「ドイツの艦娘か……まてよ」
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「美保鎮守府NOW」(みほ10)
第26話:<二式大艇の到着>
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食堂では鳳翔さんがテーブルまで来て美保司令と祥高の食べかけの食事を片付け始める。
既に立ち上がっていた美保司令は改めてその場のゲストや美保のメンバーに説明する。
「慌ただしくて申し訳ない。私と副司令は来客対応のために中座しますが皆さんは,このままお食事を続けて下さい。午後の予定は13:15から先ほどの部屋に集合をお願いします」
そこで二人の青葉がほぼ同時に手を上げた。
『あのぉ今到着したゲストの取材は可能でしょうか?』
二人の青葉がハモる。まるで双子だなぁ、笑える。
「構わないよ。誰が来るかはもう知っているだろう?」
美保司令がちょっと微笑みながら言う。
すると二人の青葉はシンクロするように同時にメモ帳を開くと、これまた同時に内容をチェックをして、またまたシンクロして答えた。
『本省より副大臣……』
ここで二人は顔を見合わせて苦笑すると今度は、お互いに譲り合いを始めた。それを見て堪りかねたように霞が英語で言った。
『本省より副大臣と新しい艦娘、それにドイツからのゲストも到着です』
美保司令は英語でうなづく。
『イタリアの武官が抜けているな』
するとPOLAが奇声を発した。ケリーが日本語(?)で言う。
「イタリア?」
時計を見ていた美保司令は答えた。
「はい。皆さんの訪問に合わせて、かつてブルネイで戦ったメンバーがこの機会に揃うのです」
「ブルネイで戦ったって?」
金城提督が聞く。
美保提督は説明する。
「例のブルネイでのアクシデント以後、自分の時代に戻ってからもシナの攻撃でドイツやイタリア海軍と懇意になったことはお話しましたが……」
そこまで言って彼は一瞬、動作が止まり、慌てたように弁解した。
「本当に申し訳ない。もう時間が無くて……本省の副大臣とイタリアメンバーが二式大艇で着水して既に着岸するようなので……」
すると提督が口を開いた。
「ああそうだ。オレたちもゲストを出迎えて良いかな? せっかくだから挨拶もしたいし」
彼の意外な申し出には美保司令だけでなく周りの艦娘たちも驚いていた。直ぐに司令は答えた。
「それは良いですね。副大臣は艦娘好きの道化で、イタリア武官は片言の日本語が話せる芸術家で変わり者……と覚えて下さい」
おいおい、良いのか? それで……と提督は思ったが、もう時間が無い。そそくさと外へ向かう司令を追って提督も制帽をつかむと席を立った。
「私も行くヨ!」
当然、嫁艦である金剛も立ち上がる。あれ? 美保の金剛もその気らしく立ち上がった。するとダブル青葉は当然として、なぜか食堂内の艦娘たちも軒並み「私も」「あぁ私も」……となって(半分野次馬としてか思えないが)結局、全員が埠頭へと向かう羽目になった。
食堂の大きな窓を開くと、そのまま中庭から埠頭へと向かうことが出来る。これもコンパクトな美保鎮守府の特長だろう。海の方からは二式大艇のエンジン音が響いている。すると空には、もう一機の二式大艇が旋回しているのが見えた。
「あれは? ……ああ、オレたちが飛んできたやつか」
提督が言うと美保司令が振り返りながら答えた。
「そうですね。本来は今の時間に美保空軍基地から飛んできて着水後、待機して貰う予定だったのですが急に本省からの二式大艇が割り込みましたから……ちょっと空中で退避して貰っています。話の分かるベテラン機長で良かったとウチの大淀さんがホッとしてましたよ」
そうか滑走路の無い鎮守府では割り込みが起きると大変だな。
「こういうときは『オスプレイ』がもっとあると本当に便利だと思います」
誰だ? と思って提督が振り返ると意外にも美保の赤城が呟いていた。
