ワールドトリガー「Re:自戒の絆」   作:悠士

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キャラ紹介ページにも書きましたが、護の設定を少し変えました!


10話 ゲームと羞恥心は控えめなくらいが丁度いい

 

 迅は遊真の頭に手を乗せながらコイツを追い回しても得はないと三輪たちに行った。奈良坂は遊真が街を襲うネイバーの仲間じゃないという保証はと聞くと

 

「オレが保証するよ、首でも全財産でも掛けてやる」

 

「?」

 

「迅さん!」

 

 遊真はなぜ片手で数える程しか会っていない自分をそこまで庇うのか気になったようだが、未来視のサイドエフェクトがある迅には確信があったからだ

 

 迅さん「何か」視たな。遊真がそこまでオレたち(ボーダー)にとって力になるってことなのか?

 

「何の得もない!?損か得かなど関係ない!!ネイバーはすべて敵だ!『ベイルアウト』!!」

 

 それまで地に平伏していた三輪が一方的に吐き捨てるとベイルアウトを起動して本部に飛んで行った

 

「お?飛んだ」

 

「『ベイルアウト』だ。ボーダーの正隊員のトリガーにはベイルアウト、つまり自身の意思で緊急脱出するかトリオン体が破壊されると自動的に基地に送還されるようになっている」

 

「負けても逃げられる仕組みか、便利だな」

 

 迅からベイルアウトの仕組みを聞いた遊真は単純にボーダーはすごいなと感心していた。確かに緊急脱出の機能なんて出来たときはかなり驚いた。それから米屋はトリガーを解除した

 

「あー負けた負けた、しかも手加減されてたとか、も~。さぁ好きにしろよ、殺そうとしたんだ殺されても文句は言えねぇ」

 

「別にいいよ、アンタじゃオレは殺せないし」

 

 起き上がった米屋は肩を竦めながら言うが、遊真はそんなことをするつもりは無いみたいだった

 

「マジか!それはそれでショックー!………じゃあ今度は仕事関係なしで勝負しようぜ、サシで!」

 

 米屋は相変わらずというか戦闘に関してはかなり喜ぶタイプだ、強い奴を見つけては模擬戦を度々申し込んでいる

 

 三輪はまだ引き摺っているのか、また家族を殺されたことを恨んでいる。そんなの殺した分だけ自分が傷付いていくだけだ

 

 思い出すのは5年前。逃亡してそのまま成り行きで協力してトリオン兵は倒していけたが、その日は雨が降っていてオレの後ろには1人の亡くなった女性と傍らに膝を付いて呆然としている少年が1人

 

 三輪がボーダーに入隊したときは顔に見覚えがあったからほんとに驚いた。遊真は何故かまだトリオン体のままだが、服装が換装前の格好に戻っていた

 

「さてと、三輪隊だけじゃ報告が偏るだろうからオレも基地に行かなきゃなー、メガネ君はどうするー?どっちにしろ呼び出しは掛かると思うけど」

 

「あ、それじゃ僕も行きます!空閑と千佳は何処かで待っててくれ」

 

 そう言って千佳が頷くのを確認した三雲は迅とオレの後を追いかけた

 

 

「……ん?護お前は付いてこなくてもいいぞ?城戸さんにはオレから言っとくから」

 

「ホントッスか!?いや~正直城戸さんのことは苦手だから助かるよ、さすが迅さん!」

 

「それもそうさ、なんたってオレは実力派エリー………ってなんでいないの?」

 

「えっと………護は言いたい事言ったら一目散に走っていきましたけど………」

 

「マジでっ!!?」

 

 オレは聞き飽きたセリフを大人しく聞くつもりはなく、颯爽と走り去った

 

 

 

「迅さんのあの口癖どうにかなんないんスかね、いい加減聞き飽きたッス」

 

