「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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イベント会場に自分の両親が来ていることに驚く司令。それは副司令が声を掛けていたのだが……。



第55話:『艦娘の父母として』(改2)

「やっと……家に帰れるのか」

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

第55話:『艦娘の父母として』(改2)

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「あ、母さん?」

そこには副司令と司令の母親が立っていた。

 

 彼女たちの姿を見た司令はビックリしたと同時に慌てた。

「母さん、その呼び方はやめて……」

 

 彼が言い終わる前に背後から声がした。

「お母様ぁ!」

【挿絵表示】

 

 

艦娘の、かん高い声に母親も直ぐ嬉しそうに反応した。

「ぽいちゃん」

 

司令が振り返る間もなく夕立が金髪をなびかせて手を振りながら駆け寄り母親に抱きついた。

「お母様、お久しぶりです!」

 

直ぐに顔を離して、お互いに確認し合っているようだ。懐かしそうな顔をした母親は改めて夕立に言った。

「あんた、凛々しくなって……元気にしちょったか?」

「うん、お母様もお元気そうで……」

 

 このとき司令には夕立の姿が、まさに『忠実な猟犬』という印象を受けた。たまに言われる『子犬』ではない。それは昼間、オスプレイから狙撃している姿を見ていたからだろう。

 

 そんな彼女たちを見ながら副司令は司令に話しかけた。

「済みません司令……ひと言、ご報告すべきでした。今回ご両親にも私から、お声掛けを致しました」

 

 少し悪びれている彼女に司令は応える。

「いや、私も両親には声を掛けておくべきだったと思っていたから、ちょうど良かったよ。そういえば父親も来ているのかな?」

 

「あちらに」

 そう言って彼女が掌を向けた方向には、父親に向かって敬礼をする空軍関係者の姿が見えた。

 

 それを見て副司令は言った。

「お父様は、空軍では活躍されていたようですね」

「ああ。あまり詳しく知らないんだが、確か撃墜王だったとか」

 

 するといきなり青葉が現れて横から口を出す。

「私が調べた所によりますと、お父様は空軍のエースで、前線を退いてからはトップガンの教官でした」

 

 司令は少し驚いた。

「教官? そういえば確かチラッと聞いたような……」

 

 すると意外にも副司令が突っ込みを入れてきた。

「司令。もう少し、お父様のことにも関心を持たれては如何でしょうか?」

 

 司令は半身振り返りつつ応える。

「やっぱり……必要かな?」

「そうですよ」

 

 そこで改めて彼女は司令に顔を寄せて言った。近い……って。

「私がこんな場所でお話しするのも変ですが、私たちが美保の艦娘たちの父母であるなら、司令ご自身が両親との関係でギクシャクしていたら彼女たちに、示しが付かないと思われませんか?」

 

 その指摘は痛い。だが彼女の言う通りでもある。

「ああ、そうだ……な」

 

 彼自身、両親との関係は、さほど悪くないと思っていた。だが意思の疎通が親子で十分に出来ているとは正直、言い難い。軍のことは話せないとしても親子として、もう少し話し合って理解を深める必要があるか……。だいたい父親の経歴を息子がほとんど知らないことが、その表れだろう。

 

 司令が困惑していると副司令は再び微笑みながら言った。

「でも司令、今日この場で直ぐに直せとは申しません。徐々に……で結構ですから」

「ああ」

 ちょっと安心した。

 

 どうでも良いけど結局プライベートでは彼女に上手く『操艦』されているような気がする。艦娘といえども女性は強いのだろうか?

