「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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結局、何かを隠しているような美保鎮守府の反応にイラつく提督。そのとき更に腹立たしい事態が発生する。


第23話:<ジジイ攻撃>

「おお、ワシじゃ」

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

 第23話:<ジジイ攻撃>

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 金城提督は金剛に諭されなかったら、この場で美保司令を糾弾していたかも知れなかった。ただ彼女のお陰で少し落ち着いた。

 

 実はブルネイの青葉や川内も提督が爆発するのではないかと冷や冷やしていた。それほど彼は艦娘を思いやる熱い提督なのだ。

 

ブルネイの彼女たちも美保司令のことは知っていた。そもそもブルネイの多くの艦娘たちは昨年、若い彼に出会っていた。そしてその後も折に付け提督は彼のことを話していた。

 

だからこそ『時を隔てた』とはいえ『現代の美保司令』のあまりの変わり振りに彼女たちもまた意外に思っていたのである。

 

 フィリピン米軍所属のケリーもこの内容には興味があるらしい。しきりにメモを取っている。なおPOLAは相変わらず隣で轟沈中だ。

 

 司会の祥高は壁の時計を見た。いつの間にか13:00に近い。誰もが午前中はこれで終わりかな? と思ったときだった。

 

 美保の赤城がおもむろに手を上げて発言を求めた。一同は何事かと思った。大人しそうな彼女が自ら挙手をするとは珍しい。

 

この赤城ならさほど重い話題にならないと踏んだのか司会の祥高は彼女を指名した。

「赤城さんどうぞ」

 

「はい……」

ゆっくりと立ち上がった赤城はブルネイのメンバー、特に提督の顔を見ながら話し始める。

 

「あの……私は一度、沈んだわけですが……副司令が私を暗闇から救い出して下さったことはご理解頂けたかと思います」

 いや肝心の細かい内容は全然分からないぞ……と提督は思ったが空気を読んで適当にうなづいて置いた。

 

すると彼女は続ける。

「美保の私たちは本当に司令ご夫妻には、とてもお世話になっています。ですから……決して蔑(ないがし)ろにされているとか酷い目に遭わされているとか、そういうことは全くありませんので……そこはぜひブルネイの皆さんにも、ご理解頂きたいのです」

 

普通の赤城よりも少々穏やかな感じの彼女。しかしその真摯な眼差しに思わずたじろいでしまう提督。

 

「いや、もちろんそれは分かるよ、なァ?」

赤城に応えながら、つい彼は隣の金剛に助け舟を求める。

 

「そうね、No problem だヨ」

金剛もまた明るく応えた。同時に対面に座っている美保の金剛と軽くうなづき合っている。

 

「本当に……お願いします。司令には深い事情があるから……」

目をウルウルさせながら何かを訴えて……ハッとした彼女。思わず司会の祥高を見た。当然、彼女は軽く掌を伏せるようなしぐさをした……明らかに赤城の発言を制している。

 

 やはり美保司令については特定の情報が規制されているようだ。その本人は相変わらず末席で無表情である。結局、言葉に詰まりながら赤城は頭を下げて静かに着席した。

 

彼女が座ると同時に祥高は言った。

「午前の時間が長引いて申し訳ありません。直ぐに昼食を取りましょう」

 

 結局、やや消化不良ながら強引に幕引きとなり午前の部は閉会となった。全体は解放感と脱力感に包まれている。提督は絶対に後から美保司令のことを直接聞き出してやろうと思った。

 

祥高は続ける。

「お食事ですが、せっかくの交流の機会ですから食堂で召し上がって頂くことにします。もし不具合があるようでしたら別室をご準備しますので遠慮なく申し出て下さい」

 

 相変わらず半ば強引な進行であるが誰も異議は唱えない。ケリーはPOLAを揺り動かして起こしている。

 

「お食事は階下の食堂になります。霞ちゃん案内をお願い」

司会の言葉で霞がやってきて英語を交えながら案内をする。何人かの艦娘が席から立ち上がり始める。

 

 いやはや午前中だけでかなり疲労した感じだ。しかし美保鎮守府は妙な雰囲気だな。まるで歯車がどこか噛み合っていないような違和感が付きまとう。

 

 鎮守府は司令官の個性を反映するというが美保はこんなにガタガタなのだろうか? このままでは心配だと提督は思うのだった。

 

 そのとき彼のケータイがプルプルと鳴った。

 

「darling、電話!」

金剛が叫ぶ。

 

「分かってるよ!」

何しろ普段はケータイなんか使わないので一瞬焦った提督だった。誰だ? こんなときに……

 

「はい」

彼が慌ててボタンを押して電話に出ると聞き覚えのある声。

 

「おお、ワシじゃ」

「……!」

一瞬、言葉に詰まった。くそジジイめ終わったタイミングを見計らって奇襲攻撃してきたな。瞬間的に文句がこみ上げてくる。

 

「おいっ! これは一体、どういうことだ!」

提督は電話越しに突っかかるようにまくし立てた。周りの艦娘たちが目を丸くしている。だが電話の向こうの老獪な元帥は意外にもビクともしなかった。

 

「どういうこと? ハハハそりゃ結構。美保の司令は上手にやっとるナ」

畜生、ますます訳が分からない。余計に頭に来た。

 

「アンタは全部分かっているんだろう? 裏の事情まで!」

「……だとしたら何じゃ?」

 

くっそう、さっきから『のらりくらり』と逃げやがる。だが提督が何か言いかけたとき、ようやく元帥は答えた。

「良いか……美保鎮守府は平凡に見えて実は諜報戦の最前線基地だ。そうやって翻弄されて頭に来る方が既に負けだとは思わんか?」

 

何だ? これが勝負でオレの負けだって? そうなると悔しいがジイさんの言う通りオレが不利な立場ってわけか。

 

「く……」

「まぁ落ち着け。これも勉強だ。美保がなぜそのサイズなのか? 司令がなぜ、ああなったのか? そして妙な艦娘が多いのはなぜか? 全部そのうち分かる。ただ電話では漏洩の危険があるからな。ワシからは今は話せんナ」

 

悔しいが、それもそうだ。

「もう少し待て。何事も『時』というものがある。『その時』が来るまでお前なりに考えておけ、しばしの宿題じゃ」

 

「お、おい待て! 何だよ?『時』? 宿題って?」

 アッハッハという高笑いと共に一方的に電話を切られた。急いで着歴から掛け直してやろうとしたが当然相手は非通知だった。畜生!

 

「誰? darling」

「ああ? ジィさん……元帥だよ」

 

「Oh」

やや感嘆する金剛だった。

 

「あの……」

美保の霞が食堂への案内に声を掛けて来た。

 

「おお、悪ぃな」

提督は慌ててケータイをしまうと、食堂へと向かうのだった。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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