「ちっさいなぁ」
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「美保鎮守府NOW」(みほ10)
第19話:<みほちん再び>
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オスプレイは鎮守府の横の広場……急ごしらえのヘリポートに着陸した。
早苗は無線交信後、バイザーを外して振り返る。ショートの髪の毛が広がる。
「お待たせしました。美保鎮守府に到着です」
すると今まで黙っていた隣の伊吹もバイザーを取って振り返る……やっぱり大井に良く似ているな。
「皆さん、ようこそ美保鎮守府へ!」
改めて見る美保鎮守府は本当に小さいな……驚きだ。艦娘オンリーだとこうなるのか? 表からは埠頭が見えにくい上に、さっきも確認したとおりガントリークレーンすらない。
建物はレンガ造りではあるが別に看板を堂々と出しているわけでもないし普通の鎮守府にありがちなゲートすらない。
「ちっさいなぁ」
「オドロキです」
ブルネイの艦娘たちも口々に言う。
「初めて来た関係者は皆そう言いますよ。ただ逆にそれが、いいカモフラージュになります」
ベルトを外しながら美保司令は説明する。
確かに……何も知らなければ鎮守府だということすら分からないだろう。意識しなければ上空から見ても分からなかったくらいだ。
「鎮守府としては国内最小。それでいてオスプレイを始めジェットなど実は機密事項の山……。だから陸軍と協力してスパイ対策には骨を折っています」
提督は少し驚いた。
「陸軍……そうなのか?」
「ええ、美保では過去に二回も深海棲艦やシナの上陸を許しましたからね。今では深海棲艦だけでなくシナの潜水艦や艦船への対策も密に行っています」
対策と聞いて提督はふと日本海に漁船がいたことを思い出した。確かに制海権も含めて努力しているのだな。
ベルトを外した美保司令が立ち上がって言う。
「では、皆さんベルトを外してどうぞ、外へ」
彼の言う背後で意外にも寛代がさっと動いてハッチを開ける。力仕事の似合わないスローテンポな感じの艦娘なのに……と機内のゲストたちは思ったことだろう。
まずは美保司令が先に外に出る。次に寛代が無言のままハッチの脇に立って『どうぞ』といった感じで手招きをする。この不器用な感じは変わらないなと提督が思っていると、あれ? 秘かに悪戯っぽくニタニタ笑っている。あはは、こういう『強さ』がある艦娘に成長したんだなと彼は微笑ましく思った。その笑顔は何処と無く『母親』……技術参謀に似ていた。
まずは提督と金剛、続いてケリーやPOLAが外へ出る。機外の直ぐのところに司令が立ち、その脇に……おお、噂の祥高が立っている。提督としては1年ぶりくらいなのだが、不思議と10年ぶりくらいの印象だ。比較的長身の彼女。当然、美人である。
しばし立ち止まった提督に金剛が聞いた。
「どうしたのdarling?」
「いや……」
何だろうか、美保司令もそうだったが祥高にも独特の貫禄というか、落ち着いているのに圧倒されるオーラを感じた。ただ提督は1年ぶりでも彼らは実質10年以上経っているから当然か……。
「お久しぶりです提督」
祥高が声を掛けてきた。
「美保鎮守府、司令部室長兼副司令の祥高です」
そう言って彼女は敬礼をした。
軽く敬礼を返しながら提督は応えた。
「ああ久しぶり……そうそう、ケッコンしたんだってな。おめでとう」
彼が声を掛けると彼女は少しはにかんだような表情を浮かべて応えた。
「ありがとうございます」
「まずは応接室……いや、会議室の方が良いか」
美保司令はそう言いながら秘書艦らしき艦娘に声を掛ける。
「おーい、大淀さん! 皆さんを会議室に」
声を掛けられた大淀が出迎えの艦娘たちの中から駆け寄ってきて提督の前でさっと敬礼する。
「初めまして提督! 美保鎮守府第一秘書艦『大淀』です。皆さんをご案内します。どうぞこちらへ」
『第一?』と提督が思う間もなくその直ぐ後から霞がやってきた。そして彼女もまた敬礼をすると英語で案内をし始めた。
『同じく美保鎮守府秘書艦補佐、霞です。ようこそいらっしゃいました!』
へえ、ここの霞は英語を話すんだと提督は感心した。
大淀を先頭に鎮守府本館へ向かう一行。周りの艦娘たちからは拍手が起こる。
ヘリポートへの連絡通路を通り過ぎながら提督が見ると、出迎えの艦娘たちは美保の金剛姉妹たちに、伊勢、赤城、北上、那珂……主要な艦娘は揃っているが、やはり戦艦が少ないかな? という印象を受けた。鎮守府そのものだけでなく、所属する艦娘たちもこじんまりとしているのだろうか。
ふと見ると、海の向こうに浮かぶようにして大山が見えた。ここが美保湾なのだ。海から吹く風が心地よかった。
本館に入る手前には工廠っぽい建物や、綺麗なテラスのある食堂がチラッと見えた。まるで小さなリゾート地のような雰囲気があった。
本館に入ると2階へ上がり、すぐに会議室に着いた。提督は苦笑した。ブルネイの施設群の大きさと比べると本当にコンパクトだなあと。ただ逆に、この小ささが風通しの良さにつながり『スパイ』対策などに有効なのかも知れない。
会議室に入ると白塗りの大きなテーブルと、座り心地の良さそうな椅子が並んでいる。
美保司令は言った。
「ここでは、提督や司令以外は席順は決まっていません。階級も無視して結構ですので、上座には提督ご夫妻。あとは自由に座って下さい。あ、前のほうは開けないように順に詰めて下さいね」
そうか、ブルネイも自由な雰囲気だが、ここも独特の『自由さ』があると提督は思った。直ぐに彼は金剛の手を取って上座へ向かう。
「へえ、『自由』って言葉、鎮守府らしいよね」
川内が呟く言うと青葉が解説する。
「日本国内の主要な鎮守府では、それぞれが『独自』の『しきたり』で運営されているって言うよ。うちもそうだけど、美保鎮守府も、そうなんだね」
「ふーん」と川内は感心したようだった。
「日本の海軍は比較的フリーだって聞いたけど、本当なんだね」
ケリーも日本語で感心したように言う。『何て言ったのか』的にPOLAが彼女を小突いている。ケリーは改めて英語で説明をしていた。
「皆さん、お座りになりましたでしょうか?」
突然響く優しい声……見るとやはり、お盆を抱えた鳳翔さんだった。
「最初はコーヒーをお出しします。今日は暑いのでアイスコーヒーで……あの、コーヒーがダメな方は、いらっしゃいませんよね?」
彼女の控え目だが包み込むような優しい笑顔を見たら、誰でも拒否できなくなりそうだった。良いねえ、彼女は。
全員が着席すると美保司令は後ろのほうの空いた席の側に立って言った。
「皆さん今日は遠路はるばる、ようこそいらっしゃいました。今回は視察ですので簡単に美保鎮守府のご紹介を致しましょう……あ、コーヒーを出してから始めますね」
以前、彼と最初に出会ったときは、あまり意識しなかったが自分のホームグラウンドたる美保鎮守府での彼はノビノビしているなと提督には感じられた。陸軍や空軍に比べると海軍は比較的大らかで自由な雰囲気があるというが、改めてここも海軍の流れを汲んでいるなと思うのだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。