もうすぐで退院というところでジークはジンに気になる事を聞いた
俺の体は順調に回復してきていた、しかし俺にはどうしても気になることがある。
「アリア、どうしたんだろ…」
あの悲鳴はどう考えても異常な反応だった、あれ以来アリアは俺の前に現れない。すると部屋に兄が入ってきた、兄は俺の方に向かって歩いてきてこう言った。
「ジン容体はどうだ?」
「大丈夫!もう退院してもいいのに…」
「我慢だ!」
そこまで話と俺は兄に気になっていることを聞いてみた。
「兄貴…アリアは…」
そう聞くと兄は少し俯いていると、仕方がないと言う風に話し出した。
「今はお前に合わすわけには…」
「?どうして?」
少し考えていると兄は更に暗い顔をしながら言った。
「お前はアリアの反応をどう感じた?」
「どおって…なんか…」
「実はな彼女にはトラウマがあることが分かったんだ…」
そこまで言われると俺は当たり前だという顔で言って見せた。
「トラウマぐらい誰でもあるだろ、俺や兄貴だって…」
「ああ、アリアのトラウマの中心に居るのがお前とお父さんなんだそうだ…」
「俺!?」
そう言われて俺は驚いて聞き返した、しかし兄の反応は先ほどからまったくといっていいほど変わらない。俺は何かトラウマになるような事をしたかどうか思い出したが、やはり思い当たらない。
「何かないか?お前が何かアリアにしたとか…」
そう言われると俺は首を横に振って否定した、アリアの何かするわけがない。ましてやトラウマになるようなこと…
「じゃあ、質問を変えよう…」
そう言うと少し間をおいて兄は新しい質問を俺にしてきた。
「お前はハンターになってから亀タイプの魔物の討伐はしたか?」
「そりゃあ何回も…」
「じゃあその内人をついでに助けた覚えはないか?」
「…………」
俺は頭を抱えながら考えていると、数回だけの記憶がある事に思い浮かんだ。
「何回か…」
「その中でアリアと思う人を助けた記憶は?」
「……無いな…」
考えたがやはり思い当たらない、助けた人も大体は旅をしている人だったし…
「無いよ!助けた人も大体は旅人だよ!」
兄は少し考えているとさらに俺に向かって質問をしてきた。
「じゃあ、助けた人の中に女の子はいたか?」
考えた中に1人だけ女の子がいた記憶がある、しかしあれは…
「居るけど…あれは…」
「あれは?」
「小さい女の子だよ…多分俺より5歳下ぐらいの…」
「はぁ~」
それを聞くと兄は大きくため息を吐くと仕方がないという感じで俺の方に向かって話かけてきた。
「ジン…間違いない…それがアリアだ…」
「???」
まったくわからないといった顔で俺は兄の方を見た。
「ジンお前は知らないだろうが…お前の成長は他の人より早かったんだ…」
「???」
「本来12歳はまだ成長期だし、小さくてものちに大きくなる事も大いにある」
「……そうなんだ」
そう聞くと俺は昔の事を思い出していた。
(そう言えばなんか他の同い年の子がみんな小さかったような気がする…)
「たしかに12歳でそんな戦闘を目の前でされたらトラウマの一つや二つなりますわね」
そう言って部屋に入ってきたのはメイリーと小さな箱のような物を持ったサクラだった。
「饅頭でも食べます?」
そう言いながらサクラ達はそれぞれの席に座り中を見せてくれた、俺は中を確認すると緑色の饅頭を選び大きな声で叫んだ。
「俺は宇治抹茶!!」
「うるさい!」
「…はい」
そう言うと他のみんなもそれぞれ選ぶと小さな声でしゃべりだした。
「俺はイチゴ」
「わたくしはバナナ」
「私は豆を…」
それぞれ饅頭を食べ始めた、俺も食べると宇治抹茶のほろ苦さがとてもうまく、つい顔がにやけてしまう。
「やはり、アリア先輩とジン先輩は昔あっていたんですね…」
そうサクラが聞いてくると俺は黙って頷いて反応した、するとメイリーが俺に向かって質問をしてきた。
「どのような戦闘をしていたんですの?」
「戦闘っていたって、ちょっと戦った後崖から落ちてしまったし…」
そう話していたら兄が俺に聞いてきた。
「その後何日迷った?」
「…………2週間ほど」
「「2週間!?」」
二人して驚いていたが兄はやはりといった顔で俺に向かって喋り始めた。
「方向音痴なのに崖の下に降りるからそうなる」
「いや~面目ない…」
「それでどんな戦闘をしてアリアさんをトラウマにしたんですか?」
「まるで俺が好きでトラウマを植え付けたかのように…」
「で、どうなんだ?」
「…………」
思い出したが確かにトラウマになるような戦闘をした記憶がある。
「その反応からすると、周りを気にせず戦った挙句に血しぶきをあげたな…」
そう言うと俺は暗い顔をしながら反論ができずにいた、するとメイリーとサクラは驚くように俺に叫んだ。
「何を考えているんですか!!」
「そうですわ!傍に女の子が居るのに!!」
「…ごめんなさい…」
反論ができない、確かにあれではトラウマになってもおかしくはない。
「でもどうしてわすれていたのでしょう…」
そう言うとサクラがその質問に答えてくれた。
「本来トラウマは記憶の奥に埋まっているもので、何かの要因で急に思い出すんです」
「今回の場合はこのバカとカメライだな…」
バカと言われると俺は反論ができない、色んな意味で…
「馬鹿?ジンさんは頭がいいはずですよね?」
「比喩よ…ですよね」
「いいや、こいつは馬鹿だぞ…」
「「???」」
「たとえて言うとこいつは数学の分数までしかできないし、化学もまったくと言っていいぐらいに苦手だ」
「そうなんですか?」
「…うん」
「そんなんだから、後先考えずに行動ができるんだ」
「なるほど…」
そこまで話すと俺はこれからの行動を話した。
「これからどうする?」
そう聞くと兄は既に考えてあるように話し出した。
「お前とアリアの回復を待ってから、出発だ」
「退院はいつになりそうですか?」
「医者は明後日には二人とも…」
そうサクラが言うと兄は更に俺の方に向ける視線を強めて言った。
「お前は本当に体の仕組みが他の人より違うよな…」
「そうかな…」
そう話と兄達はそれぞれ部屋を出て行った、俺は再び1人になるとアリアの事を考えていた。
「アリア…」
しかし考えても何も進展しないのは明白だし、それに俺はもう一つ引っかかっていることがあった。
「お父さんか…」
そう言いながら見る外はもう夕方だった。
お父さんが話してくれた理想話
それは私には理解できない
家を出るまでそれは理解できなかった