「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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提督たちは大井の過去についていろいろ質問をする。しかし彼女は返答に窮する。


第22話:<大井の過去>

「この場で話しても良いのでしょうか?」

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

 第22話:<大井の過去>

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 艦娘というのは量産化技術が確立した後、各地で同じ艦娘が増えた。中でも金剛のように強烈な個性を持つ艦娘は、どの鎮守府でもだいたい同じような性格になる傾向がある。

 ただそれ以外の艦娘になると量産型の子でも鎮守府によって微妙に性格が変わる。オリジナルも含め先天的な基本的性格もあるが後天的に受ける要素も大きい。

 

 特にブラック鎮守府といわれる過酷な環境下では艦娘たちは戦場で受ける精神的ダメージ以上の影響を受けることがある。それはそうだ。戦場なら逃亡もできるが鎮守府では逆に逃げ道が無い。法治国家ではなおさらだ。

 

 もちろんブルネイや美保はブラックではないはずだが、この大井は何かあったのだろうか? ましてや子供まで居るという。実に気になるところだ。

 

やや伏し目がちに大井は語り始める。

「ブルネイの青葉さんがどの程度お調べになったのかは知りませんが……」

 

固唾を呑んで聞く一同。ふと大井は祥高の方を見る。

「あの……これはこの場で話しても良いのでしょうか?」

 

祥高はうなづく。

「誓約書も取っているので構いませんが……司令に関する内容はなるべく避けてください」

 

 お! 予防線を張られたなと金城提督は思った。美保司令に関するというのはどういった内容なのだろうか? それも気になるが後で司令に直接聞けばいいだろう。青葉はメモ帳を開いて何かの内容をチェックしている。

 

大井はやや怯えるように語り始める。

「そちらの青葉さんが仰るとおり私は轟沈してから再浮上しました。ただ申し訳ないのですが沈んでいたときの記憶はありません。沈む直前と……浮上してからの記憶だけです」

 

 ここで待ち構えたように提督は挙手をする。それを見てさらに怯えたような表情を見せた大井。おいおい教育担当者がそんな肝の細さで大丈夫なのか?

 

「提督どうぞ」

祥高に言われた彼は多少、大井に気遣いながらも美保側全体に質問をした。

 

「いろんな事情がありそうだが、その内容はまず軍にはどういう報告がなされているんだ? あと『伊吹』という子供が居るが父親は誰だ?」

 どんどん核心に迫る。だが美保司令を見ると彼は相変わらず無表情に近いのが気になった。この場でも存在感が無い。これは美保鎮守府で起きた話では無いのか?

 

「……」

案の定、大井は言葉に詰まっている。だがオレの質問に答えずに着席は出来ないだろう。提督がそう思っていると美保の青葉が挙手をした。

 

「青葉さんどうぞ」

「大井さん自身には答え難い内容もありますので私が代わりに答えても宜しいでしょうか?」

 

それを受けて祥高が全体に聞く。

「青葉さんから提案ですが異議のある方はいらっしゃいますか?」

 

特に異議は無い。

「では大井さん着席して下さい。青葉さん、お願いします」

 

「はい」

両青葉の激突……ではないが、これは見ものだな。ケリーも注視している。美保司令は相変わらず無表情に近い。

 

「まず今の大井さんは量産化が確立した直後のブルネイで登録されています。その後、美保へ移動されました。娘さんも同様です。そして彼女の父親は既に退官した軍人だとだけ申し上げておきます。軍籍に無いのでこれ以上はお答えできません」

青葉は意外にあっさりと答えた。提督は小声でこちらの青葉に聞く。

 

「お前の情報では、どうだ?」

「はい」

青葉はペラペラとメモをめくる。おい、まさか調べてあるのか?

「間違いありません。彼女は出生はブルネイで登録されています。伊吹も同様で二人は15年ほど前に建造登録後、美保へ移動されています」

 

「手続きが……」と言いかけて提督は黙った。そういえば当事から祥高型三姉妹が居たからな。その中に本省直属の艦娘が二人も居れば裏で工作するくらい何でもないだろう。

 

 問題は、なぜ大井が轟沈から戻ることが出来たのか? その娘は以後どういう経緯を辿ったのか? いろいろ気になる。ただ大井に関しては、本人も負担だろう。このくらいにしておこうと彼は思うのだった。

 

 それにしても……美保司令の他人行儀さが気になる。むしろ次第に腹立たしくなってきた。なまじ知っている奴だけになおさら痛感する。それでも艦娘の司令官なのか? そんな態度では、まさに美保はブラック一歩手前ではないか?

 

彼の気持ちを察したのか、金剛が手を握ってきた。

「darling」

「ん?」

 

彼女は小声で言う。

「落ち着いてネ」

「ああ」

 

やれやれ……こいつに諭されるとはな。

 

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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