僕犬系っ娘の日常   作:軟体動物

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初体験の元少年

ご主人様に頭をなでてもらってからお風呂に入って寝ようと布団に入ったはいいものの...

「何でこんなに冴えてるの!?」

そう寝れない。寝れないどころか月に向かって吠えたくなる。何でだ?僕は犬であって狼ではない。だからそんな習性は無いはず...どうすればいいんだろう?

「あっ、そうだ。ご主人様に相談しよう。」

僕の部屋を出て目の前の部屋がご主人様の寝室だ。困った時は何時でも言ってと言われているけど迷惑だよね...はぁ、どうしよう。

「あれ?クリンさん。僕の部屋の前で何してるんですか?」

「あ、ご主人様。ご主人様!悩みを聞いて欲しいの!」

「な、何でしょう?」

「ね・れ・な・い・の」

「うわぁ!いきなり耳もとで囁かないでくださいよ!」

僕がいきなり耳もとで囁いたせいでご主人様が尻もちついちゃった。そしてご主人様は座った状態から僕を見上げて...

「何でクリンさんの目、紅色に輝いているんですか?」

「え?うそ?」

僕の目は通常金色だ。紅色に輝くわけがない。もしかしてご主人様はいたずらされたお返しに僕を騙そうとしてるのかな?いや、ご主人様がそんなことをするわけがない。じゃあ、本当に紅色に輝いているのかな?

「クリンさん、鏡どうぞ。」

ご主人様がたまたま持っていた鏡に写った僕の目は紅色に輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、クリンさんは犬では無く狼だったと。」

「そういうこと。採血結果もそう出てるわ。」

次の日の朝墨須さんが来てそういった。念のための採血がこんな大事なものになるなんて。しかし...

「まさか自分の種族を理解出来ていなかったなんて...」

「あぁ、だから野菜苦手だったんですね。」

「そして、狼だから夜行性よ。」

「え?それってつまり...」

「そう、だぁりんクンとは生活時間が違って来るわね。」

「そ、そんな...」

せっかくご主人様のところに来たのに、ご主人様とコミュニケーションも取れないなんて...

「僕もっとご主人様と一緒に過ごしたいです!ご飯も一緒に食べたいし、お風呂は...流石に無理かもしれないけど...とにかく一緒に過ごしたいです!」

「なら、クリンちゃんが起きてればいいのよ。」

「え?そんなこと出来るんですか?」

ご主人様の言う通りだ。そんなことが出来なら迷わずそっちを選ぶ。

「だって、コウモリの娘でさえ日中活動して、夜寝る生活を出来てるんだから狼のクリンちゃんにも出来るはずよ。」

「本当ですか!僕頑張ります!」

「はぁ、すっかりだぁりんクンの虜になっちゃって。」

「それは墨須さんも同じじゃないですか。」

「え?バレちゃった?www」

よーし、頑張るぞ!生活リズムを変えればご主人様と過ごせる。そう思っただけでやる気が身体中から溢れ出す。

「そういえば、クリンちゃんの服ってあるの?ほら、下着とか。」

「え?墨須さんが渡してるんじゃないんですか?服は僕のを着てもらってますが...」

「クリンちゃん、下着ってどうしてる?」

「パンツはご主人様ので、ブラはして無いよ?」

ん?何でご主人様は赤くなって墨須さんはニヤニヤしてるの?だってこの家男がご主人様だけだからご主人様の借りるしか無いよね?ブラなんてつける気になれないし。

「だぁりんクン、今日買いに行ったら?」

「はい、今すぐ行きます。」

「え?ご主人様お出かけ?やったぁ!」

突然何でかわからないけどご主人様とお出かけ出来るみたい。やったね!どこ行くのかな?遊園地かな?公園かな?

