「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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ブルネイ一行を乗せたオスプレイは空軍基地を飛び立って一路、美保鎮守府へと向かう。


第18話:<オスプレイ>

『後ろのがあのボーキィフジですね』

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

 第18話:<オスプレイ>

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「出発します」

機長席から早苗がアナウンスする。

 

 エンジンの出力が上がり空軍基地の誘導員に従ってオスプレイはゆっくりと格納庫から外に出ると誘導路へと入った。

 盛んに管制塔と交信をしながら操縦席の二人と無線担当の寛代が慌ただしくインカムで通信しつつ計器類の操作をしている。

 

 それを見ながら金城提督は美保司令に聞いた。

「さっきの話だけど……誰とケッコンしたんだい?」

 

「はい……重巡の祥高と」

あぁ、ブルネイにも来た彼女だなと提督は連想した。そうか、それで早苗ちゃんの髪の毛の色が不知火とは違っていたか。

 

「そりゃ、まずは『おめでとう』だな!」

「ありがとうございます」

 

提督は軽くあごに手を当てながら腕を組んだ。

「そうだよな。鎮守府で十何年も経っていればなあぁ当然ケッコンくらいするよな」

 

その言葉には金剛を筆頭にブルネイの艦娘たちも盛んにうなづいている。

 

 日本語の分からないPOLAは窓の外を興味深そうに見ていた。美保空軍基地の周りには平地ではあるが人家がほとんど無く樹高の低い木々や緑が多い。

 

 オスプレイは誘導路から滑走路に入る。機体はしばらく滑走路を走りながら何本もの白や黄色のラインを越えて離陸開始地点へと向かう。

 

 提督は思い出したように美保司令に聞いた。

「トンチンカンな質問で済まんが、もう一人の艦娘って、まさか大井じゃないよな?」

 

「ええ、違います。彼女は『伊吹』という艦娘で実はあの『大井』の娘です」

美保提督は先ほどとは違って今度は即答した。

 

「えぁ!」

提督が驚いた。妙な驚き方に金剛が目を丸くしていた。

 

 恐らく大井ではないと思っていたが、まさか彼女の子供だったとは……。ただ同時に美保司令がさっきの空軍の会議室では彼女たちのことをハッキリと言わなかったのは、空軍にも、この事実を知られたくなかったのかな? とも感じた。

 

 今でこそ艦娘とのケッコンは珍しくは無いが、その子供たちまでも既に軍人として前線に出ているとなれば、またうるさいマスコミも含めて微妙な問題になりかねない。

 

「あの大井がケッコンかぁ……」

 一般的な量産型の大井の性格を思えば、にわかには信じられないことだ。ひょっとしたら、美保鎮守府の大井は特殊な事情があったのかも知れない。だが美保鎮守府も時代も、刻一刻と変遷し動いているんだなと提督は感じるのだった。

 

彼は改めて興味深そうな顔をして聞いた。

「大井の相手って、まさかお前?」

 

「いや、残念ながら違いますね」

 美保司令は軽く笑った。

 

 操縦席からは「離陸します」という声がしてオスプレイはエンジン出力を上げた。機体はゆっくりと滑走路を前進し始める。機内はエンジン音が大きくなり、しばらくは会話どころではない感じだ。

 

 窓を流れる景色が次第に速くなり滑走路上を十分に加速したオスプレイは意外なほど短距離で離陸した。水平飛行体勢での離陸も比較的スムーズな感じだ。機内では前方方向からの軽く押さえつけられるようなGを受ける。

 

 しばらくオスプレイは急角度で上昇を続けた。さほど加速感は無いのにグイグイと上昇するのはレシプロ機ならではの運動性能だ。

 

 下の方に遠ざかる地面を見ながら提督は美保に来て『あっという間』に時代が駆け抜けてしまったような妙な感覚に捉われるのだった。

 

 機体が水平飛行に入るとエンジンも若干静かになった。提督は独り言のように呟いた。

「しかし車でも行ける距離を航空機で移動とは贅沢だな」

 

