「戻らなくても良い……」
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「美保鎮守府NOW」(みほ10)
第65話:『偽善者』
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「やめろ、加賀……」
金城提督は意識が朦朧(もうろう)とする中で必死に腕を伸ばす。
すると、こめかみに銃を押し当てていた加賀は哀しそうな表情をして躊躇した。
「なぜ? 貴方はいつも前線で前に行けと言うのに……」
「……バカを……言うな」
だが提督は体が痺れて力が抜けていく。それでも彼はボーっとする中、必死に加賀を止めようとしていた。
だが彼女は再び銃を頭に向けた。
「これで良いの……もう私は人も、あいつらも裏切ったから……」
提督は思った。裏切り? それはどういうことだ?
だが、もはや体力も気力も限界だ。彼は、ほとんど地面に伏せた姿勢になった。
『済まない……加賀』
彼は観念した。彼女の命と、自分の命……どちらも護れなかったか。
その時、「あっ!」という叫び声。
同時に何か金属のようなものがコンクリートに叩き付けられて転がる音が聞こえた。
「押さえて!」
誰かが争うような音。
あの声は?
「提督っ! 済まない。遅れたっ」
叫び声と同時に誰かに抱き起こされる。間違いないブルネイの川内だ。
ああ、この香り……間違いないな。彼女の『香り』で彼は少し生き返った心地だった。
「水……ちっ、まぁ良いか、時間がない!」
何かを取り出すような感じがして、川内は何かを口に含んだようだ。
「ゴメン!」
そう言うなり彼女は提督の顔を両手で支えた。何か柔らかいものが彼の口に押し当てられた。
彼は直ぐに悟った。あはは、川内の接吻だ。残念なのはボーっとしているので、まるで夢の中に居るようで実感が無いことだ。
ああ、これが元気な自分だったら、もっと良かっただろうに。
同時に丸薬のようなものが押し込まれた。
「早く飲んで!」
これは……?
「解毒剤……早くっ水を!」
「Yes!」
パタパタという軽い足音。金剛か……おいお前ら、遅かったじゃないか!
「darling、水ダヨっ、死なないで!」
川内と金剛に囲まれた彼は、口元に当てられた器から水を飲む。数粒の丸薬は既に胃に向かっていたが、これで残りも飲み干せた。
「ギリギリかな……」
川内は時計を見て焦っている。
その時、少し離れたところから「ああ!」という声。同時に「逃げたぞ!」という叫び声。
提督が必死に目を向けると埠頭から海へ向かう加賀。ブルネイの青葉が悔しそうに手を振っている。そうか……逃げるか? 加賀。
提督は心の中で叫んだ。
『良いぞ、逃げろ! どこまでも逃げて……生き延びろっ』
……だが声がした。
「逃がさないっぽい」
金髪の……ライフルを抱えた子犬が走って来た。いや、夕立か。
「逃げてもムダ。まだまだ射程圏内よ」
彼女は長い金髪を払いのけて片膝をつくと、手際よくライフルを設置。
まだ遠くに加賀の後姿が見えている。
『ダメだっ!』
提督は止めようとするが声が出ない。腹に力が入らないのだ。
『逃げろっ、加賀……』
その間にも夕立は埠頭に腹ばいになるとスコープを覗いて調整をしている。
他にも様々な重火器類を抱えた艦娘たちが次々と出てくる。マジか? こいつら。
そのうちにオスプレイも飛び立つ。もうダメか……加賀は逃げ切れない。
照準を終えたらしい夕立の動きが止まる。緊張が走る。
その時だ。
「ダメだっ ……撃つなぁ!」
突然提督が大声で叫んだ。
彼の大きな声に驚いた夕立は「ぽい!」と言いながら……それでも引き金を引いた。
ダァン! ……という乾燥した音。数秒遅れて港湾内を逃げていた加賀が弾き飛ばされる姿が見えた。
「加賀ぁ!」
提督は半身を起こして叫ぶ。解毒剤が早くも効いたのか?
