しかしグラン国はそれを魔法壁で防ぎつつ、飛空艇軍団による空からの攻撃を仕掛けていた
そして今グラン国の攻撃が始まる
ボートで移動する事5分、すでに俺達は相手の船の近くに来ていた。
「しっかり摑まっていろ!」
そう言う兄はボートを操縦していた。ボートはかなり早く走っており、相手の攻撃をやすやすと避けていた。
「あと少しだ!」
俺はアリアを気にしながらボートの端を掴んでいた。アリアも真剣な顔でボートの端を掴み相手の船を見ていた。
「攻撃が!」
そうアリアが言うと兄はそのまま攻撃を避けた。近くで見ると改めて大きな船であることを確認した。
船からも攻撃が仕掛けてきた。俺達はそれを避けながらも着実に近づいていた。船は上に魔法壁が仕掛けてあり上からの攻撃を守っていた。しかしそれは同時に下からなら潜入できることを示しており俺達はそれを利用しようという考えだ。
しかし相手もそれを察知したのか上からガトリングガンで交戦してきた。
「兄貴どうする!?」
俺は兄に確認を取る、すると兄は落ち着いた感じで言った。
「このままボートで乗り込む」
俺達は意味が解らずそのまま聞き返そうかと思ったが数テンポ遅く兄は行動していた。
兄が謎のボタンを押すと突如大きな爆発音がしたと思ったらそのままボートは吹っ飛び相手の船目掛けて一直線に突っ込んだ。
「「ぎゃーーーーー!!」」
俺とアリアはボートから落ちないように必死に摑まりながら叫んだ。しかしボートはあと少しのところで船に当たってしまった。
「飛び乗れ!」
そう言う合図で俺とアリアは船に向かって飛び乗った。上手いこと着地した俺達だったが相手はやはり俺達の行動を予想していたのか、甲板には多くの兵士達で犇めき合っていた。
「うっとうしいな…」
「そう言うことを言わないのよ」
俺が素直な感想を言うとアリアはそれを注意する。すると相手から仕掛けてきた。
相手は小さな魔動砲を使い俺達を襲撃してきた。しかし俺が行動するよりも早く兄が反応した。兄は片手を前に置くと瞬時に魔法陣が展開した。すると魔法陣から多くの黒い球体が出現し俺達を攻撃から守ってくれた。
「さすが兄貴のブラック・デストロイは相変わらずだな!」
黒い球体は俺達の周りをくるくる回ると突如相手を攻撃し始めた。黒い球体は相手を突撃する球体もいれば、球体からビームのように攻撃する球体もいた。
戦いは数分で終わり兄の出した黒い球体はそのまま消えた。
「便利ですね!」
「そうでもないさ…」
そう兄が呟くと俺が説明した。
「あれは兄貴の攻撃魔法全てを費やす代わりに自動で攻撃防御をしてくれるもので、使っている間は兄貴は移動すらできない」
「だから滅多に使わないぞ」
そう言うと兄はそのまま走って船の中まで行った。俺達も兄を見失わないように走り船の中に移動した。船の中は意外と静かで驚いた。逆に静かすぎて落ち着かないくらいだ。
「静かすぎない?」
そう兄に質問すると兄はそのまま答えた。
「ああ、人の気配がしない」
少し走っているとふと大きな場所に出た。そこは長机が多くあり、いかにも食堂だという雰囲気だった。
「「「!!!」」」
するとふと殺気を感じた俺達はそれぞれ構えた。すると上から攻撃がきた。俺は長机を蹴り上げ盾にするとそのまま距離を取った。
兄は地面を叩くとそこから大きな氷の刃を出し攻撃していた。アリアは相手の攻撃を受け切りそのまま相手に攻撃をして距離を取らせた。
「誰だ!」
そう兄が呟くと相手の姿を確認した。相手はみな同じ黒の服を着ており顔は覆面で隠している。俺は攻撃をしてきた内の1人に身に覚えがあった。
「お前は教会の町で俺を襲撃してきた!」
「黒の翼です」
そう言うと俺は改めて相手の武器を確認した。俺の目の前の男はこの前のナイフと違い今度は銃剣を持っていた。
「今回はやけに戦闘を意識した武器だな」
「お前を確実に葬る為の物だ」
そう言うと男は武器を構えた。他の方を見ると兄が相手をしている方は大きな斧を持っており、アリアが相手をしている奴は鉤爪を装備していた。
すると兄が誰よりも早く攻撃を仕掛けた。相手の額に攻撃をすると攻撃がヒットした場所が爆発した。兄は手の甲に魔法陣を書いており魔力を練るだけで魔法が使えるようになっている。ただしそれは拳がどこかに付着した時の限定のちからであり、それ以外の場合は先ほどのように魔法陣が必要だ。
相手の頭から煙が上がる。しかし相手はそこから攻撃を仕掛けてきた。
「ふんがぁ!!」
兄はワンテンポ遅く回避が遅れた。兄は斧に攻撃を仕掛けるとカキンという大きな音の後爆発した。兄は少し後ろに飛んだが、そこまでのダメージではないようだった。
アリアの方は相手の攻撃を刀で捌いていた。
「ほわちゃ!」
アリアは鉤爪の攻撃を刀で受けるとそのままの態勢を維持した。
「そのうるさい声、やめてくれない」
そう言うとアリアは相手を蹴り上げた。
「その声黙らせてあげる!」
俺は二人のやり取りを見届けるともう一度相手の方を見た。
「あなたはずいぶん余裕ですね」
「お前が攻撃する様子がないからな」
俺はそう言うと武器を構えた。すると相手の方が先に攻撃してきた。
