「なんでだよ先生!!なんでこいつを助けてくれねえんだ!!」
一人の少年は医者に向かって叫んでいた。
少年に取ってこの医者は最後の希望だったから。親友を突然襲った病。--不治の病なら少年も諦めが付いただろう。だが親友を苦しめている病は決して不治と言うことはない病気。・・・ただし
「すまないがこの病を治すのには莫大な治療費が必要になるんだ。お金を出せないなら手術は出来ない」
金
親友を助けるには莫大な金が掛かる。そのお金は少年は勿論、親友の両親ですら払えない。
助けることが出来るのに金がないから助けることが出来ない。・・・俺が金がないから・・・
少年はただ自分の無力さを助けない医者を恨むしか出来なかった
「す、すまねえ・・・オレが、金さえあったら」
金がないなら手術をしない。そう言っていた医者は払えないことが分かると何も言わずにすぐさま帰って行った。残された少年は親友に泣きながら謝り続けた。すまねえ、すまねえ
そんな少年に親友は苦しいはずなのに笑い、そして「大丈夫だよ」。喋れない親友が無理をして弱弱しい声で少年を慰める
「や、やめろよ!!無理するな!!絶対助けるから!!だから!!そんな・・・もう死ぬみたいに笑うんじゃねえよ!!」
親友は分かっていた。自分の死期が近いことも・・・少年がそれに気づいていたことも。だから親友は願った。・・・最後に笑った少年が見たいと。自分にとって両親よりも大切な親友に幸せがあるようにと・・・
「お、おい。何冗談やってんだよ。・・・起きろよ!!頼む!!起きてくれ!!お、オレを一人にしないでくれえ」
親友が目を閉じゆっくりと意識を飛ばす。疲れて寝たのかもしれない。・・・でも少年は直感で分かってしまった。彼は死んだのだと
死んだ親友に近づき少年は涙が流れている自身の目元を拭き。こみ上げる涙を堪え親友の遺体を抱きしめる
その時、少年の心には一つの負の感情がある行動を取らせた。
「待ってろ親友。お前の仇とってやるから」
少年を駆け出した。その目は狂気に染まっていた。
親友の自宅を出た少年は復讐という狂気の赴くまま親友を見殺しにした医師を探していた。手にはナイフを持ちただ見捨てた医師を殺すためだけに動く。
医師は何故か直ぐに見つかった。何故探せたのかは少年はわからない。ただ感じ取れたのだ、後に少年はそれが”念”と言われる技法を無意識に使っていたことが分かるが当時の少年にはそれを知る由もなかった。
医師を見つけた少年の行動は早かった。背後から近づき医師の首筋にナイフを刺そうとする。
「なっ!?君は!?」
近づいてきた少年にギリギリで気づいた医師はナイフを掠りながらもなんとか致命傷を避ける
「ま、まて少年!!あの子供のことは残念に思っているがこちらにも事情が」
必死に少年を説得しようとする医師は大人として当たり前の行動を取っていた。癇癪を起こしている子供を宥める、納得できなくてもこれが世界の常識なのだと
だが、少年はまだ幼い。大人の事情など知らない。だからこそ少年は止まらない。
医師は恐らく戦いなれていないのだろう。子供とは言え無意識の内に念を使っている攻撃を防ぐことは医師には出来ずナイフをいなす事が出来なかった。
「これで終わるよ親友」
少年の目には光がなかった。ただただ医師の体をナイフで切り続け手足を動かなくしてから命乞いすらしない医師の頭に向かってナイフを突き刺す
「・・・だれ?」
少年は不思議な体験をした。自分は医師を殺すつもりでナイフを突き刺した。・・・でも今、自分の体が動かない。ナイフは医師の頭に当たる寸前で止まっていてどう足掻こうとも動かなかった。
そしてまた何となくだが後ろに誰かがいて自分の邪魔をしていることがわかった。だから後ろに向かって声を掛ける
「私は難病ハンターのチードルよ。今、貴方が殺そうとしている男の上司ってとこかしら」
聞こえてきた声は女の声だった。女はチードルと名乗りこの医師の上司だと言う。・・・なら敵か・・・
少年は動かない体を無理やり動かそうとする。無理に動かそうとしているからか体が軋む、血が噴き出してもきた・・・でも関係ない
「ごめんなさい」
「!?」
少年の体を何かが包む。チードルの声が聞こえたとき少年は抱きしめられているのだと気が付く。
「貴方やお友達のことは彼から聞いているわ。本当にゴメンナサイ」
だから死のうとしないで。・・・チードルの言葉が少年の心に響く。
少年の目からはこらえていた涙が溢れる。・・・死にたかった。親友が居ない世界など意味がないと少年はそう思ってしまった
復讐をするために飛び出したのも医師やその仲間に殺してもらおうと思ったからの行動だった
泣き崩れた少年にチードルは抱きしめながら謝罪の言葉を続けそして少年に話しかける
「私が、私が貴方に全てを教えます!!もう子供にこんな思いをさせないためにあなた自身が医者になりなさい」
「お、オレは・・・」
「名前を教えて頂戴」
「レ、レオリオ」
名前を聞いたチードルは少年・・・レオリオの頭を撫でる
「世界一のドクターになりなさいレオリオ。その為なら私は全てを貴方に捧げます」
レオリオはその時のチードルを見たときその優しい笑顔に見惚れてしまった。そして少年は決心した。
金に困っている患者やその保護者に金なんていらねえと言える医者になってやると