「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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午後の休息時間、提督を中心に雑談に花が咲き始めるのだった。


第29話:<午後の談笑>

「因幡の白兎とかさ」

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

 第29話:<午後の談笑>

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 午後の時間、積極的に質問をしたのは金城提督くらいだった。他の武官たちは元々美保鎮守府とは縁が深い。だから今さら質問をすることもないらしい。彼らは提督の質問を聞きながら、お互いに何かを談笑しているようだ。

 

 14:15過ぎには一時休憩になる。会議室の後ろ側には珈琲サーバやおつまみ類が置かれた。その準備をしたのが髪の長い秋雲。そして本当にその長い袖で準備出来るのか? ……って感じの巻雲だ。他の武官たちは彼女たちともスムーズに雑談をしている。

 

「へえ、意外と仲が良いんだな」

提督が呟くように言うとブルネイの青葉が言った。

 

「全員じゃないですけど副大臣は定期的に美保に来ているようです。もっともココに居るメンバーのほとんどは過去にブルネイで共に戦った『戦友』たちですからね。お互いに共有する部分が多ければ直ぐに打ち解けるでしょう」

 

なるほど、それは分かると提督は思った。むしろ初めて来たブルネイのメンバーが少し固くなっているくらいだ。

 

すると提督のところに巻雲がやって来て、かん高い声で言った。

「あ、写真で見たことある人……確かブルネイのおっきな鎮守府の人だよねっ」

 

提督が振り返ると今度は秋雲もやって来て直ぐに敬礼をした。

「ようこそ、いらっしゃいましたぁ提督!」

 

すると少し慌てたようにして巻雲も「いらっしゃい!」と敬礼をする。この二人は良いコンビだな。でもやっぱり巻雲の袖はダブダブだ。

 

 しかし提督は敬礼を直った秋雲を見てオヤッ? と思った。彼女は艦娘が着るような制服ではなかった。美保の赤城のように普通の海軍の軍服を着ているのだ。しかも帝国海軍のものでなく米軍のものらしい。思わず彼は聞いてみた。

 

「お前……秋雲だよな?」

「そうだよ」

目をクリクリさせて屈託が無い雰囲気は秋雲そのものだ。

 

「変わった制服だな、それ」

「あぁ、これぇ?」

秋雲は自分の制服を見ながら腕を軽く上げた。

 

「艦娘の制服も良いけどさ、やっぱ米軍の制服って機能的で良いんだよねぇ」

……と、そこまで言ってハッとしたように彼女は口をつぐんだ。

(また緘口令か?)

 

提督が怪訝(けげん)そうな顔をしていると彼女は何かを誤魔化すように固い笑顔を作って言った。

「んじゃ、スミマセン失礼します!」

 

秋雲はワザとらしく敬礼をして、そそくさと行ってしまった。

 

それを見ていた金剛が言う。

「どうしたの? darling」

 

彼は腕を組んだ。

「美保の赤城もそうだけど、あのオスプレイや米軍武官を見ていると美保鎮守府は米軍と協力して裏で何をやっているんだ? そしてなぜかオレにだけ隠そうとしている」

 

金剛は紅茶を軽くすすった後、呟くように言う。

「やっぱり……元帥さんの仕業?」

 

「ああ。まぁ最後には種明かしで教えてくれるんだろうけど……ったくイマイチ居心地悪いよな。こりゃ消化不良になりそうだぜ」

それを聞いた金剛は急に立ち上がると提督の背中に回って肩を揉み始めた。

 

「お、おい、くすぐったいなぁ」

だが彼女は止めなかった。

 

「相当凝っているよdarling。やっぱり慣れないからストレスいっぱい溜まってンだヨね」

「ああ、まぁそうかもな」

そういえば肩を揉まれるって久しぶりだよな。

 

そうこうしているうちにフッと金剛の手が止まった。あれ、もう終わりかな? そう思っていると金剛が呟いた。

 

「ごめんねdarling」

「はあ?」

少し振り返ると彼女は深刻な表情になっている。

 

「私がもっと器用だったらサ、こういう場所でも素敵な笑顔になって皆にもっと明るくて楽しいお話とか出来るんだろうけど……やっぱり軍人同士だからかナ? 何となく私、今日は調子出ないんだよネ」

 

金剛が泣き出しそうなブルーな雰囲気だったので提督は慌てた。

「おいおい、何でお前が思い詰めるんだ? 今回はジイさんの策略もあるし、すべて特殊だから……」

 

提督は半身身をよじる様にして彼女の顔を覗き込んだ。

「オレだって調子狂ってンだ。むしろオレの方がお前たちには申し訳ないって思っているンだから」

 

彼がそこまで言うと金剛は彼を抱きしめた。

「darlingって、やっぱ優しいんだよネ……でも怒ると鬼瓦みたいだけど」

 

「ケッ、鬼瓦は余計だぜ!」

そう言いながらも、なぜかホッとする提督だった。

 

「えっと提督って確か金剛とケッコンされてるんですよね?」

急に聞いてきたのは副大臣だ。

 

「そうだよ、darlingは優しいんだから」

なぜか金剛が返事をした。ちょっと恥ずかしいが……それでも彼は金剛や提督を見ても、まったく引かなかった。大臣は艦娘に理解があるのだろう。

 

「チョッと良いかなぁ」

そう言いながら彼は提督の脇にガラガラと近くのイスを寄せて腰をかけた。

 

