(一周年記念なので)初投稿です。


innocentのあなたさんが過ごす夏休みはきっと色んな女の子が一杯。(健全)
その子と楽しい思い出を作りましょう。(画面越し)



あ、因みに今までの私の連載した作品とは一切関係性はありません。 純粋にinnocentの小説です。

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今innocentでやってるシュテルのイベントで、シュテルがただただ可愛いので作りました。
元々一周年記念の作品は面倒いからやるつもりはありませんでしたが、シュテルが可愛いのでやります。

頑張ってゲームみたいにあなた目線で作りました。 でも違う気がするのは間違いない。


『あなた』の夏休み

 ある夏の日、一人の子どもと一人の大人が歩いていた。 一人は背が低い少女、大人びた感じを受けるが時折子どもらしい表情を見せる。 もう一人は大学生かすでに就職済みの大人、少女とは違い子どもっぽい印象を受けるがきっちりとした大人の表情を見せる時もある。 二人は兄弟のようにも見えるし親子のようにも見える。 だがこの二人は全くの他人、共通点を上げるとするならば……二人は共に『ブレイブデュエル』と呼ばれるカードゲームに熱中しているところだろうか。

 

「今日もいい天気ですね……少々日差しが強いですが」

 

 少女の名前は『シュテル・スタークス』。 飛び級で中学2年の天才少女。 まだ小学生と変わらぬ年齢の彼女はブレイブデュエルのロケテストにて優勝を果たした、実質状の最強なのである。

 

「ですが晴れてよかったです。 ……あ、でも向こうの天気が荒れる可能性もありますね……」

「…………」

「そうですね、日頃の行いもよいのできっと大丈夫でしょう」

 

 シュテルと会話をしているこの人物はいい年こいてカードゲームにハマる大人である。 元々ゲーム全般好きな性格だったが、今現在はこのブレイブデュエルに大ハマりしている。 実力は未知数、シュテルとの一騎打ちならシュテルに軍配が上がるが誰かと組めば想いもよなぬ実力を発揮する。 時には単騎での実力を遥かに超えることもあり、条件さえ整えばシュテルら上位陣を倒すこともありえる。

 

「……『あなた』も普段の行いは良い方ですよね?」

「……」(頷き)

「本当ですか? ……この間着替えをしている『ディアーチェ』を目撃したとか……」

「!?」

 

 そして何故かこの人物は名前で呼ばれない。 いつも『あなた』とか『キミ』とか……決して名前が呼ばれないので諦めたのはここだけの話。

 

「……! ……!!」

「あれは事故、ですか……」

「……!!」(ヘドバン)

「事故ですかそうですか……私も着替える時は気をつけませんとね……」

「にゃあ」

 

 ひょっこりシュテルのカバンから頭を出したのは『チヴィット』と呼ばれる小型のロボット。 元々はブレイブデュエル内のNPCだったが、ブレイブデュエルの生みの親である『グランツ・フローリアン』が現実でも触れられるように設計した。 元のNPCのデータがそのまま反映されており、このチヴィットはシュテルがモチーフのチヴィットだ。 名は『シュテゆ・ザ・キャット』。

 

「シュテゆ、飛び出してはいけませんよ」

「にゃあ」

 

 シュテゆは猫耳としっぽを生やしており、猫のような行動をしばしば行う。 と言うかほぼ猫である。

 

「もうそろそろで駅に着きますね……」

「…………」

「えぇそうですね、電車での移動も楽しみです」

 

 そもそも何故この二人と一匹はこの暑い夏の日に駅まで歩いているのか? それは少し前まで遡るが……

 

 

 

 

 

 

「…………?」

 

 それはシュテルからの誘いの連絡。 シュテルはとっくに夏休みを迎えており、そして夏休みの宿題を7月中に終わらせるという優等生な事をしていた。 だがそのせいでブレイブデュエルがあまり出来ないでいた。 そこでカンを取り戻すために合宿を決行した。

 

「…………!」

 

 もちろんこれを了承した。 だがここでまさかの展開、初日を過ごすのはシュテルだけなのだ。 ◯学生と1日過ごすことが確定していた……が、この人物にとってそれは大した事ではない。

 

「……〜〜♪」

 

 この人物の頭にあるのはブレイブデュエルのみ。 例え一緒にいるのが小学生だろうが中学生だろうが高校生だろうが大学生だろうが成人した女性だろうが人妻だろうが未亡人だろうが、この人物の行動理念は変わらない。 頭にあるのは常にブレイブデュエル、この人物が嬉しそうなのは強いシュテルとブレイブデュエルし続けられる事がそうなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「むぅ……」

