ジンは一度故郷である、グラン国に帰国しようとしていたが、戦争の影響でルーンからの民間船はすべて他の港に向かっていた。
仕方なくジンとアリアはここから東にまっすぐ進んだところにある町、機械都市を目指した。
その旅の新しい仲間のサンはどこか特別な雰囲気を漂わせる少女だった。
「ふんふんふん♪」
鼻歌を歌いながら俺たちは街道を突き進んでいた。
「ご機嫌ね」
俺の隣を歩いているアリアは俺の嬉しそうな顔を見ると笑顔で言った。
「だって、俺の知らないような物が溢れているんだろ!」
アリアは少し笑うと質問に答えた。
「まあね」
(今から楽しみだな~)
そんな事を考えながら俺は後ろを見た。そこには俺たちと一緒のペースで歩く少女がいた。
彼女の名前はサン新しい俺たちの仲間だ。
「なんでしょうか?」
無表情で言うと俺は「なんでもない」と答えて前を向いた。
(なんか変なんだよな~)
俺は彼女に対して何か違和感を感じていた。
するとアリアの足が止まった。
「ここじゃない?」
アリアは俺に確認をとる。俺はモバイルで任務内容の確認をした。
「うん!ここ!」
そう言うと俺たちはそれぞれの武器を出した。
俺は剣を抜いて構えた。
アリアは刀を抜く体制をした。
サンは腰に着けていた小さな小槌をとると大きく振った。すると小槌は大きなハンマーに変わっていた。
「「おお!」」
俺たちはサンの武器を初めて見た。
「それは、伸縮型の金属で出来たハンマー?」
そう聞くとサンはすぐさまに答えた。
「はい」
よく見るとハンマーのそれぞれの面に小さな魔石が埋め込まれていた。
「それは…」
アリアが聞くとまたしてもサンはすぐに答えた。
「これは、衝撃型の魔石です」
俺は納得していた。ハンマーで攻撃して、その攻撃が当たると同時にハンマーの魔石が反応するのだろう。衝撃を与えればたとえ避けても周囲に及ぶ被害は甚大だろう。
そんな事を考えていると、街道の端から5匹ほどのハラナーが現れた。
ハラナーは四足方向で口から猛毒を吐くことができる。
この街道では、最近ハラナーが集団で襲うという事件が起こっていた。
「申告にあった通りです」
サンは無表情を続けながらハンマーを構えた。
「5匹ね」
そうアリアが言うと俺は草むらの奥にもう一匹いることに気付いた。
「いや、奥にもう一匹いる」
奥のハラナーが出てきた。
「でかい」
最後のハラナーは周りにいるハラナーの数倍はあった。
「1人二匹」
そういうと二人は黙って頷いた。すると、ハラナー達は一斉に猛毒を吐きだした。
俺は大きくジャンプして上から襲いかかった。
サンはハンマーで地面を叩き衝撃波を発生させた。
アリアは刀を抜き息を大きく吸うと一気に距離を潰した。
「アイスランス」
その掛け声と共に俺の魔法陣から氷の大きな粒がハラナー二匹に向けて飛んで行った。氷の粒はハラナーを確実に仕留めた。
サンの衝撃波が猛毒を吹き飛ばした。そして、恐ろしいスピードでハラナーに向かうと一匹に向けてハンマーを叩きつけた。叩かれたハラナーはすごい勢いで近くに木に当たり、動かなくなった。もう一匹はサンに向けて噛みつこうとしたが、サンはハンマーでハラナーを叩いた。
アリアはハラナーの体をすれ違いざまに切り刻んだ。
「よし!終わり!」
周りはハラナーの遺体で埋め尽くされていた。
「じゃあ写真を撮るわね」
そうアリアが言うと、ハラナー達の写真をモバイルで撮りだした。
「よし」
そう言うと写真をハンター協会へ転送した。数分後にそれぞれの口座に報酬金が振り込められていた。
「任務終わり」
そう言うと俺は大きく背伸びをした。
「さあ!旅の続きをしましょ」
「はい」
そう言うと俺たちは次の町を目指した。
私たちが町に着くころには夕方になっていた。
「ここから機械都市までは?」
ジンは私に向けて聞いてきた。
「まだまだよ」
そう聞くとジンはがっかりしたように叫んだ。
「えーーーーー!!」
「さあハムハムを目指しましょ」
そう言うと私たちはハムハムを目指した。
「ここは静かだな…」
ジンは田んぼを見ながら言った。
「そうね」
私は風を体で感じながら言った。
ふと後ろを向くとサンが後ろを向きながら立ち尽くしていた。
「どうしたの?」
サンは私の方を向きながら「なんでもありません」と答えた。
私とジンでハムハムへ行っている間にサンには到着報告をしてきてもらうことにした。
本来ならばジンに行ってきてほしいのだが、ジンは方向音痴で初めて来た町は迷ってしますので、サンに行ってもらった。
私はジンの方を向くとジンに質問した。
「ねえ、今日ずっとサンは後ろを気にしてなかった?」
ジンは歩きながら答えた。
「俺たちをつけていた奴が気になったんだろ」
私は少し驚きながら聞いた。
「つけられてた!?」
「ああ」
ジンは私の方を向きながら、真剣な顔していた。
「それもサンの方にばかり視線を送っていた」
「だから私は気が付かなかったのね」
「でも、だったらなぜジンは気づいたの?」
私はジンに不思議そうな顔をしながら聞いた。
「そりゃああんなに視線を向けられれば気にもなるさ」
そう言いながらジンと私はハムハムの中に入っていった。
「シングルを3つ予約したいんですけど」
「ジンチームのリーダーのジンです」
そういうとジンは相手の人にライセンスを渡すとそのまま、私との会話に入った。
「今のところは何もないし、様子を見よう」
「そうね」
そう言っている内に部屋の登録が終わった。
「では、ライセンスをお返しします」
「部屋は301、302、303号室になります」
そう聞くと相手の人から鍵を受け取った。
私はサンに食堂に居るとメールしたら、そのまま食堂に急いだ。
「何を食べようかな~♪」
ジンは楽しそうな声を発しながら食事を選んでいた。
すると1人のおじさんが私に話かけてきた。
「失礼、アリアさんかな?」
私は後ろを向いた。そこには大きな髭の生やした男の人に出会った。
「ゴウさん!」
「偶然だね!」
「はい!ゴウさんはどうしてこの町に?」
するとゴウさんはにっこり笑いながら答えた。
「実は首都に呼ばれていてね、その帰りの途中だったんだよ」
私は嬉しそうな顔をしながら言った。
「そうだったんですか」
「では!」
「さようなら」
そう言うとゴウさんは食堂を出て行った。
するとジンが私に話しかけてきた。
「今の人は?」
「私の父の友人で機械学の研究家のゴウ・デンさんよ」
「へー」
そう言うジンの顔はゴウさんの消えて行った方を向いていた。
「今日は早く寝てね!」
「はーい」
そういうジンの顔は明後日の方に向いていた。
「ねえ!聞いてる!?」
「うん」
いまいち反応が薄い。
「明日朝早くに出ないと間に合わないんだから!」
「うん」
「本当に聞いてる!」
「うん」
「起きなかったら最終兵器を使うからね」
「うん」
ジンは明後日の方を未だに向いていた。