「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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静かな夜が過ぎ、また慌ただしい朝がやってくる。


第12話:<月と陽>

「私もそろそろdarlingの子供が欲しい」

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

 第12話:<月と陽>

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 陸軍基地の月夜。ただ艦娘たちが浴衣を着て蛍を追っているだけの構図。それだけで具体的に何かのイベントをやっているわけでもない。

 

 陸軍の隊員たちも座ってそれを眺めているだけだ。もちろん陸軍司令や提督も同じ。たったそれだけなのに風情のある光景に感じられる。

 

 思い出したように陸軍司令が言う。

 

「あの海外から来た艦娘も浴衣が良く似合っているじゃないですか? 隊員たちもホラ、見てください」

 

彼が指す方向を見ると明らかに涙ぐんでいる者が数名……女性だけでなく若い男子までがそうなのだ。それは提督にもちょっと意外だった。

 

「やはり我々は日本人ですな」

 

創作料理を嗜(たしな)む提督には、司令が言わんとする『日本人の心』というものが分かる気がした。艦娘たちは我知らずそれを体現している。

 

「何だか艦娘に教えられるみたいだなぁ」

 

思わず発した言葉に司令もうなづいていた。そんな知覧の夜は静かに更けていくのだった。

 

 

 翌日は快晴で微風。

 

 

 基地全体としては5:30頃に起床。だが提督が起床した頃には艦娘たちも自主的に起きていたようだ。彼が玄関脇の喫煙室でタバコをふかしていると川内がトレーニングウエア姿で戻ってきた。

 

「精が出るな」

 

窓から提督が声をかけると彼女は応えた。

 

「やっぱ、ずっと移動ばかりだと鈍(なま)っちゃうから」

 

見るとその後ろからも軒並み艦娘たちが走ってくるのが見える。金剛にケリーか。青葉とPOLAが居ないなと思っていたら川内が腕を組んでタオルで汗を拭いながら言う。

 

「青葉とPOLAはあれから呑んでたっていう噂だよ」

「はぁ?」

「じゃ、失礼します!」

 

 逃げるように川内は行ってしまう。提督は立ち上がりかけたが止めた。直ぐに金剛が戻ってきたのだ。提督は聞く。

 

「お前は呑んでないのか?」

「うん、何となくそんな気分じゃ無かった」

「へぇ」

 

珍しいこともあるもんだな。

後からケリーも戻ってきた。彼女は誰に伝えるとも無く話し始める。

 

「POLAが着た浴衣ね……近所の人が『良かったら差し上げます』って」

 

提督はホッとした。ケリーは日本語だぞ、助かる。そんな彼女も壁に背を当ててタオルで汗を拭きながら続けた。

 

「何だか海で亡くなった娘さんの形見らしいけど、POLAが着ている姿を見たら、そんな気になったらしいわ」

「やっぱり……そうなンだ」

 

金剛が相槌を打つ。近所の人っていうのは、そういうことだったのか。

 

「あ……」

 

つい提督は声を出してしまった。『やっぱり』って? ……もしかしたら金剛は、そのことをずっと気にかけていたのだろうか?

 

「ねぇdarling」

「何だ?」

 

チョッと思い詰めたような金剛。何だよ、朝っぱらからその目は?

 

「私もそろそろdarlingの子供が欲しい」

「ごほォっ!」

 

咳き込む提督の腕をつかんで、なおも追い討ちをかけてくる。

 

「ねぇねぇ、絶対!」

「そ、そりゃぁ……」

 

やめろ金剛、その泣きそうな顔は……ケリーが腕を組んでニタニタしている。

 

「いーじゃん、ファイト一発。頑張れっ!」

 

また妙な日本語を……だが金剛は真剣な表情だ。しかもちょっと暗い。

 

「私……ビョーキかな? だって、darlingとケッコンして長いのに、なかなか子供が出来ない」

「いや、そりゃ……個人差があるし」

 

朝っぱらから何だ? ……ったく。

 

「大丈夫、艦娘との間に子供が出来た例は私も知っている」

 

ケリーが解説するまでもなく、そりゃオレでも知ってるよ。

 

「darling!……約束、絶対」

「分かった、分かった……」

「二回も繰り返さないで!」

「ああ、悪ぃ」

 

やめろケリー、変な声で笑うな! 朝っぱらから疲れる……。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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