 

 シュテルは返ってきた返事を見て唸る。 別に貰ったOKの返事に唸っていた訳ではない、もちろんそれは嬉しいことなのだが……

 

「およ? どうしたのシュテるん?」

 

 唸るシュテルに声をかけるのは『レヴィ・ラッセル』という少女。 シュテルと同じ飛び級の中学生で、シュテルの事を「シュテるん」と呼ぶのは彼女だけだろう。

 

「もしかして……ダメだったとか?」

「いえ、もちろん承諾してくれました。 してくれました……が」

「?」

「その……飛び級しているとはいえ年頃の中学生に対する反応が……いささか配慮に欠けるといいますか」

 

 シュテルは少々言葉に気を付けながら状況を説明するが、少し頭が残念なレヴィには伝わり辛く……

 

「うーん? つまり?」

「あの人は女性に対しての配慮が足りないのです、いわば朴念仁とか唐変木だという話です」

「なるほど! よく分かんない!!」

「……今度教えて差し上げますね」

 

 レヴィは元気よく答える。 だがシュテルにとってそんなことは日常茶飯事、いつもなら分かりやすく教えてあげるのだが今はあの人物のせいでそれどころではない。

 

「このままではロリコンだとか変態とかの称号が付く以前の問題です。 あの人は我々を女性と見なしていない可能性があります」

「えー僕たち女の子だよぉ?」

「もはや彼にとって我々は共にブレイブデュエルをする、仲の良い近所の友達と言うポジションになってしまってます」

「……別にいいんじゃない?」

「よくありません!」

 

 シュテルは力強く拳を握る。

 

「このまま行くと、我々以外の女性相手でも同じようなことをする可能性が大いにあります」

「まぁそうだよね」

「私たちはあの人の事をよく知っていますから問題も……有りますが! もし知らない女性が同じ扱いを受ければどうなりますか!?」

「さぁ?」

「余りに近い距離感に勘違いしたり、悪い考えを持った女性が寄ってきてしまうのです!」

「ふーん」

 

 シュテルの熱弁をレヴィはクールに受け流す。 いつもとは逆な光景が何だか可愛らしい。

 

「故に……ええ故に! 私達があの人の意識の改善をしないといけないのです!!」

「わーパチパチー!」

「……そんなに大きな声を出してどうしたんですかシュテル?」

 

 ヒートアップしたシュテルに声をかけるのは、シュテル達がホームステイしている『フローリアン家』の長女、『アミティエ・フローリアン』、通称『アミタ』 。 今日も朝からヒーロー番組をレヴィと仲良く鑑賞した彼女は性格がレヴィに似ている。 熱血少女として朝から晩まで熱い。

 

「珍しいですね、シュテルが話してレヴィが聞いているなんて」

「おぉアミタ、これには海より深く山より高い事情が……」

「どんな事情が……?」

「えっとね、トーヘンボクでボクネンジンって話」

「……はいぃ?」

 

 シュテルが事情をアミタに話す。 合宿に行くこと、あの人物と共に行くこと、その人物がいかんせん女性に対する配慮が足りていないこと、etc……

 

「……あぁそういう話ですか、私にも心当たりありますよ」

「アミタもトーヘンボクでボクネンジンだったの?」

「私ではなくあの人が……ですけどね」

 

 レヴィに促され、アミタは数多くある事案の中の一つを話しだす。

 

「以前……私が着替えをしている時にあの人が部屋に入って来たんです」

「ラッキースケベだ!!」

「それは別にいい……訳ではありませんが、そのあとの方が……」

 

 アミタは少し顔を赤くし、恥ずかしそうに話す。

 

「その時の様子を……何故かカードにしまして……」

「!?」

「そしてそれを……何故か母に送っていたんです……」

「まるで意味が分からんぞー!」

「そしたらその夜に母からメールが来て、そこには『お楽しみだったのね♡』って返ってきまして……何がお楽しみですか!? 私は恥ずかしくて恥ずかしくて死にそうでしたよ!?」

 

 因みに何故かカードにしたのか、何故アミタの母親に送ったのかは不明。 一説によれば何処かの誰かが唆したとのことだが……以前不明のままだ。

 

「このままだとトイレやお風呂にまで突入されてしむいますよ!?」

「あ、僕一緒にお風呂入ったことあるよ」

『何ぃぃ!?』

 

 衝撃のカミングアウトに二人のキャラは崩壊する。 驚愕の表情を浮かべる二人に対しレヴィは何でもないような顔をしている。

 

「な、な、何時ですか!?」

「うーん? 何時だったかなぁ……たまぁ〜に入っているたげだし……」

「一回や二回じゃないんですかぁ!?」

「そうだよ〜」

 

