ハイスクールD×Dの世界に転生した。   作:小説書けないマン

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逃亡

「――――――。」

 

部屋の中には俺一人。扉の前には女の死体が散らばっていて、そこから流れるおびただしい量の血が部屋中に描かれた魔方陣を侵食し赤く染めあげていた。部屋内の怪しげな置物と相成ってそれはまるで怪しい儀式――それこそ生贄から悪魔を召喚するかのようである。

 

「逃げなきゃ……」

 

人一人殺しておきながら俺の心にまず思い浮かんだことは後悔や懺悔などではなく、自己保身の考えだった。

あんなに暑かった体が今は凍っているかのように冷たい。自分のしたことを改めて自覚し冷え切っていく。

今の自分を見る。

靴には勿論ナイフや手、服の随所に至るまでコールタールのようにべっとりとした赤い血が付着していた。

 

……人を一人解体(バラ)したのだから当然だ。しかし、そんな当然のことが恨めしい。

恐らくここに至るまで俺の存在は他人にバレていない。そして幸運なことにこの惨状は宗教的である。まるで前もって準備していたかのように。

あとは俺がこのまま誰にも見つからずにこの場を去ることが出来れば、そうすれば俺がやったとバレる心配はほぼなくなるだろう。

だというのに血が残っていてはこんな都合のいい状況もすべてが台無しだ。

まずはこの付着した血をどうにかする方法を考える必要があるだろう。

 

 

改めて部屋を見渡すと何故かシャワーが見つかった。こんなところに何故とは思うが都合がいい。女のものと思われる予備の制服も見つかった。

女物だがこの際やむを得まい。着ていたものをビニール袋にしまい、シャワーで血を流して着替える。

そして万が一を考え、部屋にあった怪しげな被り物で顔を隠し、俺は窓から部屋を後にした。

 

 

 

 

 

あれから複数の服屋、雑貨屋等を回り、服を、見た目を、帰り道を変えようやく自宅に辿りついた。

ここでも幸運だったのは女が結構な金を持っていたことだ。死人には必要ないだろうからありがたく貰っておいたのだ。

そのお金がなければ自宅に辿りつくのはもっと難しくなっていただろう。

一人暮らしの学生は金がないのである。

金は一応洗浄してから使ったし、服もあとで燃やす予定だ。出来ることはやった。自分に辿りつくのは難しいだろう。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」

安全を自覚し、緊張が切れたためか激しく息があがる。呼吸が苦しく生きた心地がしない。

 

「どうして―――」

改めて自分のしたことを考える。

前世の記憶にも今世の記憶にもあんなことをするような心当たりはないのに。

いや、違うのか。今までの人生が全部皮を被っていただけで、本性はこんな殺人鬼だったというのか。

 

「なんで―――」

再び自分に問いかける。なんでと言いたいのは女の方だろうに。

 

「だって―――」

言い訳が頭の中を駆け巡る。

動機がない。初めて見た女の人を殺すはずがないじゃないか。転生で記憶が混乱していたんだ。あの時の俺は正常じゃなかった。責任能力がなかった。俺は悪くない。そもそも俺があんな動きを出来るはずがないじゃないか―――――――

 

 

分かっている。いくら言い訳したところで俺が―――したのは事実であの女の人は生き返らない。認めよう。事実は事実で無くなりはしないのだ。

だからといって自首をする気にもなれない。

だってそうだろう。転生を自覚したのはついさっきで俺の人生は始まったばかりなのだから。折角生まれ変わったというのにこれで終わりだなんて認められない!

 

 

 

 

 

「――――――――――――?」

……何かの声で目を覚ます。俺はいつの間にかのベンチで横になっていた。

どうやら夢遊病さながら無意識のうちに外に出て、力尽きてベンチで寝ていたらしい。

自身の状況確認をして声の主を見上げる。

見知らぬ金髪のシスターが倒れている俺を心配そうに見下ろしていた。

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