「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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矢継ぎ早に軍令部から移動の指示が出る。そして金城提督にも、ある命令が出た。そして加賀は意外なことを言う。


第63話:『分断と絆』(改)

「ついに……オレの首が飛んだか」

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

第63話:『分断と絆』(改)

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 その時もう一人の大淀、2号が降りてくる。

「司令! 緊急命令です」

 

 彼女が司令に渡した軍令部からの指令書には横須賀メンバーと副長官を直ぐに中央へ戻すように命令されていた。

 

「急だな」

 彼が呟くと同時に副大臣が副長官とロビーへ来た。

 

「おい、大変だ」

 珍しく慌てた様子の副大臣。

 

「政局が変わった……オレも国会へ戻らないといけない」

 

 副大臣に続いて副長官も言う。

「私もだ……直ぐに大艇を準備させてくれ」

「了解」

 

 司令は敬礼しながら、その旨を二人の大淀に指示する。彼女たちは敬礼をすると直ぐに持ち場へと分かれて行く。

 

 司令は副長官に、赤城と談笑している加賀を掌で指しながら報告した。

「今日、彼女(加賀)が美保に着任しましたが、事前に誰も聞いていないようです」

 

「ナニ? それは、どういうことだ? ……おい、加賀!」

 彼女は直ぐに大声で加賀を呼んだ。

 

「はい」

 全く動じることなく、その加賀は無表情のままやってくる。

 

 何となく異様な気配を察知したのだろうか? 副長官は詰問するように聞く。

「お前は今日、美保に着任だと聞いた。そもそもお前は、どこから来たのだ?」

 

 彼女は首を傾げながらも無表情のまま落ち着き払ってる。

「はい、舞鶴です」

「ならば……着任指令書はあるか?」

「いえ」

 彼女の、この返事でロビーはざわつく。

 

 だが一瞬の沈黙の後、加賀は何かを思い出したように言う。

「緊急でしたので、後から電送すると伺っています」

 

 すると大淀が「司令」と言いながら書類を持って降りて来た。

「加賀さんの書類は、これでしょうか? たった今、流れてきました」

 

 司令は大淀から書類を受け取った。それをチラッと確認してから直ぐに副長官に渡す。彼女もジッと見て言った。

「電送ではあるが……確かに軍令部の指示書だ。間違いないな……」

 

 腑に落ちないといった彼女。だが赤城を中心とした艦娘たちはホッとした表情を浮かべた。

 

 司令も観念したように言う。

「分かった。赤城さん、彼女の当面の面倒を見てくれないか?」

 

『はい!』

 司令の言葉にダブル赤城さんたちが揃って返事をする。加賀は彼女たちに振り返りつつ一瞬、不敵な笑みを浮かべた。

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 そんな加賀の表情を見て疑念を深めたのは司令だけではない。美保の青葉と大井、それに副長官だ。

 

 ただ仮に、この加賀が深海棲艦だったとしても書類の偽造までは出来ないだろう。それに艦娘そっくりの深海棲艦など聞いたことが無い。

 

 副長官は時計を見て言う。

「悪いが我々も直ぐに中央へ戻らなければならない」

 

既に副大臣や他の艦娘たちもバタバタと動き始めている。

 

 ちょっと周りを見てから副長官は司令に近づいて小声で言った。

『だが我々は、いつでもお前の味方だ。孤独だと思うな』

「ハッ」

 司令が敬礼すると彼女は司令の腕を叩きながら立ち去ろうとした。

 

すると血相を変えて祥高が降りてきた。

「司令!」

 

 彼女はプリントアウトした書類を持っていたが、それには極秘と書いてあった。

息を切らせながら彼女は言う。

「済みません、司令と私しか解除できない文書だったので遅れて……」

 

「分かった、結論は?」

 それ以上息が続かないのか彼女は黙って文書を差し出す。司令はその文書を受け取ったが直ぐに驚きの表情に変わった。

 

 一旦、退出していた副大臣が引き返して来た。

「おい、どうした?」

 

司令は彼に書類を渡した。彼はそれを見てから言った。

「うーん、何だコリャ?」

 