 

 彼女は思い出したように言った。

「艦娘は元々兵士ですから覚悟は出来ています。でも人間関係は失われてから初めて、その大切さが分かると言います。特に親子関係は……。だから大切にして下さい」

 

 彼女の表情は真剣だった。というよりも、なぜ彼女がそんなことを言うのか? 疑問に思った司令は聞いてみた。

「祥高さん、君は艦娘だよな?」

 

 一瞬、間があってから彼女は応える。

「はい、そうですが。何か?」

 

「うん、君の言うことは艦娘が言うことには思えなかったから」

「……」

 そもそも彼女の『祥高型』からして謎めいているよな。

 重巡でありながら現役時代には武蔵や大和に匹敵するハイスペックな戦闘能力を有していた。また前線を降りてからも三姉妹は強い影響を与え続けている。その存在感の大きさは格別だ。

 また、なぜか彼女たちを過去も含め必死に封印しようとする軍令部の動き。彼女たちを庇護する元帥と、彼に反対する勢力が対立しているという噂も聞く。

 何より、三姉妹の真ん中の、この祥高自身がネームシップになっているのはなぜか? 副大臣が広めたと言うが本当か?いや、きっと何か理由があるに違いない。

 それに上下の姉妹との容貌や性格の乖離。名前の雰囲気からして違う。ちなみに祥高型は上から八雲、祥高、石見(いわみ)である。

 

 そんな副司令は時おり大淀さんや寛代から報告を受けている。無線で直接だったり伝令からだ。無人偵察車や哨戒部隊からの内容らしいが、今のところ鎮守府周辺に異常は無いようだ。

 

 まあ今さら考え込んでも仕方が無いか。

実は美保司令は彼女とは元帥の推薦で見合いをしたのだ。それは彼が暗殺される数週間前だった。だから彼が彼女に頭が上がらないとか重婚をしないのも、そういう経緯に原因があるのだろう。

 

 取り敢えず司令はこれ以上深く考え込むのは中断した。記憶喪失の後遺症か、あまり根を詰めるとマジで頭痛がしてくるのだ。

 

 普通の盆踊りなら花火でも上がるよなと司令が思っていると、司会の黒潮が言う。

「宴もたけなわやけど、ここらで締めと参りまひょ」

 龍譲も続く。

「皆はん、海に注目やでぃ!」

 

 何事かと会場の面々が海の方向を見ると、既に艦娘たちが海に出ているようで小さなライトがポツポツと見える。

 何となく陣形を組んでいるなと思っていたら端から順番に上空へ向けて砲撃を開始……と、その光跡は真っ直ぐに上空へ上がるとパッと花開いたのだった。

 

「おおー」

 会場から歓声が上がる。最初の数発を皮切りに次々と打ち上げられる花火だ。なるほど艦娘にとっては花火の打ち上げくらいはお手の物だな。

 

「済みません司令、また無許可で」

 改めて副司令が謝罪する。

 

「いいよ別に。イベントの一環として君も許可を出したのだろう?」

司令の言葉に暗がりで頷く彼女。ちょっと苦笑して続けた。

「ええ、まあ準備の段階で後半は夕張さん、ちょっと暴走気味でしたけど」

 

 会場からは歓声が上がる。皆、嬉しそうだ。その光景を見て司令は言った。

「まあ暴走したとしても皆、こんなに喜んでいるし。こういうイベントも鎮守府で定期的に開催すべきかな?」

「そうですね」

 

 その直後、似合わない浴衣を着た武蔵がやって来た。ムチムチのボディで微妙に歪んだ花柄模様……それでも浴衣は花火に映える。

 メガネを指で押さえつつ彼女は言う。

「おい、親父……今夜は私も『自宅』に帰って良いんだろう?」

 

「いきなり『オヤジ』かい?」

 司令は苦笑して応える。

 

「何だ? 当然だろう」

 彼女は至極当たり前だといった様子で腕を組む……口が裂けても言えないが、お前のその浴衣は、はちきれそうだぞ。どう見ても関取か姉御だ。

 

 だが察しの良い彼女は怪訝そうな表情で言う。

「おいオヤジ、ひょっとしてカワイイ愛娘を好奇の目で見ていないか?」

「いや、それは……この花火のせいだ」

「ああ……それもそうだな」

 そう言って彼女は花火を見上げる。意外と単純な奴……というよりイベントと花火の雰囲気で舞い上がっているんだな。

 