 

 

 

 

 

 

 

「着きましたよ。」

「え?ここって...」

到着したのは遊園地でも、公園でもなくショッピングモールの女性用下着コーナー。期待した僕が馬鹿だった。あの話の流れで公園とかに行くわけ無いじゃないか。

「ご主人様、嫌だからね。」

「えー、困ります。せっかく来たんですし、ね?」

「いや、絶対いや!僕もう帰るから。」

何で僕がこんな下着をつけなきゃいけないんだ?別に今のままで困ってないし、だいたい、こんなの着けたくないし。

「あ、ちょっと!あぁ、もしもおとなしく着けてくれたら一緒に寝てあげようとしてたのに...」

「え?一緒に寝る?...」

「いや、今のは墨須さんに―」

「ご主人様、選んで貰える?」

本当は着けたくないけど...ご主人様が一緒に寝てくれるのだったら...我慢して着けてあげなくもない...かな。

「本当ですか?!じゃあ、どんなのがいいですか?」

いや、どんなのがいいかって言われても僕こんなの初めてだし、わからないな...

「ご主人様が見たことあるのでいいよ。」

「んー、じゃあこれとかですかね?」

ご主人様が取って来たのはピンクのフリフリ付きのセットだ。とりあえずご主人様がせっかく持ってきてくれたんだし、着けて見よう。

「じゃあ、着けて見るから待ってて。」

「はい、わかりました。」

どうやって着けるのかな?とりあえずTシャツを脱いでこの部分を胸に当てて...あれ?これちょっときついかも...

「ご主人様?これキツイ。」

「え?!それDですよ?」

「ほら、見て?」

「ぶっ!何してるんですか?!早く隠してください!」

何でそんなに焦ってるのかな?だって見てもらわないとわからないじゃん。でも、どうすれば...

「1回お店の人にサイズを測ってもらったらどうです?」

「そうだね。1回測ってもらいに行ってくる!」

そうだね!測ってもらえばちゃんとしたサイズもわかるしね。よし、早速行こう!

「はい、って服を着てください!」

 

 

 

 

 

 

 

「上から86 55 84ですね。」

「それじゃ、どれになるの?」

「こちらのE(65)かF(65)になります。」

「だってご主人様。ご主人様?」

「な、なんだっ、て?」

今日のご主人様変だよ。何でこんなによく固まるの?やっぱりこういう店だからかな?とにかく今はこっちに戻さないと。

「ご主人様ー!」

「うわっ!な、な、な、んですか?」

耳もとで叫んだだけでそこまでびっくりするかな?まあ、いいや。

「僕このふたつ着けてみるからね。」

「は、はい、わかり、ました。」

今日のご主人様は【嫌い】だな。そう思った瞬間僕の周りに黒いオーラが出た。

「何なの?今日のご主人様。自分から誘っておいてさっきから固まってばっかりで!僕のを見ようともしないし。もうご主人様なんて...大ッ嫌い!」

「ちょ、クリンさんどこに行くんですか!?」

そんなご主人様の声を無視して僕は走り出す。もういいんだ。きっとご主人様は僕のことを今ので嫌いになった。だから戻る場所なんて無い。何も考えずに走ってついたのは最初にいた河川敷だった。

「何で僕あんなこと言ったんだろう...」

せっかく拾って貰って住む場所が見つかって、みんなとも仲良くなったのに...

「馬鹿だな。僕は...」

滅多に見つからないようないい人相手にあそこまでキレちゃうなんて...そして、自分の居場所も失うなんて...

「...グスッ、ご主人様...」

「クリンさん!!」

「え?...」

何で?何でこんなところにご主人様がいるの?なんであんな事言ったのに僕の名前を呼ぶの?わからないよ...

「なんで?...何でついてくるの!?」

僕の馬鹿。本当は飛びつきたくてたまらないくせに。謝りたくてたまらないくせに。またご主人様を突き放そうとする。

「それは!クリンさんが【家族】だからに決まってるじゃないですか!」

「【家族】...」

そっか...家族か...血も繋がって無くて、あんなこと言う僕を家族だなんて...

「ご主人様は馬鹿だな...ごめんね。」

「いいんですよ。ほら、帰りましょう。」

そう言ってご主人様は手を差し伸べてきた。何時でもそう。僕が困った時には手を差し伸べてくれる。そんなご主人様が僕は【大好きだ】

「ご主人様ー!!」

「うわっ、いきなり飛びつかな...」

ご主人様の胸の中で僕は泣いていた。嬉しくて、申し訳なくて、そして何よりもご主人様の優しさに包まれて。

 

 

 

 

 

 




ク「あれ?結局下着は?」
公「あ、、、」
クリンの【完全勝利】
ということでこれからもこんな感じのクリンちゃんですがよろしくお願いします。
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