その姿に川内と金剛も驚いている。
だが金剛は提督が回復したことよりも彼が加賀を意識した台詞にショックを受けた。
「darling……」
哀しげな金剛。
しかも提督はずっと海の上の加賀を見据えたままだ。
続けて何かを言いかけた金剛だったが、自分の夫が加賀に何か特別な感情を抱いていることを察した。
それは……恋愛感情とも違う何か。彼女は一人、頷く。
これは彼の世界だ。それなら私は正妻として受け止めよう。
そう思い直した金剛は口を閉じた。
「ぽい?」
夕立も、これから、どうして良いのか迷っている。
埠頭に居る艦娘たちも、攻撃をせずに海上の加賀を見守っている。
「あ!」
誰かが叫んだ。
海上で一度倒れた加賀は、肩を押さえながらヨロヨロと立ち上がる。
どうやら夕立の狙いは外れたらしい。提督は安堵した。
しかし夕立が失敗してもまだ、他の艦娘が狙うかも知れない。
彼は必死に叫んだ。
「頼む! 止めろっ、撃たないでくれ!」
そこへ美保司令が走ってきた。彼は状況を察して言った。
「全員、攻撃中止だ」
その言葉で、ようやく埠頭の艦娘たちは銃を降ろす。
司令は続けて言う。
「オスプレイ! 聞こえるか?」
見ると彼はインカムをつけている。
「そうだ……加賀を逃がすな。だが攻撃もするな。美保鎮守府周辺海域を警戒しろ。レールガンを準備しておけ……ああ、沖に待機しているアレも出港準備だ」
「あれ?」
提督がつぶやくと司令は振り返る。
「はい。沖の暁……出します」
かなり体調が回復した提督は、上半身を起こしたまま聞く。
「駆逐艦の暁か?」
「いえ……」
司令は微笑む。
「もう答えを言いましょうか」
「答え……あ、そうか。ジイさんのアレか?」
なぜか彼の周りの艦娘たちも目を輝かせている。
だが提督は思い直した。
「……あ、待ってくれ」
「はい?」
司令だけでなく周りの艦娘たちも、え? という顔をしている。
提督は言う。
「どうせいずれ分かるだろうが、もうちょっと考えてみるよ」
かなり体調が回復したらしい提督の言葉に司令も安堵し頷いた。
「そうですね。まぁ、逃げている加賀が一番先に知るかもしれませんが」
彼らが見ると加賀は、なおも逃げて……埠頭から外洋へ出た。同時に視界から消えた。
だが司令が全く慌てないのを見てブルネイメンバーたちは港湾外に何か……その『暁』という兵器か何かが、あるのだろうと予測した。
その時、加賀は外海に出ていた。撃ち抜かれた肩が痛む。
噂には聞いていた美保鎮守府……海軍でありながら二度の上陸作戦を受けて対地攻撃能力を拡充しているという。その話は本当だった。
あの夕立のライフル……恐らく艦娘用に破壊力を高めている。
ただ、どういう理由か知らないが弾は反れた。もしこれが直撃していたら……。
加賀は改めて腕を押さえる。かなり感覚が無くなって来た。
「そう……直撃ならきっと私も即死ね」
彼女は呟いた。
そこで彼女は改めて気付いた。
「……私が独り言?」
なぜか可笑しくなって彼女は暗い海の上で笑った。
独り言を言う自分か。
そしてそんな自分自身を意識したこと。どちらも初めての経験だったのだ。
それは何となく滑稽に思えた。
夜空を見上げると星が出ていた。
「星?」
また呟いた。
「……意外と綺麗ね」
夜の海上を、ゆっくりと進みながら彼女は考えた。なぜ自分は、こうやって逃げ延びようとしているのか?
このまま行けば遠からず『連中』に遭遇して轟沈させられるだろう。そうなれば今度は本当に深海棲艦として生まれ変わるのだろうか?
それが嫌なら美保に引き返せば良いのに……とも思った。
しかし……なぜか、あの金城提督のことを考えると、やっぱり逃げ出したくなる。私は彼が憎いのだろうか? 正直、今は分からなくなった。
もちろん、かつてブルネイで轟沈した直後は混乱して……彼を憎んで見たりもした。その想いがあったから、こうやって復活できたような気もする。
でも、本当にそうなのか?
