ジンは昔の事を思い出していた
飛空艇が空を飛んで数分が経った。
まだ最果ての地は見えてこない、おそらくはグリルもたどり着いてはいないだろう。
「まだまだみたいね…」
隣にいるアリアも同じように窓から外の様子を窺っている。
外は海が果てしなく見えるだけだ。
「まだかかるって話だし…まだまだなんじゃないかな…」
窓を見るのも飽きてしまった俺は、再び船内を徘徊していた。
準備も終わってしまい、俺達はやることが見当たらない。
最果ての地は俺ですら言った事も、見たことも無い場所なのだ。
「最果ての地ってどんなところ?」
「私は知らないわよ…」
アリアも知らない場所である、文献などにも載っていない場所だ。
俺が中を徘徊していると、俺を図書室らしい場所を見つけた。
「この中に何か情報があるかもな…」
中に入ると本の中からそれらしい文献を探した。
アリアも一緒に探してくれるが、中々見つからない。
すると奥に一つの絵本を見つけた。
「懐かしいな…昔よくこれを呼んでくれたっけ…」
そう呟きながら俺は昔の事を思い出していた。
まだ俺がケネディさんに会って間もないころのお話。
母に呼んでもらった絵本を見て俺は森に興味を持った。
「ちょっと行ってきます!!」
そう言うと俺は裏口から森に出て行った。
初めての森だった為、俺は緊張しながら進んだ。
「♪♪♪」
鼻歌交じりに進んで行くと、俺は動物などを発見するために進んで行った。
初めて自分の意思で外に出たことは、俺にとってはすごくうれしい。
しかし、森の中は意外と何も無く、俺は少し退屈な気分になっていた。
そうしていると木の陰からリスが現れた。
「かわいい!」
リスは俺に向かって歩いていると、俺の手の上に乗った。
リスに会うのは初めてだったし、それはそれで俺は少しうれしかった。
何を言っても見たこの無い生き物を直接見る事が出来るのは、新鮮だった。
「じゃあな…」
リスを逃がすと、俺は更に森の奥に進んで行った。
「何か見つからないかな…」
森の中を進むと、鹿や鳥を見つけた。
ある程度進むと、森の奥に湖を見つけた。
「…どこかで見たことのあるような」
湖を見ていると、その姿は俺が良く知る人だった。
「母さん?何をしているの?」
「あら、ジン?何をしているの?」
「母さんこそ何をしているんだ?」
「私は水浴びよ!ほら!」
そう言うと俺は母の体を良く見た。
その姿は何も身に着けていない、俺はとっさに顔を隠した。
「な、な、何を考えてるんだ!!息子の前で!!恥ずかしくは無いのか!!??」
「…別に無いけど…私のどこに恥ずべき部分があるのかしら?」
「そう言う事じゃない!!裸を息子に見せて恥ずかしくは無いのか!!って言ってんだ!!!」
大きな声で抗議しているが、母はいつのも微笑みで俺の口論を聞き流している。
姉貴のあの性格はおそらくここから遺伝したのだろう。
「別にいいけど、大きな声を出さない方がいいわ」
「それより!なぜここで水浴びをしているんだ!!」
「ここが気持ちいいのよ…」
「場所ぐらい選べ!!」
大体この家族の女は羞恥心がかけているんだ?
姉貴にしても妹にしても母にしても…
いつもいつも家の中で隙があれば裸で巡回しやがって…
「少しぐらい羞恥心を持てよ!!いつも裸で巡回しやがって!!!」
「大きな声で叫ばれると、耳がとても痛いわ…」
「こっちの話を聞け!!」
相変わらず人の話を聞こうとしない!
俺の話を聞き流して、自分の話にしようとする…
これだからこの家族は…
「はぁ…まあいいや…」
「ならいいけど…それよりあなたはどうしてここに?」
「本を見て興味を持ったから…」
そう言うと母はにっこり笑って服を見始めた。
服をちゃんと着ると、母は俺の隣に座り込んだ。
「ジン…少しここの話をしましょうか…」
俺は黙ってその場に座り込むと、母はその場で話始めた。
「ここはね…聖なる水…聖水というの…」
「聖水って、あの有名な?なんでも治すっている水?」
「そう…私は昔体が弱かったの…」
俺は聞いた事が在る、今でこそ天下無双の母は小さい頃体が弱かった。
「そんな時にミストがここの水を聖水に変えてくれたの…」
「ミストってあの有名な?」
「そう…だからここは私にとって大切な場所…」
母は遠い目をすると、湖の中心を見ていた。
その先には大きな木が生えている。
「あの木も特別な木なのか?」
「ええ、あの木はね…」
母は少し間を開けると、少し大きな声で言った。
「ただの木よ!」
「特別な木じゃないじゃないか!!!」
「何を叫んでるの?」
「あんたの所為だろ!!」
そんなやり取りをしていると、母はポケットから何かを取り出した。
「ここを見つけたのはジンが初めてよ…」
「姉貴も知らないのか?」
「ええ、だからこそ…これはプレゼントよ…」
ポケットにある石を放り投げると、その石は湖の上で浮かんだ。
そうしていると、石が光を放った。
そして一瞬でプラネタリウムが出来上がった。
「綺麗…」
「綺麗でしょ?」
「うん!とっても綺麗…」
その景色は今でもずっと覚えている。
母からもらった大切な記憶だったから…
「そんな事が在ったの?」
「うん…」
そうしていると、俺はアリアに約束をした。
「今度行って見ようか…その場所に…」
「…そうね」
そんな話をしていると、兄が部屋に入って来た。
「ジン!アリア!もうすぐで到着だ…」
最果ての地はもうすぐ目の前…
「到着しました…」
「彼らは?」
「まだの様です…」
「良し!急がせるぞ!!」