やはり親父は息子の幸せを願っている。   作:えうえう

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次は八幡視点でこの回をちょっと書いてみます


やはり俺は勘違いする

「八幡、ちゃんと説明しなさい」

「お兄ちゃんには説明する義務があります」

「ひゃ、ひゃい」

ただいまこの病室では家族会議が行われている。ちなみにこの病室は八幡を轢いた運転手さんの雇い主である雪ノ下家が賠償の一部として用意してくれた部屋だ。ちなみに雪ノ下建設&県議員でお馴染みのあの雪ノ下家だ。賠償される所以は無いのだが、雪ノ下家の専属弁護士の葉山さん曰く口止め料として受け取ってほしいとの事。政治家にも色々あるんだろうと言うことで八千代と話し合った結果その示談を受けいれた。まさかこんな立派な部屋になるとは思わなかったが。

 

「えっとですね...どっかのアホが犬のリード離しちゃったみたいで、犬が勢いよく道路に飛び出したんすよ...それで...反射的に....」

「い、犬の為に自分の命捨てようとしたっての!?それに反射的にって何!?拾える命は全部拾いたいとか思ってんの!?武装錬金なの!?熱血キャラなの!?」

「お兄ちゃんにそんなキャラ似合わないよ!お兄ちゃんにお似合いなのは、命を弄ぶ外道キャラだよ!」

「かーちゃん武装錬金知ってんのかよ...てか小町ちゃん、言ってる事酷すぎるからね?」

「うっさい、このゴミいちゃん!ボケナス!八幡!」

「八幡を悪口に使い始めたよこの子」

 

 

俺はどうにも体が反射的に動いたと言う理由に納得できなかった。理性的なこいつがあの場において判断をしくじるなんてどうしても考えられない。それも自分の命と他人の犬の命どっちが重いでしょうか。なんて誰にでも分かるような事をだ。

もしかしてこいつ死にたがってんのか?それこそ八幡らしく無いとは思うが今回のこいつの行動はそうとしか思えない。

 

「八千代、小町。売店で飲み物買ってきてくれ。なんでもいいから」

八千代に目配せする。どうやら伝わったみたいだな。何も言わず小町を連れて買いに行ってくれた。

 

「正直に答えろよ八幡。なんで犬助けた?」

「...反射的に体が動いたんだって言っただろ。自分でも分からん」

「嘘つくな」

「嘘じゃねーって....てか俺も犬も助かったんだし、もういいだろ」

「よくない。なんでそんな見え透いた嘘つくんだよ?自分自身が一番分かってんだろ、八幡。反射的に体が動いた?おニャン子クラブ全員仲良し!ってキャッチフレーズの方がまだ信じれる」

「例えが古すぎて分かんねーよ」

「普段のお前からは全く想像できないってこったよ。今回の件は」

「....」

 

暫く沈黙が続き、部屋には時計の音だけが鳴り響く。これ以上問い詰めても本当の事言うつもりはないみたいだな。でもこれだけは今、ハッキリとさせたい

 

 

「理由はもう言わなくてもいい。でも約束しろ八幡。二度とこんな無茶はするな。二度とだ。お前が居なくなると家族みんな悲しむ。だから、自分の命を粗末に扱わないでくれ。...もしも辛い事とか自分ではどうしようもない事が起きちまったんなら、俺を頼れ。いや俺じゃなくてもいい。お前には小町や八千代だっているんだ。お前からしたら頼りねぇかもしれん。でもな、八幡。これだけは覚えとけ。家族みんな、お前の味方だから。お前の力になりたいと思ってるんだよ」

 

八幡のアホ毛を潰し、頭を雑に撫でる。

「まぁ、犬救ったのは褒めてやる。よくやったよお前は。でも褒めてやるのは今回限りだからな?」

 

命を救う善の行為をして怒られるばっかじゃ可哀想だしな。俺ぐらいは褒めてやんよ。さて、休むって言っちゃったけど社畜は社畜らしく会社へ行こうか。仕事が山積だし。

 

「じゃあ、俺仕事行くから。かーちゃんに車のキー渡しといてくれ」

「....あのさ」

「ん?」

八幡が俺の目を見ながら徐に口を開く。

「俺は別に犬を助けたかったんじゃないんだ」

「?」

「犬の飼い主の女の子が轢かれそうになってる犬見てこの世の終わりみたいな顔しててさ...どうしても犬を見捨てようって気にはなれなかった。それに車の速度的に助けれそうだと思ったから...」

「つまり女の子の為と?」

「...あぁ、こっちの理由のが信じれねーだろ?」

 

八幡はハッキリとした声でそう言ってきた。どうやらこれが本当の理由らしい。

 

「俺は今すげー納得いったよ」

「え?」

「まぁ、そのだな。正直に言うとさっきまで俺はてっきりお前が死にたがってるんじゃないかって思ってたんだよ。だからそっちの理由の方がしっくり来るよ。お前意外と人情家だしな。今でも小学校4年の時の「黒歴史思い出すから勘弁してくれ!」すまん」

「...ふふっ」

「何笑ってんだよ」

「いや、正直に話してみるもんだなって」

全くこいつは...

「ったく。あーあ、悩んでたのアホらし」

「悪かったよ、親父。それとさ」

「ん?」

「その、なんと言うか。まぁないと思うけど困ったら頼らせてもらう...かも」

「...おう。待ってるよ」

 

そう良い残し、俺は部屋から出る

 

 

.......あああああああああ!!恥ずかしい!!恥ずかしくて死んじまうわ!勘違いして勝手に心配した挙句に俺を頼れってなんだよ!今まで放任してきた癖にどの口が...いや、もういいや。あれは俺の紛れもない本心だ。なら、今からでも遅くない。八幡に頼られる親父になろう。亡羊捕牢だな、まったく...

 

俺は病院を後にした。

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