ふと、彼の隣に居た艦娘を思い出した。
「あれは金剛……」
彼女は明らかに提督とケッコンしていた。
もしかしたら私は彼女に嫉妬したのかしら?
「きっと……それに近いわね」
呟いた彼女は急に顔が火照った。
「バカ……」
慌てたように頭を振って、吐き捨てるように呟く。
今は重婚だってできるし、提督のあの感じだと……今ブルネイに居るという加賀とだってケッコンしているに違いない。
いや正直もうそんなことは、どうでも良かった。
敵の勢力に寝返った自分が、どの面を下げて提督の元へ戻れるだろうか?
それならなぜ……一気に彼を殺してしまわなかったのか?
「……」
彼女は真っ暗な海の上で立ち止まった。
「だめ」
思わず声が出た。
そう、彼女は美保鎮守府に来たときから、金城提督を暗殺する計画だった。上からは、そういった指令も受けていたはずだ。
だが……毒薬の調合は直前になって一段階、弱めてしまった。つまり致死量の一歩手前なのだ。もちろん直ぐに介抱しなければ後遺症が残る危険性はある。
決して脅しではないレベルだが……完全に殺す気も無い。
私はなぜ、直前になって弱めてしまったのか?
彼女は再び頭を振った。
彼女は思い出した。美保に着任してから……遠くから見た金城提督の姿。
それだけではない。美保鎮守府の優しい赤城。
なぜ皆、得体の知れない……疑いの残る自分に優しくしてくれたのだろうか?
「もっと疑って、一気に殺ってくれても良いのに?」
呟きながら自分が分からなくなった彼女は、再び暗い海の上で頭をかきむしった。
その時彼女は、金城提督と楽しそうにしているブルネイの艦娘たちを思い出した。
「あの艦娘たち……そうか」
彼女は、その時、悟った。
もし提督が倒れても恐らく誰かが彼を助けるに違いない。心の奥底で、それを期待していたのだろう。
知らず知らずのうちに自分は提督に対して、そんな余裕……チャンスを残していたのだ。現に彼女自身が直ぐに自殺をしなかった。提督を見るたびに何度も躊躇してしまった。
だからブルネイの艦娘たちが自分の自殺を止めたとき……正直少し嬉しかった。
やっぱり私には提督の暗殺は出来ない。それは確かだろう。
夜の美保湾に風が出てきた。
身体も少し冷えてきた。体温の低下……そうか。彼女は自分の肩に手をやる。
少し温い液体に気付いた。
「……血が流れているわね」
右肩の感覚は既に無い。だが止血する気も無い。失血するなら……それも良いだろう。このまま海の底へ沈んで行けば良い。
再びフラフラと前進を始めた加賀。
「……」
なぜ自分は、こうやっていたずらに逃げ続けているのか?
何度考えても、その理由が自分でも分からなかった。
ただ、何かに惹かれるように、どんどん沖合いへと出て行く。
「……」
ふと見ると沿岸に街の明かりが見えた。
彼女には夜戦経験が無いわけではない。
だが今まで、海岸線の明かりを意識して見たことが無いように思えた。
「不思議ね」
独白を続ける彼女。
一体今日は、どうしたことだろうか? まるで自分が自分ではないような感覚だ。結局、私は生きたいのかしら? ……こんな姿になってまで。
その時彼女は思い出した。今の自分はテストなのだ。
自分と一緒に復活した川内。彼女はまだ、若干異形であった。だが自分は、ほぼ完璧に艦娘として復活することが出来た。
彼女は自分を復活させた医者を思い出した。彼は軍の技術部にも所属していて、時おり艦娘のメンテナンスも行っていた。加賀が見ても分かる神経質そうな表情をしていた。
彼は元々佐世保に居たらしいが各地でトラブルを起こしたらしい。いつも所属を転々としていたようだった。
そんな彼は長い間、密かに轟沈した艦娘を復活させる研究を続けていた。そして、ついに完成したのだ。
加賀が目覚めたとき……彼は狂喜していた。
「やっとあいつらに追いついたぞ」
あいつらとは誰なのか? 分からない。
ただ彼が他の人間と会話しているとき、祥高型がどうのこうの言っていた。
「祥高?」
そういえば美保鎮守府の副司令がそんな名前だったが……。
恩義はあるかも知れないが彼女は正直、その医師が好きになれなかった。彼を取り巻くスタッフや大佐と呼ばれる元海軍の将校も、嫌いだった。
彼らがいろいろ手を回して、今回、美保鎮守府に着任と言う形を取った。かなり用意周到に、静かな革命を起こそうとしている。
彼らの背後にはシナが……
その時、左手の方から航空機の音がした。彼女の思考は中断した。
「……あれがオスプレイか?」
米軍の機体で最新の電探を積んでいるらしい。だから自分も直ぐに見つかるだろう。
加賀は観念したように速力を弱めた。だがオスプレイは一定の距離を保ったまま近づいて来ない。なるほど、索敵範囲が広いのだろう。だから自分に近づく必要もないのか……
では魚雷かミサイルを撃たれて私も終わりかな?
