「トモダチが多いんだネ」
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「美保鎮守府NOW」(みほ10)
第27話:<美保の長いひと時>(改)
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「ええ? Uボートって?」
金城提督は少し驚いたようだ。
美保司令は接岸しようとしている内火艇を見ながら応える。
「この山陰に彼らが接岸するのは初めてでしょうね……ただ美保鎮守府そのものへは水深の関係で岸壁に寄せられないので沖にある鎮守府専用の外洋岸壁に接岸して貰っています。面倒ですがそこから内火艇で往復ですね」
「沖に埠頭が?」
「はい。それがかえって機密保持に良いんですよ」
美保司令は微笑んだ。
彼らが見ていると伊号たちに囲まれて先にドイツのU-511が上がってきた。
「お久しぶりデス、司令」
水を滴らせながら片言で敬礼をするU-511。水滴が日の光をキラキラ反射させている。司令も敬礼を返しつつ言った。
「久しぶりだね。長旅で疲れただろう? しばらく休んだら良いよ」
「ダイジョウブ……ずっと乗っているダケだったから」
彼女は意外にも微笑んだ。
「日本語もだいぶ上手くなったね」
「……」
少し、はにかんだような表情を浮かべる彼女。可愛い。
「行こ、行こ」
伊168たちが彼女にバスタオルを羽織らせて食堂へと向かう。まるで海水浴場だな。
「あの芸術的なあの子がUボートの艦娘なのぉ?」
「憂いを含んだ可愛い子だな……紹介してくれよ」
背の高いクルクルヘアーのイタリア人と典型的な日本の官僚風の男が相次いで美保司令に話しかけている。
「ああーまあ……そうですね」
美保司令は挨拶もそこそこに頭をかいている。彼には苦手なタイプらしい。
「おい、お前ら!」
いきなり鋭い口調で女性の声が……見ると眼鏡をかけた見るからにキツイ性格と思われる女性。艦娘だろうか?
彼女の剣幕にタジタジとなるイタリア人と官僚。眼鏡を軽く持ち上げながら彼女は美保司令たちを見て言った。
「久しぶりだな司令……」
司令たちは軽く会釈をした。おや? この二人には軍部の上下関係は無いのだろうか?
「彼女は?」
提督が聞くと直ぐに彼女自身が敬礼をして挨拶をする。
「申し遅れた。私は海軍省の作戦司令部副長官『石見』だ」
彼女が長い髪を風になびかせながら言うと後ろから声がする。
「そんな性格だからケッコンできないんだよな……」
「なぁに? 彼女未婚なのぉ?」
聞こえよがしに後ろで呟く二人に副長官は振り返りざまに官僚目がけていきなり蹴りを入れる。彼女の長い黒髪が宙に舞う……しかしスマートな身のこなしだがマジか? ……と思う間もなく官僚も見事に避けた。
副長官は顔に掛かった長い髪を払いながら不敵に笑った。
「チッ、腕を上げたな」
「毎度毎度でねえ……いい加減、公の場で蹴りを入れるの止めましょうよ」
「何を言うか。私のお陰でSP要らずなんだぞ、お前は」
「へいへい」
なるほど。この官僚が副大臣か……しかし大臣目がけて蹴りを入れるこの副長官も凄まじいと言うか……。
二人の青葉が囁き合っている。
「あの二人は何処でもバトルするって本土の記者の間では有名なんですよ」
「へえ……きっと仲が良いんですね」
「石見、止めなさい」
祥高がたしなめる。そうか、祥高三姉妹の末っ子がこの『石見』なんだな。ということは司令夫妻とは親族になるのか。
「ちぇ」
姉の前では普通の少女のようになる『副長官』だった。その表情はあどけなく可愛いらしく見えるから不思議だ。やはり艦娘だな。
「官僚と言えども軍部では身のこなしは重要だからな」
いきなり背後から低い声……片言の日本語だ。振り返るとナチスの腕章を付けた背の高いドイツ人……内火艇を降りた武官のようだ。
「U-511は既に到着したようですね。彼女は今回とても楽しみだったようで外洋埠頭に到着するや否や海に飛び込んで行ってしまってね」
ドイツ武官は苦笑する。彼はその場にいるメンバーに敬礼をした。
「私はドイツ海軍の……」
言いかけた彼にイタリア武官がクネクネして言う。
「貴方サァ諜報部だから基本、名前は名乗れないわよねぇ。どうせコードネームでしょ? イイのよ。ここの皆はだいたい分かっているし」
「……」
ドイツ武官はちょっと苦虫を潰したような顔になる。彼はイタリア武官が苦手なようだ。
その時、初めてイタリア武官の背後に少女がいることに気付いた。あれ?
