?」
「そうですね・・・まあ運命の石の事は明日でもいいか」
運命の石の事・・・この人運命の石の事について知ってる。だからといって連れていっても、明日になっちゃいそうだし。
「じゃあ明日またこの場所で待ち合わせしない?」
「おじさんとですか?」
(このおじさんいい人です)
うっ!地味に傷つく、まだ18歳なのに。しかし、こんなことでショックを受けている場合ではない。折角の運命の石の情報提供者を失うわけには。
「うん、俺これでもハンターだから。」
そう言うと俺は、ハンターライセンスを出した。
「わぁ~!本当だ!」
「だから明日昼の1時にここで待ち合わせできる?」
「はい、また明日ここで」
そうして俺は彼女を近くの家まで送った。
「しかし、今日大変なことを聞いた。あの運命の石が復活しそうということ、ハンガー国とデレシー国が戦争しそうなこと。どれも重要なことだ。しかしあの子が俺と同い年だったとは」
まあ、俺も人のことは言えないが。
「明日はついに運命の石の調査開始だな。」
そうつぶやくと俺はいつの間にか宿についてた、ふと気づくと誰かがすれ違った気がした。何か急いでいたような気がしたが。
「まあ、俺には関係ないか」
そう俺はまだ知らない、このすれ違いこそが運命の始まりだということを。
すれ違った人の名は「アリア」
俺の運命の人
そしてこれこそが運命の瞬間