彼女がそう思ったとき、何かが聞こえた。
「誰?」
思わず周りを見回した。だがここは夜の美保湾だ。近くに艦影はない。
既に右半身の感覚が無い。失血して意識が遠のく。
そうか、これは幻聴か?
「加賀……」
いや、違う。
「誰なの?」
「私だ……」
一瞬、金城提督かと思った。だが違う。
「……」
自分は一体、何を期待していたのだ? 少し自己嫌悪に陥る加賀。
「美保司令だ……」
「え?」
彼女は驚いたが……その声の主も少し驚いていた。
「そうか……君はやはり旧いタイプ……第一世代の艦娘で間違いないようだな」
第一世代。いわゆるオリジナルと呼ばれる、最初に出現した艦娘たちの総称である。
量産型との違いは、まだ良く分かっていないが基本性能が量産型より若干劣るとされる。
特に無線や武装が旧い。これを改装すれば最新型にもなるが相性の関係で、それを否定する艦娘も少なくない。
特にこの旧い無線は感度は低いのだが、なぜか他の無線では傍受されない特殊な形態で、しかも夜間になるとかなり遠方まで届くとされていた。
ただ彼女が不思議だったのは、なぜ美保司令がこの無線を使えるのか? ということだ。誰かと一緒に有線接続でマイクか何かを使っているのだろうか?
それを悟ったのか司令は言う。
「私が不思議か?」
「……」
「細かいことは後で説明する。今は単刀直入に言う。命令だ、投降しろ」
「嫌です」
一瞬間が空く。
「即答か……理由はあるのか?」
「……」
すると別の声が聞こえる。
「加賀さん……祥高です」
「祥高……」
その声に反応する加賀。まさに祥高型ではないか? やはり……美保に居たのか。
「ゴメンなさい、司令が無理な命令をして」
「……」
「私の想像だけど……あなたも辛かったのでしょう?」
「……」
「大井のことも知っているみたいね」
「大井……」
彼女の事は聞いていた。美保鎮守府を何度も攻撃したといわれているが……なぜか元に戻ってしまった艦娘。彼女も第一世代なのか?