彼と目が合った彼女は一瞬ハッとしたような表情をして慌てて首を振った。
「あ、いえ。二式大艇を否定しているわけでは有りません。あの航続距離とか、やはり特筆すべき部分は多いですし」
彼女がアメリカ軍機である『オスプレイ』を持ち上げることに提督は少々驚いた。まあ、ここには実機もあるわけだし自分たちも搭乗したから、その性能差は分かる。
直ぐに全員が埠頭へと出た。大山が見える埠頭では既に祥高と美保司令が立っていて、二人は何か言葉を交わしている。その向こうには着水後、徐々に近づく二式大艇が見える。
「しっかし目的は違うとしても米軍と帝国海軍の機体が同じ鎮守府に並ぶとは何ともいえない光景だなあ」
川内がしみじみと呟く。
「そうですね、とても興味深い光景です」
青葉が応える。その手にはデジカメが構えられていて盛んに接岸する二式大艇を撮りまくっている。なお美保のオスプレイには日米双方の国籍が小さくペイントされている。
「こんなに小さくなるんだ」
川内は折り畳まれたオスプレイに興味があるようだ。その前では早苗と伊吹が点検している。
赤城が言う。
「電動でボタン一つでローターと主翼が折り畳まれるんですよ」
「へえ」
嬉しそうに説明する赤城と腕を組んで感心している川内。
本省から来た二式大艇が、ゆっくり着岸すると美保の重巡の艦娘たちがタラップをかける。その向こうでは美保湾の大山をバックにしてブルネイから飛んできた二式大艇が着水の態勢を取っている……と、その時だった。
鎮守府の建物から水着(戦闘服)の潜水艦娘たちがバラバラと飛び出してきて埠頭にいる祥高に何かを手振りを交えて訴えている。彼女は美保司令に何かを伝え彼がうなづくと潜水艦娘たちは軽く敬礼をして次々と埠頭から海に飛び込む。ナニゴトが始まるんだ?
「ああ、あれは……」
ブルネイの青葉が無線を傍受したらしく海を指して何かを言いかける。
すると直ぐに美保の青葉が応えた。
「美保の伊号艦娘たちがドイツからのゲストを直々にお出迎えですよ……久しぶりに出会う『戦友』ですからねえ」
その言葉に提督は思わず反応する。
「戦友?」
今度はブルネイの青葉が応える。
「ドイツのU-511……15年前にシナのブルネイ侵攻があった際に美保の潜水艦娘たちとドイツ、イタリアの艦娘たちが『連合艦隊』を組んで戦ったのですよ」
「へえ……」
直ぐに海の方から歓声が上がる。陽の光を受けてキラキラと輝く海面に銀髪の少女のシルエットが浮かぶ……ドイツのU-511らしい。その周りに彼女を歓迎する伊168と伊19が見える。
「そういえばドイツも来るって言ってたネ……」
提督の腕をつかみながら金剛が言う。
「ドイツの艦娘か……まてよ」
提督はふと気づいた。
「ドイツからの来客ってあのU-511だけか? まさか独りで遠路はるばる?」
彼の疑問に気づいた美保司令は、本省の二式大艇の接岸準備を気にしながら応える。
「いや、さすがにそれは無理ですよ……実はそのことでブルネイからの二式大艇には申し訳ないのですが、もう一周ほど着水待機で旋回して貰う事になりそうです」
提督は言う。
「それは、美保の伊号たちが、あのU-511を出迎えるからってことか?」
美保司令は微笑んだ。
「直ぐに分かりますよ……ほら」
彼が掌で指した方向では内火艇が外海から港湾部に入ってくるところだった。その甲板に西洋人が立っているのが見えた。
「ああ、ドイツの軍人か?」
それは艦娘ではない。恐らくドイツの武官だろう。ちょうどその時、本省からの二式大艇のハッチが開いた。まずは無線手らしき人物が顔を出してタラップの様子を確認している。直ぐに続けて副大臣らしき人物が顔を出した。
「ついに着たか」
提督は呟いた。彼の横に立つ金剛は彼の腕を少し強く握った。
「まて、あの武官は、どうやって日本に?」
提督は確認する。
「Uボートです」
美保司令は微笑んだ。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。