 迅のあの口癖を聞くより早く走ったオレは街を歩いているとゲーセンが目に写った

 最近はイレギュラーゲートやラッドの殲滅でろくに遊ぶ時間が出来なかったし、久しぶりに遊ぼうと中へ入ると

 左側に景品ゲーム、右側にメダルタイプのパチンコ、中央に円形のカウンターがあってその周囲には筐体ゲーム機がある、さらに右奥には手や足など使って音楽に合わせて遊ぶいわゆる音ゲーがある

 この三門市ではそこそこ大きめのゲーセンだ

 

 中に入り中央周辺にあるパワードスーツを着て鎧のように硬い外骨格の虫と戦うゲームをしようと思ったら、景品ゲームところで聞き覚えのある声がした

 

「あーあーまた外れた、焦り過ぎよ双葉(ふたば)

 

「うーでもあそこで外れなければ取れたのに…………」

 

 景品ゲームの方では身長差がある女性2人がいた

 

 ロングヘアーで口元のほくろが妙にいやらしいのが加古隊隊長の加古(かこ)(のぞみ)、そしてゲーム機の窓を壊してでも欲しそうなにしている鋭い目つきとツインテールにしてるのが黒江(くろえ)双葉(ふたば)

 

「珍しいッスね、ゲーセンにいるなんて」

 

「?……あら玉狛の護君じゃない、護君こそどうしたの?」

 

「いや~最近いろいろ忙しかったしょ?だから非番の今日なにもすること無いッスから、久しぶりに遊ぼうと思ったんスよ」

 

 オレの理由を聞いて加古さんたちも同じ理由で来たと知った

 

「…………取って」

 

「はい?………あ~これッスか?」

 

 双葉が短く先ほどの景品を指差しながら言ってきて、オレもなんなのか気になってみると思わず頬が引き攣りたくなるものがあった

 

 それは半分にカットされて中が見えるみかんに顔が描かれていて、左右に手足が付いているクッションだ、取りやすいように半分近くまで台から出ている

 

「双葉はみかんが好きでね、このクッションを見つけてすぐに取ろうと必死になったわ」

 

 みかんが好きなんだと知り双葉を見ると口を尖らせていた、何故かその仕草がちょっと可愛いと思った

 

「随分前にだけど護君がこういうゲームが得意だって聞いたことがあってね、お金は出すからお願いできる?」

 

 そう言った加古の表情はいい加減他のゲームを遊びたいといった感じに呆れていた

 

「得意と言ってもこのゲームのアームのパワーはランダムで決まるんスよ、だから何でそんな話になっているのかは知らないッスけど運がよかっただいだッ!」

 

 加古から百円玉を受け取り投入しようとしたら双葉が足を思いっきり踏んできた。あまりの痛さに少し悶えた

 多少痛みが和らぐと立ち上がり百円を入れてゲームスタート

 

 

 

「っっ~!!ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

「ッ//」

 

 1回で落とせたみかんのクッションは取り出し口から取って、双葉に渡すといつもの鋭い目つきが無くなり13歳の子供らしく喜んでオレにお礼を言った

 子供らしい表情にオレも少し気分が良くなり、前に桐絵ちゃんにしたみたいに頭を撫でた。すると双葉の顔は見る見る赤くなっていき熱でも出たのか、心配して聞くと今度は顔にグーで殴られた

 

「痛いッス……恩を仇で返すとはいい度胸ッス、あれで勝負するッスよ!!」

 

 そう言ってオレが指差したのは某太鼓ゲームだった。久しぶりだから失敗はするかもしれないけど女の子に負ける気は無かった。

 

 年下の子相手に大人気ないッスか?いいッスよ!オレもまだ中3の子供ッスから!!