「どうした?」

 副長官も近寄ると書類を受け取って確認をする。だが彼女は無言だった。

 

 美保の青葉が聞く。

「何の指令書ですか?」

 

 司令は応える。

「ブルネイの金城提督を解任すると言う命令だ」

 

「え?」

 驚きながらも直ぐに辺りを見回して金城提督を探す青葉。

 

 だが彼がロビーには居ないことを確認すると彼女は言った。

「司令……」

「ああ」

 青葉が何かを言う前に司令も頷いて言った。

 

「彼を探してくれ」

「了解!」

 青葉はキビキビと応える。この元気の良さに司令は、いつも救われる思いだった。

 

 ロビーに居たブルネイの青葉も手を上げた。

「済みません、私も探します!」

「ああ、頼む」

 

 二人の青葉はロビーから外へ出て行った。

 

 大淀が副大臣に声を掛ける。

「機体の準備は、あと15分ほどで終了します。空軍との調整で離陸確認許可も出ました」

「分かった……じゃ、俺たちはちょっと中座するよ」

 

 副大臣と副長官、それに横須賀の艦娘たちは準備の為に退出する。

 

 その時、司令は誰かが服を引っ張るのを感じて振り返った。

「はい?」

 

 見ると寛代が指示書のコピーを持って立っていた。

「何だ? また指令か?」

 

「……」

 彼女は頷いたままズイっと書類を差し出す。司令は『相変わらずだな』と思いながらも、それを受け取ると内容を確認する。

 

「何だ? これは……」

 

 深刻な表情になった司令を見て、ロビーに居た神通が声を掛ける。

「どうかされましたか?」

 

 司令は彼女に聞いた。

「神通……ブルネイの川内をここに呼べるか?」

「はい」

 

 彼女は軽く会釈をして窓際へ移動すると、何処かへ無線を発信する。直ぐに確認が取れたようだ。

「今、こちらへ来るそうです」

「ああ」

 

 呼吸が整ったのだろう、副司令の祥高が聞いた。

「司令、何の指示でしょうか?」

 

「ブルネイのメンバーである青葉と川内、それに金剛を現地へ戻せという命令だ」

「……!」

 祥高は絶句する。

 

だが彼女は直ぐに思い直したように聞く。

「それは……金城提督を除いて、ということですよね?」

「そういうことだ。提督はブルネイに戻さずに本日付を以って解任、その後の指示を待てと」

 

 追い討ちを掛けるように司令は言う。

「あと海外武官たちも国へ返すように……ケリーは大阪、ドイツとイタリアは東京へ一旦、移動して各大使館へ引き渡せと」

「なぜ? 急に?」

 

 その時、金城提督が金剛と一緒に入ってきた。司令が口を開く前に彼は言う。

「聞いたよ。ついに……オレの首が飛んだか」

 

「……」

 司令は何も言えなかった。寄り添っている金剛も無言のままだ。

 

 何かを迷っていたような祥高が口を開いた。

「提督、命令によると金剛を含めたメンバーをブルネイへ戻すようにと……」

 

 そこへブルネイの青葉と川内が入ってくる。

「どういうことだ! 理由があるのか?」

 

 川内は、かなり憤っている。無理もない。

 

「青葉? 何か知っているか?」

 川内は青葉を振り返るが、彼女も首を振るばかりだ。 

 

 そこへ新聞を持った利根が入ってくる。

「おい、珍しく駅前で号外が……おおっ提督、ブルネイが大変じゃぞ」

 

 金城提督は利根から号外を受け取る。そこには大きな文字が躍っている。

<ブルネイで治安部隊出動>

<海軍の拠点を一時封鎖>

<一部、銃撃戦>

 

「これは……どういうことだ?」

 さすがに異常事態に彼も頬を高潮させ、怒りで声が震えている。

 

 司令は聞く。

「大淀さん?」

「は……いえ……はい、直ぐに調べます!」

 彼女も慌てて指令室へと戻る。無言だった寛代も、後から付いていく。

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 そこへ海外武官たちも戻ってくる。

「なぁに? 聞いてないわよ!」

「全くの想定外だな!」

 