「よっこらショ」

そしてフレンドリーに話しかけてきた。

 

「提督は中途採用らしいね」

「良く知っているな……ああ、中央にいれば何でも分かるか」

 

彼はチョッと頭に手をやった。

「まあ、それもあるけどさ。閣下が結構気にかけていんだ。ブルネイと美保は」

 

「へえ、そうかね?」

彼は、なおもズイズイとイスを寄せてくる。金剛は少し遠慮して席を離れた。

 

「聞けばブルネイは大所帯らしいよね。オレも艦娘は嫌いじゃない。ちょくちょく艦娘のいる鎮守府を覗きに行くのが好きだけど……ブルネイは遠い。横須賀は大きすぎる。あと中央に近過ぎだ。まあ、どっちも簡単に行けないよね」

 

それを聞いて提督はピンときた。さっきの青葉の言葉を思い出したのだ。

「それで……大臣は美保にならチョクチョク来ているのか?」

 

彼は笑った。

「ピンポーンだね。だからさ、君とか美保司令が羨ましいヨ。艦娘とケッコンして」

 

「そうかなあ? お互い軍人で命がけだ。そんなに甘いものでもないが」

提督は答えながらチョッとワザとらしいかなと思った。

 

彼の言葉に大臣は応える。

「でも特例で少将以上の指揮官は一夫多妻制がOKだろう? おまけにブルネイは南国で中央からも遠くて噂じゃ酒池肉林ハーレム状態って聞くけど?」

 

提督は笑った。当然、中央にもバレているか……だが大臣の言うとおり複数の艦娘とのケッコンは合法だ。何もヤマシイことは無い。もちろん彼もそのことを、とやかく言うつもりは無さそうだ。

 

大臣は頭の後ろに手を組んで続ける。

「オレだって、もう少し早く艦娘と出会っていたらなあ。提督みたいな人生を送っていたと思うんだ。だけど早々に普通の結婚をしたから。おまけに政治方面へ片足突っ込んだら、もはやスキャンダルもご法度でねぇ」

「ああ、それは分かる」

 

大臣は足を組んだ。

「だけど、この小さな地方の美保鎮守府くらいなら人目にも付かずに視察名目で多少のお遊びはオッケーだ」

「なるほど」

 

すると慌てたように首を振る大臣。

「でも誤解しないでくれ。美保に来てもオレはヤマシイことは一切していないから。そんなことをしたら美保司令夫妻に出入り禁止にされちまうからな、あっはっは」

 

オレに予防線を張ってどうするんだ? と提督は思った。

 

今度は副長官こと『石見』がやって来た。

「おう、会話に花が咲いているな。艦娘の話か?」

 

彼女もイスを持ってくると大臣と提督の反対側に並んで座った。

「噂をいろいろ聞いているぞ。提督は料理の腕がぴか一で毎晩お店を開いているようだが」

 

「まあ……料理はあくまでも艦娘との親睦交流が目的で」

別に、こっちにも予防線を張るつもりは無かったのだが提督は思わず反射的にそう答えた。

 

副長官は穏やかな表情のまま返した。

「別に非難するつもりはない……ブルネイのような大所帯をたった一人で束ねるんだ。そのくらいの余裕があって然るべきだろう」

 

良かった。副長官も割りと話が分かるようだ。

 

「元帥もよく言うんだ。美保とブルネイが要になるってね……考えてみれば両者は、ことごとく好対照だよな。片や大所帯で、こっちはコンパクト。そして南国(南)と山陰(北)。おまけに指揮官の性格から生き様まで対照的だ」

言われてみると確かにその通りだった。

 

「そうヨねえ」

クネクネしながらイタリア武官が来た。

 

「南国でノビノビやっているブルネイでさぁ、そこの指揮官は複数の艦娘とケッコンして美味しい料理を振舞う。良いわねえ南国のパラダイス。アタシもご馳走になりに、また一度行ってみたいわねえ」

 

するといつの間にか背後から声がする。

「もう片方は日本の辺境で質実剛健、清楚に実験部隊を率いる少数精鋭の親衛隊だ」

 

ドイツの武官だった。

「それで居て、お互いの指揮官は対照的ながら意外に仲は良いと聞いたが」

 

「いや、出会ったのもこれで二度目。それほどでもないと思うが……」

やんわりと否定する提督。

 

すると副長官が言う。

「だが二人が出会っても直ぐに打ち解けただろう? そもそも反りが合わない者は初っ端からギクシャクするものだ」

 いや最初はギクシャクしたぞ……事情があったけど。

 

「それってカインとアベルみたいなものかしら?」

割って入ってきたのはケリーだった。

 

「ある程度、正反対の性格の方が補完し合って上手く行くことも多いみたいだし」

金髪のショートヘアをかき上げながら日本語で言う彼女。

 

「それを言うならむしろエサウとヤコブだな」

ドイツ武官が言う。この二人は何を話しているのか提督にはサッパリだった。

 

「日本では聖書の話よりも、出雲神話のほうが良いね。因幡の白兎とかさ」

気を利かせたつもりなのか副大臣が口を挟むが余計に混乱するぞ。おまけに神話なんて人間ならまだしも艦娘にはチンプンカンプンだろう。

 

「いい流れですから、このままこの雑談形式で行きましょうか?」

また別の声……いつの間にか美保司令がそこに立って微笑んでいた。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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