 

 誰に言っているのか分からない問答を終えると、双葉も勝負には負けるつもりはないようで顔は真剣だった

 

「それじゃオレから選ばせてもらッスよ」

 

 後ろで成り行きを見ていた加古さんの顔は何故かニヤニヤしていた、聞いても頑張ってね~とか返さない。気にはなるけれど今は勝負が先だ

 

 オレが最初に選んだ曲は「アシタノヒカリ」、最近聴いた曲の中では気に入っていてよくリピート再生している。因みにこれはクラスの奴等からお勧め教えられた

 

 曲が始まると少しして太鼓を叩くマークが流れてきてリズムに合わせて叩いていたが半分過ぎたところで

 

「あっ!?しまったッス」

 

「……よく見ないからだ」

 

 オレがそれまでコンボが続いていたのにミスをしてしまいカウントが消えた

 もう曲の終わり頃で今度は双葉がミスをしてしまった

 

「あっ!?」

 

「………へ~余裕のある人は今頃ミスですか?いいッスね~」

 

「っ~今度は私が選ぶ番よ」

 

 曲が終わりリザルト画面に移ると結果は僅差でオレの勝利、双葉は最初の1分ぐらいは聞きなれない曲でなかなかコンボが出来なかったからスコアが低いのだ

 

 そうして双葉が選んだ2曲目は「GIRIGIRI」だった、この曲も知っているから勝てると思ったが結果は双葉の勝利に終わった

 

 そして3曲目は「Crossing Field」だ、これは某文庫では代表作に入るほど人気でアニメやドラマCD、漫画など出ている

 

 曲が始まりリズム叩いていたのだがまたもミスをしてしてしまった、それは双葉も同じだがオレの負けだった

 リザルト画面になるとミスは大差ないのだが叩くタイミングが双葉のほうが良かったというものだった

 

「そ……んなっ……負けた………ッスか?」

 

 まさか自分で選んだ曲で負けるなんてあまりにも悔しくてその場に跪いた。すると後ろからパチパチと控えめの拍手が聞こえてそちらに顔を向けたら加古さんが手を叩いていた

 

「いや~まさか双葉に本気で勝負して跪くなんて余程ショック?」

 

「………ッス……」

 

 傷を抉るような言い方をしてきてオレは更に気分が落ちてしまった、すると双葉が

 

「………楽しかった、ありがとう」

 

 そう言って店を出て行った、加古が言うにはこの後宿題を片付けるそうで加古さんも後追って店を出て行った

 

 まぁ楽しんでもらえたからいいッスか、オレも早くあのゲームをしよっと

 

 

 

 加古隊の2人が帰ってから当初の目的のゲームを2時間、そろそろ玉狛に行こうと思い途中でスーパーに寄って、冷蔵庫の中が寂しかったなと思い出し。お菓子のほかに材料を今日の晩の分だけの量を買った

 店を出ると1時間も材料選びに費やしたせいか日が沈みかけていて、あたりはオレンジ色に染まっていた

 

 30分ほどでオレが所属している玉狛支部に着いて、中に入り扉を開けるとそこには三雲と遊真に千佳の3人がいた

 

「………どうしてここにいるんスか?」

 

「はっ!?護くーん君は救世主だよ~」

 

「うわっ!?ちょ……宇佐美離れるッス//………なんか………イロイロ///あ……当たってるんスけど///」

 

「ん~?んふふ初心だね~護君は」

 

 救世主とか言ってオレに抱きついた宇佐美は、恥かしがるどころか更に押し付けるように力を込めた。少ししてやっと宇佐美はオレの手から買い物袋を受け取りキッチンに入っていった

 

「このお菓子は?」

 

「////…………支部のッス、だから後で経費で落としておいてくださいッス」

 

「うふふ~りょうか~い」

 

 買い物袋の中身を出して材料を見ると卵丼が作ることになった、ソファに座ろうと移動するとキッチンの入り口あたりで、玉狛のペットであるカピパラの雷神丸が昨日のカレーを『舐めて』いた

 

「っ~////」

 

 さっきの救世主という言葉に納得がいったが、雷神丸が舌で舐めているところを見たオレは一気に恥かしさMAXになり慌てて借りている部屋に入っていった

 

 その様子を見た三雲たちは別々のことを言った

 