 やがて窓から美保空軍の滑走路とキラキラと日の光を反射する水面が見えた。

 

「あれが確か中海(なかうみ)っていう内海ですよね」

青葉が博識振りを見せる。

 

『ねぇねぇケリーィ、後ろのがあのでっかい山がボーキィフジですね』

かすかに見える大山を見ながらPOLAが嬉しそうに突っ込みを入れる。なかなか好奇心の強そうな子だ。青葉とケリーはそれを聞いて苦笑していた。

 

 実は提督もPOLA同様、好奇心旺盛に『アレもこれも聞きたい!』という衝動に駆られていた。まるで自分の方が新たにタイムスリップして来たような気分だ。

 

 しかし特殊事情も含めて大井の娘の件など艦娘に関するナイーブな質問は鎮守府に到着して、ある程度は落ち着いてからの方が良いだろうと思い直した。

 

 彼は別の軽い話題で聞いてみた。

「美保鎮守府には滑走路は無いんだろう? 埋立地って聞いているけど」

 

美保司令は彼を向いて答えた。

「埠頭横に簡易へリポートを作りました。この機体は僅かな土地で離着陸できるので美保のような小さい鎮守府でも運用面で、かなり便利ですよ」

「なるほどね」

 

 やがてオスプレイは中海上空で大きく旋回した。レシプロだから小回りが利く。機体が大きくバンクすると直ぐに来るときに見たのと逆の光景……右手に大山、左手に島根半島が見える状態になった。

 

「この機体って確かリアルな空母でも運用できるんだろう?」

唐突に川内が聞いた。意外な突込みをするな。

 

美保司令はあまり表情を変えずに川内を見て答えた。

「そうですね。ただ美保鎮守府ではリアル空母の運用が出来ないので現実的に想定外ですが」

 

それを聞きながら提督は、米軍がわざわざ美保にこの機体を貸し出すということは必ず何らかの意図……例えば運用実験目的があってのことだろうと感じていた。

 

いや、それ以上にあのジジイめ……奴ぁオスプレイのことだって知っているだろう? 彼は頃合いをみて直接連絡して問い詰めてやろうと思った。

 

操縦席から早苗がアナウンスする。

「間もなく鎮守府に到着します」

 

 近距離だからベルトを着脱する暇もなかった。直ぐにググッとブレーキをかけるような前方へのGが掛かって減速し翼の辺りからゴンゴンと大きな音が響いてくる。いよいよこの機体独特の着陸態勢に入るらしい。

 

 美保鎮守府の管制官(秘書艦?)と早苗は盛んに交信をしている。窓の外には輸送機からも見えた美保鎮守府の建物が確認できる。

 

『Oh、ミニチュアね』

POLAが喜んで手を叩いている。けっこう純粋な子だな。

 

「しかし艦娘の鎮守府にリアルサイズの軍用機で降りるって言うのも何だか妙な感覚だな」

提督が言うと美保司令も同意した。

 

「そうですね。長らく艦娘の相手ばかりしていると、いざ実寸の兵器と接すると最初は違和感がありますよね」

「しかし艦娘が操縦する実機って言うのも、十分に違和感があるよな」

 

その発言には美保提督も苦笑した。そうこうしているうちにオスプレイは美保鎮守府のヘリポートへと着陸体勢に入った。ふと見ると窓の外に着陸の誘導員と出迎えの何人もの艦娘たちの姿が見えた。なかなかの歓迎振りだな。

 

 あと僅かで着地という瞬間にオスプレイのローターで吹き付ける強風で周囲の出迎えの艦娘たちのスカートが一斉に舞い上がった……それは実に喜ばしい光景だった。

 

 ただそれ以上に艦娘たちの姿を見ると改めてホッとした気分になった提督だった。

 

「やっぱりオレにゃ艦娘が居ないとダメなんだな……」

誰が聞くとも無く彼は呟いていた。それを聞いた美保司令もうなづいていた。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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