 すると司令の後ろに居た羽黒がクスクスと笑っている。そして彼女もハイになっているのだろう。武蔵の勢いに乗るように言った。

「お……お父様」

 

『ゲッ』っと司令は思った。そもそも羽黒は普段から思いっきりアニメ声で可愛い。

 しかし今回だけはなぜか鳥肌が立った。その妙な違和感……そうだ! 分かったぞ。これは副長官が言ってるような印象を受けるんだ。

 でも羽黒に罪は無い。彼女は副長官の部下だ。

 

 ぎこちなく振り返る司令。

「な……何かな? 羽黒君」

 

「あの……私も『帰宅』出来るのでしょうか?」

 小声でアニメ声のままモジモジするのはやめてくれ。違和感満載です。

 

「えっと……」

言葉が続かない。やっぱり副長官を連想して、そのギャップ感で悶絶しそう。

 

 時おり炸裂する花火の光を浴びる彼女たち。ニコニコしていている艦娘は幻想的で可愛い。(武蔵も含む)

 考えるまでもなく司令の自宅には警備の駆逐艦が毎日来るから来客そのものは問題ないはずだ。ただ心の準備が(苦笑)

 

『そうだ』

一瞬、花火に照らされる母親を見て彼は思った。

『彼女たちは実家へ連れて行ったらどうか?』

 

 だが直ぐに心の中で却下した。さすがにそれは親に悪い。それに彼の父親は、さっきから空軍や陸軍それに副大臣たちと、ずっと固そうな国防論の話をしている。親父たちの井戸端会議……あれは長引きそうだ。

 

 司令の『自宅』は海軍省の官舎で境港市内にある。鎮守府からも近い。司令専用なので間取りも広い。ただ既に寛代が一部、下宿している。

 また隣の官舎には大井親子が住んでいる。基本的にケッコンした者は希望すると官舎に入ることが出来る。大井は隣家ということもあり軍隊を離れた日常生活でも自治会や、あれこれ交流がある。

 

 赤や黄色の光に照らされる羽黒を見ながら、ちょっと考え込む司令。

「そうだなあ……」

 

 羽黒や武蔵が普通に横須賀から来ただけなら特別に気を遣う必要もない。しかし自分の養子になる艦娘たちだ。普通に対応するだけではちょっと申し訳ない。

 

 司令は傍らの副司令、すなわち妻でもある祥高を振り返った。

「今夜は横須賀から来たメンバーを、ウチに泊めたいが、どうかな?」

 彼女は即答する。

「分かりました。今日は夕食も要らないでしょうから大丈夫です」

 

 あ、そうかと司令は思った。それなら手間も掛からないか。安堵した。もっと早く確認しておけば良かった。

 

「司令……」

「うわっ」

 いきなり背後の至近距離からボソっと呟く声……すぐに日向だと分かった。

 ただ、どことなく山城を連想してしまう。振り返るとショートヘアを気にしながら花火の光を浴びている彼女。やはり可愛いよ。

「何だ? 日向」

 

 そういえば、この子が至近距離に来ても前ほどにはドキドキしない。やはり親子になったからだろう。

「今日は私も司令のお宅……いや、私たちの自宅に帰っても良いのだろうか?」

 

 やや押さえ気味に何かが詰まったような口調で淡々と言う彼女。その「私たちの自宅」という表現には新鮮な響きがある。そうだよな。娘でもある日向は正真正銘の『帰宅』になるわけだ。

 

 しかし美保の艦娘たちも養女になった艦娘は結構な人数になるのだが、警備の艦娘を除いて司令の自宅に泊まりたいと正面から申し出てきた艦娘はほとんどいなかった。だいたい美保の子は大人しい。それが横須賀メンバーはこの急展開ぶりだ。正直参った。

 とはいえ妻でもある祥高の了承は得ている。今さら断る理由も無いだろう。

「ああ、そうだ。イベントが終わったら帰宅しようか」

 