すると、また別の声。
「加賀さん……大井です」
「……」
いきなり御大が出てきたようで、加賀は焦った。
「無理に投降しろとは言わない……あなたの意思を尊重するわ」
「……」
「分かるわ……加賀さん。良いのよそれで……悩んで当然。でも聞いて」
また、間が空く。
「一人で悩まなくても良いのよ。皆同じ。特に第一世代は、悩む子が多いのよ……」
「……」
加賀は黙っていたが、今の大井の言葉に、かなり心が揺れた。
彼女は続ける。
「加賀さん、あなたの身体も心配なの。異形の形態なら多少の負傷は大丈夫だけど貴方、艦娘としてほぼ完全に復活しているでしょう? ……その状態で負傷すると危ないのよ」
だめだ……心が乱れてきた。加賀としては、そういった乱れた自分が嫌なのだ。だから思わず無線を封鎖しようとまで思った。
「加賀さんダメ……心を閉ざさないで!」
祥高だった。
「……心を開いて! 壁を作っちゃダメ。そんなことをしたら……本当に戻れなくなってしまうわ!」
「それでも良い」
「え?」
加賀はもう一度言った。
「戻らなくても良い……」
「……」
明らかに絶句している祥高。
だが加賀は続けた。
「もう良いの……誰かを恨むとか、そういうのじゃない。大丈夫……私はもう居場所が無い。どこに戻れないの……だから……」
その時、通常無線が割り込んできた。
「加賀!」
「……!」
その声は……間違いない。金城提督だ。そうか、彼は死に至らなかったのね……と彼女はなぜか安堵するのだった。
「お前は……また行ってしまうのか?」
「……」
「やっぱり……お前なんだろう? 加賀」
「……」
「加賀……」
ああ、ダメだと彼女は思った。今となっては彼に恨みは無い。だが、彼の前に戻るのが怖い。そう、もう自分は戻れないのだ……ついつい思い詰めてしまう。
「もう良いの」
実際、彼女は意識が遠のいてきた。
その時、提督の無線の背後からアラートが聞こえた。
「加賀さん! 逃げて!」
祥高の叫び声が旧い無線から入る。ハッとして反射的に回避運動をする加賀。何かが自分の間近をすり抜ける感覚と同時に数十メートル先で、いきなり水柱が立つ。
加賀を衝撃波が襲う。激しい水しぶきと水圧そして彼女の周囲に海水が雨のように降り注ぐ。
魚雷だ!
そう思う間もなく少し離れた場所でも水柱が上がった。薄暗くて良く分からないが雷撃されたらしい。
「潜水艦?」
そうか……連中か。暗闇に乗じて何処かに潜んでいたに違いない。
ただ暗いことに加えて肩を撃ち抜かれた衝撃で自分の電探は止まっている。これでは十分な回避運動が出来ない。
彼女は観念したように呟く。
「加賀、美保湾で沈む……か」
その時だった。
「加賀さん避けて!」
無線ではない。間近で赤城の肉声が聞こえたと同時に誰かに背中から弾き飛ばされた。
「え?」
……と思う間もなく至近距離で水柱が上がる。同時に赤城だろうか? 叫び声のような絶叫が混じった。
「赤城、被弾!」
誰かの通常無線が入った。
「な……」
咄嗟のことで状況が飲み込めない加賀。ただ何となく自分の側に赤城が居て、自分を庇って魚雷を受けたような気がした。
「なぜ?」
その次の瞬間、全く別の方角から地響きのような雷撃音が伝わる。
「海中?」
何かの炸裂音がした。それは立て続けに2度、3度と繰り返される。
「これは?」
加賀は呟く。間違いない。自分の足元の海中で、潜水艦同士が雷撃戦を行っている。
それよりも加賀は自分を庇って犠牲になっただろう赤城が気になった。辺りはかなり暗くなって分かりにくい。
おまけに自分は負傷して電探も役に立たない……もし第一世代の赤城なら旧型無線が使えるのだが、何度呼び掛けても、返事はない。この赤城は量産型のようだ。
まさか轟沈したのか?
辺りは炸裂した魚雷の硝煙の臭いと水柱による潮臭い霧雨が舞っている。時おり流れ弾のような魚雷が炸裂し水柱と海水が降り注ぐ。
本来なら負傷した艦娘は戦闘区域から撤退すべきなのだが、加賀は自分でも不思議なくらい必死に赤城を探していた。
なぜだろうか?
日本海軍に敵対する私が、なぜこんなことを……
ふと自分の脳裏をある単語がよぎった。『偽善者』と。その言葉を連想した途端、彼女の脚が止まる。
なぜ躊躇する? ……私は、そう呼ばれることを恐れているのかしら?
「あ……」
戦闘で荒れる海面に彼女は赤城を見つけた。既に彼女は動かない。加賀の顔面から一気に血の気が引いた。
「赤城さん!」
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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様との旧コラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。