 イタリア、ドイツとも納得が行かない様子だ。ただケリーは少し落ち着いている。

「フィリピンの作戦司令部に問い合わせましたが……どうも日本海軍が勝手に発令しているようです……ただ」

 

 彼女は少し顔を曇らせる。

「ゲンスイが失脚したようです」

 

『え?』

 これには場の全員が驚く。美保やブルネイの後ろ盾とも言うべき人物だ。

 

「そうなると事態は深刻だな」

 ドイツは腕を組む。

 

 イタリアも言う。

「これは……明らかに何らかの意図がある。裏で糸を引いている者が居るわね」

 

 珍しくケリーも頷く。

「私の夫が注意しろと言っていたのは、このことね」

 

「何だ、知っていたのか?」

 ドイツが聞くと、彼女は頷く。

 

それを聞いた司令も、副長官が言っていたことを思い出した。

「そういえば副長官も、何か言っていたな」

 

 海外武官たちは一様に頷く。それを見て首を傾げている艦娘たち。

 

 イタリア武官が言う。

「簡単に言うとネ、日本海軍は三つの勢力に分かれているのよ。ブルネイと美保はゲンスイという穏健派に属していたけど……それを良しとしない一派が居てネ」

 

 そこまで言うと、青葉が頷く。

「それ、聞いたことがありますよ」

 

「だが、どうする?」

 司令は言う。誰もが無言になる。

 

「クーデターなぞ、今のご時勢、簡単には出来ぬ。『敵』は用意周到じゃな」

 利根が苦笑いをしながら言う。

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 ブルネイの川内も気持ちが落ち着いたのか、腕を組みながら冷静に応える。

「そうだな……『敵』は十分に計画を立てたんだろう」

 

 そこへ副大臣が入ってくる。彼は雰囲気で状況を察したようだ。

「おお……大体事情は分かっているようだな」

 

 続けて副長官も入ってくる。

「おい、もう出発出来るぞ……」

 

 彼女もロビーの雰囲気を察したようで、立ち止まると全員に向かった改めて言った。

「私たちも中央に戻って可能な限り抵抗を試みる。金城提督……気を落とすな!」

 

 ブルネイの金剛も彼を励ますように言う。

「darling」

「ああ……大丈夫だ」

 彼も動揺は隠し切れないが、強(こわ)張った笑顔を浮かべた。

 

 副大臣は言う。

「当面どうする……下手に動かない方が良いかな?」

 

 副長官も考え込む。

「そうだな……まだ今なら解任も覆せるかも知れん。だが身の安全のためにも当面、美保鎮守府で匿って貰うのが良いだろう」

 

 外から秋津洲が入ってくる。

「どうしたの? もう準備は出来たかも」 

 

 副長官は横須賀の艦娘たちに声を掛ける。

「よし、行くぞ」

 

 副大臣も荷物を抱え上げて言う。

「取り敢えず我々は出発する。何かあったら緊急無線でも構わないから連絡をくれ」

 

 すると武蔵が言う。

「母さん(祥高)……貴女たち姉妹はステルスモードのまま遠距離通信が出来るだろう?」

 

 副長官は、武蔵がなぜそれを知っているのか? と言う表情をした。だが彼女は構わず続ける。

「そうか……寛代も出来たはずだな。実は私も、そのモードが使えるのだ……旧い規格だから逆に敵に悟られずに使えるかも知れん。イザというときのために覚えておいてくれ」

 

 祥高は頷くと敬礼をした。それを合図にしたように出発する艦娘と、見送る艦娘たちが互いに敬礼をする。

 

「では、行こう」

 副大臣たちは出発した。

 

 ケリーが口を開く。

「我々も本国に連絡を取りましょう」

 

「そうね……作戦指令室の端末、借りて良いかしら?」 

 イタリア武官の言葉に司令と祥高が頷くと、彼らは2階へ向かう。

 

 金城提督は言う。

「オレもブルネイに連絡を取るかな?」

 