 レヴィは未だ衝撃を受け止めきれずにいる二人にさらに爆弾を放る。

 

「いつも先に身体を洗うんだぁ、でね? 僕が先に背中を洗ってあげて、その次に背中をゴシゴシしてもらうんだよ」

『 』(絶句)

「で、お湯に浸かる時はいつもあの人の太ももの上に座るんだ〜」

『アウトォぉぉぉ!!』

 

 二人の常識ではもうダメだった。 これ以上はいけない、これ以上は通報しなければならないと心の警鐘がガンガン鳴っていた。

 

「も、もういいですレヴィ……私達はお腹が一杯です……」

「そう? 僕だけじゃなくて『七緒』とか『ノーヴェ』達も一緒にお風呂入ったりしたけど……」

「いいい良いです!! ええ、もう私達だけでは手に負えません!!」

「そう? ……あ、そう言えばこの間酔っ払った『一架』に無理矢理お風呂一緒に入ったって……」

『レヴィィィィィ!!?』

「ありゃ? 二人共大丈夫?」

 

 シュテルとアミタは床に手を付き、乱れた呼吸をしている。 レヴィはちょっぴり二人の反応が面白かったので続けていたが、流石にやめることにした。

 

「……わ、私……頑張ります」

「何を?」

「頑張って……あの人の意識改善をしてみせます!」

 

 シュテルは決意する。 もうあの人物が皆に奇行をしないように改善しなければ、と。 羞恥心と言うものを教えてなくてはならないと。

 

「でも二人きりなのって1日だけ、しかもシュテゆもいるんでしょ?」

「……頑張ります!」

「私も影ながら応援してますよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして今に至る。

 

「…………」

 

 シュテルは隣にいる、電車の窓から外の景色を見ている「例のアレ」を見る。 この人物を、皆のために、ひいては本人のためにも何とかして女性を意識させなければならないと改めて思う。

 

「…………?」

「あ、いえ、何でもありません。 あることにはありますが……」

「…………?」

「いえ、特に大した事ではありません。 ええ、朝起きたら先に顔を洗うかトイレに行くかを考えるくらい大した事ではないです」

 

 二人は電車に揺られ夏真っ盛りの街から徐々に緑が増えていく自然豊かな場所が見えてくる。 日差しも徐々に登っていき、窓際に座っているシュテル達に日差しが当たる。 そのせいでじんわりと滲み出るようにシュテルの首筋から汗が流れる。

 

「…………」

「そうですね、電車の中とはいえ直射日光は暑いですね」

「…………!」

「……何ですか? それ……タオル? ……ですか?」

 

 取り出したるはタオル……に包まれているペットボトル。 ペットボトルの中身は凍っており、それをタオルで包んである。

 

「…………」

「これを首筋に当てるんですか? ……あ、すごくひんやりしていて気持ち良いです。 ありがとうございます」

 

 中身を凍らすことで氷嚢の役割を持ち、溶けても冷たいまま飲むことが出来る。 二つのことを一つのもので果たせる、いわば生活の知恵である。

 

 そう、この人物はデリカシーと言うものが若干欠落しているが、普通の気遣いや配慮等はそこらの人間よりも出来る。 故にタチが悪いのだが……

 

「……こういうのをもっと他のところで活かしてくれれば良いのですけど」

「…………?」

 

 シュテルの呟きは電車の音にかき消され届くことはない。

 

「にゃあ」

 

 シュテゆは一人、カバンの中で熱さと戦っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 避暑地と言うものは基本快適に過ごせる場所のことを言う。 都会の暑さから避難するための場所、古くは明治時代から言われてきた言葉である。 通常は1、2ヶ月は避暑地にいるのだが、現在の日本では長くて2週間程度だろう。 避暑地と聞いて思い浮かべる時、川のせせらぎや静かに揺れる木々と緑の葉等を思い浮かべれば一瞬だけ涼しくなれるのも避暑地の魅力の一つだろう。

 

「着きましたね」

 

 二人と一匹が辿り着いたのは川に隣接しているロッジ。 ここは何度か訪れた場所であり勝手が分かっているレベルで来ている。

 

「…………!」

「ええ、そうですね。 荷物を置いて晩御飯まで特訓と行きましょう!」

「にゃあ」

 

 二人は歩いて渓流に行く。 折角の避暑地ならではの場所で戦うのもオツなものだ。 普段のブレイブデュエルでは味わえない風情が楽しめる。

 

「シュテゆはそこで見ていてくださいね」

「にゃあ」

「……〜〜♪」

 