「やっと……家に帰れるのか」

 ボソボソと呟く彼女。やっと? そうか、彼女たちにとっての鎮守府は本当の意味での『帰る場所』ではないのだ。日向の言葉に少々衝撃を受ける司令だった。

 

 そんな彼女はポーカーフェイス系だ。相変わらずの無表情……嬉しいのか、そうでないのか? いまいち良く分からない。そういう点では日向は寛代に雰囲気が似ている。

 

「いつかは合鍵も……欲しいな」

 微妙な音量で聞こえよがしに呟く彼女。えーっと確かにそうだが全く考えたこと無かった。

 

「いや、でもお前は今、横須賀だろう? 鍵なんか作っても……」

 そこまで言いかけてハッとした。いつも無表情に近い日向が、このときばかりは上目遣いに哀しそうにジッとこちらを見ているのだ。

 

「……」

「えっと……」

 ばつが悪くなった司令は、頭をかきながら少々困惑している。

 

 すると彼女は追い討ちを掛けるように意外な台詞を呟いた。

「お守り代わりだから……パパ」

 

 アア、ダメだ限界だぁ! パパと言うその必殺の単語に思わず仰け反る司令。そういう呼ばれ方は、わが子の早苗にすらされてない。おまけに、どちらかといえば保守的な日向から『パパ』ときたもんだ! さすが射撃の名手だよ、日向め。

 それでも彼は何とか踏ん張って地面に引っくり返ることは食い止めた。

 

 改めて彼女の顔を見る。当然、日向は極めて真剣。そうだよ、何があっても、この子は冗談を言うような艦娘じゃない。そこが日向たる所以(ゆえん)だ。そう思ったら肩の力が抜けた。

 やれやれ。艦娘たちは、どうして『親子』になると急に幼児返りするのかな。日頃の緊張感の裏返しなのだろうか?

 

 司令は観念したように言った。

「分かったよ。作っておく」

「ありがとう……パパ」

 片手でショートヘアの額のところを気にしながら微笑む日向。その雰囲気は、いつものお前だな。

 

「ねえ、ここに座ろうよパパ」

 さっきの羽黒のアニメ声やら、日向のパパとか、もはや悲喜こもごもな脂汗が出そうだ。それでも腰を掛けたら落ち着くかな? 彼は言われるままに腰を掛けた。

 

「ハア」

思わず吐息。

 

 当然のように日向が左隣に座るが、あれ? 反対側に羽黒が来た。

 武蔵はさっきから腕を組んでベンチの前で花火を見ている。何となくこのフォーメーションは艦隊の編成を彷彿とさせる。

 しかし武蔵ってホントに自分から積極的に矢面に立ちそうな艦娘だよな。まぁそこが彼女の魅力であり頼れるところだ。

 

 すると司令の右側の羽黒がモジモジしながら言う。

「あの……私にもカギ、貰えません?」

 

 そう来るか? 羽黒!

 

「そうだな……本来はご法度なんだが遠くのメンバーなら渡しても良いかな?」

 司令は何気なく呟いたのだが直ぐにチェックされた。

 

「嬉しい! あの……、大切にしますから!」

 まだ渡していないって。

 

 司令は改まって二人に言った。

「お前たちには後から合鍵を渡す。だが司令の自宅という以前に公共、つまり官舎といえども軍の建物だ。カギ一つでも機密事項だという、そういう意識は持ってくれよ」

『ハッ』

 なぜか二人揃って座ったまま敬礼をする。まぁ、このくらい釘を刺しておけば良いか。

 

「でも……」

日向が何かを言う。

「やっぱり私にとっては司令が一番の機密事項なんだよ」

 こいつめ……命中弾の嵐に思わず司令は白目を剥きそうになった。

 

「日向さん、あの、それは一体どういう意味ですか?」

 羽黒が余計な突込みを入れる。

 

「それは……」

 何かを言おうとして急に硬直して赤くなる日向。バカめ、恥ずかしい事なら最初から言うなって。

 

