「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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ある日、ブルネイの司令部に一通の指令書が届いた。


第1話:<ブルネイの朝>

「やっぱりアイツか」

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

 第1話:<ブルネイの朝>

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ブルネイの抜けるような青空の下、一通の指令書がこの鎮守府に舞い込んだところから今回の『作戦』は始まった。

 

 軍令部からの指令書を見終わった提督は執務室に居た金剛と大淀、それに龍驤に言った。

 

「来週から本土へ行くことになった。しばらく留守にするが大淀さんを中心によろしく頼むぜ」

 

提督とケッコンしている金剛が言う。

 

「また会議デスか?」

 

「いや、今回は会議じゃない。日本の田舎へ行く」

 

「田舎……それってもしかしてdarlingの里帰りデスか?」

 

彼は「いや」と言いつつ首を振る。そしてデスクの椅子にゆっくりと腰かけると腕を組んだ。

 

「叔父貴……元帥閣下の命令で、去年演習をした例の『美保鎮守府』そのものに視察に行けだとよ」

 

金剛は元帥の名を聞いて腕を組んだ。

 

「フーン、ちょっぴり残念ネ」

 

彼女は提督の故郷に行きたかったらしい。

 

続けて大淀が尋ねる。

 

「どうして『今』なのでしょうか?」

 

「さあなあ……まさか一年近く経ってから相手側の演習の効果を『見ろ』ってことなのかな?」

 

提督は再び指令書の下の部分に目を通した。

 

「それに今回は美保での演習は不要って……どういうことだ?」

 

彼は、なおさら元帥の本意が分からなくなった。

 

「それは私たちが強すぎるから勝負にならないってことでショ?」

 

金剛が目をキラキラさせて言う。

 

「まあな。それにあいつは積極的に戦闘をする性格じゃなかったよな」

 

提督は書類を机に置くと立ち上がって窓の外を見た。今日も良い天気だ。

 

「やれやれ……興味はあるけど微妙に面倒だな」

 

思わず窓を大きく開けて背伸びをする。ブルネイの乾燥した風が執務室に吹き込んできた。

 

「美保って確か中国地方、山陰だったよな。遠いぞ」

 

彼はちょっと困った表情で後頭部に手をやりながら窓の外を見ていた。

 

「でもdarling、嬉しそうダヨ」

 

金剛の突っ込みに提督は振り返ると微笑んだ。

 

「まあな……あの提督と久しぶりに会える。しかも今度はリアルタイムだ」

 

その言葉に二人の艦娘はうなづいた。龍驤はちょっと不思議そうに首を傾げる。

 

「しかし、あいつまだ海軍に居るかな。別のところに配置換えになっているとか、あるいは海軍辞めてたりしてな」

 

少し心配そうな提督に金剛は言う。

 

「darlingがここを辞めてないんだから、絶対ダイジョウブね」

 

「それを言うな」

 

彼は苦笑した。艦娘の司令官なんて、一度やったらやめられない。そんなものだ。龍驤は「そやそや」と言いながら妙に納得していた。

 

 デスクから書類を取った大淀が書類の内容をザッと確認しながら言う。

 

【挿絵表示】

 

「でも軍令部も確認して命令を出すと思いますし、この指令書には『美保司令』と書いてありますから……きっと同じ方ですよね」

 

再びイスに腰をかける提督。

 

「そりゃ敬称じゃないのかな?」

 

その言葉に顔を見合わせる金剛と大淀。そういえば彼女たちも、あの提督のフルネームは知らなかった。

 

「青葉に下調べさせておくかな……彼の近況とか美保の状況とか」

 

提督の言葉に『さすがです』と言いたくなった大淀だった。

 

 

 翌週には軍令部より具体的な日程と、輸送機を廻す行程表が来た。

参加メンバーを提出せよという指示もあったので提督と金剛、それに青葉と……もう一人はどうしようかと考え込んだ。あまり癖の強い艦娘だとややこしくなりそうだ。かといって大人しい子だと視察に耐えられるかな?

 

「やっぱりアイツか」

 

彼は呟くと、名簿に一名追加した。

 

 

 出発当日、軍令部が廻した輸送機が迎えに来た。給油とチェック、さらに必要な物品を積み込んで、提督と随行する艦娘たちは乗り込んだ。

 艦娘たちに見送られて輸送機は滑走路を飛び立つ。今日も好天だ。

 

「darlingと遠出するなんてワクワクするヨ。しかも『公務』だから堂々と行けるしネ」

 

その言葉に青葉は苦笑しながら聞いてきた。

 

「ねえ提督、知ってましたか?」

 

「何?」

 

青葉の言葉に少し振り返る提督。

 

「今回、武蔵さんがすごく行きたがっていたんですよ」

 

彼は指を左右に振ってダメ出しをした。

 

「演習だったら武蔵を連れてくるところだけどな。ただあいつ美保の司令とウマが合っただろう? 任務そっちのけで逆効果になりそうだしな」

 

青葉は苦笑した。確かに武蔵は妙に美保司令を気にかけていたことを思い出した。

 

「しかもリアル武蔵の最後の艦長は美保の司令と同郷だろ? 下手に連れてくると興奮して何をしでかすか分からないゾ」

 

「それでどうして私になるんですか?」

 

今回もう一人連れてきた艦娘が、ちょっと不服そうな顔をしている。彼女は言った。

 

「龍驤も行きたがってたからさ、あの子のほうがよっぽど……」

 

提督は声の主を遮るように振り返って言った。

 

「いや、熟慮した結果だぞ」

 

「そうですか?」

 

彼女はあまり納得していない表情だった。

 

 だが提督はそれで良いと思っていた。ただ付いてくる艦娘よりも多少は反発する子の方が良い。その方が、いろいろ『使える』から。

 

「龍驤はな、留守を護る方が適任だよ。それに今回は戦闘はしない」

 

「ハァ」

 

ため息をついて窓の外を眺めた彼女。

 

(それが不服なのに)

 

彼女は心の中で呟いていた。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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