 お互いカードを厳選し始める。 何せ二人共互いを相手にするのは久しぶり、どのようなカードで攻めるかを入念に考える。 その二人の表情は実にイキイキとしている。

 

「準備はよろしいですか?」

 

 シュテルは基本炎熱系の魔法を扱う中遠距離型。 離れたところから相手を撃ち落とすのが得意の戦法。

 

「…………!!」

 

 対するこの人物はごちゃ混ぜデッキ。 色んなプレイヤーの戦法を真似して戦う。 おかげでついたあだ名が『ものまねし』、模倣した魔法を複数組み合わせて戦う。

 

「なら……始めましょう!!」

 

 そこから二人きりのブレイブデュエルが始まった。 久しぶりのブレイブデュエルにシュテルはずっと心が躍って、ただただ楽しくてたまらなかった。

 

 シュテルは口では何だかんだ言っているが、この人物に対して好意を抱いている。 ロケテストでトップレベルまで登りつめた自分に対して何の遠慮もなくデュエルを挑み、勝っても負けても必ず再戦を約束するその姿に初めは子供っぽいと感じていた。

 

 だがこの人物はデュエルだけでなく、シュテルの日常にまで遠慮無く入ってきた。 デリカシーに欠ける行為だが、ホームステイとして来ている自分達に何の気兼ねもなく、さも当たり前のように接してくれる行為がシュテルの心を満たした。

 

 当の本人にとっては当たり前なのだろう、だがその当たり前を自分達にしてくれるのが堪らなく嬉しかった。

 

 だからシュテルはこの人物とデュエルしている時はいつも笑っている。 ピンチでも笑う。 負けても笑う。 何故なら楽しくて嬉しくて堪らないからだ。

 

「…………!」

 

 そしてそんなシュテルを見るこの人物は、そんな楽しそうなシュテルと戦うのが大好きだった。

 

「にゃあ」

 

 時折挟まれるシュテゆの気の抜けた応援に心を癒しながら、二人は戦い続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう日が暮れ始めていた。 シュテルは中々内容が濃いデュエルに満足していた。 だが相手のこの人物は流石に若者のハッスルには勝てなかったのか、少々ヘロヘロだ。 シュテゆも途中から参戦し、バッテリー切れギリギリまで頑張った。

 

「お疲れ様です、お夕飯は私が用意するので休んでいてください」

「…………!?」

「……何ですか? その、「シュテルって料理出来たっけ?」って顔は」

 

 シュテルがお菓子作りをしている姿は幾度となく見てきたが、本腰を入れて料理している姿は見た事はないだろう。 正確にはディテールの深い芸術品を作るのだが。

 

「料理に関してはレシピ通りに作る事は出来ますよ」

 

 シュテルの手には「簡単にして美味なるカレーの作り方」と書いてある紙。 どうやら3人目の留学生、『ディアーチェ・K(キングス)・クローディア』の記したレシピなのだろう。

 

「さぁ、あなたはシュテゆと遊んでいてください」

 

 シュテルはキッチンへと向かう。 残された一人と一匹は仕方なしに遊ぶ。

 

「…………」

「にゃあ」

 

 この時一人は思った。 「あれだけ動いて元気だな」、と。

 

 一匹は思った。 「猫ってカレー食えるのか?」、と。

 

 

 

 

 

 シュテルに呼ばれて行くと、香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。 容易に想像できるカレーの図に思わず生唾をゴクリする。

 

「…………!」

 

 テーブルの上にはキチンと二人分のカレーが置いてある。 すでにシュテルは席に着いている。

 

「我ながら頑張りました」

 

 ちょっと胸を張りながらシュテルは自慢げに言う。 確かに見た目は美味しそうなカレーだ。 シュテゆも興味津々だ。 だから思わず席に着きスプーンに手を伸ばす。

 

「それではいただきましょう」

「…………!」

 

 美味しい。 そう美味しいのだ。 流石はフローリアン家の料理長のレシピ、よもやここまでの味が出せるとは流石の言葉しか出ない。

 

「…………!」

「もう完食ですか。 ……おかわりですね、はいどうぞ」

 

 大人の胃袋では一杯では足りない。 黙々と食べ続けるそのサマはまるで人間火力発電所だ。

 

「うーん……」

 

 そんなグルメ家を他所にシュテルは少々不満げ。

 

「…………ガツガツ…………?」

「レシピ通りですが……やはりディアーチェの作るものには劣りますね」

 

 どうやらディアーチェの作るカレーには敵わなかったようだ。 悩みながらカレーを食べている。

 

