「こちらが教えられました」
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「美保鎮守府NOW」(みほ10)
第9話:<陸軍訓練生>(改)
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19:00からの夕食の時間も艦娘は注目の的だった。そもそもコスチュームが軍人離れしている。そのうえ標準形で既に肌の露出も多いデザインだ。太ももとか……。
おまけに彼女たちはスタイル抜群で美人ぞろい……それでいて滅法強い。絶対にこれは軍隊としては常識外れの異常なことだ(笑)
知覧の陸軍司令が気を利かせて食事時間をズラしたのだがほとんど無意味。廊下といわず食堂の窓まで若い訓練生で鈴なり。おまけに今回は米海軍のケリーにPOLAまで同行している。もはや食堂全体が見世物小屋状態になっていた。
だが陸軍ながら司令は意外に、ざっくばらんな人らしく若い隊員と艦娘が触れ合いの場を持つこと自体は制限しなかった。もちろん訓練生だって礼儀はわきまえているから、むやみに艦娘にタッチすることは皆無だ。これは我が国の軍部の伝統みたいなもので特に問題は起きなかった。
それでも好奇心の旺盛な訓練生たちは艦娘やケリーにあれこれ質問をする。彼女たちも嫌がることなく上手に答えるのだが、ちょっと専門的な質問になると結局『青葉かケリーにお願い』的な状態になる。
この様子を腕を組んで見ていた陸軍司令は提督に声をかけた。
「提督は艦娘を相手に、ご苦労なさることも多いでしょう?」
「いや……オレ的には楽しいが。それより司令、良いのか? 陸軍の訓練生にこんな状態で?」
陸軍司令は少し緩やかな表情になった。
「艦娘の登場で海軍では以前より若者の死亡率が激減したと聞いてます。我が陸軍も、いつまでも海軍ばかりに任せてはいられません。むやみに反発するのではなく、学ぶべきことは謙虚に受け入れるべきでしょう?」
「ああ」
「今後、必ず陸軍も必要になる時代が来る。その為には常に備えるべきでしょう? ここにいる彼らも立派な兵士です。戦場へ出る以上は決死の覚悟が必要ですが。せめて訓練期間中だけでも、いろいろ体験させてやりたいと思いましてね」
「なるほど……親心みたいなもンかな?」
提督が言うと司令は笑った。
「そんなところですな。彼ら若いですが意外としっかりしていますよ。今は陸軍も入隊には厳しい選考がありますから部隊に入るほうが難しい。そんな関門を潜り抜けた彼らは一種のエリートです。だからこそより良い教育を施したいのです」
「なるほど……いや、あいつらで教育の足しになりゃぁ良いんだが」
陸軍司令は提督を見詰めた。
「ご謙遜を……艦娘たちは全員が実戦経験者でしょ? 世間知らずな訓練生と比べたら雲泥の差ですよ。死線を潜り抜けた者の言葉は重い。それに……」
陸軍司令は青葉とケリーを見た。
「あの二人はそのまま教官にだってなれるレベルの知識ですから」
「あぁ……まあね」
陸軍司令はもう一方の金剛を見るとチョッと笑った。
「あちらの方は言葉は足りませんが、熱意は凄いですな」
提督は踊るように激しく体験談を語っている金剛に『あれは妻です』とも言い難く、ただ苦笑するばかりだった。瞬時に艦娘たちの素養を見抜くとはさすが指揮官である。
陸軍司令は急に真剣な表情になった。
「これは貴重な体験です。陸軍の訓練生が海軍の艦娘から直接話を聞ける……むしろこちらが、この機会を設けてくださった皆様に、お礼を言いたいくらいです」
「いや……そうか」
陸軍司令の話を聞いて提督は逆に恐縮した。また教育ということについて教えられる心地だった。確かに机上の空論よりも実体験に基づく説明の方が説得力がある。教育としては最高だろう。
ふと視線を移すとPOLAは英語オンリーなので手持ち無沙汰だ。川内が相手をして二人で隅の方で食事を続けていた。今日半日で、お互い片言なら意思の疎通が出来るレベルになったようだ。
今日、軍令部の指示でここに降りたというのも……やっぱり背後で何かの策があったのだろうか? 仮にそうだったとしても結果的に我が国の軍部の資質向上に寄与できるならば、いち指揮官としては本望だと提督は思った。
そのうち20:00になり訓練生たちの食事と自由時間は終わりとなった。彼らは自主的に自室等へと戻っていく。陸軍司令も会議があるのでと挨拶をして退出する。
後に残された艦娘、特に青葉とケリーはかなりへたばっていた。提督は二人の間に入って言った。
「ご苦労だった。疲れただろう?」
だが意外な言葉が青葉から返ってきた。
「いやぁ提督、そりゃ多少は疲れたけど案外楽しかったですよ」
ケリーも言う。
「そうね……何ていうのかな? 前向きな好奇心のカタマリ……ただ単に自分の知識欲を満たすだけじゃなくて国防という崇高な意識に基づいて繰り出される質問。答えるこちらが襟を正される思いだったわね」
提督は驚いた。
「へえ、そんなもンか?」
ケリーは食事を終えて近くに寄って来たPOLAの髪を撫でながら言った。
「ここは教育隊でしょ? 先生や先輩から必死に何かを受けようとする若者の意欲。そうね……まさに日本帝国の若者の基礎力を感じたわね」
青葉も続けた。
「今日は『たまたま』立ち寄ったけど……こういった教育隊で私も刺激がありました。あれこれ質問されて、こちらが教えられました心地です」
珍しく青葉が神妙にしている。
「それじゃ、まぁ良かったってことかな?」
『はい……』
青葉とケリーは不特定多数を相手して、ちょっと何かが抜けた雰囲気だ。かといって激しく疲れた様子でもない。不思議な充実感だな。
「darling、腹減った」
金剛が口をへの字にして提督の腕を引っ張りながら言う。
「あ、そうか。お前たちは食事返上で相手していたのか」
金剛は呟くようにいった。
「たまにはdarlingの手料理食べたいナ」
その言葉に、その場に居た青葉や川内もしきりにうなづいていた。
「食わしてやりたいのはヤマヤマだけどな。出先でいきなりってのはちょっとな……おまけにここは陸軍の部隊だ。下手なことは出来ん」
すると金剛は素直に微笑んだ。
「分かっているよdarling……言って見ただけ」
可愛い奴め。
「あ、食べ損ねた皆さんのお食事、ご準備しますよ」
厨房から陸軍の料理長が声を掛けてくれた。思わず安堵する艦娘たちだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
(ごません様とのコラボ企画作品)
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ10」とは
「美保鎮守府:第拾部」の略称です。