 そのときだった。加賀が金城提督に近づいて言った。

「やはり……貴方はブルネイに戻りたいのですか?」

 

 いつもの落ち着いた声だったが妙な凄みのある声だった。

 

 ブルネイの金剛が上ずったように返事をする。

「か、加賀? アナタ何を言っているデス?」

 

 すると加賀は居直ったような顔をして金剛に応える。

「おかしいですか? 私は金城提督の身の安全のことを考えて言ったのですよ」

 

その落ち着き払った所作には誰にも口出せさせないという迫力があった。

 

 彼女は続ける。

「貴方達には分からないでしょう。私が今まで、どのような想いで……」

 

 そこまで言った彼女だったが、なぜかハッとしたように慌てて口をつぐんだ。その様子を見ていた赤城が不安そうな表情をする。

 

 加賀は床を見ていたが、澄んだ瞳で提督を見た。

「ゴメンなさい、出しゃ張りました。でも……」

 

 加賀は切ない表情をして再び提督に問い掛ける。

「なぜ、貴方でなければならないの?」

「……」

「ブルネイは、これからますます不安定になるわ。そんな場所にもうこれ以上、貴方に居て欲しくない……」

 

 堪りかねた金剛が言う。

「ナゼ貴女がそんな事、言えるノネ? ブルネイには私たちが居れば大丈夫ダヨ。darlingが一人ひとり、訓練もしてくれているから……」

 

 加賀はキッとした表情で金剛を見詰める。

「金剛さん! 貴女は提督とケッコンしているのでしょう? それなのになぜ、そんなことが平気で言えるのかしら?」

 

「エ?」

加賀の意外な反応にたじろぐ金剛。

 

だが加賀は続ける。

「艦娘は誰もが必死。そう、私たちは指揮官のために命を投げ出すことくらい何でもない。でも指揮官が危ないと分かっているならまずは自分が犠牲になってでも止めるべきでしょう?」

「……」

 金剛は言葉に詰まる。

 

 加賀は、なおも続ける。

「貴方にもブルネイへの帰還命令が出ているわね」

「それは……」

 

 彼女は畳み掛ける。

「そして提督は解任命令……どういうことか分かるでしょう?」

「……」

 

 そこで金城提督は口を開いた。

「まあ待て加賀。お前の気持ちも良く分かる。だがいくら上からの命令とはいえ、オレにこのままブルネイを見捨てろっていうのか?」

 

 加賀は何かを言いかけたが口をつぐんだ。そして哀しそうな表情をした。美保司令は鳥肌が立った。

 

 提督は続ける。

「オレは命令違反だろうが戻る積もりだ。絶対にあいつらを見捨てない」

 

 彼の言葉にブルネイの艦娘たちは明るい表情になる。

 

 彼は続ける。

「解任? それがどうした。そうされるなら、その方が好都合だ。民間人になればむしろ簡単だろ? ……あらゆる伝手(ツテ)を使ってでもブルネイに戻ってやるさ」

 

 だが加賀は思い詰めたような表情に変わる。

「あなたは……やはり変わらないのね」

 

 提督は加賀を見詰めて答える。

「お前がオレの前に現れたときオレはな……過去のある艦娘を思い出したんだ。だが考えても見ろ。彼女が再びオレの目の前に現れるはずがないだろう?」

 

 加賀、無言。

「……彼女は沈んだんだ。それはオレにも辛い思い出だ」

「……」

 

 提督はフッと優しい表情になって加賀を見詰めて微笑んだ。

「加賀……お前がどういう意図でオレに近づいたのかは知らん。だがオレだって昔のままじゃない。それにブルネイの艦娘たちは全員オレの家族みたいなものだ。そりゃ公私混同って言われるかも知れないがな……」

 

 加賀は泣きそうな表情になって、呟くように言った。

「そうなの? あなたは変わっては……いけないのね」

 

 提督は加賀の手を静かに取った。

「お前が誰であろうとオレの中の加賀は同じだ。ブルネイにも今(量産型の)加賀は居る。そいつも、お前も、そして記憶の中の加賀もオレにとっては等しく大切な人だぞ」

「……」

 