「しかし……煮込む時間等に間違いはありませんし……技術面は仕方ありませんが……やはり愛情でしょうか?」

「…………もぐもぐ…………」

「『あなたに対する』愛情は負けてはいないはずなんですが……」

 

 …………

 

「…………」

「……っ!?」

 

 ここでシュテル、冷静になる。

 

「も、もちろん食べてくれる人に対する愛情、のことです!」

「…………?」

「そ、そう言ってましたっけ? ならその通りです! ハイ! 決してあなた個人に対する特別な感情なんてありませんから! ハイ!!」

「…………??」

 

 シュテル、ここでまさかの墓穴。 しかも自ら掘った墓穴、さらにそれを掘るダブボケ。 慌てふためくシュテルの姿をこの人物はただ不思議そうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 夕食後も再びブレイブデュエルに興じる二人。 最後はシュテルの勝利で落ち着いた。 そして夜、ここからが本当の勝負。

 

「すいません、先にお風呂に入ってもらってもよろしいでしょうか?」

 

 シュテルは気付いた。 先にお風呂を済ませていれば侵入されることもないと。 そして向こうにこれを断る理由も特にないのでこれで安心だと。

 

「…………」

「いえ、お先にどうぞ」

「…………!」

「はい、ごゆっくり」

 

 シュテル、思わず心の内でガッツポーズ。 これならば自分の入浴中に入ってくることもないと決定的に確信する。

 

「……〜〜♪」

 

 そして何も知らずに呑気にお風呂に入る朴念仁。 その間シュテルは向こうにいるレヴィとディアーチェと電話で話をする。 向こうは電話をスピーカーに切り替えて周りにも聞こえるようになっている。

 

『……そうかそうか、カレーは無事できたか』

「ええ、あの人も美味しそうに2杯平らげていましたよ」

『いいなぁ……僕もシュテるんのカレー食べたかったなぁ』

『あれ、二人共誰と電話してるんですか?』

 

 そこに入ってくる居候その4。 名は『ユーリ・エーべルヴァイン』。 ディアーチェ、シュテル、レヴィ、そしてユーリを合わせて自らを『ダークマテリアルズ』と称している。 ユーリはその中で一番のちびっ子だが、メンバーの中で一番知能が優れている。 普段はグランツ博士と共にブレイブデュエルの研究をしている。

 

「ユーリ、こんばんは」

『あ、シュテル! こんばんはです!』

 

 そこからユーリを含めた4人の少女達が今日あったことを話す。

 

『シュテるん、今日何してたの?』

「今日はずっとブレイブデュエルでしたよ」

『遊んだりしなかったんですか? 折角の渓流なのに』

「そういえば……あの人も言ってきませんでしたね」

『お主に気を遣ったのではないか?』

「……ディアーチェ、それ本気で言ってますか?」

『そうだったな、彼奴はデュエル脳だったな……』

 

 そんなたわいも無い話をしていると、シュテルの元にシュテゆがやってくる。 ……何故かずぶ濡れで。

 

「シュテゆ? 何故濡れているんです? 優れた防水機能があるからいいのですが……」

『あれじゃない? あの人とお風呂に入ってたとか!』

「……そうなのですか?」

「にゃあ」

 

 ずぶ濡れのシュテゆを抱えてやや固まる。 が、すぐにこの後起こり得る事態に気づく。

 

「……はっ! いけません! このままでは全裸のあの人がーー」

 

 が、遅かった。

 

「…………」

「 」

 

 いた。 すぐそこに、少し身体を拭いたのかそこまで水滴は付いていないが、それでもそこにいた。 そう、全裸の『あなた』が。

 

「 」

『シュテル? どうした、返事をせんか』

『どうしたんでしょう……シュテル?』

『シュテるん? ……あ(察し)』

 

 固まるシュテルを他所に濡れているシュテゆを抱きかかえ去る。 きっとたまたまお風呂に入ってきたシュテゆ、そして風呂から上がり身体を拭こうとしてシュテゆがどこかに行ってしまったのを追いかけた結果がコレなのだろう。

 

「 」

 

 シュテルはその後、おおよそ45分後に正気に戻るも、目撃してしまった光景は某スターライト・ブレイカーよりも強烈で、その夜はマトモに寝れなかったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 後にこの時の事をシュテルはこう語る。

 

「向こうからやって来たらどういう状況でも意味ないんですよ」(遠い目)

 

 シュテルの合宿はその後に合流した仲間達によってより楽しいものになったが、その間『あなた』の事をマトモには見れなかったそうな……

 

 




基本夏イベントを参考に作ります。 が、もしかしたらオリジナルで作るかも……でも基本はイベントをベースにしてます。

誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。

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