「おう、花火もそろそろ終わるな」

 半分振り返りつつ武蔵が吼える。ムードは壊れたが詰まっていた日向はホッとしたようだ。そして武蔵が言った通り打ち上げ担当の艦娘たちは海上で一斉に整列し集中的に花火を打ち上げ始めた。

 

 いよいよ大詰めか。花火もクライマックス。色とりどりの花火が大中小と連続して打ち上げられる。コレはかなり見ものだ。夕張さんも良い仕事しているな。

 司令の母親も父親も花火を注目している。

 

 鎮守府の敷地外の公園や海岸にも、かなり一般の見物客が出ている。そういえば戦闘以外の花火(火花)というのも、この戦時下のご時勢では港祭りを除けば久しぶりだ。

 

「良くコレだけ花火を集めたな」

 司令が呟く。

 

青葉がニタニタして言う。

「ご存じでしょうけど、これは夕張さんと工廠の妖精さん、あとその周辺メンバーの力作です。午後のあいだ皆で必死に火薬を調合して。でも足りないかなってことで一部、装備を外してバラして花火を工面したってのは、誰にもナイショですよぉ?」

 

 何となくそんな気がしていた司令。

「やっぱり?」

「はい」

「そうか……」

 

 大規模戦闘の直後だからな。きっとその戦費ということで大淀さんもある程度は目をつぶってくれたのだろう。まあ、これで艦娘たちの戦意が高揚すれば、十分に意義はある。

 

「キレイ……」

そう呟いた羽黒がソッと司令の右肩に寄り添ってくる。それでも彼は不思議と無意味にときめく事も無かった。むしろ普通に『ああ、娘がくっついてきたか』という程度の当たり前な感覚だ。

 

 すると日向も呟く。

「悪くは……ないな」

 

 この子は特に司令の左肩に寄り添ったり、くっついては来ないようだ。さすが沈着冷静ぇ……と思っていたら意外に司令の彼の左手を軽く握ってきた。おやおや。彼は昔の夏祭りバトルを思い出していた。あれも今となっては懐かしい思い出だ。

 

 司令は改めて日向を見る。彼女はごく普通の表情で花火を見ていた。

 日向は羽黒ほど女性らしい香りは漂わせていない。もっとも彼女の名誉のために申し添えると決して汗臭いわけでもない。あくまでも自然体。ナチュラリストという雰囲気だ。

 

 司令の左右に羽黒に日向。娘にしては大きい。司令の実の娘の早苗がちょうど、このくらいだ。同年代の姉妹が増えたと思えば不思議に気持ちが落ち着く司令だった。

 

 もしこれが普通の男女の関係であれば妙なアンバランス感で以前の夏祭りのように緊張して。やたら目立って好奇の視線を浴びただろう。

 だが今日の司令とこの艦娘たちは親子。そういう観点では全く違和感が無い。ごく一般的な花火見物をする家族の光景だ。だから、あの青葉も全くカメラを向けてこない。

 

日向が言う。

「ねえパパ」

「なんだ?」(だいぶ慣れた)

「幸せ……って言っても良いかな?」

「ああ」

そのとき初めて彼女は司令の左肩に身を寄せてきた。それは何かに頼って安堵する感覚。

 

「良いな、こういう幸せも」

日向は呟くように言った。同時に司令の左手を握る力が強まる。

 何となく目の前の武蔵も、この状況には気付いて居るようだった。そうか、この子たちは必死に頑張って来たんだ。だから生きて帰る場所、自宅は不可欠だろう。

 

 そう、これがこの子たちの幸せなんだ。イヤむしろ普通の人間にだって基本的な『幸せ』のカタチだろう? 彼は悟った。

 

 経験を積んだ艦娘は人間に極めて近くなる。

 

 だから、この戦争を一日も早く終わらせて全ての人が当たり前に過ごせる世界を作る。それが本当の幸せだ。

 そういう世界を、この子達と共に作ろう。彼は改めて決意するのだった。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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