 加賀は、さっきまでの勢いは萎えてジッと提督を見上げている。二人を見ている周りの者にも提督の熱い心情が伝わってくるようだった。それは、今ここに居る加賀本人が一番感じているに違いない。

 

 金剛も静かに言う。

「そうだヨ、darlingは、どこに居てもdarlingなんだから」

 

「……」

 加賀は提督の視線を逸らすように床を見詰め黙っていた。

 

 司令が口を開いた。

「取り敢えず、これから提督は、どうされますか?」

 

 彼は加賀の手を放して、腕を組んだ。

「そうだな……さっきはああ言ったが、まずは大人しく軍令部の指示に従うよ。行動するのは、それからでも遅くはない」

「そうですね」

「あと……」

 

 彼は加賀の周りに居たブルネイの艦娘たちを見ながら司令に言った。

「ちょっとオレたちだけで打ち合わせをしたいが……」

 

 司令は応える。

「分かりました。執務室をお貸ししますよ」

「助かる……打ち合わせの結果については追って教えるよ」

「分かりました」

 提督たちブルネイメンバーは、2階へと向かって行った。

 

 後には放心したようにロビーに立ち尽くす加賀。そこへ赤城が近寄り何か声を掛ける。加賀は黙って頷いて居る。

 

 ブルネイメンバーたちと、すれ違うようにして海外武官たちも2階から降りて来る。

 

まずはイタリア武官が司令に言った。

「あのねぇ、私たちも取り敢えず一旦は、日本海軍の指示に従うわ」

 

 司令は驚く。

「そうですか?」

 

 ドイツ武官が言う。

「左様、まず流れに従って……反撃は、それからでも遅くはない」

「なるほど……」

 司令は彼らが金城提督と同じ判断をしたことに意外でもあったが、それが良いかなとも思った。

 

 金髪を気にしながらケリーが言う。

「私は大阪だけど……イイこと? 移動について直接の指示を受けたのは武官だけなのよね?」

「え?」

 

 彼女はウインクをしながら言う。

「フフ……これは詭弁だけどね」

 

悪戯っぽい表情を浮かべる彼女。こういう所作をすると彼女は妙に可愛らしいんだよな。

 

「あと」

 ドイツ武官も続ける。

 

「お互い本国の軍部に確認を取った。一時的だが我々の艦娘たちを、ここ美保鎮守府の米軍リンクシステムに組み込むという許可を得た……いや、半分強引だが……これが、どういうことか分かるな?」

 珍しくドイツ武官が微笑んでいる。

 

 イタリア武官も言う。

「私たち人間には国境の壁があるけど、艦娘たちには無いのよ。だからうちの子たちも美保ファミリーに加わるからヨロシクね」

 

 司令と副司令は一瞬顔を見合わせてから、頷いた。

「分かりました。責任を持って、お預かりします」

 

 誰とも無く、お互い自然に手を差し出して握手をした。日米独伊……艦娘をベースに国境を越えたような瞬間だった。

 

 ふと見ると呆然と立ち尽くす加賀。気のせいか彼女は何かをブツブツとつぶやいているようにも見える。

 

その手を、しっかりと握り締めている赤城の姿……この加賀も大井のように、いろいろな過去を抱えているのだろうか? 

 

 司令が、そんなことを考えていると、大井が彼に近寄ってきた。

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小声で言う。

「お父様……彼女、気を付けた方が良いわよ」

「それは敵? ……と言う意味か?」

 

 大井は頭を振った。

「ううん……もちろんその可能性は否定しないけど、それ以前の問題よ。あの子、かなり思い詰めている……そんな気がする。だから……危ないの」

 

 司令は腕を組んだ。

「私は鈍感だからなあ……大井、お前、サポートしてくれよ」

 

「フフ……分かっているわ」

 彼女はソッと司令の腕に頭を寄せた。

 

「恥ずかしいけど、あの子を見ていると昔の私を見るようで……」

 その言葉には深い意味がある。司令は、そう思うのだった。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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