相手は銃モードで銃撃してきた。俺はそれを机を使って回避すると相手は剣モードで机を切った。俺はそれをしゃがみ避けると机を相手もろとも吹き飛ばした。
「余裕でいられるのも今の内ですよ」
相手は銃剣モードにするとそのまま俺の方に突撃してきた。俺はその攻撃を剣で受け止めると、相手の銃剣から攻撃がさらに来た。
「近爆衝!」
そう言うと俺の目の前で爆発が起きた。
「やりましたか」
「それはどうかな」
そう言うと俺はそのまま相手の後ろ話かけた。
「どうやって避けたんです」
そう言うと相手の方は俺の足元を見ると納得した。
「なるほど!転送魔法ですか」
俺は相手の攻撃が当たる前に転送型の魔法陣を展開して置いた。
「銃剣は近距離攻撃の時に銃撃ができるという物だからな」
そう言うと俺は相手目掛けて突進を仕掛けた。相手は先ほどと同じく攻撃を仕掛けた。
「近爆衝!」
大きな爆発音とともに煙が上がる。するとカキンという剣が落ちる音が聞こえた。
煙が晴れると近くに剣が二本倒れていた。
「ばらばらですか」
「こっちだ!」
俺は相手の後ろから拳で直接殴りかかった。相手はそのまま後ろに飛ぶと窓まで移動した。
兄とアリアも勝負が付いたようで相手の方は全て窓に集まっていた。
「今回はあなた達の勝ちです」
「負け惜しみを!」
「では!」
そう言うと相手の方は窓から飛び降りた。俺は追うかどうか考えたが兄は大きな声で言った。
「今は無限魔石を破壊することが先決だ」
そう言うと兄は奥の扉に向かって走って行った。階段を下りさらに進むと大きな部屋にでた。その部屋の中心に大きな魔動砲とそれにエネルギーを供給している機械を発見した。
「あれか!」
そう言うと俺は機械に向かって歩き出した。すると機械の前に人がいることに気づいた。
「ようこそ!」
「ジジイ!」
俺は大きな声で叫んだ。すると部屋の隅に知った顔がいた。
「ケネディーさん!」
「ジンちゃん!」
奴の隣にケネディーさんがいた。兄のそれには驚いたように黙りこくった。
「彼女の命が欲しければそこで黙っていろ!」
「ジンちゃんこの後ろの機械を破壊すれば魔動砲は止まるわ!」
「黙れ!」
そう言うと爺はケネディーさんを殴り飛ばした。
「私にかまわず破壊して!」
「でも!」
「こんなもの破壊した方が!」
そう言うとケネディーさんを爺はさらに殴った。
「そんなに死にたいなら!!」
そう言うと爺はケネディーさんに向かって銃を向けた。そして…
バン!!
そんな乾いた銃声が響いた。ケネディーさんが徐々に倒れていく。俺はそこで大きな声で叫んだ。
「ケネディーさーーーーーーーーん!!!!!」
俺は気づけば走り出しており、爺はそれを待っていたかのように銃撃した。俺は超人的回避力で回避すると爺に攻撃した。
「真空刃・無!!!!!」
俺は爺に手加減することなく攻撃した。俺達はケネディーさんの元に急いだ。
「ケネディーさん!しっかり!」
「今緊急治療を始めます!」
そう言うと俺はケネディーさんに回復型の魔法を当てようとした。しかし…
「いいわ、もう助からないことは分かるでしょ」
「でも!」
俺は泣きそうな声で叫んだ。
「ありがとね、ジンちゃんは本当に優しいから…」
そう言うとケネディーさんはアリアの方を向いた。
「あなたがアリアさん?」
そう聞くとアリアはケネディーさんの元に寄った。
「はい!」
「ジンちゃんをよろしくね、優しいいい子よ」
アリアは黙って頷く。その顔は俺と同じく泣きそうな顔だった。
「ジークちゃんもね、自分のしたいことに時間を費やしなさい」
「分かりました」
そう言う兄の顔は鎧でわからないがおそらくは俺達と同じく泣きそうな顔なのだろう。
「ソロモン国をお願い…まだ…やりなおせ…」
そう言うとケネディーさんは力なく腕を垂らした。
「ケネディーさん?」
「いやだ!目を開けて!ケネディーさーーーーん!!!」
俺はその場で大きな声を上げながらケネディーさんに寄り掛かった。
アリアは静かに泣いており、兄は悔しそうに拳を地面に叩きつけた。
どこまでも俺の声が響いた。
ケネディーさんの葬式はグラン国城内の大きな謁見の間で行われた。
来ている首脳陣は多く突然の事なのにみんな一週間以内に集まってくれた。
目の前でお祈りを捧げているのは、教会の町で会ったメイさんだった。
ジンはさっきまで隣にいたが外に出て行った。
私も夜風に触れるため外に出た。するとすぐそばにジンがいた。
「ケネディーさんは家族以外で初めて俺の事を1人の人間として見てくれた」
「こんな体だから昔から外にいる人はみんな俺の事を化物だと罵った」
「でもケネディーさんは俺の事を…一人の…人間として…」
そう言うジンの顔は大粒の涙で覆われていた。私はジンを後ろから抱きしめた。
「ジン」
「…何」
「私ね…」
私はジンとの事を思い出していた…
初めて会った時の事…
初任務の時の事…
「ジンの事が好きです」
「…えっ」
「こんな時に不謹慎かもしれないけど…それでも私は一生ジンを支えたい…」
「…俺も」
「俺も一生支えたい」
そう言うジンの顔はすでに泣いてはいなかった。
「俺と付き合ってくれますか?」
私は満面の笑みでうなずく。
「うん!」