「ふむ?……マモルは何で顔が赤くなって慌てて2階に行ったんだ?」

 

「く……空閑!いいからこのことは誰にも言うなよ!!//」

 

「うむ……納得はいかないけどオサムが言うなら分かった」

 

「護君も男の子だね~」

 

「………///」

 

 遊真は疑問に思って三雲に聞いたのに教えてくれなかった、嘘を見抜くサイドエフェクトで何かを隠しているのはバレバレだけど聞いても答えてくれそうになかったからすぐ諦めた

 

 護が慌てる原因になった本人はこれからどんな扱いをされるのか分かっているのに恥かしがるどころか面白がっている、隣にいる千佳もその意味が分かったのか頬を赤らめて俯いた

 

 

「いや~青春だね~」

 

 自室にいた迅はうっかり護の未来を見てしまったせいで、現在の部屋の様子が分かっていた

 

 その日のご飯、オレは食べ終えるまで宇佐美と顔を合わせられなかった

 

 

 

 

 

 食器を片付けた頃、迅の携帯が鳴り少し話をした後電話を切った

 

「まもなくウチの支部長(ボス)が帰ってくる、遊真とメガネ君、支部長(ボス)がお前たちに会いたいそうだ、ついでに護も一緒にな」

 

「オレもッスか?」

 

 怒られるような事でもしたのかと思い返したが特に………いやさっき三輪隊と交戦したけど、あれは迅さんが何とか城戸さんに納得させたから問題はないはずだ、他のことかと探っても心当たりはなかった

 

 

 

 

「失礼します、2人を連れてきました」

 

「お、来たなお前が空閑さんの息子か」

 

 部屋に入った遊真ははじめての支部長室に当たりをきょろきょろと見回している、そんな遊真に玉狛支部支部長…林藤(りんどう)(たくみ)は挨拶をした

 

「はじめまして」

 

「………………どーも」

 

「お前のことは迅と三雲君から聞いている、どーせ護は口止めでもされてオレに言わなかったんだろ?」

 

「ちょ……何でオレが悪いみたいな言い方になっているんスか!?迅さんがそうしろと言ったから今まで見ているだけだったんスよ」

 

 オレのいいわけにやっぱりなと言ってそれ以上は何も聞いてこなかった

 

「まぁなんだ玉狛(ウチ)はお前を捕まえる気はないよ」

 

 林藤の言葉に安堵した三雲は肩の力を抜いた

 

「ただ1つだけ教えてくれ、お前は親父さんの知り合いに会いに来たんだろ?その相手の名前って分かるか?」

 

 その問いの答えを知っているオレは顔を曇らせ、未来を見て知っている迅さんはさっきまでの軽い感じから真剣な表情になる

 

 そして遊真は会いに来た人物の名前を告げた

 

「……最上宗一、親父が言ってた知り合いの名前は最上宗一だよ」

 

 名前を聞いた林道はやはりかと思った

 

「そっか、やっぱり最上さんか」

 

 そう言って机の上に置いてあるタバコを手にする

 

支部長(ボス)、未成年3人もいるんですけど?」

 

「あれ?オレは?」

 

「っとわりぃわりぃ……最上宗一はボーダー創設メンバーの1人でお前の親父さんのライバル()()()、そして迅の師匠()()()

 

 2度も「だった」と過去形で言ったことに流石に遊真も気付いたと思う。でもまだ確証はない、どこかの国にいるかもしれない、それならその国に行けばいいことだった思っているかもしれない。けど現実は残酷だ。迅さんが前に進みだし腰に挿していたブラッグトリガー…風刃(ふうじん)を鞘ごと抜いて机に置いた

 

「この迅のブラッグトリガーが最上さんだ」

 

「!!」

 

「!!……じゃその人は……」

 

 さすがに遊真も頼るべき人がブラッグトリガーになっていたことに驚きを隠せなかった

 

「最上さんは5年前にブラッグトリガーを残して死んだ」

 

「そうか、そのトリガーが」

 

 

 

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