「リベッチオか?」
美保司令が問いかける。彼女はオズオズと前に出てくる。するとPOLAが彼女を見て何か……イタリア語だろうか? 何かをかん高い声で……でも、まったりとしたテンポで問いかけている。逆にリベッチオは割りと早口でPOLAに返事をしている。何だかなぁイタリア語でペラペラと……。
直ぐにイタリア武官がペラペラと言って二人をたしなめたようだ。急に場は大人しくなる。ケリーもやって来てイタリア武官に何かを話しかける。彼もこのときばかりはちょっと真面目な顔をして応えている。
その間にドイツ武官は向こうに見えるグレーの機体を見ながら美保司令に近づいて言った。
「あれが米軍のオスプレイですか?」
「はい」
「なるほど……」
すると直ぐに副大臣も近寄って来る。
「おお、ああやって翼を畳めばリアル空母にも載せやすいんだな」
「まあ、エレガントな機体ね」
彼らはしきりに感心している。その横で川内と二人の青葉もオスプレイに興味津々と言った感じだ。
「こういう小さな鎮守府でも確かに運用しやすそうだな」
「後で見せてくれるんでしょ? ネエ、ネエ」
武官たちの問いかけに美保司令は答える。
「はい、もちろん……取りあえず皆さん、中に入りましょうか?」
このひと言で、ようやく全員は埠頭から移動し始める。いやはや美保鎮守府では夏のビーチ以上の混雑振りである。
その時、美保司令はオスプレイをジッと見ている見慣れない子がいることに気付いた。あ、そういえば新しい艦娘が来るって言っていたな……彼は慌てて声をかける。
「君……もしかして今日着任した新しい艦娘かな?」
すると彼女は振り返る。
「あなたがここの提督?」
「あ、そうだ。多くの子は『司令』で呼ぶけどね」
すると彼女は敬礼をした。
「あたしが水上機母艦、秋津洲よ……あれはなぁに?」
言うが早いか彼女はオスプレイを指差した。やはり気になるようだ。
「あれは米軍の新しい機体だ……特別に借りている」
「ふうん……大艇ちゃんと、どっちが速いのかな?」
「うーん、速さは大して変わらないだろうな。ただ使い勝手は米軍の方が良さそうだ。あんな感じで翼も畳めるしエンジンも2発で済んでいる」
すると急に秋津洲は脹れた。
「絶対、大艇ちゃんの方が良いんだもん」
司令は頭をかいた。
「まぁねえ……気持ちは分かるけど」
すると赤城が近寄ってくる。
「秋津洲さん? お気に召さないかもしれないけれど、オスプレイも優秀な機体よ。そうね……二式大艇では補いきれない部分をたくさん助けることが出来るの。後で見学する時間があるから、そのときにまた説明してあげるわ」
やや不満そうな秋津洲だったが赤城の包まれるような優しさを感じて信頼したのだろうか? 少し表情が柔らかくなった。
「分かったわ」
そう言って彼女も赤城に促されるままに二階へと向かう。その時、ようやくブルネイから来た二式大艇が着水して接岸しようとしていた。
赤城と並んで歩いていた秋津洲は、ふと立ち止まってその光景を見詰めていた。
「あらぁ? ここには大艇ちゃんがたくさん来るんだ……そっか、美保は大艇ちゃんにも居心地が良いのね、きっと」
赤城は微笑んだ。
「そうよ。ここはとても素敵な鎮守府よ」
すると秋津洲は改めて赤城を見上げた。そんな彼女に赤城は言った。
「秋津洲さん、美保鎮守府にようこそいらっしゃいました」
秋津洲は少し恥ずかしそうに笑顔を浮かべた。
「はい……ただいま……戻りました」
二人のやり取りを見ていたブルネイの金剛が提督に言った。
「美保って小さいところなのにトモダチが集まってくるんだネ」
「そのようだな」
彼らが見ていると埠頭では二式大艇接岸に応対する重巡姉妹たちが岸壁で旗を振って機に誘導指示をしている。
こうして美保鎮守府の長い一日が始まろうとしていた。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。