「美保鎮守府NOW」(第10部)   作:しろっこ

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本土に到着した輸送機は、時間調整を行うことになった。


第8話:<黄昏の灯火>

「オレぁ別に、何も考えてないぞ」

 

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「美保鎮守府NOW」(みほ10)

 第8話:<黄昏の灯火>

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 やがて輸送機は水平飛行になり、機長からベルト解除の許可が出る。

 

金剛とPOLAとケリーは英語でぺちゃくちゃ話が弾んでいる。やめてくれ、その流暢な英語のシャワー……アタマ痛くなる!

 

 提督は辟易しながら思っていたのだが、妻でもある金剛が意外に楽しそうにしている姿を見ていたら『夫』としては受け入れざるを得ないだろうな……と思った。

 

 彼は窓の外を見た。白い雲と遥か下のほうに海面が見える。

海も良いが空も良いと彼は改めて感じた。神の視点に例えるのは大げさだけど、こういう場所に居ると普段、狭い地表に必死に張り付いたオレたち人間は、一体何をやっているンだ? と思う。

 

互いに自分勝手な意見をぶつけ合って一歩も引かない。それが結局戦争へと繋がっていくンだ。

 

ぶっちゃけ、今は深海棲艦が目くらましになっているだけで、本質は人と人のぶつかり合いだろう?

非日常的な空間にわが身を置いてみると、そんな単純な構図がつい見えてしまう。

 

「はあ」

 

思わずため息をついた。金剛はチラッと心配そうな眼差しを向けた。

 

 ちょっとばかり高尚なことを考えたせいだろうか? 或いは米軍の司令官たちと出会って緊張したのか。いつしか提督は寝入ってしまった。

 

 ハッと気がつくと座席で寝ている自分に気づいた。

 

「起きたね、darling?」

「はぁ……」

 

 寝ぼけ眼で機内を見回す。機内は妙に薄暗い。

 

「……ここは?」

「えっとね……」

「知覧ですよ」

 

向こうの席で本に目を落としていた青葉が答えた。あれ? ……いつの間にか本土に着いていたのか。そういえば機体も飛んでいないようだ。

 

「機長はネ、今、陸軍の航空隊の司令部に手続きに行っているヨ」

「ええ? 陸軍で手続き?どういうことだ?」

「えっとネ……」

 

 その時ハッチが開いて機長が戻ってきた。彼は提督が目覚めたのに気付き軽く敬礼をすると説明した。

 

「報告します。既に夕刻となりまして、このまま美保を目指しても良かったのですが、軍令部より『無理はしないように』との指示がありました。そこで陸軍ではありますが知覧航空隊への着陸許可を頂きまして、今宵はここで休むことになりました」

 

提督は聞いた。

 

「休むのはここ……機内か?」

「いえ、陸軍航空隊の宿舎の使用許可も下りています」

 

フッと、ウチの元帥ジイサンを連想した……まさかね。しかし陸軍たぁ穏やかで無いが……提督は心配だった。機長は説明を続ける。

 

「19:00より食事の準備。その後、折を見て宿舎の案内があると聞いております」

「分かった。ありがとう」

 

提督と機長は軽く敬礼をした。

 

「オレたちも、ちょっと外に出るか……」

「ウン」

 

彼は上着を脱ぐと金剛と一緒に機外へ出た。

 

 初夏の夕方……そこは航空隊らしく開けた場所だった。周りには多少、訓練生や教官が居てチラチラとこちらを見ている。

 

無理も無い。どういう情報が流れているか知らないけれど、いきなり降りて来た海軍の輸送機から出てくるのが美人ばかりでは陸軍の若い訓練生も驚くだろう。

 

しかも艦娘は鎮守府以外では、なかなかお目にかかる機会も少ない。

 

「お……」

 

 提督は向こうに夕日を浴びた金髪の女性を認めた。ケリーだ。日本の風景の中では金髪の女性は目立つ。しかも彼女は美人でスリムだ。

ケリーはPOLAと散策しているが、その近くに川内がいて、二人に辺りの自然や景色を説明しているようだった。

 

金剛が聞く。

 

「川内って英語大丈夫なんデスか?」

「え? 何言ってンだお前、ケリーは日本語も喋れるんだぞ」

「あ、そっか……」

 

提督たちが近づくと川内が気づいて軽く敬礼した。

 

「日本は湿気が多くてケリーも大変だろう?」

「そうでもないみたいだよ」

 

見れば川内もケリーも、皆、上着を脱いでラフな格好をしていた。やっぱりPOLAは胸がデカい……

 

「痛ってぇ」

「darling……」

 

 チクショウ金剛のやつ、胸元見るくらいでイチイチ……

 

するとケリーとPOLAが笑っていた。提督も苦笑したが、ケリーはやや低いトーンで言った。

 

「艦娘の部隊はいろいろあるけど……ブルネイは良さそうな感じだね」

「そうか?」

 

そう言って貰えると正直嬉しいものだと提督は思った。ケリーは続ける。

 

「知り合いが言ってたんだ。艦娘部隊は新しい軍隊の形だと。最初、私がこの子を担当したとき、それが分からなかったけど……今はチョッと分かる気がする。ブルネイにはきっと、それが在るんだ」

「オレぁ別に、何も考えてないぞ」

 

彼は思わずそう言った。ブルネイは構えるんじゃなくて自然体だと彼は思っているから。でもケリーはPOLAを見ながら微笑んだ。

 

「聞くのと実際に体験するのでは違う。世界には、まだ艦娘の部隊が少ないし……ブルネイと、そして美保と、いろいろ吸収したいんだ」

 

 POLAは野花に興味を持ってしゃがんでいる。それらを指差して英語のまま川内に何かを聞いている。川内も日本語で応えているのだが、何となくニュアンスはお互いに伝わっているようだった。

 

その姿を見ながらケリーは続ける。

 

「時代が違えば私もこの子も全く違う人生を歩んでいた……ううん、そもそも私たちの出会いも無かったでしょうね」

 

夕日を浴びながら彼女は、何処となく寂しそうな表情をした。

 

ケリー、お前さんもいろいろあったンだろうな。提督は改めてそう思った。それを見ていた金剛は提督の腕を取ると改めてギュっと握るのだった。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。
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