「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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金剛に威圧されながらも提督たちは無事に知覧を出発し美保へと向かう。



第13話:<美保へ出発>

「あれが日本海ですよ」

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

 第13話:<美保へ出発>

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 提督は朝食に行きたかったが、なかなか金剛が離してくれなかった。ケリーはニタニタしながら『グッドラック』とか言って去って行く。

 

 今朝はやたら粘着度が増している金剛に提督がてこずっていると、まず最初に機長が彼らのそばを通りかかった。機長は一瞬で状況を悟ったらしく苦笑はしたものの、そのまま食堂へ向かってしまった。内心『おいこら!薄情モノ~』と叫ぶ提督。

 

 次に無線手も通りかかった。彼は大人しいタイプらしく少しだけ微笑むとそのまま行ってしまった。機長よりも淡白だった。彼もまた男女のいざこざに首を突っ込みたくないらしい。『この薄情モノ~~~!』とまたもや内心叫んだ提督だった。

 

 結局、金剛にさんざん念押しをされ、やっと動けた頃にはもう朝食時間は僅かだった。ちょっと焦った提督は満足そうな顔をした金剛と一緒に食堂に入る。

 

 見ると青葉とPOLAが机に突っ伏していた。その脇でケリーがPOLAの背中を撫でていた。まさかあいつら二日酔いか? 気分が悪そうだな。『飲まれるなら呑むなよな』……提督は呆れた。

 

 本人は『愛情だ』と称する金剛の刺すような視線に耐えつつ、いそいそと朝食を終えた提督は出発の準備をした。とはいえ少人数だから改めて点呼の必要もない。増えたのはPOLAの浴衣と陸軍からの差し入れのおやつくらい。

 

 提督と金剛は出発前に司令部に行く。そこに居た陸軍司令に出発の挨拶をした。

 

「短い間だが世話になったな」

「もしまた近くを通ったら、いつでも気軽に立ち寄ってください。大歓迎ですよ」

 

二人は握手をした。提督はもし今度来るときがあったら得意の料理を振舞いたいと思うのだった。

 

 提督と金剛が輸送機に乗り込もうとすると手の空いた訓練生たちが滑走路脇に見送りに出ていた。大げさだなとも思ったが悪い気はしなかった。

 

 輸送機は今日も快調。エンジンを始動した機体は帽子を振る訓練生たちに見送られながら滑走路から離陸した。

 

 しばらく飛ぶと山の稜線や海岸線など日本ならではの変化に富んだ光景が眼下に広がり始める。

 

「すごい! 海の色って場所によってこんなに変わるんだ」

「山がミニチュアで緑いっぱいデース……やっぱり祖国はいいデスね」

 

川内と金剛は窓の外を見て感動している。一方の青葉とPOLAはずっとダウンしている。それでも機内でゲロゲロやらないだけマシである。そこは艦娘だから普段の鍛え方が違うのだろう。

 

 機体は九州から瀬戸内海の上空を通過して中国山地に入る。改めて日本という国は本当に自然が豊かだなと思わざるを得ない。

 

 やがて青葉やPOLAは少しずつ体力を回復して窓の景色を眺めるくらいには戻ったようだ。他の艦娘たちと同様ずっと窓の外を見て感激している。

 

 しかし彼女たちの姿を見るたびに提督は思う。艦娘は浴衣を喜んだり風景に感動したりする感性はあるのだと。

 

 輸送機はしばらく中国山地の上空を飛んでいたが山が低くなるに連れて前方に青い海が広がり始める。機長が言う。

 

「あれが日本海ですよ」

「舞鶴鎮守府のある海ですね」

 

青葉がさらりと言う。すぐに右の方にひときわ高い山が見える。提督も何となくその山は知っていた。

 

「あの大きな山……えっと、確かあれが大山だよな?」

「ダイセン?」

 

金剛が言葉をなぞるように反復する。青葉が説明をする。

 

「大きな山と書いて『だいせん』ですよ。美保鎮守府はあの山が見える美保湾に面した場所にあります」

 

青葉も良く下調べをしたようだ。するとPOLAが英語で言う。

 

『あれはフジィヤマでは無いですかぁ?』

 

ケリーが応える。

 

『違うわよPOLA。でもこの地方では確か『伯耆(ホウキ)富士』とも呼ばれるようね』

『ボーキィフジ……鉱山ですかぁ?』

 

 ケリーとPOLAはかみ合わない漫才をしているようだ。

 

機長が提督に報告する。

 

「実は航路については軍令部より指示がありまして美保鎮守府に直接ではなく空軍の美保基地滑走路へと着陸致します」

 

提督は答える。

 

「美保鎮守府に直接、着けるんじゃないんだ」

「はい」

「そうか」

 

 提督は腕を組んだ。鎮守府脇へ直接着水した方が楽なのに……ふと元帥か誰かの指示なのだろうという直感がした。今回は指示がある場合は必ず何か意図があるんだなと改めて彼は思った。

 

 海が近くなるに従って機体がガタガタと揺れ始める。

 

「風が強いな……」

 

川内が呟く。続けてケリーも応える。

 

「そうだな……海面に白波が立っている。かなり強風だぞ」

 

 機体は強風で激しく揺さぶられる。着水をせず空軍基地へ降りるのは、この風の為かな? と提督は思った。

 

 機体は風向きの関係でいったん美保湾に出たあと大きく旋回して弓ヶ浜半島の中央部に進路を取った。左手に大山、右手に細長い山が見える。

 

「ダイセン……キレイ」

 

POLAが呟く。金剛は右手の山を見て言った。

 

「美保は超、田舎デスね……」

 

提督は言った。

 

「なんだ、馬鹿にしているのか?」

「ううん、英国も湖水地方とか郊外はこんな感じデス……いや、世界中何処もそうかも」

 

するとケリーも遠い目をしながら口を挟む。

 

「そうね……アメリカも都会を離れるとこんな雰囲気だわ」

 

機長がアナウンスする。

 

「着陸態勢に入ります。皆さんベルトを締めてください」

 

 機内各所からカチャカチャというベルを締める音が響く。輸送機はエンジン出力を落としつつ高度を下げる。窓の外には白波を立てる日本海が徐々にハッキリと見えてきた。提督はつぶやく。

 

「到着は美保空軍基地か。さすがに海軍以外だと緊張するな」

 

青葉が海面を指差す。

 

「ほらほら、珍しく漁船が居ますよ」

 

 青葉と同じ側の席に座った艦娘たちが感心したような声を出す。提督も改めて海面を見下ろす。

 

「のだかだな…… って待て! おい漁船って何だ? この海域には深海棲艦は居ないってのか?」

 

 提督は驚いたように言う。すると彼女はのん気に『あ……そうか』という表情をする。おいジャーナリスト! しっかりしてくれよと提督は思った。まだアルコールが抜け切れていないのだろうか?

 

 すると突然、機体のそばを激しい轟音が数回響き渡った。

 

「なんだ! 攻撃か?」

 

すぐにケリーが気付く。

 

「見て! あれはジェット戦闘機。でもどう見ても艦娘サイズね」

「なんだって?」

 

振り返りながら提督も窓からその機体を目で追う。それはまさかの艦娘サイズだった……だから美保の空軍ではない。

 

 しかもジェット戦闘機? 一体、どうなっているんだ? まさか美保鎮守府は……既にジェットを運用しているのか?

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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